試写会でもイベントでもない一般上映なのにクライマックスと上映終了後に拍手が起きたのはビックリした。こういうのって極めて珍しいぞ。
おしとやかな人が花をたしなむように、おしとやかさと無縁な僕は
岩や金属をたしなんでいる。僕がこういう音楽を聴くようになったのは90年代後半のモダン・へヴィネス大流行がキッカケなので正統なロックとはちょっと違うけど、それでも「
クラシック音楽?ああ、クラシックって確かにいいよね。
ディープ・パープルとかレッド・ツェッペリンとかよく聞くよ。」と常々思っている。(ディープ・パープルは現在も活躍中)
映画「スクール・オブ・ロック」に出てくるロックはどちらかというとクラシックなロックが出てきます。だから「ロックなんて普段聞かないよ!」って人も大丈夫。僕にも結構難しいネタがあったけど楽しめた。
「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のイントロがわかれば十分だと思う。ちなみにパンフレットには「(この映画で使用されているのは)主に
BURRN!に掲載される音楽だ。」という大雑把でありながら非常にわかりやすい解説が載っています。
映画「スクール・オブ・ロック」の音楽はAC/DC系でクライマックスでは[
ジャック・ブラックが小学校の制服スタイルで登場]するという、
AC/DCのアンガスの存在自体が映画の伏線になっているネタも披露します。
ストーリーは
ハードロックバンドのギタリスト(だけどダメ人間)がバンドをクビになって、本格的にダメ人間になってしまった。しかし彼はひょんなことから超エリート小学校の教師に成りすます。そして教壇に立ち教鞭を振るうことなく偽教師を演じ続ける。だがある日担当クラスの小学生達がクラシック演奏をさせればものすごい力を発揮出来ることに気がつき、「それじゃあこいつらにロックバンドをやらせよう!」と思い立った。だが相手はポケモン世代の小学生、ロックのなんたるかを全く知らない!というわけでダメ人間と子供達のスクール・オブ・ロックの日々が始まる。
映画「スクール・オブ・ロック」は何がイイって映画の観客をジャック・ブラックという最強キャラに感情移入させるのです。観客はジャック・ブラックの
暴れっぷりを楽しむ形式の映画のはずなんですが、子供達に対しては観客はジャック・ブラックの視点と一致する。僕達観客はロックの授業では子供達の才能に(ジャック・ブラックの視点で)驚き、子供達がロックを目指して頑張る姿は(ジャック・ブラックの視点で)楽しい。そしてクライマックス直前、子供達が[
学校から追放されたジャック・ブラックをスクール・バスで迎えに行く]シーンは(ジャック・ブラックの視点で)嬉しいのです。
だから観客はクライマックスの[
ジャック・ブラックのダイブ]に拍手をするのです。僕達観客にとって一番感動できることは[
ダメ人間のジャック・ブラックがオーディエンスに受け入れられること]なのだから。
でもこの映画で残念なことが一つある。大人の視点で描かれているのがダメ。ジャック・ブラック(時々すごい男前になるね、コイツ)があまりにも強烈すぎて子供達の視点まで奪ってしまっている。
自分の趣味を子供達に押し付けて「子供がやってるよ!すげーよ!楽しいよ!」と満足しているのと同じ事をやってしまっている・・・
だからこの映画は面白いのか。
追伸:ロックン・ローラーといえども算数位は出来なきゃダメだぞ。