スパイダー・パニック


    2003年に日本公開されたアメリカ映画。「インディペンデンス・デイ」「GODZIILA」と映画オタクの苦笑と失笑しか買わない映画を作り続けたディーン・デブリンが製作した。その内容は超正統派B級映画で、それなりに充実した内容。既に続編の製作も決まっている。
    この映画はB級映画だが、伏線や登場人物の状況付けはハッキリとこなしている。例えば状況説明のシーンでは登場人物にビデオカメラを持たして喋らせる。同じメガネ小僧とクモ映画の話でも、映画の基本すら出来ていない「秘密の部屋」とかいうカス映画よりもよっぽど出来が良い。
    結構面白くてお薦めなので、ここの文章は全部読まないほうがいいですよ。






まずはスパイダーの説明


   
   アメリカにあるド田舎町。オタクが一人でやってる電波系ラジオ放送局が人気あるようなこの田舎である事故が起きた。
   偶然にも有毒廃棄物を積んでいたトラックがこの街で事故を起こして、
そして偶然にもその有毒廃棄物のドラム缶が川に落ちて中身が流出して、
さらに偶然にもその川でコオロギが溺れたりしていて、
またまた偶然にもそのコオロギを川の近くにあったクモ牧場の管理人が捕まえて、クモの餌にしていた。



   この偶然の積み重ねでスパイダーが巨大化するのだ。(ちなみに有毒廃棄物とは毛生え薬)
    そのクモ牧場では100匹以上のスパイダー(牧場にしては少ない)を飼育していて、管理人は当然変人。時々やってくるクモオタクの少年(メガネ小僧)とは、お互い引きこもり系の友情が芽生えていた。今日も「あんなクモ変人とは付き合っちゃだめよ」というママの言い付けを無視してメガネ小僧はクモ牧場にやってくる。

   クモ牧場の管理人はメガネ小僧にどうやってスパイダーが餌を捕まえるのかを解説する。
「このスパイダーは餌を糸でグルグル巻きにして。このスパイダーは飛び跳ねながら餌を捕まえる。このスパイダーは一瞬で餌を穴に引き込む。そして雄よりもずっと大きいメススパイダーが、餌の内臓を溶かして食べるんだ。」
    このシーンで観客は「ってことはこの映画では人間もこうやって捕まって食べられるんだな」心の準備OK

    クモ牧場の管理人は
「近頃餌がいいのかスパイダーがどんどん巨大化してきてな、これで大儲けが出来るぞ!」 と意味不明の大喜び。


クモ少年が帰ったときに、偶然飼育箱から逃げ出していたスパイダーが管理人を噛んで、管理人大暴れ。スパイダーの飼育箱を全てぶち壊して一匹残らず大脱走してしまう。







警告:以下は映画の内容を詳しく解説しています。
まだご覧になっていない方は読まないことをオススメします。


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次は登場人物と伏線の説明


    スパイダーの巨大化と殺戮方法の説明が全て終わると、場面は変わって今度は登場人物達の説明が始まる。
   主人公のデビッド・アークエットが10年ぶりに田舎に帰って来て叔母と再会。別の場所では田舎町のカリ・ウーラー演じる美人保安官のサム(メガネ小僧の母親でもある)が珍走団を捕まえる。ただし予算が少ない映画なので珍走団といってもバイクは全部でたったの3台で全部同じ型、同じ色のバイク。その珍走団は町長の不良息子フレッドがリーダーで、ガールフレンドはサムの不良娘でもあるスカーレット・ヨハンソン。
    ちなみに珍走団のメンバーは巨乳美少女のスカーレット・ヨハンソンよりも、ママのサムにときめいている(その気持ちはよくわかる)。


登場人物の紹介が全て終わると、次は伏線の紹介。

    田舎町のショッピングモールで、町の会議が行われる。この田舎町は昔炭坑街で、閉鎖されて寂れてしまっていた。主人公の父親は炭坑の社長で、彼は死の間際に金鉱を見たと呟いた。だから町の人たちは希望を捨てていないが、汚職バリバリの町長は町ごと産廃企業に売り渡そうと企んでいた。

    会議のさなか主人公は町長を制止する。 「炭坑はメタンガスで充満している!産廃するのは危険だ!」
    このシーンで観客は「きっとクライマックスで、スパイダー達を炭坑でガス爆発で吹き飛ばして、ついでに金鉱が見つかって町が復活してハッピーエンドなんだろうな」 と、もうバレバレ。しかも主人公の叔母がタバコを吸うシーンでカメラの焦点がマッチに合うので、おそらく着火はこのマッチ。






