トップページ | サイトマップ(全コンテンツ一覧) | 映画の壺 | マッド・シネマ



ハウルの動く城   ★★★★

    「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」と深いテーマを与えた作品の連発で、大衝撃を与えてきた宮崎駿だけど、今回の「ハウルの動く城」は見慣れた宮崎演出と宮崎キャラで安心して観れる内容になっていました。相変わらず出来は素晴らしいんだけど、宮崎アニメはいつも後半が前半よりもつまらないという欠点があって、「ハウルの動く城」はその欠点が顕著に出ている。特にクライマックスで”登場人物が何をしたいのか、そして何をすれば良いのか観客にわからない”という、宮崎駿が今まで絶対にやらなかったミスをやってしまっているのが悔しい。[”少年ハウルとカルシファーの契約”から”ハウルが助かる”]までの繋がりは、終わってから考えてもわかりにくい。

    それに「ハウルの動く城」は全編に渡って「戦争」のイメージが強く打ち出されるので、「そこに何かテーマがある」と勘違いしてしまう。実際映画が始まって最初の10分間位は銃や戦車や軍隊が次々と写るし、段々と戦争の直接的な表現が増えていって、クライマックスは[空爆&「地獄の黙示録」風ナパーム炸裂]もある。ファンタジー映画とは思えないほど戦争が現実的に描かれます。でも結局この映画にとって「戦争」とは[”相手の国と話がついてめでたしめでたし”というおとぎ話のレベルに落ちてしまい、「戦争終わって良かった」]という結論しか出てこない。

    とまあ貶してしまったけど、やっぱり宮崎アニメ。ファンタジーとしては抜群に優れている。動く城のワクワク感や、魔法のギミックは非常に楽しい。また宮崎アニメは素晴らしいファンタジー世界を構築しておきながら、生活感を丁寧に描いてくれる部分が最高なんだけど、今回もハウルの動く城でお食事、お掃除、お洗濯、ちょっと休憩して湖畔でティータイム。なんて素敵なシーンがある。
    恋愛映画でもあるんだけど、僕はあのソフィーの呪いのギミックは[ソフィーがハウルに対して真っ直ぐな感情を持つと、その強さだけ若くなる]と解釈した。恋とか愛だけじゃないと思う(原作は知らん)。
    そして前半のおばあちゃん映画という部分は非常に新鮮。おばあちゃんという人種のネガティブな部分をタップリ描きながら、おばあちゃんの逞しさを明るく正しく捉えていくのは、さすが天才です。(おばあちゃんって独り言多いから、心情表現は楽だと思う。)

    ところで今回の「ハウルの動く城」には下半身ネタでウケを取る場面があるのですが、これって宮崎アニメ初ではないでしょうか?(あ、カリオストロの城でパンツ一丁になるルパンがあったか。)
ベストシーン: ソフィーがおばあちゃんになってから、街を離れてハウルの動く城に着くまでのシークエンス。
ソフィーがおばあちゃんになっちゃって、「落ち着かなきゃ、落ち着かなきゃ」って慌てているのも、「もうここにはいられないわね」と街を離れてトボトボするシーンも、涙が出そうになるほど悲しいシーン。だけど、ヤケになりながらも頑張って街を離れていくおばあちゃんには、どこか観ていて励まされるモノがある。それにおばあちゃんはそんな仕草もカワイイし、僕等にはこれらからおばあちゃんがハウルと大冒険するのがわかっているので、ちょっとワクワクできる。


●  キムタク
「2046」の”淡い虹”のラブレターを詠むシーンで、かなり不安になったがそれは的中。でもキムタクは確かにミスキャストでしたが、ブリーチに失敗して泣き喚くシーンはピッタリだよ。

●  倍賞千恵子
「どうしたんだい?こねずみちゃんって口説かれる倍賞千恵子には、キムタク以上に違和感を感じました。

●  ソフィー
若い盛りの少女だったが、魔法のせいでおばあちゃんに。しかし自分が若い事にすら戸惑う精神年齢の高さと、少女離れした声と台詞回しの持ち主だったために、結構前向きに今の自分を受け入れる。
惰性で親の帽子屋をそのまま継ぐつもりでいたが、一身上の都合で退職。魔法使いの城や、王宮などに飛び込み就職を繰り返すガッツを見せる。特に掃除人として就職したハウルの動く城は、城内全てタイガーモスの厨房状態だったために大活躍をする。
おばあちゃんになっちゃったのに違和感の無いかわいそうなアニメヒロインだけど、クライマックスでは[ウッカリ悪魔を殺す]というアニメヒロインらしいドジっぷりを見せる。

●  ハウル
絶世の美男子で美女のハートを狙う魔法使い。しかしキムタクの声だと何故か「絶世の美男子」という雰囲気が掴みにくいから不思議。キムタクは美男子なのに。
落ち込むと「アリーMYラブ」や「アメリ」の特撮みたいに、どよーんという雰囲気が実体化する。

●  [悪魔ハウル]
この存在もイマイチわかりにくかった。   野原に立つ美青年。しかし彼の腕は悪魔の皮膚が・・・って「デビルマン」と同じシーンがあるのでギョっとした。
[悪魔ハウル]がカシルファーの前に足を投げ出すと、カシルファーが「臭い」って言うシーンで笑う観客がいたけど、そーいう意味の臭いじゃないぞ。

