バトルフィールド3のストーリーに感動した

3月 11th, 2012

バトルフィールド3

ゲームの演出に映画の影響が見られたのも昔の話で、ここ数年は映画の演出にゲームの影響がかなり大きくなっていて、FPS(一人称視点シューティング)っぽい演出の銃撃戦もよく見られる。

バトルフィールド3

『キックアス』のクライマックスはそのまんまFPSだ。

去年は3つのFPSが話題になった。

  • 北朝鮮が日本と韓国を降伏させアメリカに侵略するHOMEFRONT
  • アメリカとロシアの全面戦争が始まるコール オブ デューティ モダン・ウォーフェア3(以下MW3)
  • ↑に似ているバトルフィールド3(以下BF3)

全部プレイしてみたけど、俺が一番好きなのは一番地味なバトルフィールド3だ(マルチ、シングル共に)。

これがバトルフィールド3のプレイ画面。点の攻撃してくるスナイパーにブラックバーン軍曹が面の攻撃で反撃する。

HOMEFRONTの脚本にはジョン・ミリアス(地獄の黙示録)、MW3の脚本にはポール・ハギス(クラッシュ)と大物を起用しているのに対してBF3の脚本家は無名っぽい。でも大風呂敷すぎてごちゃごちゃしているHOMEFRONTやMW3に比べて地味なBF3の脚本はかなり気に入った。以下全部ネタバレ


【アメリカ側】主人公であるブラックバーン軍曹は何故かFBIとNSAから容疑者扱いで取り調べを受けている。ブラックバーン軍曹には取り調べを受ける心当たりがあるらしく、「俺じゃなくてソロモンが真犯人だ!」と言い張っているが、FBIもNSAも信じていないしプレイヤーもワケわからない。そして彼の回想が始まる。このゲームはブラックバーン軍曹の回想形式という形を取っている。

【アメリカ側】プレイヤーはブラックバーン軍曹を操作することになる。ブラックバーン軍曹はイラクで中東のテロ組織PLO(アルカイダがモデル)と戦うが、イラクで大地震が発生。仲間たちと共に崩壊したイラクから無事脱出する。その後ブラックバーン軍曹たちはテロ組織のアジトとされる銀行を襲撃する。制圧した金庫室の中で見つけたのは…核爆弾の空ケース二つとニューヨークの地下鉄の時刻表だった

【アメリカ側】ブラックバーン軍曹がこの話を取り調べ官に話しても彼らは信じない。むしろロシアの特殊部隊スペツナズと接点のあるブラックバーン軍曹を疑っている。プレイヤーはここで「ブラックバーン軍曹ってロシアとつながりがあるの?」と驚かされる。

【ロシア側】ここでプレイヤーはロシアのスペツナズ隊員:デュマを操作することになる。スペツナズはどうやらパリで核爆弾の爆発を止めたいらしい。デュマ(プレイヤー)はテロ組織やパリ警察を敵に回しながら核爆弾を追う。ようやく核爆弾のケースを見つけたのだが、中を開けると空だった。「おとりに引っ掛かった!」と気がついたときパリがまばゆい閃光に包まれて…。

【アメリカ側】ブラックバーン軍曹は取り調べ室でパリで核爆発が起きて死者8万人が出たことを知らされる。彼は「デュマが失敗したのか!」と愕然する。だがデュマが死亡した今、捜査官たちはブラックバーン軍曹を核テロリストだと疑っている。

【アメリカ側】ブラックバーン軍曹は再び過去のイラクの話をする。イラクにいたブラックバーン軍曹はテロ組織のボスとその腹心であるソロモンと呼ばれる男を追っていた。だが瀕死の重症を負ったボスは「ソロモンに騙された」とうわごとを言いながら死ぬ。またブラックバーン軍曹はテロ組織に核爆弾を売ったロシアの武器商人の情報を入手する。

【アメリカ側】アメリカはロシアの武器商人を追うことにした。そのときブラックバーン軍曹は謎の部隊から襲撃を受けて反撃する。彼らの死体を調べると…ロシア軍だった。そして現場にはロシア軍との交戦を許可する命令が下された。ブラックバーン軍曹の戦友は「戦争を防ぐために戦争を始めるのか!」と皮肉を叫ぶ。
しかしロシア軍の猛攻の前にブラックバーン軍曹の戦友たちは死んでいく。

【ロシア側】デュマは自国の核爆弾を流通させた武器商人を追っていたが、背後からはアメリカ軍(ブラックバーン軍曹たち)が迫ってきていた。デュマは何とか武器商人のアジトを壊滅させたのだが…

【アメリカ側】戦友を失いながらも、ブラックバーン軍曹は武器商人のアジトにたどり着く。そこは既に壊滅していた。その時、デュマという男がブラックバーン軍曹に話しかける。デュマは核爆弾がソロモンの手に渡ったことを説明した。デュマはとにかく核爆弾を止めることをブラックバーン軍曹に提案する。デュマは言う、「パリとニューヨークを救うのは俺達しかいない」
だがそこにブラックバーン軍曹の上官が乗り込んでくる。核爆発を止めるためには、デュマを生かさなくてはならない。そのためにブラックバーン軍曹(プレイヤー)は上官を撃ち殺すのだ!

