恋人はスナイパー 劇場版


「日本国民1億3千万人を誘拐した
身代金は5千億円」

    これが「恋人はスナイパー 劇場版」のプロット兼キャッチコピー、馬鹿丸出しで最高です。
    僕にとって最凶の脚本家と言ったら、勿論リュック・ベッソンだったのですが、去年「踊る大捜査線2」を観て君塚良一こそがリュック・ベッソンをも凌ぐ最凶の脚本家なのでわ?と疑念が沸いて来ました。そして2004年君塚良一脚本作品「恋人はスナイパー 劇場版」が公開されたので、期待に胸を膨らませて鑑賞したら期待を遥かに凌ぐ素晴らしいストーリーでした。
    「恋人はスナイパー 劇場版」はもちろん「DEEP LOVE」や「沈黙の標的」に匹敵するクソ映画でしたが、これらの作品と違って不愉快さは無くてリュック・ベッソン作品や「フォード・フェアレーンの冒険」を観ているときのような幸せな気持ちで鑑賞できる素敵なクソ映画でした。こーいうの大好き。






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六本木ヒルズでオープニング


    ヒロインの刑事:きなこは家族と一緒に六本木ヒルズ近くのレストランで食事しようとしていた。しかしそのとき突然テラスにいた客が射殺された!きなこが周囲を調べると遠く離れたビルの屋上に金髪の男を発見、きなこは六本木ヒルズに向かって、すぐに金髪の男を見つけた(緊張感まるで無し)。金髪の男は国際犯罪組織1211のスナイパー:ハンだった。ハンの兄貴分は1211のスナイパー:ウッチャンだった。だがそのハンの殺人現場にウッチャンの恋人?のきなこがいたのは偶然だった。
    ハンはきなこに薬莢を投げて自分が狙撃犯だということをわざわざ教えてから走って逃げ出す。きなこは通報やセキュリティへの連絡とか何もせずに、黙りながら追いかけはじめる。だがきなこは六本木ヒルズの回転ドアを通っているうちにハンに逃げられてしまった。何で回転ドアを通っただけで諦めるんだよ!とツッコミたくなるが、場所が場所で時期が時期だけに何か違う説得力がある。


    今回の射殺事件以降、似たような射殺事件が連続し、警視庁で会議が行われる。きなこと上司は被害者達に何の共通点がないことを突き止める。いや、っていうかきなこは犯人を目撃しているんだろう?被害者じゃなくて犯人の線を追えよ!しかも犯行現場にはライフルが残されているじゃん!
    会議後きなこは首相官邸に呼ばれる。そこでは内閣が今回の事件に対応していた。そして衝撃の事実が判明する。実は今回の事件は1211の仕業であり、1211から射殺をやめて欲しければ身代金5千億円を払えという要求がくる。まるで小学生かリュック・ベッソンが考えたような要求ですが、首相は「税金は勝手に使えません」とこの要求を拒否。
    ちなみにこのシーンでは犯人の声をパソコンで分析していてそれが画面にどーんと写るのですが、分析と声がまるで合っていない。この映画はディティールというものにまったく気を配っていないおままごとのような演出が延々と続きます。っていうか犯人も何故か自分の声をパソコンで分析していたりしています。
    パニックになる日本政府。警察は首相に「人質をさらうだけが誘拐ではありません」と今回の事件を解説しはじめる。何言ってるんだよ!人質をさらうのが誘拐だよ!
    さらに「(誘拐犯が)人質を殺すのは防げません」とこのままじゃ事件が解決できないと泣き言をほざく。この事件は誘拐事件じゃなくて普通の殺人事件なんだから、捜査していれば犯人捕まえられるよ!


