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2003年の映画ベスト10

   
1位 リベリオン 反逆者

    散々悩んだBEST10だけど結局「リベリオン」を一位にしました。
   公開当時「リベリオンが暫定BEST1だ」と書いたけれど、それ以降「リベリオン」よりも優れた映画は余裕で10本以上あった。そもそも「リベリオン」はオカシイ映画です。”感情が無い未来社会”なんて有り得ないし、”自分で薬を打って感情抑制”というのも妙です。だけど”感情が無い未来社会”がいくら有り得なくても、根性入れて描き切ったのなら映画として成立する。”自分で薬を打って感情抑制”というのが妙でも、この薬が絡む数々のシーンが見事なので逆に面白くなってくる。
    映画とは有り得ない事が本当に起きるのもの。だけど有り得ない事を本当にするためには多くの困難がある。そういった困難にそこらへんのB級映画が打ち勝ってくれた。破壊屋にとって「リベリオン」こそ2003年を代表する一本だ。
    え、「リベリオン」は「マトリックス」の完璧なパクリ?別にパクってもいいんだよ、問題はパクリから何かを生み出すこと。そして「リベリオン」は脅威の武術ガン=カタを生み出した!すぐにでもガン=カタのアイデアを全世界共通の財産として扱い、今後世界中のボンクラ映画小僧がこのアイデアを流用できるようにすべきだ!




2位 トーク・トゥー・ハー

    マンコは神秘だ。わかってる事だけど映画でそんな事は表現出来ない。でも「トーク・トゥー・ハー」はメタファーとかではなくて、ずどーんと画面に女性器を登場させる事で神秘を表現した。精子となった男が女性器の中に消えていくように、あのシーンの美しさと不思議さに引き込まれた。個人的には根本敬の「タケオの世界」を超えたと思う。大量に生産される恋愛映画とはもはや次元が違う愛の映画。映画の表現にはまだまだ可能性があるんだ。




3位 マトリックス・レボリューションズ

    キリストは十字架を背負い、苦難の道を歩み、ゴルゴダの丘で死に、真の救世主となった。そして人々はその奇跡を待っている。
    ネオも同じ救世主だ。だけどその道はアニメとマンガとカンフーが溢れていた!(カンフーは現実じゃなくて映画限定)。しかも奇跡を待っている人々はモビルスーツかパワードスーツかレイバーだかわからんロボットに乗っていた!
    「マトリックス」をサラリーマンの妄想とするなら、「マトリックス・レボリューションズ」は完全に中学生の妄想。中学生の妄想をそのまま映画化したんだから、そりゃ評判悪いわな。だけど聖書よりは面白いと思うんだけどなぁ。




4位 チャーリーズ・エンジェル フルスロットル

    女の子達がキャッキャッとコスプレを楽しんでいるのを、男がジーッと観ていたらそれは変態だ。でもその女の子達が男のところへ駆け寄ってきて「あなたも一緒に楽しんでイイのよ」言ってくれたような映画。同意があるってことは素晴らしいことだ。
    この映画に対する僕の回答は「僕の夢が叶った!ありがとう!」なんだけど、それってつまり僕の夢が1800円相当だったことを認める事になってしまう・・・。お金で買える夢もある by M○STER C○RD




5位 イン・アメリカ 三つの小さな願い事

    映画「E.T」の奇跡を観て大きなショックを受けた少女。そして[家族が思いついた優しい嘘のおかげで、少女は再び「E.T」の奇跡を観る]。大喜びしている少女の笑顔に感動していたのに、まさかここでもっと大きな感動が来るとは・・・。
    映画は魔法になる、魔法は奇跡になる、魔法も奇跡も人を幸せにする。「イン・アメリカ」に映画を観る事との素晴らしさを改めて教わった。