上官殺し。それがブラックバーン軍曹が取調を受けている理由だった。さらに核爆弾テロを企ているソロモンが、実はアメリカの諜報員だったことが判明。もう誰もブラックバーン軍曹の言うことを信じない。その時ニューヨークの地下鉄が暴走したという情報が入る。

核爆弾がそこにあると確信したブラックバーン軍曹は脱走して地下鉄に飛び移る。そしてソロモンを取り押さえて核爆弾の起爆装置を外した!

【ロシア側】デュマは死んでいなかった。デュマは放射能に蝕まれた体を抱えながら、ニューヨークを救ったブラックバーン軍曹の経緯を手記に記すのだった………。


という実に映画的なストーリー。ブラックバーン軍曹とデュマが国家を越えて繋がりを持つクライマックスには感動した。おいしいところを全部アメリカが持って行き、おいしくないところは全部ロシアとフランスが担当しているのが気になるけど。

MW3とBF3はよく比較されるけど、どっちかというとMW3のほうが評価高い。でも世界大戦が起きてしっちゃかめっちゃかになるMW3よりも一兵士の視点を大事にしているBF3のほうが俺は好きだ。


hakaiya Twitter March 10th

3月 10th, 2012

Read the rest of this entry »

hakaiya Twitter March 3rd

3月 3rd, 2012

Read the rest of this entry »

売れないグループを描いた映画『バックダンサーズ!』

2月 27th, 2012

アイドル全盛の時代なのでアイドルを主役にした映画も多いんだけど、どれも超マイナーな作品ばっかり。だれ映集計作業中に聞いたこともない映画のタイトルがたくさんあったんだけど、ググるとたいていはアイドル映画だった。でもアイドルを主役にした映画は多いのに、アイドルそのものを描いた映画はほとんどない。ロックバンドの苦悩を描いた映画だとすごく一杯あるのに。

アイドルの苦悩を描いた映画だとAKB48のドキュメンタリーと、元アイドルのその後を描いた『パーフェクト・ブルー』くらいしか思いつかない。でも2006年の映画『バックダンサーズ!』はアイドルじゃないけど解散の危機にあるグループの舞台裏の描き方がけっこう面白くて好きな映画だ。『バックダンサーズ!』のモデルとなっているのは間違いなくMAX。

バックダンサーズ!

高校時代からの親友同士だった(左から)hiroと平山あやはクラブでダンスを踊って補導されて退学となってしまう。2人は美人な女子高生ジュリ(右端)を加えて3人でダンスをする。ジュリを演じるのは長谷部優、調べてみたらエイベックスのdreamというグループのセンターだった。

バックダンサーズ!

2年後にジュリはスカウトされてアイドルとしてデビューするがまったく売れなかった。しかしジュリは浜崎あゆみみたいなアーティスト路線にイメチェンしてブレイクする。

これは2006年の映画だけど今だったら逆だよな、「浜崎あゆみや宇多田ヒカルみたいな歌手路線でデビューしたけど、失敗したので握手会アイドルでブレイクする」とか。

バックダンサーズ!

そしてレコード会社の意向でジュリにダンサーをつけることになった。hiroと、平山あやと、
元キャバ嬢のソニンと、オーディションに補欠合格したソロアイドルデビュー志望のサエコの4人だ。そしてジュリ with バックダンサーズというグループを結成する。
モデルは明らかに安室奈美恵 with SUPER MONKEY’S。

バックダンサーズ!

だけどジュリはIT社長と熱愛して引退騒ぎを起こす。ジュリに振り回されるレコード会社とバックダンサーズ。現実のhiroも恋愛騒動のあげくSPEEDを解散させているので、ちょっときわどい展開。どうでもいいがこのシーンのジュリはガンズのTシャツを着ている。

バックダンサーズ!