●  カルシファー
ハウルと契約した悪魔。その力は強大で生ゴミの処分、湯沸し、引越しの手伝い、害虫退治などに使われる。しかし弱点はジャミラと同じ(当たり前だ)

●  マルクル
スター・ウォーズでいうところのパダワン

●  荒地の魔女
スピード感溢れるアクションが特徴である宮崎アニメにおいて、最遅の激戦をソフィーと繰り広げる。

●  サリマン
金髪美少年達を召使にして優雅に暮らしているショタコンおばさんの頂点。サルマンと一字違いということからも、かなり強力な魔法使いであることがわかる。

●  レティー
派手で人当たりが良く、自分の外見にも自信がある。ソフィーの対象になるキャラだけど、あまりその役割を発揮しない。

●  マダム
ソフィーの母でもある。僕はこいつのせいで「きっと帽子には何かメタファーがあるんだ!」とか深読みしてしまった。

●  カブ
よく見るとポスターにも出てるじゃん。肝心なときに役立つヤツ。

●  [カブの正体]
老婆マニアかコイツ。 [戦争という大問題をアッサリ片付ける童話の王子様のような存在。いや、実際童話の王子様なんだが。]

●  予告編に出てくる介護受けているおばあちゃん
「このキャラ知らねえよ」と思っていたら、まさか[美輪明宏のなれの果て]だとは・・・。

●  ヒン
[ラストで突然スパイとしての役目が明確に判明するが、全然役に立っていない]。弱点はロボコップのED209と同じ

●  髪の毛の色
僕は眠り半分以上の時だけ[ソフィーが完全に元に戻る]意味がわからなかった。特に意味は無さそうだけど。

●  荒地の魔女の呪い
おばあちゃんになってしまう上に、解除方法も無いという恐ろしい呪いだけど、[常に恋全開モードの女性]には効かないのでは?。

●  サリマンの魔法
かーごめかごめ、かーごの中の鳥は、何時何時でーやーる?

●  荒地の魔女の手紙
魔法使いたちの会話から察するに相当強力な魔法らしいが、僕にはやっぱり机を焦がしただけに思えた。

●  引越しの魔法
引越しというよりも、劇的ビフォーアフターだと思う。

●  キングズベリー
サリマン、ハウル、荒地の魔女と契約しているのだから、相当強いと思うんだが、何か苦戦している。

●  戦艦
ギガンテス、バカガラス コルベット、ゴリアテなどの宮崎大型バトルシップ好きの僕にはたまらなかった。[悪魔と化したハウルVS戦艦]のバトルは見たかったぞ!

●  ジェンキンスさん
軍隊の召集に応じず脱走、その後不名誉除隊となった(違う)。

●  ハウルの寝室
ハウルって魔女が避けられるならDrコパの風水とかもやりそうだな。

●  ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
JKローリングを羨ましがっただろうが、これで一矢報いたと思う。

●  世界の約束
谷川俊太郎にしては詩がイマイチだと思ったのは僕だけでしょうか。

●  宮崎駿
「千と千尋の神隠し」の反動なのか、もっともロリコン色が弱い映画を作った。

●  パンフレット
宮崎駿を語れる評論家なんて腐る程いるはずなのに、何故彼等を使わない。

●  ハウルの動く城のドア
どこでもドア・・・と言ったらそのまんまか。[クライマックスでは特に説明無しに時空を越える]。

●  [ハウルの心臓]
荒地の魔女やカルシファーの行動原理を示す、映画の超重要要素なんですが、その存在がハッキリとわかるのはラスト直前。

●  ハウルの指輪
「光が指す方向へ」という見覚えが非常にある機能を持っている。

●  戦闘機
これは何て呼べばいいのかな?劇中出てきたフラップター系のメカなんだけど。
密閉感が弱い宮崎メカにおいて、このメカはメーヴェ並に密閉されていない。

●  ハウルの動く城
魔法の力で動いているとのことだが、前半だと蒸気機関で動いているようにしか見えない。後半でようやく「あ、本当に魔法の力で動いているんだ」と納得した。
目はかたつむりのようで、唇はタラコ、あっかんべーも出来る。

●  [ハウルの動く家]
ハウルの動く城の進化形態。居住性を捨てて、機動性に特化している。

●  [ハウルの動く板]
ハウルの動く城の最終形態。風通しが良い。

●  [ハウルの板]
上半身の無いジオングみたいな状態。って何だそれは。

●  [ハウルとソフィーの空飛ぶ城]
[離着陸するシーンを観てみたかったなぁ。   この城の最大の特徴は、洗濯モノを干すときにすぐに良い日当たりを手に入れることができる事。あと庭が付いている。

いつかハウルとソフィーは別の空飛ぶ城を見つけると思う。その城はきっと中心が青く輝いていて、ずっと高い所を飛んでいるんだ。
]
△映画の感想に戻る   ▲破壊屋に戻る
破壊屋TOPページに戻る 全てのコンテンツ 映画の壺 マッド・シネマ 一つ上に戻る