マトリックス


    1999年にアメリカで製作されたエポック・メイキングな大傑作で、映画史どころか映像史にも多大な影響を与えた極めて重要な作品。時間を止めてカメラを回転させる”タイム・スライス”という技術を進化させ新たに”ブレット・タイム”と名付けた映像は、映画本編を観たことがなくても誰もが知っていることでしょう。
    もちろんこの映画は特撮だけではなく、当時世界的評価を得ていても一部のマニアにしか知られてなかった香港系アクション映画、日本のMANGA、ANIMEの要素を貪欲にそして贅沢に取り込んだ映像も有名です。
    SFとしても優れていて実はこの世は嘘の世界というストーリーを極めてわかりやすく表現、現実と虚構という感覚を取り込んでいます。
    しかし今回ここで取り上げるのはそういった要素じゃなくて、この映画の中盤までの主要素の駄目サラリーマン物語の再検証です。


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頑張れトーマス


    舞台は現代、シカゴで働く平凡な名前の青年トーマス・アンダーソン。彼はネオというハンドルネームで夜遅くまでインターネットをやっていて、ハッカーとしては有名だが現実はヘボなサラリーマン。
    引きこもりのトーマス君もある日、女と仲良くやってる友達に誘われて珍しくクラブへ行くが、普段はネットオタクの彼がクラブへ行って出来ることなどあろうはずもなく、そこらへんでボーっとしているだけ。
    そんなトーマス君に突然スタイリッシュな女性が現れ「あなた夜な夜な検索ばっかかけてるでしょ」と話し掛けてくる。ビックリするトーマス君だが彼女のハンドルネームがトリニティだと知ると、「あの有名なハッカー!?」とネットオタクのトーマス君は反応する。
    トーマス君はいつも通り寝坊して会社に遅刻、上司に「今度遅刻したらクビだ」と怒られつつも、ビルの窓清掃をポケーと見ている。自分の机についてつまらない業務に取り掛かろうとするトーマス君に、突然宅配でケータイ電話が渡される。ケータイに出ると「逃げろ」という指示が!なんと会社に黒づくめの男達が現れ自分を狙っているではないか!電話の指示にしたがってコソコソ逃げるトーマス君だが、高いところが怖いので捕まってしまう。


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妄想で現実逃避


    怖い人たちに捕まってしまった挙句ハンドルがバレバレのトーマス君、死ぬほど恐ろしい目にあうが意識が覚めると元の生活に戻っていた。アレは夢だったのだろうか?


    そこでトーマス君はスタイリッシュなトリニティ達に連れられてスタイリッシュな黒人(モーフィアス)と出会う。彼の口から語られる衝撃の真実・・・。この現実は全てコンピューターが作り出した仮想世界で、人類はコンピューターの管理する容器の中で眠らされて夢を見ているのだ。モーフィアスやトリニティ達は人類を解放するためにコンピューター達に戦いを挑むレジスタンス、そして彼らが言うにはトーマス君は人類を救う救世主だというのだ!










これって男子中学生の妄想じゃん




現実でダメ人間

実は現実は嘘

自分は英雄


ってオイ。





    とにかくトーマス君は真実を知る決意をして(・・・と書くとカッコいいが実際は現実から逃げるということ)赤い薬を飲む。そうすると自分の目の前に広がるのは、容器の中でコンピューターに管理される人類の姿だった!


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オフ会とゲーセン


    コンピューター管理から解放され、レジスタンスに助け出されたトーマス君。いや救世主ネオ。彼はレジスタンス達の船に乗りみんなで食事を摂る。しかし仮想現実ではスタイリッシュだったレジスタンスのメンバーも現実ではみんなダサいニット帽やボロボロの服を着てブツブツ言いながら不味いご飯を食べている。
    しかも隣に座った下品な会話しかできない変態小僧は自分がプログラムした女性を自慢している。さらにみんなネオのことを救世主扱い、まるでネット有名人のように。


    仮想現実をインターネットに置き換えればコレはオフ会ですね。


    さらにネオは仮想現実で戦うために格闘技をダウンロードする。格闘技の腕を仮想上で試すために、ブルース・リー・オタクだったモーフィアスと格ゲーの対戦モード宜しく対決する。

    白熱した妄想上の戦いに興奮するゲーセンのギャラリー達、じゃなかったレジスタンス達は仮想空間だとケンカに強いネオを見て
「アイツはすげえ」


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警告:以降はネタばれです

ストーリーを解説するのは中盤までですが
これ以降を読むと確実に映画本編が楽しめ
なくなりますので注意してください。






マトリックス


    オタク達、じゃなかったレジスタンス達はネオを予言者に逢わすためにマトリックスの世界へ。ダサダサのレジスタンス達も仮想世界ではみんなスタイリッシュ。
    そして遂にネオは予言者と出会う、予言者は母ちゃんみたいなおばさんだった。しかも痛いことに
「自分でもわかってると思うけどあなたは救世主じゃないわ、クッキー焼いたけど食べる?」と

    結局ネオは救世主じゃなかったのだ、所詮はダメ人間だったのだ。いつだって母ちゃんは優しいけれど残酷だ。


    しかもレジスタンスのメンバーで
「現実より空想のマトリックスのほうが良かった!」
    と裏切り者(飲み好き)が出たためにレジスタンスは壊滅、ネオを救世主と勘違いしているモーフィアスは身代わりに捕まってしまう。


    命からがらマトリックスから逃げれたネオ、しかし彼はある決意をする・・・。


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最後に


    ストーリーの解説はここまでです。実際この後ネオは
「俺は救世主じゃない!普通の男だ。だから助けに行くんだ!」
    とモーフィアスの救出を決行します、自分が英雄などではないと気がついた男の決意だと思うと胸が熱くなります。


    この映画では現実(劇中では虚構扱い)を思い起こさせるアイコンが色々散りばめられていて、例えば敵であるエージェント・スミスは必ずネオのことを”ミスター・アンダーソン”と呼びます。これは現実の世界で駄目サラリーマンだったネオのアイデンティティを揺るがす言葉です(いじめられっ子だった頃のあだ名で呼ばれるようなものか)




マトリックスについて知りたかったらこのサイトへ!勿論映画秘宝も。



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