映画が始まった瞬間から高テンションの爆走開始!(ただし時速40キロ以下) そのまま映画は史上最速の早さで[
エンディング]へ(「ドラえもん のび太の魔界大冒険」よりも早い)。篠原涼子はゲロ噴射!そして花電車!
ヤンキーも老人もみんなジャージ着ている関西地方から、牛糞落ちてる茨城県下妻市、18世紀フランスまで映画の舞台は時空自在に動く。映画はとりとめなく暴走し・・・。
僕は日本の映像界特有の
「CGや編集で意外なことやればオシャレ」という感覚が大嫌いです。しかもそういった現象を映画に持ち込んで「この映画って面白い」と誉める傾向に辟易していたし、邦画の悪いクセだと思っていた。「下妻物語」はその悪いクセをやってしまっている。でも「下妻物語」に関しては否定的にはなれません、だって映画として面白いから。映画本筋の
「性格の合わない女の子二人の友情」がちゃんとクライマックス目指して突っ走っています。(メチャクチャな序盤はクライマックスの[
胎内にいる桃子の「私が生きるのはロリータ人生のためだけじゃない!イチゴを助けたいからなの!」]という状況の伏線になっている)
ロリータファッションに身を包んだ桃子はある日バリバリのヤンキーのイチゴと出会う。その日以来イチゴは何かと桃子に付きまとうのだが・・・。
桃子は根性が捻じ曲がっている女の子。それを
自分で認めているし、反省もしていないし、改善しようとも思わない。桃子は孤独が好きで友達がいなくても構わない。自分の道しか見ていない。観客はそんな桃子に共感が出来るのです。こういう世間からはずれまくったキャラを観客に納得させるもの女優の資質だと思う。
そしてさらに強烈なキャラがイチゴ!っていうか
土屋アンナ!言葉遣いも動きもヤンキー丸出しですぐに人を頭突くわ、蹴るわでカワイイ。
この二人がとてつもなくイイ!絡みを観ているだけで幸せな気分になってくる。日本の若手女優でここまで感心出来る存在は少ないぞ。
映画館の中は女の子だらけだったけど「下妻物語」は単なる女の子映画じゃない。原作者は
「ハードボイルドじゃなきゃ乙女じゃない」と言っていて、実際劇中でも
男気に通じる乙女チックな生き様が出てきて男性にも観れる内容になっています。劇中代官山のナヨナヨしたオカマ野郎がそれを理解させてくれる。乙女チックだろうがハードボイルドだろうが一生懸命にやっていくことが大切なのです。
「下妻物語」のクライマックスは[
孤独に生きる一匹狼が、ヤクザの鉄砲玉と絆を深め合う。だがその鉄砲玉が自分の組を破門されリンチにかけられていた。孤独に生きるはずだった一匹狼は鉄砲玉を救うためにヤクザに殴り込みをかける・・・。]と同じ事をやります。何て男気があるんだろう!いや男気なんて言葉は古臭い、っつーか男じゃねえ。女気だ!
下妻物語は女気溢れる青春映画だ!
以下、僕が思いっきり感動した後半の展開
[
桃子はイチゴの特攻服の刺繍をすることにした。イチゴは言う「特攻服を預けるってことは命を預けることだ。お前にまかせた」。
桃子は一生懸命刺繍した。桃子は何で一生懸命刺繍したのか自分でわかっていない。刺繍を受け取ったイチゴの喜ぶ顔を見てどうして自分が泣きそうになったのかわかっていない。その気持ちが友情だってことをわかっていない。
ある日桃子に幸福がやってきた・・・。桃子は自分が孤独でも生きてられると思っていた。高校時代がずっと一人でも平気だった。「不幸には耐えられる」。自分の内なる世界を信じている桃子には孤独なんて不幸ですらなかった。でも不幸よりも耐えられない事が出てきた。「幸福になること」。幸福を目の前にした桃子は初めてイチゴにすがろうとしした。そして自分を励ましてくれるイチゴを見てわかっていなかった事がわかった。でもそのときイチゴはピンチに陥ってしまった。
モモコは自分の意思でイチゴの元へ向かう決意をする。憧れの神様も賛成してくれた。桃子は爆走する、スクーターの時速は30キロかもしれないけど、もう誰も桃子を止められない。だからトラックにぶつかってもヘッチャラ。道には牛糞、はじけるキャベツ、フリルの服からこぼれるのはパチンコ玉。そこは下妻。
ラストシーン。桃子とイチゴはボロボロの顔で笑う。そんな二人がかわいくてかっこいい。
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オマケ
● 女性の攻撃性を示すシーンでハンドボールが出てくるのは、元ハンド部としては複雑な気分でした。
● ヤンキーの女の子ってカワイイのにどうして
男の趣味はヒドイのだろう(劇中だけじゃなく現実も)。
● 宣伝で「超大物がゲスト出演!」って煽っているけど僕は芸能人とか全くわからない。だから「超大物がゲスト出演!って言われてもなぁ」と思っていたら・・・あの御方だとわ!
● 映画館にはロリータファッションの女の子が多かった、かわいかったぞ。ああいう女の子達って好き。でも男がやるのはどうかと。