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クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち   ★


「最後の審判の日・・・目覚めるのは神か悪魔か」


    って目覚めるのは寝ていた観客だろ!そのくらいつまらん。
    ミステリーやサスペンスには連続殺人モノというジャンルがあります。横溝正史の金田一耕助なんかが有名ですね(知らん!という人は「金田一少年の事件簿」でも可)。連続殺人モノは殺人事件が何度も起きるので、探偵役の主人公が役に立っていないとしか思えないという欠点があります。
    また連続殺人モノの要素として多いのが見立て殺人です。横溝正史で言えば「八つ墓村」や「犬神家の一族」、アガサ・クリスティで言えばマザー・グースをモチーフにした「そして誰もいなくなった」なんかが有名ですね。映画作品で一番有名なのはやはり「セブン」でしょう。7つの大罪をモチーフにした連続殺人が起きるという内容は実に陰惨で斬新でした。
    そしてバカのリュック・ベッソンが選んだ見立て殺人の題材は素晴らしいです。キリスト12使徒連続殺人事件、つまり12人殺されても犯人が捕まらない。主人公や警察が物凄いバカにしか見えない。
映画のストーリーはこんな感じ(少しネタバレ)
    異端系の修道院の壁に十字架を打ち込むと血が流れてきて、壁の中に死体があることが判明する。そこへジャン・レノ演じる刑事が「寄付にきました」エスプリの全く効いていないジョークを披露しながら登場。事件の謎を捜査する・・・。って修道院の壁に死体が隠してあったんだから、もちろん修道院側が犯人なわけですが、ジャン・レノはそこに関しては全く捜査しない。修道院側の「先週地元の業者に壁の塗り替えを頼んだけど、その記録は残っていません。と言われてジャン・レノは納得してしまう。しかもジャン・レノはDNA鑑定が好きなので壁に塗り込められた遺体は掘りもせずにDNAを調査する。どういう事かと言うと壁から採取した血液でDNA鑑定、そしてDNAから遺体の身元や顔写真を調べる。ってDNAはそこまでわからねえよ!それよりも遺体を調べれば一発でわかるだろ!まあきっと被害者がDNAまで保存されている前科者か、もしくはフランスがSF小説並みの管理国家で全国民のDNA情報を持っていたのでしょう。結局遺体は壁の中のまま
    この事件以降、12使徒連続殺人事件が起きる。12使徒と同じ名前と職業の人間が次々に殺されるのです。
    その頃ブノワ・マジメル演じる若い刑事がイエス・キリストを車で轢いてしまったキリストはフランス人じゃねーだろうという疑問を余所にキリストは病院に収容される。そして病院でジャン・レノとブノワ・マジメルは出会い、二人で事件を解決することになる。


