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破壊屋


2004年の映画ベスト10

   
1位 ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還

    「人間の空想力は無限だ」当たり前です、自慢できることじゃない。それに対して映画は無限じゃない。演出はわかりやすくしなきゃいけない。役者は演技をこなさなきゃいけない。物語は観客に伝わらなきゃいけない。撮影は照明や陰影まで考えなきゃいけない。特殊撮影はどんなに妄想じみたモノでもリアルに表現しなくてはいけない。編集に矛盾は存在してはいけない。常に適切な音楽や効果音を流さなきゃいけない。映画は無限じゃない、限界がある。そんな映画というジャンルの中で臨界点に達したのが「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」です。
    映画は架空の世界を現実にすることが出来ます。そしてファンタジーとは架空の世界です。現時点での人類は映画を使って「指輪物語」を現実にすることが出来るのです。

ベストシーン
● ミナス・ティリス、ペレンノール野の攻防
    もしあなたが「指輪物語」を一行も読んでなくても「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」を楽しむのに問題は無い。この映画は圧倒的パワーで観客の度肝を抜いてくるのだから。その”圧倒的パワー”が最大限になるのがミナス・ティリス、ペレンノール野の攻防です。




2位 Mrインクレディブル

    その家族はずっとスーパー能力を隠して生活していた。でもパパを助けるために次々にスーパー能力を開花して、パパと再会。そしてインクレディブルズ結成。インクレディブルズが揃って敵と戦うシーンの映画的興奮は、自分が子供の頃映画館で「ドラえもん」を観ていた時の感覚に近い。ピクサーの凄いところって”大人も楽しめる”じゃなくて”大人を子供の気分に戻させて楽しませる”という部分だよな。

ベストシーン
● ジェット機から脱出するシーン
    「どっ!どっ!どっ!どーなるんだよ!この後!」と本気で映画のキャラを心配してしまった。イラスティ最高。




3位 ジャッカス・ザ・ムービー 日本特別版

    売れない俳優やスタントマン達のゲリラ・ドキュメンタリー。やってることは日本の成人式の若者たちと同じ。だから「こんなの映画じゃない、くだらない」と思う人もいるかもしれない。でも僕がこの映画を観たとき、観客達はみんな最初の警告文が出た瞬間から拍手をして、面白いスタントは爆笑して、怖いスタントは悲鳴をあげ、そして何度も何度も拍手をした。映画を観ていてこんなに楽しい気分を味わえたのは初めてですよ。映画が目指す真の姿ってこれじゃないの?ド派手なシーンの連続でも観客の心を全く動かさないメジャー映画や、ひとりよがりの表現にこだわるミニシアター系よりも、観客の心を一つにする「ジャッカス・ザ・ムービー」のほうが立派な映画だよ。

ベストシーン
● Wasabi Snorting
    寿司屋でわさびを注文するジャッカスのメンバー。「いや、そのネタは映画”WASABI”でもあったし、居酒屋でも俺らやるし」と思ってたら・・・次の瞬間、映画館内に大爆笑と拍手の渦が!




4位 トルク

    前評判が最悪の映画をわざわざ観に行く。僕はそんなアホな行動をよく取っている。この前評判というのは結構頼りになるもので、大抵は「ああ、やっぱり最悪映画だったなぁ」という結果になるが、時々「前評判程酷くないじゃん」という結果もあったりする。そして稀に「オイオイ!この映画駄作どころか傑作じゃん!」という奇跡が起きる。「トルク」こそがその奇跡です。
    「トルク」はアメリカでは2004年の最悪映画扱いで、IMDBに登録されている2000万本以上の映画の内、下から数えて60番目にランクインしている。これは「日本国民約1億3000万人の内、あなたは下から数えて390番目の存在ですよ。」というようなものです。だけど「トルク」は別に人の神経を逆撫でにしたり、人を不愉快にさせる映画じゃない。ただ単にとてつもなく頭が悪いだけなのです。ついでに言うと作家性とかいうものも一切感じられない。でも映画って頭良い悪いとか、作家性の有る無しじゃない。面白いか面白くないかが全てのはず。そして「トルク」は面白い。