    さらに事件が起きた。高速道路でバスの運転手が射殺され、バスが転落して死傷者が多数出るという無差別テロが起きるのだ!といってもそんなシーンは実際に無く、高速道路に煙が出ているだけ。


    「ジャッカル」を観すぎた首相は遂にある決断を下す。「事件解決のためにウッチャンを呼ぶんだ。」


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ウッチャン絶好調


    ウッチャンは中国で殺人罪で裁かれ懲役250年の刑に服していた。中国の刑務所は日本の工事現場にしか見えない。
ウッチャンは刑務所から出所することになる。どうして中国政府が日本政府の無茶な要求に応じるのかサッパリわからない。
    こうしてウッチャンは日本警察に引き渡され、日本にやってきた。さっそく刑事達と最初の狙撃現場に向かうウッチャン。そこでウッチャンは事件当日の風速、気温、湿度を聞いて、ハンの狙撃の腕が上がっている、ハンは横浜中華街によく行くことを警察に教える。その程度の分析は日本に来なくても出来るだろ!
しかしここからがウッチャンの本領発揮!数々の射殺事件の現場写真を観ただけでウッチャンが次々に犯人を当てるのだ!でもこの推理があまりにも飛躍しすぎていて面白い。

「狙撃を2発左に外している。左にスコープがあるからだ。左にスコープがあるのは自衛隊の64式だから犯人は自衛官だ。」
    これが本当ならあらゆる狙撃事件の内、左に外しているのは全部自衛官が犯人ですね。

「競技用の弾丸を使っているので、犯人はライフル競技者だ。」

「500メートル先の運転手を撃った。凄い腕の持ち主だ。この犯人はアメリカ海兵隊シールズの銃を使う。」
    つまりアメリカ海兵隊シールズの銃が使えれば、凄い腕の持ち主になれるわけですね。レミントンとかはダメなのね。でもアメリカ海兵隊にシールズはいないんですが。
ネタ提供:べれんじゃ~さん


    シャーロック・ホームズでもやらないような爆笑推理テクニックを披露したウッチャン、っていうか君塚良一。


    こうして警察は元自衛官と元ライフル競技者の怪しい人物に目星をつける。彼等はセクハラや万引きなどで日本に不満を持っていたのだ!
    ライフル競技者を調べるひなこだが、ライフル競技者が謎の女性に何か(特に説明はつけられない)を渡していた。謎の女性を尾行すると弁護士事務所に行き着いた。きなこは弁護士と面会し、「重要参考人を追跡していたらあなたに行き着きました!」と口走る。弁護士はあからさまに怪しいが結局何もわからない。ただ弁護士は警察の不祥事を片付ける警察とつながりのある人物だった。コイツは一体何者なのか?

これより以下は完全にネタバレしています



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1211の真の狙い


    1211がマスコミを通じて恐るべき発表をしてきた。1211の真の狙いとは身代金ではなかったのだ!無差別殺人を繰り返す1211の計画の全貌とは…













平和バッチを1個5000円で売ることだった!!




つまりどーいうことかと言うと1211が

平和バッチをつけていれば殺さない事を発表する。

そうする事で

1個5000円の平和バッチが物凄く売れる。

    すげー!こんな爆笑犯罪計画初めて観たぜ!リュック・ベッソンなんてまだまだ青いよ。っていうか僕ここで爆笑していたんですが、これコメディ映画なんだから笑っていいんだよね?
    この平和バッチを作っていた工場のおじさんは1211と全く無関係でおじさんビックリ。おじさんの銀行口座には日本中から一斉に振り込みが殺到する。おじさんは「売り上げは寄付します」と言うが おじさんは5000円払わなくてもバッチを売ってくれるのでは?っていうかあんなバッチはどこでも(東急ハンズとかでも)作れるのでは?
    それでもおじさんから通販で買ったバッチをつけている人達が日本中に増え始めた。郵送とか大変そうだな。

