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マトリックス・レボリューションズについて
マトリックス・レボリューションズについてです。ネタバレには注意が出ます。

始めに

    ここは「マトリックス・レボリューションズ」についての雑記です。下を読むとすぐに「マトリックス・リローデッド」に関するネタバレがあります。

今回のストーリー

    「マトリックス・リローデッド」のラストシーンで現実とネットがゴッチャになってしまったネオ。そのショックでネオは引き篭もりになって映画は終わる・・・。 「マトリックス・レボリューションズ」のオープニングでは、ヒッキーになったネオを見てモーフィアス達がある仮説を立てた。「ネット上にいるんじゃない?」
    しかしネット上を検索してもネオは見つからない。そう、ネオはネットでも現実でもない妄想世界にいたのだ。その妄想世界で小さい女の子に萌えているネオ、いやトーマス・アンダーソン。しかし女の子の母親には当然嫌われる。じゃあ帰ろうと駅で待っていたトーマス・アンダーソン。だが駅の浮浪者にからまられて最終電車も逃した。駅のベンチで始発を待つサラリーマン・アンダーソン。彼女が迎えに来てくれたので何とか現実に戻る事ができた。だがアンダーソンが現実に戻るとみんなは別のヒッキーの事ばかり気にしている、だって自傷人間だから。 そんな様子に呆れたトーマス・アンダーソンは自分の行きたい場所がある事を皆に告げる・・・
「サイバーシティのアキハバラに行かせてくれ!」
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マトリックス・レボリューションズ   ★★★★★

    凄まじく評判が悪い上に宣伝も盛り上がっていない「マトリックス・レボリューションズ」。「マトリックス・リローデッド」を傑作扱いしたアメリカのファン達も、否定的な意見がほとんど。そう「マトリックス・レボリューションズ」は単なる凡作なのです。だけど僕の2003年のベスト1作品は「マトリックス・レボリューションズ」です。
    「マトリックス」は映画の表現の可能性を拡げた。「マトリックス・リローデッド」は哲学的アプローチを行った。「マトリックス・レボリューションズ」には何も無い、B級映画と同じレベルです。しかし2003年の裏ベスト1が「リベリオン」の僕にとって、表ベスト1はやはり「マトリックス・レボリューションズ」なのです。人類とマシーンの対決!ロボット部隊出動!世界はあの男に支配された!ケンカで決着つけたる!方法は何であれ、バカ映画ファンの魂を熱く燃えさせてくれた事を評価します。
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ネタバレ注意

    少しだけ「マトリックス・レボリューションズ」についてネタバレしています。

お約束演出

    映画のシリーズモノには必ずお約束演出があります。「マトリックス・サーガ」のお約束演出といえば掌をかざし弾丸を止めるネオです。「マトリックス」では覚醒したネオがエージェントの放つ拳銃の弾を止めます。この演出は「マトリックス・リローデッド」では数倍パワーアップしてメロビンジアンの部下達の放つマシンガンの弾を止めます。そんでもって「マトリックス・レボリューションズ」ではこの演出が数億倍パワーアップしていました。
    そして最大のお約束演出はやはりバレットタイム。「マトリックス」では屋上で弾丸をかわす時にバレットタイムが発生します。「マトリックス・リローデッド」ではトラックが正面衝突して爆発炎上する時にバレットタイムが発生!観客の度肝を抜いて、リンクの肝を潰しました。そして「マトリックス・レボリューションズ」のバレットタイムは・・・何と男の拳!バカかお前ら。いや、ゴメン。実は感動していました。
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ネタバレ注意!

    以下は「マトリックス・レボリューションズ」を未見の方は読まないでください。

毎度のキャラネタ

● ネオ
色々謎も残り、評判が悪い「マトリックス・レボリューションズ」。僕も全て理解したわけではない、でも納得した。だけどキアヌがキリスト的救世主っつーのだけは絶対に納得いかん。

● モーフィアス
「マトリックス・リローデッド」では演説、ポン刀、トラック上の立ち回り、「私は天皇になった気分だ」発言など大暴れだったが、今回は別れた女の命令で副パイロット代理というショボい役回りに。「戦争は終わった!ザイオンは救われた!」というモーフィアス用の台詞ですらパシリに奪われる。

● トリニティ
改札通るときも燃焼系。

● ナイオビ
船の操縦が上手い。

● ゴースト
船の射撃が上手い。それじゃあモーフィアスはやっぱりお荷物?