ベストシーン
● クライマックスのY2Kの発射シーン
    発進ではありません。アレは発射です。エクストリーム感抜群のY2K、この時味わえるのは興奮とか爽快感というよりも男性の射精の快感に近い。
   以前破壊屋に「Y2Kはバイクじゃなくてミサイルだ!」って書いたけど、よく考えるとY2Kはミサイルよりも性質悪い。だってミサイルが破壊するのは着弾点でしょ?Y2Kは道行くモノ全てを破壊しているじゃん。





5位 ドーン・オブ・ザ・デッド

    映画のルールを破ることを”センスの良さ”だと勘違いしているミニシアター系に対する反撃となる映画。完璧な映画のルールに従いながら、世界と秩序と愛の崩壊すらも描く。本当にセンスいいのはこっちだろ。

ベストシーン
● オープニング
    「たった今人類はゾンビになって滅びました。」そんなこといきなり言われて納得できるのだろうか?出来るのです。「ドーン・オブ・ザ・デッド」のオープニングを観たのなら。




6位 下妻物語

    今年この映画を観ていなかったらもう邦画は見捨てていた。韓流に対抗できる唯一の存在。
    主人公はアイドルが演じるロリータ少女とモデルが演じるヤンキー娘。でも彼女達には男気溢れる任侠がある。男気に性別は関係ない、真の男気はアイドルやモデルにも宿ることができる。     [ラストシーンで桃子とイチゴはボロボロの顔で笑っていた]。もし彼女達が男だったらここは男泣きのシーンだろう。でも桃子とイチゴはあくまでもカワイイ

ベストシーン
● 桃子がイチゴの喜んでいる姿を見て、分けもわからず泣きそうになるシーン
    「下妻物語」はヤクザ映画や香港映画でよくある任侠的要素を女の子に置き換えている。つまり「下妻物語」のパターンは、過去の任侠映画に既にあるパターンなのだ!と思いながら観ていた。でもこのシーンでそれが間違っていることに気がついた。女の子が友達のために尽くして感じる時の絆。それは任侠の新しいパターンです。




7位 スパイダーマン2

    映画館でゲラゲラ笑いました。ピーター・パーカーのボンクラ振りをゲラゲラ笑うのが、このシリーズの正しい見方だと思っていたからです。劇中ピーター・パーカーはスパイダーマンを止めて、本当のボンクラになった。それを見て僕はさらにゲラゲラ笑った。でも[スパイダーマンが復活して人々を救った]とき、僕はそのボンクラこそが必死に街の平和を守っていた事に、今更ながら気がついた。スパイダーマンの正体はボンクラのピーター・パーカーだ。観客である僕はその事を知ってるはずなのに、その意味まで考えてなかった。

ベストシーン
● スパイダーマンを掲げて運ぶシーン
    良いシーンだったよ。そうそう、僕もサマソニでスパイダーマンのコスプレしたらみんなが僕を掲げてくれました。「スパイダーマン2」のこのシーンと同じでしたよ。映画と違うのは、その後僕は頭から地面に落とされて、その映像が朝のニュースで流れて、会社の人に「見たよ」とか言われた挙句、SUM41のDVDにもその映像が納められていることですかね。




8位 オールド・ボーイ

    今年は韓流が圧倒的だったのに、その韓国映画がこの順位に一本のみというのは不当評価かもしれない。どーでもいいですが世間一般で言ってる韓流と、僕の思っている韓流は大分違うね。韓流って男前のことじゃないだろ。

ベストシーン
● オールド・ボーイとヤクザ達のワンカットでの立ち回り
    15年間部屋に監禁されていたサラリーマンはメチャクチャ強くなってた。こんな嘘臭い設定を真実にしてしまう恐るべきワンカット。




9位 スクール・オブ・ロック

    上でジャッカスを「観客みんなで喜んだ!」ってホメたけど、それはあくまでもファンタスティック映画祭の秘宝祭りでのお話。それにジャッカスはネタ映画だしね。「スクール・オブ・ロック」は普通の一般上映で観たけど、スモーク・オン・ザ・ウォーターのイントロが聞こえるとみんなで歓声をあげて、クライマックスは拍手までしていた。これも映画の楽しさを教えてくれた。

