トロントで起きたレズビアンの女学生がタクシー運転手を殺害し、ペニスを切断し自分のものにしようとした事件を元に描かれた小説「バースの女房たち」の映画化。映画ではそのような事件はおこらず、邦題の通りに”飛翔”がテーマとなってくる。 ”バースの女房”とは「カンタベリー物語」に登場してくるキャラで中世の厳しい道徳の中で自分の性を告白する女性の物語。 映画ではシェークスピアなどを引用しつつ女性のセクシャリティに焦点を当てている。 作品の内容を大雑把に言うと女学校の寄宿舎を舞台に起こるレズビアン騒動モノだけど、実際はレズビアンというよりも女性のセクシャリティを丹念に描いた作品。金髪チアリーダーもジョックスもギークスもゴスも出てこないのでハリウッド系の女子高モノを期待していると痛い目に遭います。制服はお洒落だけど小物全体がお洒落というわけでもないのはリアリズムの追求なのかな? 主演は「コヨーテ・アグリー」のヒロインかつ一番どうでも良かったパイパー・ペラーポで、ミーシャ・バートン演じるマウスが語り手の形式を取っている。 監督のレア・プールは今回が初の英語作品、2001年のサンダンスに出展された。日本ではアルバトロスが配給。 |
メアリー:ミーシャ・バートンのあだ名はマウス(ねずみ)。マウスは不安な気持ちで寄宿女学校に編入する。 そこでマウスは育ちの良い(だけど2次方程式は解けない)トリーと不良娘(だけど勉強はできる)のポーリー:パイパー・ペラーポとルームメイトになる。 早速仲良くなれるマウスだったが実はトリーとポリーはレズビアンの関係だった。 しかしマウスは自然に彼女達の関係を受け入れるので、女子高の寄宿舎で夜な夜なマウスの隣で女同士の愛が繰り広げられるという僕にとっては非常に良い状況 しかしある日他の生徒にトリーとポーリーの関係がバレ始めたときから二人は・・・。 |
とにかく技術が下手。クライマックスは”飛翔”がテーマになってくるのに撮影も編集も飛翔感皆無。ラストシーンで延々とハヤブサを写すのはカットして欲しかった。 さらにラストは原作のバイオレンスを避けるために「観客に判断を委ねる」をしたのだろうけど、(以下の文字列はネタバレ)何も手に入れることの出来なかったポーリーが飛翔するのは納得いかない。 また実年齢はミーシャ・バートン14歳、ジェシカ・パレ(トリー)19歳、パイパー・ペラーポ23歳だが、この三人が女子高のルームメイトというのは無理があるし、簡単な数学の問題が解けないトリーに至っては”育ちの良い”という設定にはとても見えない。 女性のセクシャリティや少女の多感な青春を描くのは完全に上手くいっているだけに実に惜しい。 |
ちょうどこの年齢の時期にミーシャは身長が急激に伸びたんだけど、その所為か映画に変な現象が起きている。 設定には”マウスは小柄で気弱な少女”とあるけど、どう見てもミーシャが全女性の中で一番デカイ。っていうか劇中にもコロコロ身長が変わっているような気もします。 制服姿やパジャマ姿やファックを見つめる表情がカワイイですがどうせ男性観客全員(僕も含む)がパイパー・ペラーポのレズシーン目当てなので無関係でしょう。 演技力は3人の中で一番上手なのは流石といったところ。 |