1989年のアメリカ映画です。これを解説するのはちょっと反則ネタなんですが・・・。 この映画を説明するにはまずトロマ映画について説明しなくてはいけない。アメリカにはロイド・カウフマン率いるトロマという映画会社があって、そこの作品は全て低予算のスプラッター・コメディ、そして面白い映画をただの一本も作っていない会社です。ただし熱狂的なファンが世界及び日本にも多数います。 この「東京へ行く」は「悪魔の毒々モンスター」の続編で、主人公のメルビンが父親を探しに東京に行くというストーリーです。キャッチ・コピー(全米NO1!とかシリーズ最大の危機!とかいうやつね)は「スタッフはツカサのウィークリーマンションで下宿!」という意味不明なモノであった。 さらに劇中に出てくるニュース・キャスター役に関根勤、メルビンの父親役に・・・ という最凶のキャスティングです。 「WASABI」「シックス・パック」と違ってここを読んでから本編を読むとおそらく白けます。もし今後”見るかもしれない”という方は途中までにしたほうがイイです。 |
ニューヨーク郊外にある公害だらけの腐りきった街”トロマビル”、ここの街で働いていた典型的な負け犬の青年メルビンはある日いじめられっ子達に有毒物質の入ったドラム缶の中に落とされる。そして彼は全身がケロイド状に崩れ目玉が飛び出た毒々モンスターとなってしまう。しかし毒々モンスターには体の中に悪を感じそして倒す細胞トロマトンがあり、その力によりメルビンはモップを武器に街の悪を一掃し、英雄となる。 平和になったトロマビル、しかしそこに悪の巨大多国籍企業”アポカリプス”がやってくる!悪い事業をやっているアポカリプスにとってメルビンは邪魔な存在、彼を抹殺しようと殺し屋達(フリークスとも言う)を次々に差し向ける、マイムマイムの要領でメルビンを殺そうとする殺し屋軍団だが失敗、アポカリプス社はメルビンを抹殺する会議を開く。 会社会議といってもスーツを着ているのは数人であとは全員ボンテージ・ファッション。 メルビンの力の源トロマトンを無くすために彼らは恐ろしい計画を発表する! 「トロマトンを抹殺するアンチ・トロマトンを作るのだ!そのためにはテクノロジーが必要だ!テクノロジーはどこにある?車、テレビ、ウォークマン!テクノロジーは日本にある!日本支社がアンチ・トロマトンの作成に成功した!」 アンチ・トロマトンは揮発性で持ち運びできない(!)のでメルビンを東京へ行くように仕向けることに、そのために行方不明のメルビンの父親「ビック・マック」(注:安岡力也)が東京に居る情報をメルビンに流す。 そしてメルビンは父親を探すために舞台は東京へ・・・ |
っていうか毒々モンスターになる前にはどうみてもアメリカ人のメルビン、自分が日本人とのハーフということに驚くが 「僕は働き者でカードが嫌いで貯金が好きだから、日本人に近い」」ということで納得 パスポートを忘れたメルビンはウインド・サーフィンで日本へ行く事にする。 「よしゴジラスタイルだ!」 ということで海から日本に上陸、逃げ惑う海水浴中の日本人達。 東京タワーとエッフェル塔の区別がつかないメルビンは 「パナマ運河で右折を間違えてパリに来たかもしれない」 とりあえず東京タワーへ行くと 関根勤(役名:伊集院勤)が東京タワーの解説をしている 「ご覧ください!これが東京タワー!全部鉄!そしてエレベーター!」と日本人にもわからない解説をしている。 メルビンを見た関根は「チェーーーーー」と悲鳴をあげる。 |
トロマビルのすし屋さんに日本語で書いてもらった「ビック・マックどこですか」の紙を見せまわって父親を探すメルビン、周りにはチョンマゲのサラリーマンが歩いていたりする。 銀座の歌舞伎座に着くメルビン、歌舞伎座の前には役者と黒子がハンバーガーを持って見栄を切っている。メルビンを見て 「オオッー、ヨーできたメイクだな!」 と喜ぶ役者、しかし本物と気がついて悲鳴。 山手線、歌舞伎町、浅草を歩くメルビン。怪訝そうな日本人達(注:ロケでエキストラは使いない) 「僕はしつけはちゃんと守る」と浅草寺でタワシで歯を磨くメルビン、 掃除のおばちゃんが「私の大切な商売道具を!」と怒るがどう見ても新品。 |
