「死ぬ前におっぱいが見たいです」「いいわ見せてあげる」戦火のナージャ

戦場で両足吹っ飛んだ兵士が、その場で女性衛生兵に「おっぱいを見せて」とお願いして拒否されたというニュースが世界的な話題になった。

断られたのは当然だと思う。ところで映画『戦火のナージャ(2010)』では全く同じシーンがある上におっぱいを見せる。今回はそのシーンを解説するけど………そのシーンはネタバレに直結なので以降は完全ネタバレになる。

『戦火のナージャ』は続編映画だ。第一作『太陽に灼かれて(1994)』はアカデミー賞とカンヌの両方を受賞したロシア映画の傑作。舞台は1936年のソ連で、ドミトリという男とソ連の英雄コトフがスターリンの粛清に巻き込まれる一日を描く。

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『太陽に灼かれて』は日本でも成宮寛貴(ドミトリ)と鹿賀丈史(コトフ)が舞台化したことがある。

いきなりだけど『太陽に灼かれて』のネタバレ。ラストシーンでドミトリは手首を切り、コトフは粛清されて終わる。が、20年後の続編『戦火のナージャ』はドミトリもコトフも実は生きていた!という設定だ。何じゃそりゃ。なんでそんな続編を作ってしまったのかというと、監督のニキータ・ミハルコフ(コトフ役でもある)は独ソ戦争版の『プライベート・ライアン』をやりたかったとのこと。予算集めるために過去の傑作の続編企画を立ち上げたんだろうな。

『太陽に灼かれて2』は莫大な製作費をかけた三時間の大作となった。しかし傑作だった第一作とは正反対に第二作は海外での評判が凄まじく悪い。『戦火のナージャ』は『太陽に灼かれて2』を二時間半までに編集して、コトフの娘ナージャに焦点を充てた日本独自の作品だ。

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『戦火のナージャ』。日本版はオリジナルほど評判悪くないけど、俺も大失敗作だと思う。オリジナル英語タイトルの「エクソダス」は旧約聖書に出てくる言葉で、この場合は国外脱出を意味するのかな。

『戦火のナージャ』の舞台は40年代前半の独ソ戦争だ。とにかくストーリーを省略して、一気におっぱいまで語る

父コトフと生き別れたナージャはソビエト共産党の従軍看護師になっていた。ナージャはドイツ軍の襲撃を受けた際に神父に救われたことをきっかけに洗礼を受ける。ナージャはその後も次々とドイツ軍の蛮行を目の当たりにし、発狂寸前までに追い詰められる。だがナージャは「私が生きているのは神が私を生かしたから、父と再会するのが神に与えられた私の使命」と自己解釈する………これがクライマックス。で、ラストシーンはどうなるかというと…

(PCからアクセスしている場合は画像をクリックすると拡大します)

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ナージャはドイツ軍にボコボコにされた都市にたどり着き、そこで唯一生存していたソ連兵士と会う。負傷した兵士は顔を焼かれて年齢がわからない。
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兵士はナージャの胸元に十字架を見つけて驚く。共産党は神を否定しているのに!ナージャは慌てて十字架を胸の中に隠す。しかし胸がはだけてしまった。
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ナージャが兵士を起こそうと抱きかかえると、兵士の背中に穴が開いていることがわかる。ここでナージャと観客はこの兵士が助からないことを悟る。しかしナージャと観客の心配をよそに、この兵士はナージャのおっぱいを意識し始める。そして…
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胸を見せてくれと懇願する兵士。戦場では人間のモラルが簡単に崩壊してしまうことを描くのか?と思いきや………
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男の魂の慟哭が描かれるのであった。エロ画像が無かった当時は童貞=おっぱい知らずである。
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ナージャは服を脱ぎだす。彼女は神が遣わした天使か!(すぐ天使扱いするのは日本人の悪いクセ)
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ナージャは脱ぎっぷりが良いうえにかなりの巨乳であった。これは男のために神が与えたもうた配材であろうか。(もう一度書きますが、PCからアクセスしている場合は画像をクリックすると拡大します)
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しかしナージャが脱ぎ終わると男は死んでいた。
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それはあまりにも無常ではないか。神がいるのなら何故戦争が起きるのか!神がいるのなら何故彼はおっぱいを知ることなく死ぬのか!ナージャの表情はわからない。
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カメラは引いて。
戦火のナージャ19
さらにカメラは引いて。
戦火のナージャ20
まだまだカメラは引いて超ロングになる。一分くらいかかる長いシーン。
戦火のナージャ21
いきなり映画は終わる。独ソ戦はどうなるのか?ナージャは父と再会できるのか?父コトフを追うドミトリは?など何もかもが尻切れトンボとなり、続編の『城塞』へ続くが『城塞』が日本に輸入されることは無さそうだ。ちなみに『戦火のナージャ』『城塞』は評判が悪いだけではなく、莫大な製作費をつぎ込んでの大コケだった。

この胸を見せるシーンは10分に及ぶ。ここだけじゃなくて映画全体が間延びしきった演出ばっかり。致命的なのはグチャグチャになった脚本で、場面転換するたびに状況説明がないしそれ以前に状況が繋がっていない。

このおっぱいラストシーンも映画の失敗感を強めてしまっている。ただナージャと兵士の会話はちょっと面白い。兵士は神を信じていないんだけど、ナージャが信者だと知って祈りの言葉を教わろうとする。

兵士
祈りの言葉を教えてくれ
ナージャ
すべての意志を委ねよ
兵士
俺の意志に?
ナージャ
彼の意志よ
兵士
スターリンの意志か。

ナージャの言う「彼」とはもちろん神のことなんだけど、兵士はそれを「スターリン」のことだと解釈してしまう。そんな彼が死を前にしたときにおっぱいを要求するのは、宗教も独裁も超越した個人の意思を………というのは考えすぎだろうか。

ちなみにナージャ役の女優は、監督・脚本のニキータ・ミハルコフの娘。娘を使ってこんなラストシーンを………いやいや考えすぎだ。

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