ジュリはライブの最中に勝手に引退宣言する。現実ではこの2年後に
リア・ディゾンがライブの最中に妊娠4か月を宣言する。

この後のレコード会社幹部が言うセリフ「引退しても必ず戻ってくる!男に入れあげて引退して本当に戻って来なかったのは山口百恵だけなんだよ!」が面白い。

またレコード会社幹部のやりとりで「ジュリのベストアルバムを出しましょう!」「2枚しかアルバムないのにベスト出せるか!」ってのがあるんだけど、現実でのhiroはこの映画が公開された年にアルバム2枚の状態でベストを出している。

バックダンサーズ!

ジュリが引退して宙に浮いたバックダンサーズ。彼女たちはサマンサ・タバサのパーティに客として呼ばれたと思ってベロンベロンに酔っぱらう。だけど実はダンスの仕事で呼ばれたのであった。酔っぱらった彼女たちは「UFO」や「変なおじさん」を踊ってスキャンダルになる。

バックダンサーズ!

同じレコード会社に70年代ロックバンドのスティール・クレイジー(
スティル・クレイジーのモジリになっている
)がいて、バックダンサーズは彼らのドサ周りツアーの前座までに落ちぶれる。写真からはわからないだろうけど、スティール・クレイジーのメンバーは陣内孝則(ボーカル)につのだ☆ひろ(ドラマー)。

バックダンサーズ!

楽屋でのスティール・クレイジー。彼らのおっさん臭さを演出するために陣内が頭を叩いているが、「頭を叩く=おっさん」という演出を思いつくこと自体がすでにおっさんだ。若い人にはわからないんじゃない?(頭を叩いて血行を良くしてハゲを治すという民間療法)

バックダンサーズ!

ドサ周りの奮闘虚しくバックダンサーズは解散させられる。原因はスーパータイガース(スーパーモンキーズのもじり)というダンスユニットが売れっ子になったからだ。

バックダンサーズの経歴がソロデビューに傷つくと考えているサエコは、一人だけ25歳と年上のソニンに対して「一人でメンバーの平均年齢上げてんじゃねぇババア!」と罵ってしまう。

バックダンサーズ!

バックダンサーズ解散後、ソニンはキャバ嬢に戻る。実は子持ちのソニンは実家に預けている子どもに仕送りする必要があるのだ。どうでもいいが左の男は酔っ払いの目の演技が良い。またhiroは解散の原因となったスーパータイガースに引き抜かれる。

バックダンサーズ!

ソロデビューに憧れるサエコは田中要次からグラビアの仕事を引き受けるが、ヌードグラビアだと知って逃げ出してしまう。しかしこのエマニエル夫人風の椅子も古い演出だなー。エイベックスの最先端映画なのに、やたら70年代をリスペクトしているのがこの映画の特徴。この映画に出てくる若者たちは70年代マニアという設定になっている。

現実のサエコはダルビッシュ有とダルビッシュ翔とダルビッシュ紗栄子というダルビッシュグループからのソロデビューに成功している。

バックダンサーズ!

まあ色々あってバックダンサーズは復活、サマンサ・タバサをスポンサーにして、大型ステージを設営して、チケットを売り切れさせる。が、実はゲリラライブだった!というすごいクライマックスが待っている。どういうゲリラライブだよ。ちなみにG-SHOCKはこの映画のスポンサー。

売れないグループの奮闘記という点ではすごく面白いんだけど、肝心の「ダンスに賭ける想い」「父と娘の物語」「恋愛モノ」がイマイチ。エイベックスらしさ全開のダンスシーンが延々と続く中盤のダンスバトルとクライマックスはかなり興味が削がれる。キスをすると雪が降りだす恋愛シーンは出来の悪い韓流ドラマを見ているみたい。でもバックダンサーズに音楽的影響を与えるスティール・クレイジーという存在の使い方がうまい。

過去のロックバンド:スティール・クレイジーがツアーに回るという展開はクドカンの『少年メリケンサック(2009)』に似ている。『バックダンサーズ!』の脚本家の衛藤凛は女クドカンとも呼ばれている理由にちょっと納得。

クライマックスはみんなで力を合わせてイベントを成功させる!っていう展開なんだけど、スポンサーが全面に出ている若者向けの日本映画はこんな感じの展開が多いような気がする。俺はこういう展開を「文化祭オチ」って呼んでいる。

パーフェクトブルー【初回限定版】 [Blu-ray]『ブラックスワン』の元ネタ。

AUDIO GALAXY-RAM RIDER vs STARS!!!-『バックダンサーズ!』のサントラはRAM RIDERが関わっている。

hakaiya Twitter February 25th

2月 25th, 2012

Read the rest of this entry »