ベストシーン
● クライマックスの[ダイブ]
    ロックのライブにおいて、もっとも迷惑で破壊的な行為は何か?それは[デブのダイブ]です。僕もよく被害を被ります。でも「スクール・オブ・ロック」のクライマックスで[デブがダイブ]した瞬間、みんなで拍手してしまった。




10位 SAW

    ホントは10位は「スウィング・ガールズ」にしたかったんだけど、サスペンス映画をどーしても入れたかったので「SAW」をランクイン。2004年最高の緊張を味合わせてくれた映画です。こーいう風に映画としては意味無いんだけど、観客を驚かせるためだけに構成を練りまくった映画は大好き。

ベストシーン
● 伏線のシーン全部
伏線好きにはたまりませんがな
他にも今年はこんな映画が面白かった!


● 強烈だったなぁ 「ドッグヴィル」

● 映画掲示板でブレイク。今思い返すとハウルより面白かった気がしてしょうがない「パニッシャー」

● アメリカン・ドリームの新しい形「シービスケット」

● ファミリー映画にだって面白い映画はある。「フォーチュン・クッキー」

● 恋愛映画にだって面白い映画はある。「ラブ・アクチュアリー」

● ミニシアターの素晴らしさを教えてもらった「誰も知らない」

● 作品は面白いけど、日本でのマイケル・ムーアの扱いはファッション化していったのは、ちょっと気になる。「華氏911」

● シャマランは期待を裏切らない監督だよ「ヴィレッジ」

● スウィング・ガールズの皆さん、お疲れ様でした!「スウィング・ガールズ」

● 納豆よりもキムチのほうが偉いんだな「殺人の追憶」「シルミド」


    2004年のベストは去年の「リベリオン」「トーク・トゥ・ハー」のようなインパクトのある作品が無く、随分と面白みに欠けるベスト10になってしまった。それと2004年は過去最多本数の映画を観に行った。にもかかわらずセカチュー観て無いのはお約束。これからはちょっと本数絞って行こうと思う。

    オマケ:2004年のベストTOP画像のノーマルバージョンはコチラです。
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2004年の映画ワースト10+5

   
1位 ブラウン・バニー

   
ギャロギャロギャロ、オレは天才ギャロ

監督も、主演も、カメラも、こ・な・す・ぜ

恋人とのラブシーンも自分で撮れるぜ

オレの撮影テクニックすげえだろ って言うじゃなーい。



でもアンタそれ単なるハメ撮りですから! 残念!

自分撮りで映画を作るなっ 斬り!

拙者、上映終了後に映画館で暴れました。切腹!



(注:「ブラウン・バニー」は2003年の映画です。それに実際はハメ撮りや自分撮りではありません)


    2004年最悪どころか、僕の人生最悪の映画ベスト3に入るクソ映画。日本企業が芸術家気取りのオッサンに10億円払って、「何か映画作って」とお願いした。そーしたらアメリカを東から西へ旅する風景を、車の助手席に積んだカメラでダラダラ撮っただけの作品が出来た。延々と映る道路、存在しない演出、めっちゃ下手糞な撮影。良い部分は日本の会社が莫大な金を出したポスト・プロダクション(撮影後の作業)だけ、だからフィルムの色調だけは良いね。ドラマもメタファーも一切存在しないスカスカの映画なのに、台詞や行動には矛盾が発生しているどーしようも無いカス映画。地平線に消えた男が次の瞬間元に戻っている映画的センスの無さはビックリしたよ。そしてクライマックスではオッサンがいきなり別の役者に[フェラチオ]させるシーンが5分位続く。
    ところが日本のメディア(オシャレ系)はこの映画を誉めた。宣伝側も「オレたちはセンスいいからわかるだろ?」って感じだったので、「アレじゃ単なるポルノだよな」と誰もツッコミを入れなかった。「こち亀」で両さんが適当に書いた絵を、赤塚作品と間違えた評論家達がベタ誉めしてブームになるというギャグがあったけど、それと同じ現象が「ブラウン・バニー」で起きた。


