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「死ぬ前におっぱいが見たいです」「いいわ見せてあげる」戦火のナージャ

日曜日, 4月 7th, 2013

戦場で両足吹っ飛んだ兵士が、その場で女性衛生兵に「おっぱいを見せて」とお願いして拒否されたというニュースが世界的な話題になった。

断られたのは当然だと思う。ところで映画『戦火のナージャ(2010)』では全く同じシーンがある上におっぱいを見せる。今回はそのシーンを解説するけど………そのシーンはネタバレに直結なので以降は完全ネタバレになる。

『戦火のナージャ』は続編映画だ。第一作『太陽に灼かれて(1994)』はアカデミー賞とカンヌの両方を受賞したロシア映画の傑作。舞台は1936年のソ連で、ドミトリという男とソ連の英雄コトフがスターリンの粛清に巻き込まれる一日を描く。

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『太陽に灼かれて』は日本でも成宮寛貴(ドミトリ)と鹿賀丈史(コトフ)が舞台化したことがある。

いきなりだけど『太陽に灼かれて』のネタバレ。ラストシーンでドミトリは手首を切り、コトフは粛清されて終わる。が、20年後の続編『戦火のナージャ』はドミトリもコトフも実は生きていた!という設定だ。何じゃそりゃ。なんでそんな続編を作ってしまったのかというと、監督のニキータ・ミハルコフ(コトフ役でもある)は独ソ戦争版の『プライベート・ライアン』をやりたかったとのこと。予算集めるために過去の傑作の続編企画を立ち上げたんだろうな。

『太陽に灼かれて2』は莫大な製作費をかけた三時間の大作となった。しかし傑作だった第一作とは正反対に第二作は海外での評判が凄まじく悪い。『戦火のナージャ』は『太陽に灼かれて2』を二時間半までに編集して、コトフの娘ナージャに焦点を充てた日本独自の作品だ。

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『戦火のナージャ』。日本版はオリジナルほど評判悪くないけど、俺も大失敗作だと思う。オリジナル英語タイトルの「エクソダス」は旧約聖書に出てくる言葉で、この場合は国外脱出を意味するのかな。

『戦火のナージャ』の舞台は40年代前半の独ソ戦争だ。とにかくストーリーを省略して、一気におっぱいまで語る

父コトフと生き別れたナージャはソビエト共産党の従軍看護師になっていた。ナージャはドイツ軍の襲撃を受けた際に神父に救われたことをきっかけに洗礼を受ける。ナージャはその後も次々とドイツ軍の蛮行を目の当たりにし、発狂寸前までに追い詰められる。だがナージャは「私が生きているのは神が私を生かしたから、父と再会するのが神に与えられた私の使命」と自己解釈する………これがクライマックス。で、ラストシーンはどうなるかというと…

(PCからアクセスしている場合は画像をクリックすると拡大します)

戦火のナージャ01
戦火のナージャ02
ナージャはドイツ軍にボコボコにされた都市にたどり着き、そこで唯一生存していたソ連兵士と会う。負傷した兵士は顔を焼かれて年齢がわからない。
戦火のナージャ03戦火のナージャ04
兵士はナージャの胸元に十字架を見つけて驚く。共産党は神を否定しているのに!ナージャは慌てて十字架を胸の中に隠す。しかし胸がはだけてしまった。
戦火のナージャ05
ナージャが兵士を起こそうと抱きかかえると、兵士の背中に穴が開いていることがわかる。ここでナージャと観客はこの兵士が助からないことを悟る。しかしナージャと観客の心配をよそに、この兵士はナージャのおっぱいを意識し始める。そして…
戦火のナージャ06戦火のナージャ07戦火のナージャ08戦火のナージャ09
胸を見せてくれと懇願する兵士。戦場では人間のモラルが簡単に崩壊してしまうことを描くのか?と思いきや………
戦火のナージャ10戦火のナージャ11戦火のナージャ12
男の魂の慟哭が描かれるのであった。エロ画像が無かった当時は童貞=おっぱい知らずである。
戦火のナージャ13
戦火のナージャ14