6位 キル・ビル Vol.1

    もしあなたの前に人魚姫になった女性とヴィーナスの誕生になった女性がいたらどうします?そんな時「サンダとガイラでお願いします」と言ったバカが作った映画。いやそれはVOL2の方なんだが。
    この映画で全身が震えたシーンが二つあります。一つは病室で犯され続けたユマが男の足を切りつけようとするシーン、もう一つは青葉屋に殴り込みをかけるシーン。どちらも女の「くぉんのやろー」という強烈な感情が激しく流れ込んで来て、本当に体が震え上がりました。




7位 ファインディング・ニモ

    死ぬほど笑った。2003年最強のコメディ映画。本当に子供向け映画なのか?ギャグのネタが異様に高度だぞ。




8位 ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔

    「スペクタル映画はもう製作不可能」。これがほんの数年前まで映画界の常識だった。だけどもう企画する映画が無いハリウッド、凄まじい勢いで発展するCG、映画化不可能だった原作に夢を賭ける人々。そんな状況から脅威のスペクタル映画が再び登場した。まだこの映画が完結していないという事すら幸運に思えてきます。




9位 ロボコン

    悲しい事に唯一の邦画。以前は毎年邦画が上位にランクインしていたんですが・・・すいません、もうちょっと邦画を観ます。




10位 シカゴ

    銀幕は非現実の世界です。でも「シカゴ」は銀幕の中に「舞台という非現実の世界」を展開させて、逆に銀幕の世界を現実にさせた。そしてクライマックスで銀幕の世界と舞台の世界が融合する。まさに21世紀のミュージカル映画です。
他にも今年はこんな映画が面白かった!


● 集まった人達が一人づつ殺されていくという古臭いサスペンスを楽しんでいると、集まった人達は同じ誕生日だったという要素が加わり、最新のサスペンス映画に変貌する「アイデンティティー」

● 女性が主役の映画がバンバン公開される中で男同士の対決を描いた「インファナル・アフェア」

● 宗教事情を考慮すると滅茶苦茶過激な「マグダレンの祈り」

● 現実と虚構という映画のテーマを皮肉なギャグで描いた「シモーヌ」

● プレステ世代直撃の「マトリックス・リローデッド」

● 2が公開されてから10年以上ずっと馬鹿にしていた矛盾ネタに、きちんと説明がつくとは思わなかった「ターミネーター3」

● [宇宙人に選ばれた超能力少年達がうんち星人と戦う]というプロットを真面目に撮った「ドリームキャッチャー」

● 女性の権利が伝統として確立される現代映画「クジラの島の少女」

● 日本でこんなに話題になるとは思わなかった「ボウリング・フォー・コロンバイン」


    ・・・他にも色々ありすぎて全部は書けません。とにかく2003年は豊作すぎた。ベスト10も別の日に選んだらガラっとかわることでしょう。
    2004年はおそらく「王の帰還」VS他の映画達という構造になるのでしょうか?2004年も素敵な映画が沢山ありますように。あと映画を観に行く暇がありますように。
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2003年の映画ワースト10

1位 踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!

    どんなバカ映画だろうがゴミ映画だろうがクソ映画だろうが、映画である限りそれは愛すべきものです。だけど映画ですらなかった「踊る大捜査線」は単なるバカでゴミでクソ。映画を観るという感覚すら存在しなかった。僕が映画館で味わったのは茶の間でくだらないTV番組を観ている感覚と全く同じだった。メディアの力もあるとはいえ「踊る大捜査線」が超特大ヒットしたのは当然の事だと思う。多くの人達にとって映画とは夢でも魔法でもない。バラエティやTVドラマと同じで、フォーマットが映画というだけなんだ。日本映画界のレベルが下がるのを感じ取りました。
    この映画は日本の国民映画って呼ばれているけど、ポピュラーな芸能人達が映画の真似事して、女性蔑視の物語を展開し、「責任を取るのがリーダー」「リーダーが良ければ組織もいいもんだ」が感動の決め台詞なんだから、間違いなく日本人向けの国民映画でしょう。例え組織を無視しても自分の意思を通そうとするアメリカ人のヒーロー像や、女性を主役にした映画がバンバン製作されるアメリカ映画と比べると随分と差を感じます。
   僕はバーホーベンのようなバカな男の歪んだ女性蔑視は笑って観るけど、「踊る大捜査線」のように女性蔑視を社会常識的に描かれるのも観ていて困る。
    3年以上破壊屋やっててディズニーやベッソンやハリポタを批判しても抗議は特に無かったけど、「踊る大捜査線」公開当時は踊るファン達に初めて掲示板を荒らされた(でもマトモな踊るファンの方たち、去年はスイマセンでした)。しかしこの件でファンレターメールなるものが多く届いたのも驚きだった。