続く…



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ダイハード3


    普段は留置場にいるウッチャンの元へ1211のボス:村木がやってくる。村木が留置場の中で「アチョー」と構えを取ると怪しげな音楽が流れてきて、次のシーンでは村木とウッチャンが脱走に成功している。
    村木はウッチャンに「犯人は俺たち1211じゃない。謎の組織がいて真の黒幕がいる」黒幕は弁護士であることがバレバレの説明をつける。
    脱走したウッチャンはきなこの近くに行く。そしてきなこから隠れながらきなこに電話をかけ、人の命を奪うとことの重さを説く。(これが伏線になっている)
    村木とウッチャンは横浜中華街のハンのアジトに行く。アジトにはNゲージが置いてあった。Nゲージには7:28 12:34というメモが書いてあった。Nゲージを動かすとNゲージが爆発した。村木はこのNゲージの動きから瞬時に敵の陰謀を見破った。村木が見抜いた恐るべき陰謀とは………

「7月28日に横浜市営地下鉄の電車に爆弾を仕掛けて、

外から爆弾を狙撃して列車を爆発させる。

タイミングは横浜市営地下鉄が地上に出た時だ。」






お前はサイコメトラーか!




何で手口がわかるの!

何で横浜市営地下鉄だってわかるの!

何で起爆の方法とタイミングまでわかるの!

    ちなみにどうして村木とウッチャンが横浜市営地下鉄だと気づいたのかは、横浜市営地下鉄のHPを見つけて理由がわかりました。Nゲージが横浜市営地下鉄のはまりんだったそうです(Nゲージにしてはちょっと大きい気もするので違うかもしれない)。ここではまりんじゃなくて箱根登山鉄道や瀬戸大橋線やシベリア鉄道の模型を使っていたら楽しい事になっただろうにな。


    ウッチャンはきなこに電話で連絡を取り、組織の陰謀を教える(でも爆弾が仕掛けられた電車を教えるシーンが無い)。きなこは慌てて横浜市営地下鉄の関内駅(でも関内駅ってJRもあるんですけど)に乗り込む。通報しろよ。メモには電車の発車する駅と時刻まで書いてあったらしいのできなこはその電車に乗り込む。乗り込むなよ、緊急停止ボタン押せよ!こうして爆弾を載せた電車は出発してしまった。    爆弾電車の片側の運転手は眠らされていた。仕方無いのできなこはもう片側に移動する。だから通報しろよ。時間が無いんじゃないのか?   もう片方の運転手は撃たれていた。仕方無いのできなこは爆弾を探す。電車を止めろよ。そして電車は暴走を始めた。横浜市営地下鉄も気づけよ。だいたいこの計画って地下鉄が地上に出た時に狙撃するんでしょ?地下鉄が地下にいる間に停止させれば問題無しじゃん。この脚本は欠陥だぞ、リコールしろよ


    暴走といっても普通電車が駅に止まらないだけなのでただの急行電車に見える。
   きなこは必死に爆弾を探す。でもさ「横浜市営地下鉄の電車に爆弾を仕掛けて、外から爆弾を狙撃して列車を爆発させる」でしょ?僕だったら爆弾は車内じゃなくて車外に仕掛けるけどなぁ。車内にあったら狙撃できないじゃん、普通電車のガラス近くには人間がいるよ?外側から電車を見て、向こう側の壁はほとんど見れないじゃん。電車が止まっていても狙撃できないよ。それにきなこは何で爆弾が車内にあるって知っているの?
    ちなみにきなこが消火器に隠されていた爆弾に気がついた理由は爆弾がピコピコ光っていたからです。え?何でピコピコ光っているの?これは単なる爆薬なんでしょ?起爆装置がないから外から狙撃するんでしょ?
    横浜市営地下鉄が地上に出るのできなこは爆弾を取り外す。建物の屋上から電車内の爆弾を狙っていたハンは狙撃に失敗する。