● ベイン
心の目で見てもちゃんとサングラスしているのにはウケた。

● パーセフォニー
映画に詳しく無い人にはおっぱい要員にしか見えなかっただろうが、あの人は大物女優なんだぞ!映画に詳しい僕でもおっぱい要員にしか見えなかったが。

● メロビンジアン
「マトリックス・リローデッド」では偉そうな事言っていたが、今回はわざわざ「取引のルール」について説明する。「アホか」と思ってたら実は伏線だった。

● ロック
「ゲートを開けなくては!」というシーンで「ロックだ!」とか言うもんだから「何でゲートをロックするんだろう?」と思ってしまったのは僕だけでしょうか?

● リンク
「マトリックス・リローデッド」と違い「やっぱり我が家が一番!」という状況ではない。

● センティネルズ
普段目は青いが、怒ると赤色になる。嘘。

● マトリックス
ネオと手を組む。救世主が青い服を着た少女じゃない事に怒るが、触手は出してあげる。

● ミフネ
今回のMVP。たった一人で無数のセンティネルズを倒す。しかもクライマックスはミフネ一人VSセンティネルズ千匹!泣かせるカッコ良さ。2003年真のラスト・サムライとはチビの白人ではなくて、三船の名を持つこの男だ!
ダラダラ喋るキャラだらけの「マトリックス・サーガ」の中で、要点だけをまとめた名演説を聞かせてくれる貴重なキャラでもある。「我々の死ぬ時が来た!だが死ぬ前に敵を地獄の道連れにしろ!」は最高の決め台詞だが、最後の台詞はボンクラだ。

● キット
今回もパシリ。しかし事態が事態だけにパシリも命がけ。ミフネに大役を任せられるが「オレ、単位とってません」とビビる。
自分をパシっている黒人の奥さんに助けられながらも大役を果たしたおかげか、最後はオイシイ。

● スミス
少女を襲い同化して、老女を襲い同化して、看護してくれた女性を刺し殺し、トリニティをボコる。最低野郎に成り下がったと思いきや「マトリックス・サーガ」最強キャラに大出世。

● 無数のスミス
オンリーワンもナンバーワンもいない世界となったマトリックス。あんだけ無数のスミスが一斉に殴りかかったらネオといえどたまったものではない。予告編を観ながらどうやって”タイマンで戦う必要がある”という説明をつけるのかなぁと疑問に思っていました。きっとフレドリック・ブラウンの「闘技場」のようになるのかな?と予想していたら「あいつらは見物だ」ってオイ。
(「闘技場」:SF短編小説の傑作。人類と宇宙人による宇宙戦争が起きている未来世界で、神の意思により代表者が選ばれ闘技場で決着をつける事になる。)

● オラクル
っていうか映画的には「大人が姿を変える」といったら子供の姿にするべきじゃないの?黒人の老女が黒人の老女に変身してどうするのよ?(本当はオラクル役の女優が亡くなったから)

● オラクル・スミス
僕が勝手に命名、特徴は笑い声が素敵。オリジナル・スミスはどうなったかもう知らん。他に言葉使いがカワいいサティ・スミスがいる。

● サティ
宣伝の対象から完全に外れているが「マトリックス・サーガ」を締める存在である。

● セラフ
ヒッキーになったネオに代わり戦闘担当になる。こいつなら制圧したビルからの脱出も簡単だと思うが、制圧者全員がスミスだったためあえなく捕縛。

● ジー
「戦場に行ったあの人はいつ帰ってくるのかしら?あの人が無事かどうか考えると落ち込んでしまうわ。え?リンクが帰ってくるの!こうしていられないわ、子供は義姉さんに預かってもらって私はリンクの好きなパンケーキを作ってあげよう。すりこぎとボウルを用意しなきゃ・・・」
というキャラのはずだったが、リンクよりも遥かに役立つ戦闘補佐キャラになっていた。

● ジーの相棒
雑魚ばっかり狙っているロボット達をよそに効率よくボスキャラを狙う。

● トレインマン
マトリックスとマシンを行き来する電車の管理人だが、車内暴力はバリバリ行う。

● アーキテクチャー
「マトリックス・リローデッド」では延々とベラベラ喋っていたが、今回では「解放」に関する超重要な台詞をアッサリと数行で済ます。


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ネタバレ注意!