    破壊屋は「映画を貶す」ことはするけど「映画を誉める人を貶す」ことはしない。ただし「ブラウン・バニー」に関してはその禁を破らさせてもらいます。相手はロッキングオン。だってロッキングオンは「ブラウン・バニー」を批判する人間に対して「凡庸なモラルと表現に対する不寛容さには驚いたが」「彼らの感受性とおつむはついていけなかったのだ。」と文句をつけているから。
    ロッキングオンは「ブラウン・バニー」批判者の映画に対する姿勢を嘲笑う。
    「淡々とした前半部が続く映画に対しては、その非ドラマ的時間の流れが一瞬にして変化するクライマックスが来ることを緊張を高めつつ待ち構えながら観続けなければならないのは常識である。」
    マジかよ!そんな映画の常識聞いたことも無いぜ!観客は前半つまらなかったら緊張しなきゃいけないのかよ!クライマックスに変化があるって事前勉強して、待ち構えなきゃいけないのかよ!シャマランの映画じゃあるまいし。 この人は映画を何だと思っているのだろうか?あなた方はフェデリコ・フェリーニやヴィム・ヴェンダースの映画を観て何か勘違いしてしまったのか?

    それとさ、「ブラウン・バニー」を誉める評論家達の映画評読むとさ、どれも「オナニー空想フェラチオに男の性を感じた」という一行にまとめられるんだけどさ。それは男なら当たり前です。

ワーストシーン
● クライマックスからラストまで
   僕はめったなことでキレる人間じゃない。そんな僕がキレた。それも仕事でストレスが溜まったわけでも、街中でケンカしたわけでもない。映画鑑賞でキレた




2位 茶の味

    生まれて初めて上映中に途中退場した。映画ファンとして始めての屈辱。でもこの映画はネット上では大絶賛を受けているんだよね。深夜のバラエティー番組でやってるコントから、笑いを抜いた映像が延々と続くだけなのに。クライマックスに感動のドラマがあることは知っていたし、そこまで観たかったんだけど、”普通じゃないキャラ”ネタだけでその場をもたす演技と演出に耐え切れず脱出した。
    ブラウンバニーと同じくシネマライズで鑑賞。シネマライズは「こまねこ」も酷かった。「こまねこ」は作品自体は悪くないんだけど、シネマライズに行くと必ず本編上映前に「こまねこ」が流れるので、何度も同じ「こまねこ」を観せられた。非常にストレスがたまる映画館だ。

ワーストシーン
● アシスタントが漫画家をボコボコにするシーンと、浅野が初恋の人と再会するシーン
   クリエイティブを気取る映画作家達は、どうしてまともに映画を撮ろうとしないのだろうか? どうして”普通じゃない演出”=”演出放棄”という結論に至るのだろうか?映画を撮ろうとせずに空気感だけを追い求めた結果、このようなシーンが生まれた。




3位 DEEP LOVE アユの物語

    世間一般では2004年のワーストは「デビルマン」でしょうが、この映画も忘れてはならない。「デビルマン」の双子アイドルユニットの演技が貶されているけど、「DEEP LOVE アユの物語」の重病の少年を演じるHIP-HOPアイドルの演技はもっと酷いぞ!そしてヒロインアユの台詞を反射的に復唱する演技法はむしろ病みつきになってしまう、嘘じゃないよ。観ればわかるから。
    「DEEP LOVE」はYOSHIとかいう怪しい大人が、「援助交際はやめよう」というメッセージを送る映画。まあ確かに「おばあちゃん、私援助交際しているんだ」って言った瞬間おばあちゃんが心臓発作で死ぬ映画なんて観たら、確かに多感な少女達には効果あると思います。

    どーでもいいけどこの映画、居酒屋甘太郎の店員達がみんなレイプ犯だったとか、ぞろぞろ出てくるレイプ犯たちが誰も罰を受けなかったりとか、女子高生同士が渋谷の路上で股にグサグサボールペン刺して血だらけとか、よくこーいうことが出来るな。