ナージャは服を脱ぎだす。彼女は神が遣わした天使か!(すぐ天使扱いするのは日本人の悪いクセ)
戦火のナージャ15
ナージャは脱ぎっぷりが良いうえにかなりの巨乳であった。これは男のために神が与えたもうた配材であろうか。(もう一度書きますが、PCからアクセスしている場合は画像をクリックすると拡大します)
戦火のナージャ16
しかしナージャが脱ぎ終わると男は死んでいた。
戦火のナージャ17
それはあまりにも無常ではないか。神がいるのなら何故戦争が起きるのか!神がいるのなら何故彼はおっぱいを知ることなく死ぬのか!ナージャの表情はわからない。
戦火のナージャ18
カメラは引いて。
戦火のナージャ19
さらにカメラは引いて。
戦火のナージャ20
まだまだカメラは引いて超ロングになる。一分くらいかかる長いシーン。
戦火のナージャ21
いきなり映画は終わる。独ソ戦はどうなるのか?ナージャは父と再会できるのか?父コトフを追うドミトリは?など何もかもが尻切れトンボとなり、続編の『城塞』へ続くが『城塞』が日本に輸入されることは無さそうだ。ちなみに『戦火のナージャ』『城塞』は評判が悪いだけではなく、莫大な製作費をつぎ込んでの大コケだった。

この胸を見せるシーンは10分に及ぶ。ここだけじゃなくて映画全体が間延びしきった演出ばっかり。致命的なのはグチャグチャになった脚本で、場面転換するたびに状況説明がないしそれ以前に状況が繋がっていない。

このおっぱいラストシーンも映画の失敗感を強めてしまっている。ただナージャと兵士の会話はちょっと面白い。兵士は神を信じていないんだけど、ナージャが信者だと知って祈りの言葉を教わろうとする。

兵士
祈りの言葉を教えてくれ
ナージャ
すべての意志を委ねよ
兵士
俺の意志に?
ナージャ
彼の意志よ
兵士
スターリンの意志か。

ナージャの言う「彼」とはもちろん神のことなんだけど、兵士はそれを「スターリン」のことだと解釈してしまう。そんな彼が死を前にしたときにおっぱいを要求するのは、宗教も独裁も超越した個人の意思を………というのは考えすぎだろうか。

ちなみにナージャ役の女優は、監督・脚本のニキータ・ミハルコフの娘。娘を使ってこんなラストシーンを………いやいや考えすぎだ。

3D映画の進化の歴史

木曜日, 3月 14th, 2013

3Dブームが本当に嫌いだった。映画秘宝の死んで欲しい投票では3D映画ブームに一票入れたし、3D映画の退化の歴史というエントリも書いた。家電製品の3Dブームなんて「話題の言葉を出せば消費者はつられて買うだろう」という発想がモロ出しで、企業がユーザメリットというものをまったく考えていない姿勢がよく出ていた。

でも去年辺りからマトモな3D映画が出てきたので、ちょっと取り上げてみる。

異世界を3Dで表現する(ジョン・カーター)

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2012年4月公開

3D映像に一番こだわっているディズニー社が2億5000万ドルという途方もない巨額を投入して爆死。史上最悪の赤字映画として悪名高い『ジョン・カーター』だけど3D映像はかなり良かった。

他の星を舞台にしているという点で『アバター』と同じ。『アバター』や『ジョン・カーター』の3D映像が素晴らしいのは、3D映像を「観客が異世界に入り込んだ感覚をより強調する」ための手段として使っているからだろう。『アリス・イン・ワンダーランド』『トロン』『オズ はじまりの戦い』と異世界を描きたいディズニーにとって3Dは相性が良いんだろうね。頑張って『ジョン・カーター』の赤字を取り戻してくれ!