2位 アカルイミライ

    2003年海外でも話題になった黒沢清の新作で評価は非常に高い映画。でも街をブラブラしている不良少年達に[「明るい未来が待っている」]というラストシーンに呆れ果てた。もし彼らが何かを築く力を持っていたり、逆に何かを破壊する力を持っていたなら、[「明るい未来が待っている」]のかもしれない。でもこいつらダンボール箱を壊しただけじゃん、街をうろついているだけじゃん。それとデジタル・カメラの撮影も酷い。カメラに水滴がついたまま撮影してちゃダメでしょう。「リアルな映像撮れるからデジカメ」って、商業映画の映像はホームビデオとは違うよ。




3位 トレジャー・プラネット

    ディズニーどうした、夢と冒険を安売りしているだけじゃないか。あと藤子不二雄のデザインなんてパクってどうするんだよ!中身をパクりなさい、中身を!




4位 スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする

    トリック映画全盛の時代にその程度のトリックで映画一本撮られてもなぁ。




5位 フィアー・ドット・コム

    「リング」と「回路」のパクリなんだけど、「貞子の怨念が呪いとなってこの世に残る」という「リング」。「死者の魂がネットに棲む」という「回路」。同じ幽霊を扱いながらコンセプトが全く違う事をアメリカ人達が理解していないため、心霊現象の部分が滅茶苦茶なことになっている。 一番凄いのは基本プロットで「殺人鬼に惨殺された女性の霊が、殺人鬼に怨みを晴らすために殺人事件を捜査している人達を呪い殺す」って思いっきり矛盾しているよ!
    殺人鬼はWEBサイトを持っていて、そこで美女達を拷問した挙句惨殺する様子を流すんだけど、そのサイトのアクセス数がほんのちょっとなのはどういう事?見るたんびに死んでたら世界中大騒ぎでしょ?(とある事情でサイトが祭り状態になるんだけど、その理由も笑える)。しかも「殺人鬼はしょっちゅうサイト移転するから捕まえられない」ってオイ。クライマックスには主人公が犯人と正面対峙するんだけど、犯人が人質を抱えるので銃を撃てない。だから主人公が[横まで走って]銃を撃つ!というアクションはビックリしたなぁもう。




6位 ザ・コア

    他にも一つ星つけた映画は色々あるけど、批判しながら2回観に行った「ザ・コア」をランクイン。こういったバカ映画が無いとハリウッドじゃない




7位 バッド・ボーイズ 2バッド

    TOO BADって映画の出来が?




8位 TAXi3
9位 ミシェル・ヴァイヨン
10位 トランスポーター

    この3本はいずれもリュック・ベッソン製作脚本。今年は3本もベッソン作品が観られて幸運だった。相変わらずの最低バカ映画でこっちの期待を裏切ろうとしない、この3本のうち1本位はベストに入れてもいい。しかし「トランスポーター」→「TAXi3」→「ミシェル・ヴァイヨン」と公開されるたんびにものすごい勢いで劇場がガラガラになって行くぞ。大丈夫なのかベッソン?最後の「ミシェル・ヴァイヨン」に至っては横浜じゃ観られないかったし。

    2003年のワーストは圧倒的な「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(っていうか21世紀のワースト映画)を筆頭にかなり豊作。ワーストも裏を返せばベストと同じ、「踊る大捜査線」だってベストに入れようかどうか悩んでいた。2004年もとんでもない映画に一杯出会えるといいな。21世紀ワーストは「踊る大捜査線」VS他の映画達という構造になるのでしょう。
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