ワーストシーン
● アユのクリスマス・プレゼントを、子犬が心臓病の男の子に届けるシーン。
   「上映中笑ったらDEEP LOVE信者に狩られる!」と必死に笑いを堪えていた僕ですが、ついにこのシーンで吹き出してしまった。

● エンド・クレジット
映画が終わると”ヒロインの思い出”として写真が一杯出てくるんだけど、その中にヒロインが集団レイプされている写真が出てきたときは身が凍った。何てセンスしてるんだよ。




4位 キューティー・ハニー

    「こーいう女と一緒にいて、あなたはどれくらい耐えられる?」まるでそんな実験をされているようだった。ちなみに僕は90分も耐えられることが判明。

ワーストシーン
● オープニング
   天然系の女の子が、あらわな姿で合成画面の街を走り抜ける!でもファミリーマートで買い物してお食事するとへーんしーん!かわいいハニーになっちゃうよ!     ってあまりのレベルの低さに、ファミリーマートのCMだと思って観ていたら既に本編でした




5位 恋人はスナイパー 劇場版

    「踊る大捜査線」の脚本家が書いた脚本の映画。
    どかーんと出てくる映画のタイトル「MY LOVER IS A SNIPER」。ってそれは「愛人はスナイパー」って意味だろ!何かいやらしいぞ。タイトルから既に間違っている映画だけど、映画の脚本はさらに間違いだらけ。

    とあるテロリストが人を殺して「さあ殺されたくなかったら平和バッチを一個5000円で買え!」と宣言したら、日本全国でバッチが1000万個売れて大もうけ(PSPやニンテンドーDSでもそこまで売れない)。しかもそのバッチは店頭販売でもネット通販でもなくて郵便販売だし。
    そしてテロリストだけじゃなくて主人公側の推理も間違っている。
   「狙撃を左に外すのは自衛官!」
   「犯人はNゲージを壊した。横浜市営地下鉄を狙撃するつもりだ!」
    落語の風が「吹けば桶屋が儲かる」の、砂埃からネズミが桶をかじるまでを抜いたような脚本です。
    特に「犯人は狙撃が上手いので、アメリカ海兵隊の銃を使っている。」という推理が僕は理解できなかった。どうして”狙撃が上手い=テロリストの腕が立つ”じゃなくて”狙撃が上手い=銃が良い”なのだろうか?実はこれ伏線なんです。テロリストの正体はただの日本人のオッサンなので、”狙撃が上手い=銃が良い”にしておかないと不都合が生じるわけ。ってスナイパーモノとしてそれでいいのかよ!

    この犯人の動機も凄い。
   どうしてそうやって金を稼ぐ方法を思いついたのか?
   「妻がカツアゲで殺されたから」
   どうして無差別テロで人を殺すのか?
   「ビルが崩れるのを見たから」
    まるで「太陽が黄色かったから人を殺した」に近いものがありますが、この「ビルが崩れる」というのは国際貿易センタービルのこと。911の現場にいたからテロを思いつくって、物凄くヤバイ脚本のような気がするぞ。しかも、また映画評論家たちが「テロの脅威を描いてる」って誉めてるしさ。

ワーストシーン
● クライマックス
   映画の壺なんてコンテンツやってるけど、細かいミスが映画の出来を左右するなんて思っていない。でも「恋人はスナイパー」のクライマックスで、天気が変わったり、渋谷の人々が消えてたり、清掃員達が働いているのが写っているのはちょっと・・・。早朝撮影って大変ですね。

● ラストシーン
    すぎむらしんいちの「スタア学園」という漫画で、カス映画の脚本を任されたコキジが、[死んだ主人公とヒロインがお花畑の中で楽しそうにデートしている!]というラストシーンを書いて、バカにされるというギャグがあったけど、まさかそれを本当にやるとは思わなかった。しかもギャグじゃなくて真面目に。