映画の歴史としての3D(ヒューゴの不思議な発明)

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2012年3月公開

『ヒューゴの不思議な発明』の中盤のネタバレです

日本ではハリポタ風な宣伝になってしまったけど、『ヒューゴの不思議な発明』は「はじまりの映画」を映画化するという大変意欲的な作品だ。

どういう事かと言うとジョルジュ・メリエスという実在の映画監督を描いているのだ。『ヒューゴの不思議な発明』を日本で例えると、なんか鉄腕アトムの絵が出てきた!え?あの近所の爺さんってもしかして手塚治虫?なんでこんなところに手塚治虫が?といった感じ。

ジョルジュ・メリエスのWikipediaから引用する

フランスの映画製作者で、映画の創成期において様々な技術を開発した人物である。パリ出身。“世界初の職業映画監督”と言われている。SFXの創始者で、多重露光(英語版)や低速度撮影、ディゾルブ、ストップモーションの原始的なものも開発した。また手で色づけしたカラー映画も作っている。撮影を通して現実を操作し変換する能力から、最初の “Cinemagician” とも称される。

つまり『ヒューゴの不思議な発明』は100年以上前の映像技術を現在の最新3D映像を使って描くという映画愛溢れる作品だったりする。またそんな素晴らしい映画を戦争が奪っていくところまで描いているのが感慨深い。

距離を3Dで表現する(アメイジング・スパイダーマン)

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2012年6月公開

映画自体はそこまで面白くなかったけど『アメイジング・スパイダーマン』は、スパイダーマンが手前のビルから奥のビルへ飛び移る「奥行感」を3Dで上手く表現しているのが良かった。とくにクライマックスのビルにまでどうやって到達するか?のシーンは「ビルがめっちゃ遠い」という絶望感を3Dで強調していた。

時間軸を3Dで表現する(フラッシュバックメモリーズ3D)

フラッシュバックメモリーズ3D

2013年1月公開

まさか低予算の日本映画が3D映画の正解を叩き出すとは思わなかった。『フラッシュバックメモリーズ3D』はミュージシャンのドキュメンタリー映画。ドキュメンタリーなのに3D?って思ったけど、ちゃんと意味がある。取材の対象となっているミュージシャンの男性は交通事故で記憶障害になってしまったので過去を思い出せない。現在の彼はリハビリしながら音楽活動している。

『フラッシュバックメモリーズ3D』の映像を文章で説明すると、現在の彼の3D映像を手前に配置、過去の彼の記録映像を奥に背景として配置している。たったこれだけの工夫なんだけど、背景に映し出されている映像は彼が思い出すことができない過去なのだ。観客は本人以上に彼の世界に没頭できる。時間軸を表現するのに3Dを使っているのも凄いけど、広大な世界じゃなくてごく狭い世界を表現するために3Dを使っているのも面白い。

宗教体験を3Dで表現をする(ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日)

ライフ・オブ・パイ

2013年1月公開

主人公の設定が一風変わっていて、キリスト、イスラム、ヒンドゥーの3つの宗教を信仰しているというもの。主人公にとって漂流は宗教体験なのだ。で、この映画はそれを3Dを使って表現した。

ヒンドゥー教の神であるクリシュナの口の中にはあらゆる生命や宇宙が見える。という伝説があるんだけど、映画本編でも3D映像が一番効果的に使われているのはこの部分で、クリシュナの口を覗くような映像を観客にも体験させてくれる。大変素晴らしい映像なんだけど、この映像を作った会社はアカデミー賞を待たずに倒産した。この世に神はないのか!