露天でジャパニーズ・スナック:タイヤキを食べるメルビン、”サクッ”と効果音が鳴る。多分効果音を煎餅と間違えている そのとき80年代でもちょっとキツイものがあるファッション(全身水色の服)をした日本人女性(ヒロインのユキエ)がゴツイ女に惚れられて襲われて服を破かれる。その悲鳴を聞きつけヤクザ(コントみたいな格好)の二人組がやってくる。 ゴツイケダモノ女「助けて!この女(ユキエ)が私のことを強姦しようとしたの!」 それを聞いたヤクザ、二人がかりユキエを襲い始める(無理やりホッペにキスしているだけとも言う)。 ここの文章を読んで何が起きているのか意味がわからない人が多いだろうが、実際にビデオで何度も観ている僕もわからない。ここのやり取りは全部日本語なのでアメリカ人もわからないだろうし、作ったスタッフもわかってない。 |
悪を感じる細胞トロマトンによりピンチのヒロインの元に駆け付けたメルビン、ヤクザのうちの一人をタイヤキを作る型の焼きゴテでヤクザの顔を焼く(一応ホラー映画なので)、そしてもう一人のヤクザを銭湯に追い詰めたメルビン、舞台は予想を裏切ることなく女湯、客は全員若い女(一瞬写る男湯は老人だらけ)。 ここで映画に詳しくない人や普通の映画ファンに解説しますが、外国人から見ると日本の入浴文化はかなり特殊なので日本を誤解した映画で銭湯はよく出てくる。 とにかく残りのヤクザを追い詰めたメルビン、湯船にヤクザを落とす、溺れるヤクザ!だがどう見ても湯船の中に座って、ときどき顔をお湯につけてるだけにしか思えない。 メルビンがお湯に息をかけると突然お湯が沸騰(小学生が見てもドライアイスの煙と泡だとわかる)する。そして メルビンは風呂に野菜を入れる!悲鳴をあげる日本人女性達!顔を拭きながら泣き叫ぶヤクザ!メルビンはうどんをお湯の中に入れる!全裸の日本人女性達!普通に湯船につかりながら断末魔をあげるヤクザ!「イタダキマース」とメルビンは料理酢を入れる!実はトロマ映画が好きな日本人女性達! メルビンはシャワーをマイク代わりに 「しゃぶしゃぶ一丁あがり!」 百年を越える映画の歴史の中で培われてきたモンタージュ理論やカット・バックなどの映像技術はこの映画を前にして一体何の意味があるのか? ニッポン放送(こんな映画に協力するなよ)にゴツイ女を追い詰めたメルビン、そこは関根勤がジョッキーのラジオ番組を収録中だった。異変に気がつかない関根勤以外は全員避難。メルビンはゴツイ女をコードでグルグル巻きにして鼻にプラグを挿して頭にアンテナをつける。子供のイジメみたいだがメルビン曰く「エレクトロニクスのお仕置きだ!」 関根は最後まで気がつかない。 |
次のシーンで何故かユキエと一緒に歩いているメルビン、商店街のロケだが商店街の人間全員が整列してロケを見ている。ある意味感動。 ユキエも父親探しに協力することになった、とりあえずパチンコへ このあとザ・80年代のホコ天で踊るメルビン。東京はトロマビルに似ていて過ごし易いらしい。あんな田舎と一緒にしないでくれ! ユキエとメルビンは浜離宮で野点をする。 日本人のヨソモノという目が気になるメルビン(お前が化け物だからだよ)はユキエのアドバイスで日本人に変装することに、七三分けのカツラにメガネ、カメラを持って日本人のサラリーマンになる さらに食堂のロウで出来た見本品を食べようとする。 そのころアポカリプス社はトロマビルで猛威を振るっていた。トロマビルを有害物質の掃き溜めにしようとしているのだ。「我々は自然から取り出したものを空中に地中に戻しているだけだ!」 そしてボンテージ・ファッションにマシンガンを持って街を歩き反対運動を潰していった。 |