6位 デビルマン

   6位。6位です。あんだけネット上で騒がれた最悪映画「デビルマン」が、ベスト5にすら入っていない。2004年はそれだけワースト映画の当たり年だったという事です。
    僕は「デビルマン」という言葉を聴いたら、条件反射的に「うっらぎりもののぉ、名をうけて~」という歌が聞こえてきたもんですが、この映画を観てからというもの「ハッピー・バースデー・デビルマン!」というあの台詞が聞こえてくるようになりました。
ハッピー・バースデー・デビルマン
ハッピー・バースデー・デビルマン
ハッピー・バースデー・ディア・デビルマン
ハッピー・バースデー・デビルマァン
   と思わず歌ってしまった。

ワーストシーン
● で襲われた友人を助けにに行くシーン。
   一応このシーンは”音”が繋がっているんだけど、もし”音”が繋がっていなかったら、絶対にフィルムの掛け間違いだと思って映写室に駆け込んでいた。




7位 CASSHERN

    公開当時は多くの人がワースト映画だと思ったけど、結局他のワースト映画の中に埋もれていった。映画自体はとてつもなく酷いが、監督の熱意だけは確かに伝わってくる部分が、他のワーストと違うところ。
    「CASSHERN」は公開当時はネットで論議が起きたらしいが、この作品は観客に高度な解釈を求める映画じゃない。高度な解釈なんて全然いらない、誰でも理解が出来る。だって作品が観客に伝えたいこと、作品の持つテーマなどは、台詞で喋って喋りまくって全部説明してしまうから。わかりにくいのは演出が下手だからです。
    「CASSHERN」は「人間の愚かさ、人間の悲しさ、反戦メッセージを描いた作品」だと言う。そして「CASSHERN」のクライマックスは戦争が起こって人間達が阿鼻叫喚の地獄絵図に堕ちる様を描きます。でも新造人間4人がロボット軍団を率いて人類を滅ぼそうとする。そして人間対ロボットの戦争が起きて・・・って人間悪く無いじゃん。人間や戦争が愚かであるのは人間同士で殺し合うからでしょ?人間同士で憎しみ合うからでしょ?ロボットと戦っているのに愚かさを表現は出来ないよ!と思っていたらクライマックスには本物の戦争の映像を挿入して無理矢理人間の愚かさをアピールしてました。
    殺し合う事の愚かさを訴えているのに、液体に触れただけで死人が生き返るというとんでもないルールがあるのもおかしい。新生命体の研究に新生命体の死体が必要だからって新生命体を虐殺するのもおかしいぞ。新生命体の研究に必要なのは生きた新生命体だろ。

ワーストシーン
● クライマックスの爆弾兵器
   「デカポリス」というギャグマンガで「時限爆弾の止め方がわからないので、時計の針を止めたら爆弾が止まった」というギャグがあったけど、まさか同じ仕組みの爆弾が出てこようとは・・・。「カリオストロの城」のつもりなのか?

● ラストシーン
   [みんな死んでしまった。キャシャーンとヒロインは抱き合う。そうすると戦場の死体から魂が抜け出してキャシャーンに集まった。まるで元気玉。そしてキャシャーンとヒロインは爆発し、白いモノが出て行った。白いモノは空へ飛んでいった。宇宙まで飛んでいった。別の星まで飛んでいった。キャシャーンが言った。「僕とルナの子供の名前は希望だ」
    という風にせっかく生まれた希望が宇宙へ飛んで行きます。飛んでっちゃダメでしょう。宇宙へ飛ぶべきなのは死んで魂となったお前達だろ!希望は地上に残らなきゃダメだろ!少なくとも希望が流れ星や雨といったイメージになって地上に降り注ぐとか、空にある希望が地上を見守るとかしなきゃ。
]

    実はコレは「2001年 宇宙の旅」と同じなんです。でも「2001年 宇宙の旅」は白い骨が空へ飛び(射精)、宇宙船(精子)へと変貌、宇宙ステーションとドッキング(セックス)して、木星(卵子)に到達して○○が生まれる・・・。と非常に綺麗にやるのですが、「CASSHERN」はキャシャーンとヒロインが抱き合うと爆発して白いモノが飛んでいくので、分かりやすすぎる。