    さてこのキリストや12使徒連続殺人事件は本筋とは関係がありません。「クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち」の本筋は悪のドイツ人達がマジノ線にある秘宝を求めて主人公達と対決という、リュック・ベッソンが「インディ・ジョーンズ」か「トゥーム・レイダー」を観ながら思いついたストーリーです。どうして12使徒連続殺人事件が起きたのかというと、12使徒と同じ名前と職業を持っている12使徒コスプレ集団が、[たまたま秘宝の入り口を見つけたのでドイツ人達]に殺された、それだけです。クライマックスでは「12使徒連続殺人事件は些細な事だ」という素晴らしい台詞もあります。
    「クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち」の宣伝を観た人達ならわかるでしょうが、この映画には黙示録の天使たちと呼ばれる者達が出てきます。彼等は黒い修道服を纏っていて顔がない。また黙示録の天使たちは超人的(ヤマカシ)な運動能力を持ち、板やガラスをぶち破り、車並みに早く走り、高い所から飛び降りても、銃で撃たれても平然としている不死身の存在です。
    そして12使徒連続殺人事件の犯人はこの黙示録の天使たちなのですが、黙示録の天使たちは黒い修道服を纏った顔が無い男達なので目立つ目立つ。そんなコスプレ集団の彼等が空港や病院やスーパーマーケットで12使徒を襲う様はまるでギャグ。
    っていうか黒い存在で、顔が無くて、中世武器を使い、不死者であるって・・・ベッソン!お前それ「ロード・オブ・ザ・リング」の幽鬼を観ながら思いついただろ!
    「クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち」はクソ映画会社のヨーロッパ・コープの作品なので演出も致命的に下手。例えばこんなシーンがあります。”何者かが扉を開けて忍び込んできた。その扉から風が吹き込んできてロウソクの炎を消す・・・”ってこんな古臭いクリシェが今どき通じると思っているのか?いや、これがもし中世が舞台の映画だったら問題ない。でもこのシーンの舞台って空港の事務所じゃん。祭壇のつもりなんだろうけど突然事務所にロウソクが出てくるのは不自然だよ。
    また監督に陰惨さを演出する力が全く存在しないために、メチャクチャな手法で陰惨さをアピールします。例えば刑事が被害者の奥さんの家で話をしていると無理矢理カラスが出てくる(家の中だぞ)。また劇中の警察署は停電中としか思えない程暗く、ガラスが全て血の赤色をした部屋まで出てきます。部屋の中をわざわざ懐中電灯で調べるというシーンもある。部屋の電気をつけろよ!
    チェイスシーンの演出も全然ダメ。普通チェイスシーンというのは追う者と追われる者が同じ場所を走るものですが、「クリムゾン・リバー2」は追う者と追われる者が違う場所を走っているのでチェイス感が弱い。
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注意

    以下はネタバレです。
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クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち

    もちろんリュック・ベッソンが脚本を書いているのでトリックはメチャクチャ。「クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち」はヨハネの黙示録にある七つの封印と最後の審判をモチーフにしています。でも劇中第一の封印と第二の封印と第三の封印と第四の封印と第七の封印と最後の審判は出てきません。つまり第五の封印(コスプレ集団が財宝の入り口を見つける)と第六の封印(地震、っつーかマジノ線が揺れるだけ)が起きるのみです。
    またJEOJEOという謎の文字が出てきます(Eは逆文字)。宗教に詳しいヒロインが謎の文字を調べて、JとEとOに込められた意味を推測し「三位一体を示す暗号だ!」と判断します。でもその後ヒロインは「読み間違えた、730730だった。」というコナンでも初級クラスのオチがつきます。映画のトリックって”登場人物と観客がトリックに引っ掛かって、登場人物がトリックを解いて観客が「なる程!」”と思うっつーのが通常なんだけど、ベッソンの場合”登場人物だけがトリックに引っ掛かって、登場人物だけが「なる程!」”と思ってる。


    そして映画本編もメチャクチャな展開が・・・

● 女が男をセックスに誘うシーンを入れなきゃ気が済まないリュック・ベッソン!今回も麻薬の売人の元に行くと何故かオンナが刑事を誘う!

● 12使徒には漁師がいた。だから漁師を保護しなくては!だが湖に行っても漁師はいなかった。そこでブノワ・マジメルは推理した。「漁師とは魚じゃなくてエビ・カニ漁だ!」。そして湖の中を調べると漁師の死体が見つかった!って推理の意味がわからねえよ!

● 刑事が慌てふためいているだけのスーパーマーケットの攻防!ジャン・レノが黙示録の天使の指を撃ち抜き天使たちは走って逃げる。でもDNA鑑定が大好きなジャン・レノは逃げた天使たちは追わずに、床に落ちた指の所へ行って「DNA鑑定だ!」

● なんせ被害者が12人もいるので殺人事件が起きまくり!殺し方もだんだんヤケになってくる!どの使徒が殺されたとかサッパリわからんぞ。

● ようやく修道院が怪しいことに気がついたジャン・レノは(オープニングで気づけよ)、フランス軍を率いて修道院を襲撃する。フランス軍、完全武装で家宅捜査!

● フランス軍が修道院を襲撃して電話の記録を調べる!電話の記録を調べるんだったら電話局にいけよ。それとも発信履歴や着信履歴を調べるためだけに軍隊使ったのか?

