スコーピオン・キング


全世界で大ヒットした『ハムナプトラ2』のボスキャラ、スコーピオン・キングを覚えているでしょうか?演じたのはアメリカ最高のプロレス団体WWFのスーパー・スター、ザ・ロック様!(名前にTHEが付くのも珍しいよな)。

『スコーピオン・キング』はハムナプトラシリーズのスピン・オフで、スピン・オフものとしては異例の大ヒットとなった。

小学生向けのホラー映画といった感じだった『ハムナプトラ』シリーズだけど、『スコーピオン・キング』は家族で観れるプレイボーイみたいな映画だった。






壮大なる序幕


パンフレットのストーリー解説より

5000年前の古代エジプト。
すさまじい野心を持った邪悪な王、メムノーンは砂漠に住む全ての人々を自分が支配できると信じ、野蛮な軍を率いて山や平原の住民を襲撃、生き残った人々を奴隷にしていた。彼は非情で巧妙な戦いを次々に仕掛け、人々を恐怖に陥れてきた、しかも彼には預言者のお告げの力という味方が存在し、その力を借り、戦いの時や場所・作戦をうまく設定できたのだ。つまり、彼に敗北の言葉は無縁だった。
メムノーンに従うことに反発した民族達は迫り来る支配力の前に、動揺していた。そして、メムノーンの最終的な襲撃を予感し恐れた彼らは、これまで敵だった民族同士が手を組むことに同意する。




以上のシーンは本編にはありません。なんせ上映時間が90分なので余計なシーン入れてる暇ないですからね。

まあとにかく悪い王がいてソイツをロック様が倒すってこった!!


実際はとある山でロック様が1トンくらいある岩を担ぎながらロック・クライミングという「M:I=2」の100万倍はデンジャラスなオープニングです。
なんで岩を担いでいたかというと敵の洞窟で捕まった兄を助けに行ったので、敵陣に投げるために岩担いでいたのです。兄の絶命の瞬間、岩を洞窟の中に投げ入れ弓で武装したロック様が登場!弓で撃たれた敵はそのまま山の彼方まで飛んで行きます。次々に敵を殺すロック様!燃え上がる炎!破裂する電飾!


燃える炎をバックに観客に目線を流し「いい弟だろ?」と決め台詞。この時点で全米の映画館内で歓喜のポップコーンが舞っていると見た。




とりあえず本筋が始まる


とある部族の王にメムノーン(悪い方の王様ね)を補佐する預言者(ケリー・ヒュー)を暗殺するために雇われるロック様、5000年前の蛮族の勇者という設定だけど眉毛の手入れはバッチシだ。敵陣に忍び込んだロック様だが雇い主の王様のほうでゴタゴタがあったために預言者の暗殺に失敗。捕まってしまう。


しかし実は預言者の正体は絶世の中国美女(何故?)だった、観客に無理やりミスリードを引き起こさせるためにか、預言者は自分の体格よりも不自然に高いマントを着ている。彼女は何故かロック様を助けるように計らう。


結局殺人アリの刑に処せられたロック様。しかしピンチのところをコソ泥に助けてもらう。ちなみに助けてもらう直接的なシーンとかはありません、この映画はとにかく余計なシーンをカットしているのです。


再びメムノーンを暗殺するためにゴモラの街に(一応会話にはソドムも出てきます)に潜入するロック様。そこは体表面の3割が服で残りは裸のネーちゃんが大勢いる古代エジプトというよりもMTV風オレンジ・カウンティな街です。
(*:カルフォルニアにある陽気な雰囲気の街、洋楽ファンには有名。オフスプリングのPVに出てくる街だと思ってもらえば良いです。)


さらにアメリカ人の軽薄な古代へのノスタルジーを満たすかのように”ポンペイから来た名剣”とかが出てきますが、5000年前にはまだポンペイは存在していません




これぞアメリカ映画


一応ファミリー向け映画なので子供と協力したり、助けたりしながらメムノーンを暗殺しようとするロック様。
ロック様に比べればメムノーンはただの兄ちゃんにしか見えないのでここでメムノーンに弓矢を真剣白羽取りさせたりして、無理やりメムノーンを強そうに見せている。そんなこんなで再び暗殺失敗。逃げたロックはメムノーンお抱えの科学者の元に逃げる。そこで投石器を使って脱出しようとするロック様(注:部屋の中です、っていうかこの時代に投石器は存在しない)。科学者の当然の忠告を無視して投石器に乗るロック様。ステンドグラス(だからこの時代には無いって)を突き破って空を飛んでしまうロック様。しかし!墜落した先は






ハーレムの中だった!!



さすがアメリカ映画、さすがロック様、こいつら以外にこんな軽薄な映画撮れる民族がいるのでしょうか?

当然(と言っていいのかわからんが)ハーレムでモテモテのロック様。しかし実はハーレムの姫達はロックに惚れている振りをして次々に武器を盗んで行く、そこへ敵の来襲!大ピンチ!でもここで「ピンチだけどハーレムだからうらやましい」と思った男性は全世界で2、30億人位いると思います。

「インディ・ジョーンズ」と全く同じ方法(ドラをコロコロ転がすやつね)で逃げるロック様、しかしロック様は遂に10階建て位の建造物の屋上から落ちてしまう!







しかし落下した先は絶世美女の預言者様の浴場だった!当然彼女は入浴中。全裸のサービスカット!



すげえやアメリカ映画!さすがロック様!こいつらと野比ノビ太以外にこんな濃厚な状況作り出す奴らがいるのでしょうか?


