僕はバリバリの理系人間なので
「存在が証明できないという事は、存在していないという事」と絶対的に考えている。でもそんな僕は夢物語系のお話が大好きです(良い例:ドラえもん、悪い例:マトリックス)、何故なら
「信じれば存在しているのと同じ」とも考えているからです。
いきなり書くけど
この世にはサンタクロースはいない。もちろん公認サンタとかいった存在はあるけれど、僕達が子供の頃に信じたような概念のサンタクロースはこの世に存在しない。「ポーラー・エクスプレス」はそんなサンタクロースを信じさせるための映画なのです。
クリスマスに対する信仰心がテーマになっているので、日本人の僕にはちょっとピンと来なかった。
実は「ポーラー・エクスプレス」は[
夢オチと解釈することができる。主人公が一度眠るとポーラー・エクスプレスがやってきて、家に帰った主人公がベッドに入ると次に目覚めるのは日常の朝。これは夢オチと解釈できるというよりも夢オチそのものです。家の前の雪にはポーラー・エクスプレスの跡は何も残っていない、大切なはずのチケットも残っていない、破れたはずのコートは元に戻っている。ポーラー・エクスプレスの友達も、車掌のおじさんも、北極の街も、全て夢だったのです。
でもこの映画のラストシーンにはたった一つだけクリスマスの真実が残る。それはクリスマス・ツリーの根元には、サンタさんからのプレゼントがあるということ。主人公のコートが夢と同じ場所で破けるのはそのためなのです(コートが破けているからこそ、サンタさんから箱入りでプレゼントされる)。]サンタさんからのプレゼントというクリスマスの真実があるからこそ、サンタの存在を信じることができる。これは映画の中の話だけじゃなくて、僕達が実際に小さい頃に体験してきたことです。
「ポーラー・エクスプレス」が映画として惜しいのは、小さい頃のサンタへの感情を、
思い出すことは出来ても取り戻すレベルまでには行ってない。
ピクサーや宮崎駿だったら子供の頃の感情を取り戻す事が出来るからこそ、彼等の映画は魔法のように素晴らしい。「ポーラー・エクスプレス」の
アニメ技術はとてつもなく優れているけど、魔法にまではなっていない。
オマケネタ
● それはそれとして列車アクションは楽しかったぞ!機関士達がマトリックス風味に争うシーンも。
● よく
「もし○○が黒人だったら」というジョークがある。例えば「大統領が黒人だったら」
「マイケル・ジャクソンが黒人だったら」とかね。「ポーラー・エクスプレス」の場合は
「ハーマイオニーが黒人だったら」です。現代的なキャラで良かったな、あの
黒いハーマイオニーは。
● 子供の観客のために
「両親=サンタ」の図式を丁寧に消している。両親が「end of Magic(魔法の終わり)」と呟いたり(
子供には意味がわからないが、大人にはわかる)、クリスマス・プレゼントが[
電車模型]だったり。
● サンタと並んで「信じれば存在しているのと同じ」の代表格である
幽霊がちゃっかりいるのが面白い![
自分から「幽霊って信じるのか?」と聞くところが上手い。]
● 英語サッパリわからない僕だけど、主人公の口癖の「Are you sure?」を「確かなの?」と訳してあったのは、ちょっと違和感感じました。子供の台詞だし、サンタに疑問を抱いている主人公の口癖なんだから「ホントに?」とかのほうが適当だと思うんだけどなぁ。
● [
クリスマスのエルフ]が
エアロスミスのスティーブン・タイラーというネタは爆笑しました。
● 「ポーラー・エクスプレス」ではパフォーマンス・キャプチャーという、モーション・キャプチャーよりも遥かに凄いらしい技術が使われているそうです。でもどんなに人間の演技をキャプチャーできても、目の演技をキャプチャーするのは難しいと思う。この映画の登場人物達の顔に味気が無いのはそこらへんが原因だと思う。
● 登場人物達が名前を持っていないのは新鮮でした。グッズ販売とかする気ないんでしょうね。