8位 2046

   2004年最高のバカ映画「トルク」を観て銀座東劇を出た直後。僕は興奮収まらず有楽町駅までダッシュで走り出した。心の中はY2Kで時速320キロ出して走っている気分だったけど、実際は自足で15キロくらいだったと思う。 しかし有楽町マリオンを通るときに「2046ただ今予告編上映中でーす」の声が。「ちょうど良いや」と有楽町マリオンへ入った。僕は「トルク」を観てからわずか5分後に「2046」を観ていた。

   日本全国の映画館で予告編がかかり、連日のようにマスコミが大々的に取り上げる。でも本当は続編映画だって事はほとんど知られていない。「オレだよ、オレ!今度オレが映画に出ているんだよ!」と、日本人全員がキムタクのオレオレ詐欺に引っかかった感のある「2046」。アジアの大女優達が出てくるので、それを目当てに観に行ったんですが、みんな髪型が似ている東洋人なのでサッパリ区別がつきませんでした。アジエンスのCMは嘘だな。自然な黒髪じゃあダメなんだよ。

    映画はキムタクのナレーションから始まる。「2046年、人々は2046に向かっていた。」という意味不明の設定が語られる。2046とはどうやら探し物が見つかる井上夢水の「夢の中へ」みたいな場所なので、みんな2046に向かうらしい。だけど2046の秘密は誰もわからない。何故なら2046から帰ってきた者がいないからだ(そんな所向かうなよ)・・・。
    すいません!僕この映画のラストシーンわかっちゃいました!
    きっとラストで、[この↑ナレーションをまた繰り返して]
    それで結局、[2046の秘密はわからないんだろ!]
    と予想していたら、コレが的中


    映画の内容は単なる長屋の艶話。センス皆無の恋愛描写が延々と続く。ネタバレ含む解説です。

ワーストシーン
● キムタクが出てこないシーン
   例によって雑誌CUT等のオシャレ系がこの映画をチヤホヤしているけど、ジャニーズ事務所の意向を組んでアイドルの出演シーン付け足す映画のどこに作家性があるんだ? それでもワーストシーンを「キムタクが出てこないシーン」にしたのは、キムタクが出てくるシーンにはわずかながらにも物語に意味が存在しているから。キムタクが出てこないシーンにはまともな物語は存在していない。




9位 沈黙の標的

    以上の映画は全部「僕に合わない」映画だからつまらないのも当然です。観に行くほうも悪い。でも「沈黙の標的」は「僕に合う」映画。それでもここまでつまらないとわ・・・。

ワーストシーン
● 裏の世界を支配するマフィア達の会議
   生徒会の会議みたいでウケた。




10位 クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち

    破壊屋常連のリュック・ベッソン脚本作品。「インディ・ジョーンズ」と「ロード・オブ・ザ・リング」のDVDを観ながら書いたんじゃねえの?と思ってしまうほどの合成脚本。顔の無い亡霊の正体が[スキーマスクを被った人]だったというトリックは、ミステリー映画史上に残る底抜けトリックだと思う。

ワーストシーン
● ファイト一発
   何故日本人はこーいうシーンで爆笑しないのでしょうか。僕も笑いませんでしたが。




11位 レジェンド・オブ・メキシコ デスペラード

    高校生の頃このシリーズに入れ込んだんだけどなぁ。最新作がこんなことになってしまいショックです。

ワーストシーン
● ジョニー・デップ
   ジョニー・デップはシーンではないけど、そーいうことにさせてください。ジョニデ好きなんだけどなぁ。




12位 イノセンス

   この時期は他に和製アニメの「アップルシード」「スチーム・ボーイ」も酷かった。押井と大友、共に僕が小学生の頃から大好きだったのに、大人になってから観る彼等の新作はつまらなかった。それと僕は士郎 正宗も好きだったんだけど何かもう恥ずかしいので、ここしばらくは士郎 正宗を知らない振りをしていました。