麻薬体験を3Dで表現をする(ジャッジ・ドレッド)

posterA

2013年2月公開

最近の3D映画で面白かったのがバイオレンス・アクション映画の『ジャッジ・ドレッド』。麻薬でラリっているときの感覚を3Dで表現している。

以下の文章は強力な麻薬「LSD」のWikipediaからの引用なんだけど

日光が異常に眩しく感じ、意識がぼんやりとし、異常な造形と強烈な色彩が万華鏡のようにたわむれるといった幻想的な世界が目の前に展開していた。その状態は2時間ほど続いた。

『ジャッジ・ドレッド』は3Dを使って上記のような感覚を映像で表現する。ダメ、ゼッタイな感覚を3D料金400円で体験できると思うと安いもんだ。

3Dを使わない!(ジャッジ・ドレッド)

ジャッジドレッド

もう一回、『ジャッジ・ドレッド』。でも『ジャッジ・ドレッド』のネタバレです

3D映画がよくやる表現で「飛び降り」がある。『MIB3』なんかがわかりやすいけど、ビルから飛び降りる人を画面真下から撮影する。そうすると飛び降りる人が3Dで観客の目の前に飛び出てきてビックリする、あんまりビックリしないけど。ところが『ジャッジ・ドレッド』は3Dで飛び出させないことで観客をビックリさせる!

どういうことかというと、『ジャッジ・ドレッド』でも飛び降りのシーンがある。もちろん真下から撮影しているので観客は当然「あ、飛び降りてくる人が飛び出すんだな」と思っている。ところが飛び降りた人が地面に到達してしまい体がグチャグチャグチャグチャと潰れる(透明なガラスに飛び降りるイメージ)というショックシーンで驚かしてくる。3Dで飛び出してこないのかよ!

いまだに酷い3D映画はある。去年の『リンカーン/秘密の書』は3D映像があまりにも酷すぎて、俺は時折3Dメガネを外しながら鑑賞したほどだ。でも今回挙げた映画たちはどれも3Dを使う意味と目的がハッキリとしている。話題作りのためだけの意味の無い3D映像を見せられることはもうほとんど無いんじゃないかな。


1895年の映画『ラ・シオタ駅への列車の到着』。この映像を観て本当に列車が到着すると勘違いした観客が大パニックになったという都市伝説があるんだけど、それを連想させるような列車到着シーンが『ヒューゴの不思議な発明』にもある。もちろん列車が3Dでドンドン突っ込んでくる。単純に飛び出す3Dでも、こういう経緯があるとすごく面白い。

清純派歌手のお泊り愛発覚!ファン発狂!1949年のスキャンダル

水曜日, 2月 27th, 2013

恋愛禁止のアイドルのお泊り愛(セックスの回りくどい表現)が発覚するとアイドルのイメージが崩れてファンが発狂する。というのはよくある話。でもそれはアイドルブームに限った話ではなくて1950年の黒澤明監督作品『醜聞(スキャンダル)』でも同じ展開があったりするのだ。その展開を紹介します。

ところで、hakaiya.comではPCから画像をクリックすると画像が拡大されます。

醜聞1
映画の舞台は敗戦から4年後の1949年。三船敏郎演じる新進気鋭の画家は、バイクを飛ばして山の絵を描きに行く。田舎の百姓たちも集まってきたが、そこへバスを逃して困っていた美女もやってくる。ちなみにこの山はPC遠隔操作事件の舞台にもなった雲取山。
醜聞2

美女の正体は人気歌手の西條だった(演じるのは国際派スター:山口淑子)。画家も西条も一人旅でたまたま同じ旅館に泊まる予定だった。旅館では西条を追っかけてきたマスコミ(正確にはカストリ雑誌と呼ばれるスキャンダル雑誌の記者)がいた。マスコミは西条の写真を撮ろうとするが、西条は女中を通じて写真を断る。
醜聞3

西条は画家に旅館まで送ってもらった。そのお礼も兼ねて同じ部屋で少しだけ話をする二人。
醜聞4
画家は西条に観光案内をしようとベランダから指を差す。だがちょうどこの瞬間を旅館の外に張っていたマスコミに撮られてしまう。これは気の毒な事故、信じてあげようよ!あ、でも俺は「朝までプレステしてました(安倍なつみ)」「玄関で水を貰っただけです(高岡蒼佑)」とかまったく信じてないな。
醜聞5