    以下は「マトリックス・レボリューションズ」について完全なネタバレです!

ラストの解釈

    僕なりの「マトリックス・レボリューションズ」のラストの解釈です。上手く文章にならないので箇条書きにしました。

● クライマックス、マトリックスでは凄まじい土砂降りが起き、闇に包まれています。何故ならマトリックスはスミスにほぼ完全に侵されたから。つまり雨が止み、闇が晴れるとき、それが解放を意味するのでは?

● そこへ現れた救世主ネオ。彼は救世主としてキリストと同じく苦難の道を歩んできた。光と愛する者を失うという道を。

● ネオはマトリックスと会話する。そこでネオはスミスを滅ぼす事と引き換えに平和を願う。承諾したマトリックスはネオをマトリックス内部に送り込む。

● ネオとスミスの最終決戦。だが決着はつかなった。正負がぶつかって0になっただけだった。

● 全てが終わってザイオンは平和を手に入れた。そしてマトリックスも平和を手に入れた。マトリックスはまだ生きている。

● マトリックス内部のサティの目覚めと同時にデ・ジャヴの猫が・・・サティが目覚めた時にマトリックスに何か起きたのか?

● マトリックスを真に制御したのはスミスではなかった。ネオでもない、オラクルでもない、設計者でもない。マトリックスを制御して光を登場させたのはサティだった。

● オラクルとサティが救世主ネオの復活を示唆する。ザイオンでの復活ではなくて、マトリックスで復活する事を・・・。


    僕はこう解釈したんですが、自分の解釈ながらイマイチ気に入りません。だって「マトリックス」の第一作を無視しているから。「マトリックス」を大傑作扱いする僕にとってそれだけは納得出来ない。またサティの存在もサティの両親が愛とカルマで説明つけているとはいえ唐突すぎます。
    でもこの解釈なら「人類の大半がマトリックスに接続されたままだけど、それでも物語は完結した」という事に対する納得が出来るんですね。マトリックスに接続された人類が救われるにはネオの復活を信じればいい。キリスト教信者がイエスの復活を信じているように。

しかしアニメオタクの監督が、「1:触手に祭られる救世主→2:二人の空飛ぶ超人による格闘対決→3:宗教的解釈」に行き着くってのは、「1:風の谷のナウシカ→2:ドラゴンボールZ→3:新世紀エヴァンゲリオン」みたいな日本アニメの流れと同じモノを感じます。あ、宗教的解釈とロボットやったのはパトレイバーか。
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たまには真面目に解説します