● 地面の中からトーチカが出現して機関銃を連射!ジャン・レノの車を蜂の巣にして再び地面に潜る!この映画のジャンルは何だ?っていうか何でその後地面を調べないんだ?

● ブノワ・マジメルが離れた位置にある車に爆弾が仕掛けられていることを何故か見抜く!それを「僕は優秀な刑事だからわかるんです!」の一言で説明つけやがった!どう考えてもブノワ・マジメルが爆弾を仕掛けた犯人にしか思えないぞ。


    と、色々あったけどジャン・レノはフランス人が大嫌いなドイツ人達が修道院の秘宝を狙っていることに気がついた。秘宝には新生ヨーロッパを生み出す力があるというのだ!
    修道院の人間達は手が土で汚れていたし修道院は鐘が鳴らないので、鐘塔に地下への穴がある!そう判断したジャン・レノはブノワ・マジメルだけを連れて黙示録の天使たちが待ち受ける地下へたった二人で殴りこむ。さっきフランス軍使って殴りこんだのに今度はたった二人かよ!ジャン・レノはもしもの時のために無線を用意するが、地下なのでもちろん圏外だった(ホントにバカだな)
   そしてジャン・レノは地下基地で黙示録の天使たちの秘密を解き明かした!


黙示録の天使たちは何故顔が無いのか?


スキーマスクを被っていたからだ! ってバカか!


黙示録の天使たちは何故不死身で超人なのか?


アンフェタミンを飲んでいたからだ! ってアホか!



    黙示録の天使たちやドイツ人達が完全武装で突撃してきた。ジャン・レノとブノワ・マジメルは拳銃だけで反撃する。しかし敵がガスを投げてきたので二人は捕まってしまう・・・って逆だよ逆!ガスを投げてから突撃するんでしょうが!
    こうして捕らえられた主人公二人はドイツ人達に秘宝の在処まで連れていかれる。そしてロープで縛られて、彼等の目の前でドイツ人達は秘宝を開けようとする。主人公はドイツ人に「秘宝を開けるのはやめろ!」と注意するが、ドイツ人は構わず開けてしまい自滅する・・・「レイダース」と全く同じクライマックスですね
    秘宝を開ける直前にジャン・レノはヒロインに連絡を取ることができた、ジャン・レノは「秘宝が台座の上にあるぞ」と言うと、それを聞いたヒロインが秘宝の謎を解くいた「秘宝に触ると台座のワナが動きだす!」ってそれが秘宝の謎かよ!「レイダース」のオープニングと同じだよ!
   地下基地の上には湖があってその水が地下に流れ込んでくる。それがワナだった。うわぁ「ハムナプトラ2」と「トゥーム・レイダー2」のオープニングと同じだよ。ちなみに秘宝は本でした(映画秘宝という意味ではない)。
    っていうかさ、封印の日から730730日後伝説の鍵を使って秘宝を開けるっていうプロットは「インディ・ジョーンズ」「ハムナプトラ」「トゥーム・レイダー」のように神秘的な出来事が許容されている世界観だからこそ成立するのであって、現実的なミステリーのはずのクリムゾン・リバーがこれをやっちゃあオシマイでしょう。


    水が流れ込んできてドイツ人は全員死亡。主役二人のフランス人はロープに縛られていてたが、水の浮力を利用してロープをはずして脱出!という有るべきシーンが無いのですが、いつの間にか脱出。
    二人は必死に水から逃げるが砲門に閉じ込められてしまう。そして扉を動かすハンドルがどうしても動かない。そこでジャン・レノは閃いた!「俺らもアンフェタミンを飲もう!」
    そして二人はアンフェタミンを飲んで元気一杯!物凄い力を発揮して扉をこじ開けて・・・って効果早すぎ!栄養ドリンクのCM並みの早さです。


    栄養ドリンク飲んで元気が出た二人は地下基地の外へ脱出、そしてエンディング。基地外だな。
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