フェルメールの「青いターバンの女」に秘められた物語・・・なんだけど大体僕はフェルメールなんぞ好きじゃなくて、マグリットやダリやクリムトとかが好きな人間。だからフェルメールの絵の中に物語を見出したこの映画にはあんまり興味が無かった。でも評判がいいので観に行った。かなり混んでいるらしいので平日に行ったんだけど、その日はレディース・デーだったので逆効果。女性で満員の劇場に男はほんの数人だけ。しかもアイスクリームの宣伝キャンペーンもやっていたのでみんなアイスクリームを食べていた。映画館の客全員がアイスクリームをパクついている異様な光景だった。
「真珠の耳飾りの少女」はフェルメールの世界を再現した映画です。でも本当は
再現じゃなくて原作者やスタッフ達がフェルメールの絵から勝手に世界を作り出し自分達で
構築しているだけなんだけど、その出来があまりにも良いので本当に「再現された!」と思えてしまう。当時の生活描写の丹念な描写には唸ってしまうし、フェルメールがヒロインと二人で絵の具を作りながら惹かれていく過程も面白い(昔の画家は絵の具作りから始めなくてはいけなかった)。物語には特別な起伏は何もなく登場人物達の微妙な感情だけで起伏が作られる。本当に絵画みたいな映画です。映画としては本当に素晴らしい出来なので星は3つだけど、これは非常に
うっとおしい作品でもあります。「絵の中に物語を見出す」しているんだけど、その物語っていうのが
貧しくても美しいメイドがいた。メイドは画家の家に勤めることになった。そこにはヒステリックな奥様や、厳しくても優しいメイド長や、奥様のイジワル娘がいた。画家は絵を描くのが遅いので苦しんでいた。でも画家はメイドをアシスタントにして絵を描き始める。そのうち画家はメイドに魅せられ「君をモデルにしたい」と言い始めた。だがイジワル娘が物を盗んでヒロインのせいにしたり、パトロンがメイドに手を出そうとしたりする。また大奥様が・・・
って
これがフェルメールの絵の物語かよ!日本の
貴族系少女マンガで散々やってるパターンだよ。物語や登場人物が型にはまりすぎている。それにメイドに「唇を濡らせ」と命じたり、ピアッシングをしているフェルメールに色気が無いので、これらのシーンがものすごく下品に思えてきてそのうち全てがうっとおしくなってきた。
オマケ:この時代に既に「カメラ」や「映像」という概念があって、フェルメールがそれを駆使していたというのはちょっと驚いた。
それにしてもこういう芸術系の映画は定期的に流行るねぇ、ほとんど観に行かないけど。大体僕は
本当の意味で好きなのがマグリットやダリやクリムトなんぞではなくて、
空山基だしね。あとギーガーとか。