    とは言え、一度映画を観ただけの僕の勝手な解釈に基づいた解説です。鵜呑みにしないように(破壊屋の他の文章も全て同じです)。

マトリックス・レボリューションズの解説

    「マトリックス」のラスト。ネオは救世主としてマトリックス内部で覚醒し、エージェント達の弾丸を止めるという奇跡を起こした。「マトリックス・リローデッド」のラスト。ネオはマトリックス外部(現世)で覚醒した。ネオは迫り来るセンティネルズを止めてしまったのだ。ネット上で奇跡を起こしているようでは真の救世主ではない、真の救世主ならば現世で奇跡を起こせるのだ(実際にはネオの意識がソースにアクセスしてセンティネルズを止めた)。しかしネオの意識はその衝撃に耐えられず、マトリックスとマシーンの狭間の世界を漂うことになる。
    モーフィアスとトリニティはセラフ(実はメロビンジアンの息子)に連れられて、再びメロビンジアンの元へ向かう。モーフィアス達はメロビンジアンにネオの解放を求める。だがメロビンジアンは取引するにはそれに見合うだけの取引材料が必要だと言って断る。
    狭間でネオは男性と女性のプログラムに出会う。この男女はサティという少女のプログラムを作った。どうやって作ったのか?それは「愛」だった。男女のプログラム、いやサティの両親は狭間の中を通る電車に乗ってサティをオラクルの元へ届けようとする。ネオも共に電車に乗ろうとするが、メロビンジアンの部下に阻まれた。ネオは狭間に取り残される。しかしネオが意識を集中するとトリニティが現れ、ネオは脱出に成功した。これもネオが起こした奇跡なのか?それともトリニティが単にタイミング良く助けに来ただけなのか?それはわからない。だが奇跡も目的も不確定要素の上に成り立つことは確かだ。そしてそれを否定する事ができるのは奇跡や目的を信じていた者だけだ。
    ネオはオラクルの元へ向かう。そこでオラクルはネオに
「始まりがあるものには全て終わりがある」
「スミスの力は強大になりすぎて、全てを破壊しようとしている」
「ネオとスミスは同一でありながら正反対の存在」

    そして今夜最後の決戦があることも伝える。ネオはオラクルと別れる。オラクルの役目はネオを導くこと、救世主を作り出すこと。つまり救世主の母的な存在だった。
    オラクルとセラフの元へ届けられたサティ。だがそこへやってきたのはオラクルを狙うスミスだった。スミスはサティを上書きする。オラクルはスミスがやってくる事、スミスのやる事が全てわかっていながら逃げださなかった。そしてスミスはオラクルを上書きして強大な力を手に入れる。オラクルは救世主の母としてネオを導いたのと同様に、負の存在であるスミスも導いたのだ。
    だがこれはオラクルの「危険な賭け」だった。「危険な賭け」とはアーキテクトの求める「バランスのとれた方程式」を壊すことだった。アーキテクトの方程式を壊したとして、その結果は?
    復活したネオはトリニティと共にマシーンシティーへ向かおうとする。それは救世主が歩み道のりであり、苦難に溢れている。そして苦難とはスミスだった。ネオが現世で覚醒し始めたのと同じくスミスも「マトリックス・リローデッド」で進化していた。スミスの得意技は上書きだったが、現世の人間の意識にも自分を上書きしてしまったのだ。スミスに上書きされたベインはネオの顔を焼き失明させる。だが苦痛は救世主としてのネオを覚醒させる。
    「マトリックス」で救世主として覚醒したネオは、全てが緑色のコンピュータコードに見えた。今度は失明して現世の救世主として覚醒したネオは、全てが輝く光の粒子で構成されているように見えた。ベインを倒し、歩みを始めた真の救世主ネオはマシーンシティに到着する。だが真の救世主ネオでもマシーンシティの総攻撃を防ぎきることが出来なかった、トリニティが犠牲となる。トリニティはマシーンシティの中枢にネオを届けそこで息絶えた。愛する者を失うという最大の苦難を受けたネオ、彼はたった一人で最後の道のりを歩む。その先にはデウス・エクス・マキナが待っていた。
    その頃ザイオンでは市民達がセンティネルズの猛襲に備えていた。最前線に立つ市民達を前にミフネが叫ぶ
「遂に我々の死ぬ時が来た!だが死ぬ前に奴らを地獄の道連れにしろ!!」
    余りにも絶望的な戦い、ザイオンのドッグはズタズタに破壊されるが、駆けつけたモーフィアス達がEMPで敵のマシンも味方のマシンも全て止めた。だがそれは次の攻撃はもう凌げないことを意味している。そして次の攻撃はすぐに迫ってきていた。
    マシーンの神としてデウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神。救いの神。ギリシャ神話はよく救いの神が現れて物語に決着つけるので、転じて「突然何かが現れて物語の収拾をつける脚本、台本上の手法」を意味する。)が現れる。デウス・エクス・マキナはネオを殺そうとするが、ネオはある取引を提案する。
「お前達にもスミスは制御不可能となった。だが俺が代わりにスミスを倒す
   デウス・エクス・マキナが訪ねる。
「貴様の要望は何だ」
「平和だ」