    ちょっと真面目に批判させてもらいますが、この一連のシーンは本当に酷い地下鉄に爆弾が仕掛けられた→ある地点に達すると爆発する→主人公が直接乗り込んで自力で解決しなくてはならない。このメチャクチャすぎて現実的に成立していないプロットは丸ごと「ダイハード3」のパクリなんだけど、「ダイハード3」はサイモンセッズという実在のゲームのルールに乗っ取っている。犯人が「サイモンセッズ、何時何分のあの地下鉄に爆弾を仕掛けた。主人公が自力で解決しないと爆破させる。」と主人公の行動を限定させてしまうのだ。もちろんこの限定にはゲームとしてではなく、ちゃんと犯罪計画として裏の意味もある。だから「ダイハード3」は現実的には成立していなくても、映画としてはちゃんと成立しています。映画にとって大事なのは現実的なお話じゃなくて、映画的なお話なのです。
    でも「恋人はスナイパー」は現実的に成立していないばかりか、映画としても成立していない。映画のお話になっていません。しかも爆弾が隠してある場所が「ダイハード3」と同じというパクる必要が無いところまでパクるし。


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何じゃこりゃあ!


    ハンのいる建物の屋上に村木とウッチャンがやってくる。村木はハンの狙撃場所まで知っていたらしい、やっぱサイコメトラーッスね。村木とウッチャンに狙われたハンは突然手にしていたライフルを捨ててカンフーで戦い始める。でもこのクソ映画の中でカンフーだけが唯一面白い、ウッチャン頑張っています。
    ウッチャンとハンがカンフーごっこしている時に村木の腹が狙撃された!村木は呆然と自分の腹を押さえる。そして自分の血がついた手を見ながら
    「何じゃこりゃああああ」
    と決死のギャグをかます。村木を狙撃したのは元自衛官だった。ちょっと離れた場所の屋上から狙撃したらしい。   ウッチャンは倒れた村木に駆け寄る!いや、ウッチャン身を隠せよ!
   こういう場合は「仲間が狙撃された後に続いて主人公が狙われる緊張」「仲間を助けたいけれど自分も狙撃されるので助けにいけない主人公のジレンマ」「狙撃にさらされながらも仲間を助ける主人公」とかを描くのがスナイパー映画だと思う
    ウッチャンは村木を抱える。だが村木は中国語でウッチャンにお別れの言葉を言いガクッと倒れた…後にもう一度起きて、村木は日本語でウッチャンにお別れの言葉を言いまたガクッと倒れた…後にまたもう一度起きて、「もういいか」とお別れの言葉を言いまたまたガクッと倒れた。
    無駄に長いお別れを経て、ようやくウッチャンへのの狙撃が再開される。ウッチャンはジャッキー・チェンへのリスペクト溢れるアクション(いい意味で面白い)で建物の屋上から脱出する。でも弾着の効果がショボすぎるのが残念。


    謎の組織は地下鉄爆破事件の失敗を「乗客に平和バッチをつけている人がいたから」と発表した。もし地下鉄爆破が成功して、なおかつ乗客の中に平和バッチをつけている人がいたらどうするつもりだったんだ?みんなバッチつけなくなるじゃん。自分の作戦を自分で否定することになっている。


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人を殺すとは


   事件解決のために殺人犯のウッチャンを釈放させた責任が、きなこの上司に降りかかってきた。上司はこのままではマズイと例の弁護士に相談する。
    バレバレだが謎の組織の真の黒幕は弁護士だった。弁護士は何故連続殺人で儲けるという恐るべき手口を考えたのか?それは彼の悲しい過去に秘密があった。実は弁護士はニューヨークにいた頃、愛する妻をチンピラに殺されて10ドル奪われたのだ。それが動機だったのだ!

え?愛する妻をアメリカ人に殺されたから日本人を殺すの?

愛する妻を10ドルのために殺されたから5千円のために人を殺すの?

    日本に不満を持っている奴等を集めて組織を作った割には日本は悪くない。さらに言うと弁護士はニューヨークにいた頃9.11を目撃したのも、テロ事件の動機に関係しているらしい。何で9.11を目撃するとテロリストになるの?


