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スターシップ・トゥルーパーズ   ★★★★★

    ハイスクールを卒業した主人公の少年がガールフレンドを追っかけて軍隊に入隊。でもそのガールフレンドは主人公を見捨ててエリートの男性と恋に落ちてしまった。失意に落ちる主人公だけどハイスクール時代から主人公に思い焦がれていた女性も出てきた。この4人の関係は一体どうなってしまうのか?そんなとき主人公たちの故郷ブエノスアイレスで大事件が起きた。ブエノスアイレスが壊滅したのだ。原因は宇宙からの隕石攻撃だった。
    地球連邦軍は大宇宙艦隊を編成して出撃、敵地を目指して進撃する!だがその時宇宙空間を切り裂くプラズマ砲が出現!宇宙戦艦は次々に撃沈される。プラズマ砲の正体は昆虫のお尻から出る何かだった!(マジ)。そこで歩兵部隊は昆虫のお尻に核爆弾を突っ込んで倒す!(いや、マジだって)。そして歩兵部隊は全員叫びながら突撃という実に男らしい攻撃を実行する。

    以上のように高テンションのストーリーですが、この時点で「スターシップ・トゥルーパーズ」のストーリーのまだ半分にも達していません。この後さらに映画のテンションはあがります。バグ(昆虫)と人間の戦争は始まったばかりなのです。


Forget the insecticide, bring on the NUKES!

殺虫剤なんて忘れろ、核兵器持ってこい!!

(この最低の文章が劇場公開時のキャッチコピーです)

    「スターシップ・トゥルーパーズ」は超傑作の映画で、1998年の僕のベスト1作品です。低予算のホラー映画にはバケモノが出てきて、人間の手足を切断したり、焼いたり、溶かしたり、脳ミソ食べたりする描写がよくありますが、「スターシップ・トゥルーパーズ」はそんな描写を100億円以上かけてやってのけた素晴らしい映画です。監督は僕がレニー・ハーリン先生と並びもっとも尊敬しているポール・バーホーベン先生。この二人は男らしい映画監督という点で共通しています。
    ポール・バーホーベン先生の作風といったらそりゃあ勿論女性蔑視なんですが、本人が女性蔑視にまるで気づいていないのが実に男らしい。ポール・バーホーベン先生は「未来社会は男女平等が実現されているはずだ!」いう思想を持っており、「スターシップ・トゥルーパーズ」では男も女も皆一緒にシャワーを浴びています。それは男女平等じゃないだろう。単純に男の夢だろう。っていうか「ロボコップ」のロッカールームでも同じ事やってたし。撮影中はもちろん俳優達が裸になるのを嫌がったので、ポール・バーホーベン先生は男らしく自ら裸になって、「恥ずかしくない!」と俳優達を指導したそうです。それは演技指導じゃなくてポール・バーホーベン先生が単純に脱ぎたがったからでしょう。裸を見せたい変態だからでしょう。
    「スターシップ・トゥルーパーズ」はアメリカでは大不評を買ったのに、何故か日本では大変評判が良い(本国ではビデオ扱いの続編も日本では劇場公開されている)。以下は僕の個人的な考えです。
    「スターシップ・トゥルーパーズ」は戦争やったるぜ!という概念の元に様々な狂気の描写が映し出されます。映画の導入と最後は軍隊の勇壮な戦争賛美のCMが流れ、未来社会では軍隊に入らないと市民権も出産権も手に入らないという設定になっている。地球連邦軍はナチスの格好をするし、少年少女を兵隊にしても主人公はそれを感慨深く見ている。幼い子供達に微笑みながら銃を渡すシーンもある。マスコミに「敵と共存する方法はあるのでは?」と聞かれた主人公は「皆殺しだ!」と答える。そして映画のオチは捕虜虐待(女性器にドリルを突っ込むとか)。しかもいずれのシーンも戦争に対する皮肉というわけではなく、そういう描写が好きだからやりましたというポール・バーホーベン先生の意図が見えてくる。
    これは戦争を政治手段にしてしまっているアメリカ人にとっては大変居心地の悪い描写なんだと思う。戦争は狂っていない、でも「スターシップ・トゥルーパーズ」は狂っているという矛盾があるから映画を肯定することが出来ない。
    それに対して戦争放棄し、戦争とは悪だ!それ以外の何モノでもない!という概念がある日本人にとって戦争は狂っているし、「スターシップ・トゥルーパーズ」も狂っているとしか思えない。だから作品の狂った描写を心の底から楽しむ事が出来るんだと思う。
    実際「プライベート・ライアン」を観ても「リアルな戦争だなぁ」としか思えなかった僕が、「スターシップ・トゥルーパーズ」を観たときは戦争は悪だ!どんな理由があろうともやっちゃダメだ!という事を改めて気づかせてもらいました。



注:文中の「男らしい」は「バカ」に代えて読んでください。
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