ワーストシーン
● 何かを引用しているシーン
   「~~は言ってた」「~~にあった」って、それで会話しないでください。雰囲気作りたいならもっと他の方法使って。




13位 みなさん、さようなら

    原題「蛮族の襲来」。社会主義の父親がもうすぐ死ぬ。そのとき断絶していた資本主義の息子がやって来た。ネイティブアメリカン達の元に白人という蛮族が襲来してアメリカは生まれた。9.11の時アメリカには、他宗教という蛮族が飛行機をハイジャックして襲来してきた。蛮族とは一体何なんだろうか。そーいう映画のはずなのに、日本ではミニシアターファン向けに「人間が死ぬ間際に家族と触れ合う映画」という風に宣伝したので、「ああいう死に方をしてみたいです」とかいう感想が溢れることになった。
    でもこの映画のテーマを気づいたところで何の意味が無いのかもしれない。だって資本主義のメタファーが賄賂と麻薬とパソコン。息子は父親を楽に死なすために賄賂と麻薬とパソコンを駆使する。そんなんで資本主義語られても困る。

ワーストシーン
● 川の下ネタ
   この映画はとにかく下ネタが多いが、「私のオナニーによって流れる川が白くなる」というギャグは心底最低だと思った。




14位 女はみんな生きている

   今年観た映画の中で一番眼が疲労した、撮影の下手さは「CASSHERN」より酷い。
    僕は女性上位や女性の向上を描いた映画を観るのが好きです。それは女性の向上に、くだらない現代社会に風穴開けてくれるような期待感を持てるから。でも「女はみんな生きている」にそんな意思は無い。ただ単に女性から男性への恨み辛みしか存在しない。男にはちっとも面白くない。

ワーストシーン
● ヒロインが過去を語るシーン
   「私は監禁されて強姦されて調教された。何とか逃げ出したがまた監禁されて強姦されて調教された。また逃げ出したがまたまた監禁されて強姦されて調教された。そして逃げ出したが監禁されて強姦されて調教された。」っていつまで続くんだよ!と思ったら30分位続いた。




15位 タイムライン

    2004年は「タイムライン」よりも酷い映画が一杯あった。でもやっぱりここにはハリウッドバカ大作を入れないとね。
   科学者達が量子転送装置を開発した。特殊な送信装置を使い人間を量子レベルに分解。受信装置が量子レベルになった人間を復元し、転送完了。これを使って1357年のフランスにタイムスリップが出来るのだ!って事はつまり1357年のフランスに受信装置が置いてあるわけなんだな? まあそこは何とかごまかしてましたが、ごまかしきれてないのが物語の必然性。大学の教授が戦乱のフランスへ行って帰ってこなくなり、学校の生徒や装置を作った会社の人たちが教授を助けようと、戦乱のフランスへ。もちろんみんな死んでいく。何とか教授に出会えたら、教授は現代の知識を利用して、イギリス軍を増強させていた。仕方ないのでみんなでフランス軍を勝たせようと頑張ることに・・・。ってドラえもんですか。

ワーストシーン
● ラストの石棺の女
   実は気に入っているシーンだけど、やっぱりおかしい。現代で助教授が「石棺の男女は誰?」という疑問を持つ。そしてクライマックスで助教授は[「あれは石棺の男女は自分と姫だった!」]という事を知る。でも元の歴史だと姫は城壁に吊るされて死んだんですよね?だとしたら[最初の石棺の女は誰]なんでしょうか?


    面白みに欠けるベストとは対照的に2004年はカス映画が大豊作。とてもじゃないけど10本に収まりきれないので、特別に5本枠を増やしました。特に上位7本は例年なら間違いなくワースト1位であろうクソ映画。作家性が気に食わない「茶の味」「キューティー・ハニー」は好みの違いだから仕方ないとして、残り5本は救いようが無い。また上位7本が全部日本映画というのもどーしようも無い。
    僕の中ではワーストとベストは表裏一体(例えば「ジャッカス」と「恋人はスナイパー」は位置を入れ替えても良い)なので、この結果は満足しています。


    オマケ:2004年は映画掲示板でセカチューブームやジャニーズの乱用に対するアンチの声がよくあがっていた。もちろん僕も大賛成だった。それが映画ファンとして当たり前の反応だと思っていた。でも「セカチューやジャニーズに過剰反応するのは端から見ていて少し痛い」というごもっともな反論があり、自分と自分の掲示板の世間的ポジションを知った。
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