    弁護士がきなこの上司にアドバイスをする。
    「警察上層部はウッチャンを釈放させた責任を全てあなたに押し付けるつもりです。あなたはきなこに押し付けなさい。そうすればあなたは大丈夫。」
    ウッチャンを釈放させる判断したのは首相で、釈放したのは中国政府じゃないの?前半と設定が違うぞ!(公式サイトには警察上層部が釈放させたとか書いてある)。
    弁護士から入れ知恵された上司はきなこを警察署内のどこかに呼出す。上司はきなこを撃ち殺して全部の責任を押し付けようとしたのだ。それって誰が撃ち殺した事にするんだよ!しかも日本の刑事が中国で殺人犯を釈放させたなんて誰が信じるんだよ!
    ピンチに陥ったきなこだが、きなこは反撃して上司を撃ち殺す。殺人者となったきなこは通報せずに逃走する。こうしてきなこは殺人犯になった。警察はきなこがウッチャンを脱走させるために上司を殺したと判断する。おいおい、ウッチャンが脱走したのは数日前じゃん、時系列がずれているよ。以前のシーンでウッチャンは既に指名手配されている場面があったよ。


    ウッチャンは単独の調査で弁護士事務所まで行き着く。弁護士事務所に忍び込むウッチャン。事務所の壁を開けると高性能ライフルが隠してあった(すげー偶然)。そこへ上司の動きから弁護士が怪しいと踏んだきなこも忍び込んでてくる(もっとすげー偶然)。ライフルを見たウッチャンときなこは弁護士が犯人であることを知った。これで今回の事件の証拠が手に入ったので事件は解決した。わけでもなくて、きなことウッチャンはライフルを見なかったことかのように話が展開


    きなこは自分の上司を殺した事をウッチャンに告白する。きなこは自分の罪の重みに耐えられなくなっていた。それを見たウッチャンは
    「君の重みは僕が背負う」 と言う。ウッチャンを抱きしめるきなこ。こうしてきなこは殺人者としての重みから解放された。こういう展開で感動しなきゃいけないなんて、テロリスト皆殺しにしてアイラブユーのハリウッド映画よりも物騒だ。

まだ続く…



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弁護士はスナイパー


    きなことウッチャンはある作戦を立てる。平和バッチをつけている人でもそろそろ普通の殺人事件に巻き込まれているはずだ。それを「犯人は謎の組織の人達です。」と発表すれば黒幕である弁護士のプライドが傷ついて弁護士をおびき寄せられるというのだ。この案は早速採用された。たまた女性が殺害されたので「犯人は組織の人達だけど、女性は平和バッチをつけていた」と嘘の発表がされた。
    どうして元殺人犯のウッチャンと現殺人犯のきなこという逃亡中の二人が立てた作戦が実行されるんだよ! っていうか「犯人がわかった→犯人をおびき寄せる作戦を警察に教える」じゃなくて「犯人がわかった→犯人を警察に教える」でしょうが!


    この作戦はほとんど空振りだった。何故なら既に平和バッチの売り上げは560億円に達していたので、犯人は動く必要が無かったからだ。
    しかしあのオジサンは平和バッチを1千万個以上売ったのかよ。しかも5000円という超ボッタクリ値で。それにバイトを50人雇ったとか言ってたけど、よく郵送できたな。
    ところで皆さんはどうやって集まった金を奪うかについて疑問に思っているでしょう。どれだけ平和バッチを売っても、儲かるのは工場のおじさんであって謎の組織ではない。ではどうやって謎の組織はお金を手に入れるのでしょうか!その方法とは560億円の口座を謎の組織の口座に移し変えたから。ってそんなこと出来るのかよ!
    ちなみにこの件に関しては「1:560億円の口座は警察上層部しか知らなかった。2:警察上層部は例の弁護士を頼りにしている。」という説明になっていない説明がつきます。


    こうして謎の組織は勝利した。だが黒幕である弁護士が何故かライフルを持って渋谷のビルの屋上に登場。実はバスを狙撃した超凄腕スナイパーは弁護士だったのだ。説明つかねえよ!どうして弁護士がそんなに凄腕なのかって、アメリカ海兵隊シールズの銃を使うって部分しか説明ついてねえよ!スナイパーの存在を全否定していないか?


