この映画を観続けることは「パッション」の拷問を見続けるよりもずっと辛い苦難でした。今まで何度も何度も映画館に行って途中退出は一度も無かったけど、流石に「キューティー・ハニー」は途中で抜けようと考えました。BGMのほとんどが
「ぱっぱや~」で、女優が
「にゃー」「にょー」とか喋っていて、アクションシーンで
「いやよ、いやよ」とか
「チュクチュクしちゃう」とか流れる映画なんてガマン出来るわけがない!
「俺はこういう女と一緒にいてどれくらい耐えられるのだろう?」と
自分を試すつもりで頑張りました。その結果
90分以上も耐えられるということがわかったのが収穫かな。
とてもじゃないけど映画を観ている感覚がなかったです(ハニメーションって言うんだっけ?)。映画のレベルが余りにも低すぎる。低すぎて映画が始まっても
始まった事に気がつかなかった。だらだら映像を観ているうちに「え、これが映画本編なの?」と思ってしまった。よく映画本編が流れる前に、その映画に関するCMやPVが流れたりするけどそれだと思ってた。っつーか劇中CMやりすぎ!企業や商品の出し方が不自然すぎる!
「キューティー・ハニー」はバリバリのコメディ映画なんだけど、全編に散りばめられた
無数のギャグが全て外れていた(ミッチーが歌うシーンで女性観客が数人笑っただけ)。こんなコメディ映画は初めて観ましたよ。バカ騒ぎしている映画の内容とは対照的に映画館の中は異様に寒い空気が流れていて、まるで
「デイ・アフター・トゥモロー」の図書館状態。
映画監督だったら「女優を自分のイメージ通りにイジりたい」という願望があるのだろうけど、「キューティー・ハニー」の監督は「女優をイジってアニメキャラにしたい」という欲望があってそれが気持ち悪い。この監督は多分「愛」を「自分が他人から与えられる強い感情」としか思っていない。愛は物事の決着をつけるだけ、愛が物事を作り出すって事は考えない。だから劇中
愛を全く描いていないのに「愛を信じるんだ!」と叫んで、
愛が全てを解決するクライマックスをやってしまう。
僕と「キューティー・ハニー」を作った監督の感性は完全に合わない。「キューティー・ハニー」はチャリ・エンを意識した部分もあるし、アイドル系女優がコスチューム・プレイしている点では現在公開中の「下妻物語」に似ている。でも
作り手がアニオタだから「チャーリーズ・エンジェル」や「下妻物語」にあったカワイイという感覚が無い、センスも無い、ポップ感覚も無い。それにセクシーじゃない。エロいアニメ絵って確かにエロいけど決してセクシーじゃない。女として魅力があるわけじゃない。
そのアニメ感覚を実写でやっている。多分アニメや特撮ものとしては面白いことをやっているんだろうけど、僕もアニメや特撮は嫌いじゃない。だから本当に感性が合わなかったとしか言いようが無い。
でも宣伝の時に騒いでいた
ハニメーションという概念が公開までに消え去っていて良かった。みんなすぐに忘れるように!