「指輪物語」も「スター・ウォーズ」も「ハリー・ポッター」もみんなアーサー王伝説の影響を受けている!と華々しく宣伝しているけど、映画版「キング・アーサー」は「七人の侍」の影響を受けています。監督は
アメリカの黒人の兄ちゃんで、その昔「リプレイスメント・キラー」でデビューを飾った人。この監督のインタビューは非情に面白くて
「黒澤の映画が大好きでさ、何度も何度も観ていたら妻にDVDとか全部取り上げられたからPCでこっそり観ているよ!」
「七人の侍みたいな映画を作りたかったんだけどさ、キング・アーサーの脚本を読んでみたら騎士が七人だったからラッキーだと思ったんだ!」
って
イギリス人が聞いたら激怒しそうな事語っています。
そう「キング・アーサー」はアーサー王伝説は
わりと無視した作りなのです。だから最大150人と言われる円卓の騎士はたった七人。インディ・ジョーンズにも出てきた聖杯は無いし、抜いたら王になれると言われる聖剣エクスカリバーは
単に墓に突き刺さっていた剣。その代わり「七人の侍」へのリスペクトが強い。円卓の騎士には
騎士じゃなくて武士としか思えない動きをする奴もいる。っていうかこいつは武士というよりも久蔵[
なので死に際まで似ている]。←「キング・アーサー」「七人の侍」両方のネタバレ。
僕はこういう中世活劇が好きなので楽しめたし、ローマ帝国に渋々従いながら任務に就く騎士団の物語は面白い。たった八人で敵の軍隊と対峙する氷原の対決なんかかなり燃える。
でも「キング・アーサー」のドラマには欠点が多い。敵の先住民がアーサー達に[
協力を申し出る]シーンがアッサリすぎて(クライマックスじゃなくて途中で[
和解]する)全然盛り上がらなかったり、「七人の侍」で言うところの菊千代であるランスロットのドラマが弱すぎる。一番致命的なのは
「キング・アーサー」とはアーサーがブリテンのキングになる物語だ!という
基本設定が理解できる描写が無い。僕はエンディングの[
ブリテンの先住民がアーサーに土下座する]シーンで、ようやく基本設定を思い出しましたよ。