テンポ良く本筋スタート


    クモ牧場を抜け出しスパイダー達は住民たちのペットを狙いだした。猫の惨殺シーンがスラップスティック風に描かれるなど、少しづつスパイダーの恐怖が町を襲い始める。メガネ小僧が再びクモ牧場へ行くと全てのスパイダーが脱走し、管理人は食べられていた。そして近くの炭坑には巨大スパイダーが蠢いていた。
    このメガネ小僧は意外と冷静で、クモ牧場から歩いて帰って、途中主人公に会っても「どうせ誰も信じないからいいや」とスマした態度。
    メガネ小僧は持ってきたスパイダーの千切れた足で、スパイダーと人間を比較するプログラムを作る。(別にそんなん作らなくても比率で・・・)


    その頃不良娘のスカーレットは暴走族と出かけ、町長の不良息子フレッドとトラックの中でキスをしている。性欲剥き出しになったフレッドに嫌悪感を抱いたスカーレットは
「初体験がトラックの前部座席なんてイヤだわ」
「よし、じゃあ後部座席にしよう」(←バカ)
しつこく迫ってくるフレッドにスカーレットはスタンガンを股間にお見舞いして、トラックで帰る。

砂漠に放り出されたフレッド、そこに人間よりも大きくなった大量のスパイダーが現れた! 大急ぎで仲間の珍走団の元へ逃げるフレッド、珍走団のメンバーは大勢いるがやっぱりバイクは3台だ。(途中台数が増えるがスタントシーンなのでおそらく合成、難しいバイク撮影よりも合成のほうが安い) ムカツク若者は派手に死ぬの法則通り、次々にスパイダーたちに食い殺される珍走団のメンバー。そんな中フレッドだけはミッション・インポッシブル2のトム・クルーズばりのバイクアクションで逃げる。しかし大量のスパイダーがまだまだ追ってくるのでフレッドはわざわざ坑道に逃げる。 ちなみにスパイダーの動きは結構かわいいのでクモ嫌いの人でも安心だ。






そして悪夢が始まった


    町の名産ダチョウバーガーのためのダチョウ牧場も襲われ、主人公の叔母さんの家では叔母さんがスパイダーに襲われ、糸でグルグル巻きにされて連れ去られてしまった。巨大なスパイダーを目撃してパニックになった主人公は美人保安官のサムの家に駆け込む。サムの家ではたまたまお風呂上りでバスローブ一枚はおっただけのスカーレットがスパイダーにホラー映画のお約束風に襲われていた。
    スカーレットを助けようとクモ少年と主人公が駆けつけるが、ビビって動けないクモ少年や、ハサミで戦おうとして何も出来ない主人公達は全く役に立たない。結局ショットガンを持って駆けつけたサムがあっさりスパイダーを射殺。電話線も切れたことを知ったサムと主人公は家を脱出して、電波系ラジオ局を使って町の人たちに事件を知らせようとする。
    ちなみにその電波系ラジオ局は、常に宇宙人の侵略と、彼らの恐るべき肛門検査(キャトル・ミューティレーションだと思うが)を警告しているような局なので、町民は全く信じなかった。


    そして遂に大量のスパイダー軍団が町を襲い始めた。サムはコンクリート製の建物だからという理由で町民にショッピングモールへの避難を命じる。しかしショッピングモールに行く途中にも大量の町民がスパイダーに食べられてしまう。何人かはショッピングモールに逃げ込み武装したが、サムと同僚の保安官以外全員役立たず(予算削減のために派手な戦闘シーンを無くしたんだと思う)。ショッピングモールのシャッターを巨大スパイダーに破壊され、みんなスパイダーに殺されはじめる。


    主人公は携帯電話で警察に連絡をしようとする、しかし田舎なので電波が入らない。主人公はアンテナが3本立つ場所を求めてスパイダーの集団に立ち向かう。何とか電話は繋がったが、当然警察も信じなくて、結局無駄な努力。






そして最後の戦い


    生き残った町民達はショッピングモールと繋がっている坑道(でもスパイダーの巣)へ逃げ込む。そこでスカーレットはバイクに乗ったフレッドと再会する。主人公はフレッドからバイクを借りて叔母さんを捜しに行く。
   主人公以外の町民達は食われつつも無事脱出。しかしショッピングモールに行く途中で大虐殺、ショッピングモールで大虐殺、そしてスパイダーの巣になっている坑道へ逃げるなんて最初からみんなで町を出ていれば・・・。


    メタンガスが充満する坑道内にはスパイダーの餌になった人々が大勢いた。 主人公は「叔母さん生きているかも」 と皆殺しとなった町民の死体の中から、偶然かつ唯一生きていたおばさん発見、更なる偶然で金鉱も見つかった
   そのとき最後の巨大スパイダーが襲ってくるが、トンチを利かせて、香水でにおいをごまかして脱出。全観客の予想通り叔母さんのマッチで坑道に火をつけてスパイダー達を焼き殺した。 しかし多くのスパイダーは町にいたんだから、まだまだ大量に残っているのでは?という疑問はあるが、ナレーション上全滅。発見した金鉱で町が潤ってみんなハッピーエンド。と電波系ラジオ局が昔話として放送する。




しかし続編が作られることになったので、このラストは無かったことになるかも。
03/02/01







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