ビック・マックがいるという築地に行くメルビンとユキエ。魚の生臭さにビックリして「1日16回手を洗うのかな?」 そして佃島で遂にビック・マック(力也)を発見! ビック・マックは芸者をはべらせ(もっとも浴衣を着た普通の人だが)人力車を用意しているような人。 「オオッー メルビン マイ サン!」 スローモーションで駆け寄るメルビン、しかしそのときメルビンのトロマトンが反応した!ビック・マックは悪だったのだ! そうビック・マックはアポカリプス社の手先で魚の中に麻薬を詰めて密輸し(コーヒー豆っつーのは聞いたことあるけどさ)、白人奴隷を売買していたのだ! そしてビッグ・マックの手先達が襲い掛かる!ここで僕の見間違えがなければ、別のシーンで死んだはずのヤクザも襲い掛かってきます。 父親との決戦を決意したメルビンは叫ぶ 「BANZAAAAAAAI!」 そのとき盆栽屋さんが唐突に登場!盆栽をメルビンに渡す、メルビンはショックを受けて 「これはBONSAIだよ」 |
ビック・マックを追うメルビン、そこに赤鬼、青鬼(ドリフの雷様コントのヤツね)が「どすこい」と襲い掛かってくる! それを押しつぶして血をドバッーと噴き出させて(一応スプラッタ映画なので)倒すとケンダマを持つスケバン風女子高生が男を誘う振りして襲い掛かってくる、ただし演じるのは中年のおっさん ケンダマを奪ったメルビンはケンダマを頭に突き刺そうとするがユキエの指示にしたがって女子高生の股間に刺す。ユキエ、お前はそれでもヒロインか。 そして遂にお約束の敵:ニンジャ、偽歌舞伎マン、怪しい中国人が襲い掛かってくる。ちなみにニンジャはフランス国旗の腰布とアメリカ国旗のスカーフをつけていてハイカラだ。 強敵を前にしてメルビンは魚市場へ行き魚介類を武器に戦う!カジキでフィッシング!ヒトデを手裏剣!そしてノコギリサメは何故かエンジンがかかってチェーンソーになった!強敵を倒す。 メルビンの前に歌舞伎ウーマンが登場!ユキエがシュモクザメの頭の部分で殴る、メルビンは歌舞伎ウーマンの鎖鎌を奪い歌舞伎ウーマンをズタズタに切り裂く!そうすると歌舞伎ウーマンは全裸になる! 前張りはガムテープ その頃関根勤は佃煮評論家の永井豪(本人)と女にモテる佃煮について語りあっていた。 突然素っ裸の歌舞伎ウーマンが倒れてくるので大喜びで連れて帰る関根勤。 |
ここらへんのロケは全部佃島の路上です。 ビック・マックを追い詰めたメルビン、ビック・マックは最強のモンスターだと言って人力車の引き子の編み笠を取る。彼の顔はなんと魚だった!恐怖の魚人間(ハリボテ被っただけ)が襲い掛かってくるがメルビンは魚屋さんでウロコ落としを借りて殴る。次のシーンではスーパーの刺身パックが置いてある。どうも一瞬のうちで刺身になったらしい。 そしてビック・マックとの対決、服を脱ぐとマワシ(日本語でアポカリプス社と書いてある)をはめている!そしてアタマにオムツを乗っける!(力士の大銀杏のことだと思います) なんとビック・マックはスモウレスラーだったのだ! 取っ組み合うメルビンとビック・マック、メルビンはビック・マックを投げるとビック・マックはさっきから登場している魚屋へ、魚屋は関根勤と全裸の女性に見とれていたので間違えて倒れてきたビック・マックを刺身にしてしまう。飛び散る肉片!吹き出る血!悲鳴をあげる安岡力也!裸を見ているので気がつかないで刺身を作る魚屋!喜ぶ佃島の人たち!こうして悪は滅んだ 刺身になったビック・マックは店頭で売られる。 しかしビック・マックが開発したアンチ・トロマトンを吸い込んでしまったメルビンはユキエに連れられて紅白の垂れ幕で囲まれた土俵へ。力士の指導の元で四股を踏み、力水をつけ、塩を撒くとアンチ・トロマトンが消えた! おじぎをするメルビンに 力士「あなたは人類を救った」 メルビンは力士達にウィンドウ・サーフィンの用意をしてもらいユキエに別れを告げトロマビルに帰るのであった。 |
映画はこのあとトロマビルに戻りそこでアポカリプス社最後の刺客との戦いやメルビンの恋人の危機などが描かれます。ここらへんは普通のトロマ映画なのであえて解説しません。 劇場で一度だけ観たものを思い出しながら書いた「WASABI」、「シックス・パック」と違い、ビデオで確認しながら書いています。しかし東京にそれほど詳しくないので地名などで間違っているかもしれません。何かあったら掲示板にお願いします。 |