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きなこの塔


    金が手に入ったんだから、さっさと逃亡すりゃいいのに弁護士はライフルで幸せそうな家族を撃ち殺そうとする。だがそのときライフルを持ったウッチャンときなこがジャーン!と別のビルの屋上に登場して、ウッチャンときなこは無線で弁護士に声をかける!
   
何で声をかけるの?

何でスナイパー相手に姿を晒すの?

この映画のスナイパーは何でみんな屋上が好なの?たまには窓から狙ったりしないのですか?

それ以前に何で犯人の居場所がわかったの?

何で犯人の居場所と無線の周波数がわかったのに通報しないの?

何で犯人の居場所がわかったのに、登場するのは別のビルなの?同じビルに行けよ。

それはともかくクライマックスが始まるぜ!



    声をかけたので当然すぐに撃たれるウッチャンときなこ。そのときハンも現れた。きなこは「ウッチャンは弟分のハンに情があるから」と自分でハンを倒そうと、犯人達のいるビルに向かう。
    ビルの中に入ったきなこ。だが敵はハンだけではない!まだ元自衛官と元ライフル競技者がいる!そして銃で上司を撃ち殺してしまったきなこは銃をしまって戦いに挑む。早速元ライフル競技者がカポエラみたいな格闘技できなこに襲い掛かってきた!え?素手で襲ってくるの?敵もライフルを使わないの?そして始まる凄まじい蹴りの応酬!遂にきなこはカンフーを駆使してカポエラを撃退した。
    すぐに次なる敵が!元自衛官だ!元自衛官はちゃんとライフルを持ってきた。でもライフルの先にナイフをつけていて銃は撃ってこない。つまり銃剣で突撃してくるのだ!このシーンのバカさ加減は最高です!何とか銃剣の攻撃をかわすきなこ。きなこは元自衛官の銃剣を脇で押さえる。元自衛官は今さらライフルをバンバン撃つが、もちろんライフルは脇で押さえられている状態なので全く意味がない。 元自衛官は銃剣から剣をはずしナイフ単独で攻撃してくる。ズタズタに切られるきなこ。きなこはナイフの攻撃をかわすためにナイフの刃を握って止める。真剣白刃取りではなくて普通に握っている。きなこはさらに血だらけになる。 だがそのとききなこの中で何かが目覚めた。きなこが空中をクルクル飛び始めたのだ!ここらへんは香港映画をパクったアメリカ映画をさらにパクッた日本映画感覚がどうしようもなくて楽しいぞ!クルクル回転しながらきなこは元自衛官も倒す。
    そしてハンがさらにきなこを狙う。きなこはそこらへんにあったシーツをハンに投げてその隙に逃げる。ハンは一瞬きなこを見失ったが、きなこの血の跡を追ってとある部屋に辿り着く。だがその部屋にはきなこの姿は無かった。ハシゴしかなかった。ハンはきなこが見つからないので部屋から出ようと… あのー誰がどう見てもハシゴの上にきなこがいるとしか思えないのですが。 そしてやっぱりハシゴの上にいたきなこは自分の銃を取り出して隙だらけのハンを撃つ。ハンも倒れた。こうしてきなこの戦いは終わった。隙だらけの人間を撃つ覚悟があるなら最初っから銃使えよ。