    デウス・エクス・マキナはこの取引に承諾し、ネオをマトリックスに接続する。オラクルが予言した最後の戦いが始まろうとしていた。
    スミスに支配されたマトリックス内部は凄まじい土砂降りで闇に包まれていた。そこに太陽は無い。この闇を晴らすことが出来るのはネオなのか?それとも・・・。
    ネオとの最終決戦に現れたスミスはオラクルを上書きしたスミスだった。想像を絶する戦いが始まる。だがスミスの力は強大すぎた、スミスは人間の全てを否定する。
    「愛も平和も真実も全て幻想にすぎない。」
    スミスはネオに上書きを始める。そのときネオは最後の台詞を呟く
「お前は正しい」
    スミスは遂にネオを取り込んだかのように見えた。だがそのとき全てのスミスが内部崩壊を起こしてあっという間に消滅した。正であるネオと負であるスミスがぶつかって0になったのだ。


    デウス・エクス・マキナはネオとスミスの消滅を確認すると、ザイオンへの攻撃を止めた。引き上げるセンティネルズを見てモーフィアスはネオが奇跡を起こした事を感じた、そしてザイオンは救われた。
    マトリックス内部でスミスに上書きされていたサティが自我を取り戻した。そのとき同時にデ・ジャヴの猫が・・・サティが目覚めた時にマトリックスに何か起きたのか?


    マトリックス内部の公園で設計者とオラクルが談話している。オラクルの危険な賭けは成功したのだ。こうして全てに平和は訪れた。皆が願う限り続く平和、人間が壊さない限り続く平和が。それを理解したアーキテクトは
「解放されたいと願ったものは自由に解放される」と説明する。
    そこにセラフに連れられてサティがやってくる。マトリックスを真に制御したのはスミスではなかった。ネオでもない、オラクルでもない、設計者でもない。マトリックスを制御して光を登場させたのはサティだった。
    もうネオはいない、マトリックスにも現世にも。だがオラクルもサティも救世主ネオの復活を信じていた。きっとネオの復活が実際に起こるのを見ることはないだろう。でもネオの復活を信じる事は、キリストを信じる者がキリストの復活を信じているのと同じ事なのだ。奇跡や目的を信じている者にはきっと・・・


   
こうして全てが終わった。

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自分の質問に自分で答える1

    ● 質問内容: 世界はスミスに支配されたのに、何故スミスは律儀に1対1のケンカを仕掛けてくるの?


    確かにオリジナル・スミスが判別出来なくなった状態で、スミスが1対1のケンカを仕掛けてくるのはおかしい気もします。でもそれには理由があります。スミスは1対1でも絶対に勝利する自信があったからです。あのときのスミスはスーパー・スミス人と言える程の強さでした。
    そしてネオは自分とスミスが融合する事で、スミスもネオも消滅する事を理解していた。あのときのネオは神一歩手前の救世主でした。自分が消滅することで世界を救うのなら、ネオが我が身を犠牲にすることを目的にするのは当然です。同じような存在の救世主キリストの死は奇跡を起こし、結果キリストは神になりました(注:僕は聖書の全てを読んでない、これは「ベン・ハー」の知識)。
    「だったらいちいちドラゴンボールごっこしてないで、さっさと我が身を投げ出せよ!」と思うかもしれません。確かにネオがいきなりスミスに上書きされたのなら、ザイオンの市民は余計な心配をせずに済みました。それでもネオはあえて戦ったのですが、これには二つの理由があります。

    まず最初の理由ですが、ネオはとりあえずスミスに男の拳を一発叩き込みたかったからです。
    そしてもう一つの理由はネオが真の神になるためです。トーマス・アンダーソンもネオも宗教には結構無関心だったはずです。また「マトリックス・サーガ」には仏教的価値観も多く取り入れらており、安易にネオ=キリストを持ち出すのは軽薄です。またネオは決してキリストを目指していたわけではありません。ネオは真の神というものを理解していた、真の神を目指していた。真の神とはもちろんブルース・リーのことです。ネオがブルース・リーのポーズを模するのは、真の神へと近づくための禊なのです。
    (注:一般人は知らないでしょうが、映画ファンには「ブルース・リー=神」論というのがある・・・あるよね?)
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