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シュレック   ★★★★

    山火事に巻き込まれたバンビを見て「バンビ、どうなっちゃうの?」とハラハラドキドキする純真な心も大切だけどそれは子供の事。大人になったら山火事に巻き込まれたバンビを見て「まあそれはそれとして小鹿の丸焼きっておいしそうだよな」と思える位の汚れた心は持って欲しいものです。


    爆笑ファンタジーアニメ「シュレック」の見所といったらもちろんアンチディズニー精神。ディズニーをクビになった人達が作った映画なのでディズニーへの皮肉はタップリ。

● ピーターパンはティンカーベルを、ゼペットおじさんはピノキオを売り飛ばす

● 劇中出てくる悪の国がディズニー・ランドにソックリ

● 主人公はネズミを焼いて食べる

● 白雪姫の紹介の仕方:「彼女は7人の男と同棲しています。クールな女(死体)ですがキスすればホット(生き返る)になりますよ。」
    「シュレック」の製作総指揮ジェフリー・カッツェンバーグがディズニー版「美女と野獣」でディズニーアニメを大成功させた本人なので、基本プロットは「美女と野獣」への強烈なアンチになっています。「美女と野獣」のラストシーンで人間に戻った野獣を見て誰もが「野獣の時の方がカワイイ」と思ったはずですが、シュレックにはそのカワイイ感すら無い、っていうかキタナイ。美女が戦闘キャラなのも現代的で良いです(噂によると「シュレック2」はディズニー系キャラが活躍するらしいが)。


    映画「シュレック」で標的にされるのはピーター・パン、ピノキオ、リトル・マーメイド、シンデレラ、白雪姫、3匹の子豚等、どれもディズニーが著作権を持っているわけじゃないのでいくらでもネタにできるものばかり。逆に言うとディズニーのオリジナル作品じゃないのに、これらの作品はディズニー印が標準だと錯覚してしまいそうなのが恐ろしいですね。過去の童話やファンタジーのディズニー版をグローバルスタンダードとして売り出す、これもディズニーの戦略なのでしょうか。
    そしてディズニーのおかげで僕達はファンタジーアニメとは”お姫様が森で歌いはじめるとかわいい小鳥がさえずり、動物たちと仲良くミュージカルする”と刷り込まれてしまっている。映画「シュレック」はそんな状況をバカにしてくれます。だから”お姫様が森で歌いはじめるとかわいい小鳥は[爆死]する”。だからオープニングに出てくる昔ながらの絵本はケツの穴を拭く紙になる。だからシュレックと姫は動物を虐待しながら仲良くなる。

    でもだからといって「シュレック」は悪意に満ちた映画じゃない。そもそも動物虐待ネタとかウンチネタとかで喜ぶのは大抵子供。ディズニーアニメの傑作「蒸気船ウィリー」だって想像を絶する動物虐待映画です。子供は純真な心を持っているけど、だからといって子供は良識なんて好きじゃない。「シュレック」はそこらへんのバランス感覚が非情に優れている。汚い怪物やうるさいロバを活躍させて子供の純真な心を掴もうとする。そして「シュレック」は良識からは外れるかもしれないけど、優しさや勇気の正しい姿はキッチリ伝えるんだから立派なファンタジーアニメです。


オマケ:ディズニープリンセスアカデミー」っていうのがあります。女の子は誰だってお姫様なのでこういうお勉強も素敵ですが、僕個人としては「シュレック」のラストシーンの[シンデレラと白雪姫がブーケを巡ってキャットファイト]にも学びとって欲しいものがあります。
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