醜聞6

スキャンダル雑誌の社長は部下に命令して写真を元にした恋愛記事をでっち上げる。この恋愛記事は社会騒動となる。記事を書いた部下本人はでっちあげの件を心配しているが、社長は「抗議が来たら謝罪広告を出せばいい」と言う。黒澤明がこの映画で描こうとしたテーマの一つはマスコミの横暴だ。
醜聞7

画家はスキャンダル雑誌の編集部を訪れ社長を思わず殴ってしまう。社会騒動はますます大きくなる。画家は暴力の悪さは認める一方で、マスコミの写真撮影を「辻斬り」とも表現する。
醜聞8

醜聞9

醜聞10

で、歌手がどうなったかと言うと………スキャンダル騒動のおかげでリサイタルのチケットがめっちゃ売れていた。その一方でファンから「淫奔、不道徳、下劣」と叩かれる。さすがに「中古女!」「握手会の金返せ!」ってのは無い。
醜聞11
画家もスキャンダル騒動のおかげで売れっ子になっていた。周囲は誰も怒っていないが、画家は激怒している。

ここまでの展開で最初の30分くらい。怒った画家は出版社を訴えようとして、志村喬演じる悪徳弁護士を雇う。この映画の実質的な主人公は途中から出てくるこの悪徳弁護士で、彼が取る行動が映画のテーマになってくる。アメリカの裁判映画みたいな展開になります。まあそれは観てのお楽しみにしてください。

現代だったらマスコミと芸能事務所は持ちつ持たれつの関係になっているので、こうはならないだろう。でもスキャンダルが宣伝になったりファンが発狂する状況は敗戦直後だろうが大震災直後だろうが同じ。1949年でも2013年でも変わっていない。たぶんこれからも変わらないのだろう。
スキャンダル雑誌の社長の持論「現代は活字が偶像だ。活字になったら真実なんだ」はネット上の情報をすぐ真実だと信じる風潮にも繋がると思う。

黒澤明の映画にしては脚本が弱く、傑作だらけの黒澤明の他の作品よりはやや見劣りする『醜聞』。でも今になって観直すと現代にも通じていて面白い。

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覚せい剤中毒者は本当にうじ虫の夢を見るか?

木曜日, 2月 21st, 2013

『シャブ極道』の傑作シーン集です。俺のシャブ極道の映画評はこちら⇒<表現の自由を教えてくれた映画『シャブ極道』>

シャブ極道1
もうタイトルが最高にカッコいいですね。声に出して読みたい日本語だよ『シャブ極道』。
シャブ極道2
あなたはスイカに塩をかける派ですか?それともシャブをかける派ですか?どうでもいいけど主演の役所広司が若い。
シャブ極道3
日本を元気にしよう!シャブで!という超危険思想を持つ役所広司演じるシャブ極道は、昭和天皇が崩御してもシャブ売りに精を出すのであった。
シャブ極道4
高校生の頃は意味がわからなかったシャブローションだけど、大人になった今ではシャブローションをどうやって使うか理解した(あくまでも知識の話であって俺が使ったわけではない!)。cakesにもそのこと書きました。

本題は映画とちょっと関係の無い話。覚せい剤中毒者(通称:シャブ中)となると、覚せい剤の禁断症状でウジ虫の幻覚が見える!というのはよく使われる話だ。『シャブ極道』でも禁断症状に陥ったシャブ極道がウジ虫の幻覚を見る。