っていうかいい加減真面目に脚本書いて欲しいのですが。もしくは延々とこの展開を繰り返すとか。


というわけでこれが民族の仇をとることに失敗して警備兵に追われたあげく、吹っ飛ばされた男の5秒後のシーンです。






警告:以下はネタばれです。




愉快な砂漠戦


とりあえず、全裸で水飛沫を挙げ髪を振りながら立ち上がる預言者。これが映画なのかプレイボーイの撮影なのかの区別は極めて難しいです。ロック様は預言者を拉致して、浴槽の床を叩き壊して下水を通じて城から脱出。預言者は布でこんな服を作ります。草が邪魔でわからないかもしれませんが横は全部スリットになっていてビキニよりよっぽどきわどい、古代エジプトでこんな格好で外を出歩く人はいないと思うが。
街から抜け出したロック様は預言者を殺すのはやめにして、誰も生きては帰れない死の谷へ行くことにした何でわざわざそんなところへ行くのかサッパリわかりませんが。でも死の谷で預言者は悪い奴じゃないこと(メムノーンに惚れられて脅されていた)もわかり全米の観客は安心。


そして死の谷に逃げたロック様達の元にメムノーンの手下達がやってきた。
どうでもいいが、この映画の登場人物は全員上半身ほとんど裸だけど(男も女も)、あんなんで砂漠に出たら速攻で脱水症状か熱射病か日射病か火傷を起こすと思うのだが。まあここはエジプトというよりもほとんどカルフォルニアなので別にいいでしょう。


そして砂嵐がやってくるのを感知したロック様はチャンスとばかりに単独でメムノーンの手下達に戦いを挑む!
ロック様の背後から巻き起こる砂嵐!・・・写真がないのが残念ですが、あれでは砂嵐ではなくて火砕流です。まあとにかく火砕流並の砂嵐の中に突入するロック様と敵達!砂嵐の特撮が死ぬほどショボイのはまだ我慢できるとして、砂嵐の中で風が吹いていないのは手を抜き過ぎだと思う。


砂嵐の中からメムノーンの手下達をさらに洞窟に誘い込んだロック様。このあとは「ランボー・シリーズ」と同じ展開で手下達を一人づつ殺していきます。でもロック様は一度も画面に出てきません。スーパースターは忙しいのですね。




YOブラザー!


しかし砂漠戦でサソリの毒を受けてしまったロック様。だが預言者が魔術(セックスの比喩ともいう)でロック様の毒を抜いてくれた。互いに惹かれあうロック様と預言者。
さらにメムノーンの元にいた科学者が中国からやってきた火薬の調合に成功して仲間になってくれた!


えーとですね、中国4000年の歴史とよく言いますがこの映画は5000年前なので1000年足りねーぞアメリカ人(*:紀元前3000年に周があったという説は知っています、”中国”がまだ生まれていないということです。)


っていうか硝石が発見されたのは紀元前200年前なので時代考証がミレニアム3回分間違っているぞアメリカ人。


オアシスまで逃げたロック様はそこでヌビア人の一族に捕まってしまう。ヌビア人の王ベルタサル(マイケル・クラーク・ダンカン)が預言者を殺そうとすると、怒って暴れだすロック様。すかさずロック様とベルタサルの一対一かつジャッキー・チェンの影響バリバリの対決が始まりました。しかし流石はロック様、激闘の末にベルタサルを追い込みクビに槍を突きつける。

ベルタサル「俺を殺せ!何故殺さないんだ!」


ロック様「俺達はブラザーだろ」

すいません、先ほどカルフォルニアと書いたのは間違えました、ここはブルックリンかもしれません。




こうしてベルタサルはロック様に協力することになった。




クライマックス、そしてラストへ


メムノーンの元へ攻め込む決意をしたロック様やベルタサル達。ちなみに大軍勢のメムノーンに攻め込むメンバーはロック様、ベルサタル、老人一人、子供一人、コソ泥一人という最低の組み合わせですが、アマゾネスが何人かいるので僕的にはOKです。ゼブラヘッドの歌に「プレイメイト達が僕の部屋に来てくれたらいいのに」という歌詞がありましたが、僕的にはこのアマゾネス達に部屋に来てもらい暴れて欲しいです。


とにかくアマゾネス達は娼婦達に扮して潜入しようとします。ただしヌビア人の王ベルタサルも一緒に娼婦に変装します。ちなみにベルタサル役のマイケル・クラーク・ダンカンはこんな男です。


そして遂に最終決戦、普通に面白いので特に解説はしません。ただコソ泥が火薬でメムノーンの宮殿を大爆破させるのですが、導火線も無しに直接たいまつで大量の火薬に火をつけたコソ泥本人が無傷なのがサッパリわかりません。


メムノーンを殺したロック様はモロにマット・ペイント(*:背景絵)を背にして敵兵達を見渡す。しかし突然敵兵達が「一番強い男が王様」ということでひれ伏し始める。それじゃ「地獄の黙示録」だろ!蛮族の習慣だろ!エジプトはきちんとした王制だったんだろ!(BY:私のリスペクト雑誌映画秘宝


でも文明のレベルが低い奴らがアメリカ人に感謝の土下座をするという状況が大好き(多いよなこういう映画)なアメリカ人にとっては重要なシーンなのです。


とにかく戦いは終わり、王様になったロック様はベルタサルに
「君こそスコーピオン・キングだ」
と言われて映画は終わる。




最後に


今回は特に書くことはないです。普通に面白かったからですね。でもロック様がスタントマン使うと体が細くなるので直ぐにわかってしまう・・・。


02/07



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