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2046   ★

       日本全国の映画館で予告編がかかり、連日のようにマスコミが大々的に取り上げる。でも本当は続編映画だって事はほとんど知られていない。「オレだよ、オレ!今度オレが映画に出ているんだよ!」と、日本人全員がキムタクのオレオレ詐欺に引っかかった感のある「2046」。アジアの大女優達が出てくるので、それを目当てに観に行ったんですが、みんな髪型が似ている東洋人なのでサッパリ区別がつきませんでした。アジエンスのCMは嘘だな。自然な黒髪じゃあダメなんだよ。

    オープニンはキムタクのナレーション。「2046年、人々は2046に向かっていた。」という意味不明の設定が語られる。2046とはどうやら探し物が見つかる井上夢水の「夢の中へ」みたいな場所なので、みんな2046に向かうらしい。だけど2046の秘密は誰もわからない。何故なら2046から帰ってきた者がいないからだ(そんな所向かうなよ)・・・。
    すいません!僕この映画のラストシーンわかっちゃいました!
    きっとラストで、[この↑ナレーションをまた繰り返して]
    それで結局、[2046の秘密はわからないんだろ!]
    と予想していたら、コレが的中


    映画の内容は単なる長屋の艶話。センス皆無の恋愛描写が延々と続く。以下はネタバレ含む解説です。
● 映画本編が始まった。主人公を演じるのはトニー・レオン(以下、レオン)。レオンは昔別の映画で付き合った人妻と、ホテルの2046号室でイタしたことがあるので、2046という数字が好きだった。これが2046の意味だった

● レオンは昔付き合ったさらに別の女と再会し、その女が長屋みたいなホテルの2046号室に住んでいることを知る。そこでレオンは長屋の2046号室に行くが彼女はいない。レオンは人の良い支配人に彼女がいなくなった理由を聞く。彼女は一昨日に引越していたのだ。

● レオンは2046号室を借りようとするが、支配人はそれを断る。何故なら彼女は一昨日に2046号室で殺されたからだ。この時点で僕はもうどの女がどーいうキャラで誰が演じているのかサッパリわからなくっていた。

● レオンは2047号室を借りる。レオンの部屋に支配人の次女が押しかけてきて、二人は付き合う。が、次女は別の男と駆け落ち。監督自ら何も考えずに撮影したと豪語しているだけあって展開に筋が通っていない。

● 支配人の長女は日本人と付き合っていた。そこで広東人っぽい日本のサラリーマンが登場。え?これがキムタクなの?キムタクのカッコ良さが微塵も無いんですが・・・

● キムタクは延々と日本語で喋っている。キムタクが喋り終わると、女が黙って泣いている表情が挿入されキムタクは何か諦める。あ、これ告白シーンなのか。告白シーンなのに会話とか感情が一切無いから、キムタクが日本語わからない人にまくしたてていただけに見えたよ。

● レオンの隣の部屋に女(チャン・ツィイー)がやってきた。女は男を連れ込んでセックスして大きい声で喘ぐ。その女はイイ声だったので、金に困っていたトニーはその見ず知らずの隣の女を100ドルで友人に売る

● やらせてもらえると喜んだ友人は、チャン・ツィイーの部屋に行って、「姉ちゃんやらせてくれ」。ってこれじゃあ長屋の艶話だろ!

● レオンはチャン・ツィイーにストッキングをプレゼントして気を惹く(いきなりそんなプレゼントされても普通の女性は引きます)。

● レオンとチャン・ツィイーは付き合い始める。チャン・ツィイーは映画史上最速のフェ○○○をする。

● レオンはチャン・ツィイーにセックスする度に10ドル(推定)を払う。この一行でツッコミ入れる個所は3つある。
1:それは恋愛じゃない、買春だ
2:チャン・ツィイーが10ドルというのはあまりにも安すぎる
3:しかもそれ香港ドルだろ。

● 月末なので懐がピンチなレオンは、チャン・ツィイーとセックスできない。ちなみに「2046」のチャン・ツィイーのキャッチ・コピーは「真実の愛に傷つく女」。嘘つけ。

● そのうちレオンとチャン・ツィイーはケンカする。どっちが喘ぎ声が大きいか競うのだ。レオンは2047号室へ別の女を連れ込んで、大きな声でウッフン、アッハンやって、チャン・ツィイーはチャン・ツィイーで2046号室に別の男を連れ込み、大きな声でイヤぁン、バカぁンとやっている。この映画はバカですか?
ちなみにこの監督のラブシーンの演出は「激しいセックス=ベッドがギシギシ鳴る」という超安易な手法を使っているため、画面上ではベッドだけが映り、ギシギシギシ・・・・という効果音が被さるだけ。

● レオンはキムタクを主人公にしたSF小説を書き始める。その小説の内容は・・・

● キムタクは2046に向かうミステリートレインに乗っていた。

● キムタクの前にアンドロイドが出てくる。アンドロイドはカクカク動いている。カクカク!子供向けの番組でも、もうこんな表現やらないよ!