シャブ極道5

ちょっとわかりにくいけど、逆立ちしているとシャブ極道の体からウジ虫がポタポタ落ちてくるシーン。

ところがそれは昔の話で、今やウジ虫をちゃんと見たことない人のほうが多い。それじゃあ今の若いシャブ中はどんな幻覚を見るかというと、体から白い綿とか白い脂が出てくる幻覚を見るらしい。彼らはこれを「ポンカス」と呼んでいる。「ポンカス」という言葉の意味は「ヒロポン打って出てくる体のカス」だろう。

覚せい剤の取引掲示板や禁断症状と向き合っている人々のコミュニティなどを読んでいるとポンカスの話がよく出てくる。禁断症状に陥っているシャブ中たちはポンカスが幻覚じゃなくて本当に自分の体から白い綿が出ていると思い込んでいる。コピペじゃないけど、要約すると以下のようなシャブ中たちのやり取りがあって笑ってしまったことがある。

シャブ中A
「体中から白いカスみたいのが出てくるよねー」
シャブ中B
「そうそう!それ、ポンカスっていうんだよ。覚せい剤打つと体内から出てくるようになるんだよ」
シャブから更正した人
「それは幻覚ですよ。」
シャブ中A
「違います、本当に白いカスがいっぱい出てくるんです。」
シャブから更正した人
「だからそれが幻覚なんです」

幻覚を見ているシャブ中二人とそれを説得しようとする人。後者の冷静さに感心する一方でその後者もかつてシャブ中だったのだ。シャブ恐るべし。

今週はずっとシャブシャブ言っていたけど、俺はシャブをキメたことも、打ったことも、炙ったことも、舐めたことも、買ったことも、譲ってもらったことも、触ったことも、見たこともないし、周囲にシャブユーザーがいたこともない。あくまでも知識だけなので誤解なきようお願いします。ダメ、ゼッタイ!

巨人・大鵬・玉子焼き サンデー・マガジン・スピリッツ

土曜日, 2月 16th, 2013

大鵬の死去と国民栄誉賞を受けて、昔の流行語「巨人、大鵬、玉子焼き」が再び注目された。

【大鵬死去】「巨人、大鵬、玉子焼き」とはなにか – MSN産経ニュース

日本の高度経済成長真っただ中の1960年代、大鵬は61年に横綱昇進し63年と67年には全6場所で優勝するなど全盛期を迎えた。プロ野球では長嶋、王らを擁した巨人が61、63年に日本シリーズを制し、9年連続日本一のV9は65年に始まった。右肩上がりの経済の中で国民は時代を象徴するような強い存在に熱狂し、当時の子供が大好きなものとして「巨人、大鵬、玉子焼き」の言葉が生まれた。

今となっては「巨人、大鵬、玉子焼き」はギャグで使う言葉だ。以下は俺やワッシュさんのギャグツイート


話は変わるけど、1959年3月17日に週刊少年サンデーと週刊少年マガジンが創刊された。サンデーの創刊号の表紙は巨人の長嶋茂雄、マガジンの創刊号の表示は大相撲だった。


で、サンデーに巨人、マガジンに大相撲を取られてしまい、仕方なく玉子焼きを創刊号の表紙にした週刊少年マンガがあったのをご存じだろうか?

サルでも描けるまんが教室2

「実物大戦艦大和キット」!?

実はこれ、ギャグ漫画の大傑作『サルでも描けるまんが教室』のネタだ。『サルでも描けるまんが教室』では偽週刊少年雑誌を作るというギャグがあった。その雑誌の名は週刊少年ジャンプをモチーフにした『週刊少年スピリッツ』で、ちゃんと昔のジャンプ風に作家の集合写真まで用意するという念の入用だった。

サルでも描けるまんが教室1

偽週刊少年雑誌の表紙。全て相原コージの絵だ。

玉子焼きの創刊号は、偽週刊少年雑誌の創刊号を振り返るという多重偽装のギャグだった。

『サルでも描けるまんが教室』は俺のマンガ人生で一番最高のギャグ漫画です、興味がある方は是非読んでみてください。

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