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お花畑でラリってる


    一方ウッチャンと弁護士の狙撃戦。弁護士はウッチャンのいるビルよりもずっと高いビルにいる上に、太陽が背なので弁護士超有利。山猫が眠っているかの如く迫力が無い銃の撃ち合いが続く。ウッチャンは次々に撃たれてピンチ。意識が朦朧としたウッチャンはお花畑が見えちゃっている(爆笑モンの編集だが、これがラストシーンの伏線になっている)。その時飛行機に乗って村木がやってきた。っていうか何でお前生きているの?何で飛行機に乗っているの?何で戦っている場所を知っているの? 村木は弁護士のライフルを撃ち落とす。武器を失って無防備になった弁護士をウッチャンが射殺する。戦いは終わった。「村木は1212で会おう!」と決め台詞を残して飛行機で帰る。


    通常のハリウッド映画の場合ってさ

1:主人公達の活躍で悪役が攻撃手段を無くす。

2:主人公達は勝利する。

3:だがそのとき悪役が突然隠し持っていた武器を取り出し…

4:主人公は悪役を殺す。


    こういう風に戦いの正当性(人を殺しても正当防衛であることを明示する)を示すんだけど、「恋人はスナイパー」の場合は

1:主人公達の活躍で悪役が攻撃手段を無くす。

2:主人公は悪役を殺す。

    ってそれじゃあただの殺人だよ!それよりも問題なのは「人の命を奪うことの重さ」をテーマに持ってきているのに、何でそういう風に主人公が人を殺すの?「踊る」もそうだけど君塚良一はこういうところが本当にダメ。この人の作品はテーマを安易に振りかざしているだけで実体が何も無い。


    ちなみにハンは死んでいなかった。そしてビルには既に警官隊が来ていた。きなことウッチャンは二人ともズタズタだが、ビルの中で再開する。うん?二人は別々のビルにいたんじゃないの?まだ移動できる元気があったのか。ウッチャンは「きなこの上司を殺したのは自分だ」と警察に伝え、きなこの殺人罪を被る。でも警察署内できなこが、きなこの銃を使って、きなこの上司を殺したので、罪を被りたくても被れないと思う。きなこに別れを告げてウッチャンはビルを出る。警官隊は誰も殺人犯であるウッチャンを止めない。そのうちウッチャンは渋谷の交差点に出る。さっきまで渋谷は人がごった返していたのに、ほとんど人がいない。っていうか太陽が出ている昼間だったはずなのに何故か朝になっている。交差点の真ん中に出るウッチャン、警官がウッチャンを取り囲むけど、交差点は一般人が普通に通っていたり、作業員が街の片付けとかしているので緊張も感動もまるでない。早朝ロケなので仕方無い気もするが、どうしてこんな無理してまで渋谷の交差点で撮影したのかがわからない。ビルの中で決着つければ自然だったのに…。


    ウッチャンが持っていた拳銃を構えると、そこでストップモーションとなり警官隊の一斉射撃の音と、きなこの悲しい絶叫が…。




突然お花畑が出てくる。




お花畑の中できなことウッチャンがデートしている。




THE END



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オマケ


    最後のお花畑にはピックリしましたが、これで観客が泣き出しているのはもっとビックリしました。

オマケ1:上映終了後に「恋人はスナイパー」好きの人に聞いたのですが、きなこの母と妹はウッチャンが殺人犯だということに気づいていない設定だそうですね。劇中ウッチャンの正体が報道されたり、ウッチャンが指名手配されたり、「殺人犯と刑事の恋ってことでワイドショーが騒いだ」とかいう台詞があるんですが、それでも気づかないのでしょうか。

オマケ2:「恋人はスナイパー」の英語タイトルが「MY LOVER IS A SNIPER」になっていて、どっちかというと「愛人はスナイパー」みたいな意味になっていますが、まあ確かにきなこは来月に上司との結婚を控えているのにウッチャンとお花畑状態なんで正しいタイトルでしょう。(LOVERは肉体関係を意味する恋人)

オマケ3:公式サイトでは「きなことウッチャンはかつて愛し合っていた」とあるのに、映画本編の設定説明シーンでは「信じ合う気持ちはあったが愛はなかった」とかあってわけわからん。


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