● ミステリートレインが通る1224から1225までは寒い地域だった。アナウンスで「寒いので乗客の皆さんは抱き合ってください」。どこがSF小説じゃ。

● しかしキムタクの周囲には他に乗客がいなかった・・・そこでキムタクはアンドロイドとセックスすることに。

● このシーンでクスッと笑ったら隣のキムタクファンに睨まれた。しかもこのシーンの意味は「1224(クリスマス・イブ)と1225(クリスマス)は恋人達が求め合う日だ」という説明がつく。ちげえよ!クリスマスはキリストの生誕を祝う日だよ!セックスする日じゃねえよ!ウォン・カーウァイ、お前は日本の若者か?


● キムタクはアンドロイドを抱いたはいいが、アンドロイドに感情反応が何も無いことに気づいた。キムタクはアンドロイドに何度も「オレと一緒に来ないか」と言うがそれでも反応は無い。(僕はアンドロイドに感情が無いのは当たり前だと思いますがね。っていうか感情あるのが普通だったら、アンドロイドが恋するのも当たり前じゃないか!監督はネタ元の「ブレードランナー」もう一回見直せよ!「ブレードランナー」が難しいのなら「A.I.」でも構わないぞ。)

● キムタクは支配人に理由を聞きに行く。「どうしてオレのアンドロイドは反応が無いのか?」
支配人の答えは驚くべきものだった。「彼女達はポンコツなので、反応が鈍いんです。2,3日後に反応しますよ。」

● それに対するキムタクの答え
「いや、彼女は別に愛している男がいるから反応しないんだ。」

● ミステリー・トレインの行き先は2046じゃなくて日本だった。ミステリー・トレインは日本まで1110時間かかって到着する。これが小説の内容だった。 1110時間?何だそれ?香港から日本へ反対側回って来たのか?

● ちなみにこの1110時間という数字には意味がある。この後小説のラストを書き直そうとした作家が111時間も小説書けなくなるのだ!って逆だよ!逆!。「2047」は作家の私小説なんでしょ。111時間の間小説書けなかったからアンドロイドは1110時間旅するのが正しいんでしょうが!1110時間旅したから111時間小説書けなくなるんだったら、意味なんか無くて単なる偶然だよ。

● 111時間後、小説を書き直すシーンは無い。っていうか今後こいつが小説を書くシーン存在せず。

●  1968年のクリスマス・イブ。レオンと恋人がレストランへ料理を食べに行くと、グルメ漫画のように料理がキラキラ光る。撮影はアイドルのSPEEDの映画にも出ているクリストファー・ドイル。

● 1969年のクリスマス・イブ。舞台は香港。レオンは数年前のシンガポールでのイカサマバクチを思い出す。舞台は数年前のシンガポールに移る。おい!クリスマス関係ないよ!

● シンガポールでバクチに負けていたレオンは、安食堂でソバ喰っている謎の女ギャンブラー黒蜘蛛と知り合う。レオンは黒蜘蛛にイカサマ依頼して一儲けする。


● 黒蜘蛛を見たレオンは再び数年前を思い出す。ってお前さっきから何度も思い出してばっかじゃい!いつまで遡る気だ!また別の回想シーンになる。

● 黒蜘蛛には秘密があった。彼女の右手には誰も知らない秘密があるというのだ。その秘密は明かにされない。誰も知らないからだ。

● レオンと黒蜘蛛は別れることにする。レオンは黒蜘蛛にキスをする。ものすごく不自然に乱れる黒蜘蛛の口紅。

● 黒蜘蛛泣く。”男が何かする→女は何もせずに泣く”というパターンを一つの映画で3回もやる監督が、どうして名監督としてチヤホヤされるのかなぁ。

● レオンと黒蜘蛛が別れる様が、「彼女は満開の牡丹のよう・・・」と字幕で情景描写される。しかし全身黒尽くめのトリニティ女が泣いてるシーンで「彼女は満開の牡丹のよう・・・」とかいう字幕を入れられてもねぇ。

● レオン、タクシーで帰る。字幕は「男は暗闇の中、未来に向かい・・・」とか入る。

● また画面に穴が出てくる。レオンのナレーション。「2046に行った人は誰も帰って来ないから2046はわからない」   映画は終わる。
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