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トロイ   ★★★

「兄ちゃん、僕のこと大切だよね?」

「お前がそういう事言う時は、必ず何かしでかした時だ。」

「よくわかったね。」

「お前が10歳の時に親父のバイクを勝手に盗んで、一緒に謝ってやっただろう。その時もお前は同じこと言ってたぞ。」

「またやっちゃったんだよ。」

「しょうがねえなー、今度は何を盗んだんだよ。」

「実はさぁ・・・」



こうして全てが始まった。いや、マジで。


    「ロード・オブ・ザ・リング」の大成功を受けて作られただろう映画です(今年はアーサー王もある)。ブラッド・ピット、オーランド・ブルーム、エリック・バナという超美形男優三人の愛の物語・・・というやおい好きの女性にはたまらない内容ですが、別に彼らが愛し合うわけではないぞ。
    「トロイ」の基本構造はお持ち帰りです。まずトロイのボンクラ王子が王女をお持ち帰り。怒った相手は巫女さんをお持ち帰り。しまいにゃ[王子をお持ち帰りしたり返品したり]して、オチはもちろん木馬をお持ち帰りします。


    トロイのボンクラ王子がギリシャの王女に惚れてしまい、駆け落ちしたのでギリシャ激怒。そしてギリシャとトロイで大戦争が勃発(訪朝した小泉首相が喜び組を全員持ち帰って将軍様が激怒するようなもんか)。王子のあまりの身勝手な愛に付き合わされるトロイとギリシャの両方が可愛そうだが、そんな世界は自分中心で、愛を叫ぶようなトロイの王子とギリシャの王女の恋はメインプロットにならない、これは当然のことです。世界中の大半の観客は民主国家で暮らしているんだから、国の指導者の国を滅ぼす愛なんて共感出来るワケがない
    トロイの王子とギリシャの王女の物語は最小限に抑えられ、アキレスの物語とヘクトルの物語がメインに描かれ、それぞれの従兄弟の存在がポイントになります(ロミオとジュリエットが脇役のモンタギュー家とキャピレット家の物語みたいなもんか)。でも物語の展開はふつーな展開に終始するのみ。
   戦争シーンの物量は物凄いのですが、大軍勢が意思を持ってバラバラに動いていた「指輪物語」に比べるとコピー&ペースト感が強い。ドラマの頂点に戦争シーンがあるのではなくて戦争シーンでドラマを盛り上げているので、観たあとに強く残るものがない。だけど長尺でも全く退屈はしないだけの実力は持っている作品です。ヤリや盾などの武器、貴族達の服装、トロイ都市など古代ギリシャ世界の雰囲気もよかった。それと槍術対決ってのは珍しいな。僕が槍術対決を観たのは黒澤明の「隠し砦の三悪人」以来だぞ。


    ところで劇中、巫女が戦争という悲劇が続くことを悲しんで「いつまで続くのだろう」という台詞があったけど、何千年経っても続いているよ「永遠に終わらない」というアキレスの返答は正しいけどお前が言っちゃ・・・。
おなじみキャラネタ
● パリス
つい最近どっかの危険地帯に出向き誘拐された被害者達に対して、同じ国の人達が「JIKOSEKININ取れ!」と大騒ぎになった。あの現象にビックリした僕でもパリスの首根っこ掴んで「JIKOSEKININ取れ!」と言ってやりたい。
演じるのはレゴラス。「指輪物語」のレゴラスは遠距離武器で接近戦も戦うカッコよさで世界中を驚かせたが、今回は[接近戦で大失敗]したので遠距離武器にコンバートという情け無い役回り。

● アキレス
最強の戦士かつアテネ・オリンピックのヤリ投げ代表。演じるのはブラピ。弱点の場所はみんな知っているよね?
勇猛な戦士達が出てくるこの映画で、筋肉ムキムキとは言え美形のブラピが最強の戦士というのは説得力に欠ける。しかしアキレスは格ゲー並みのジャンプ技の使い手ということにして、微妙な説得力を持たす。

● ヘクトル
将軍であり、最強の戦士であり、礼儀正しい王子で、劇中唯一マトモなキャラなので観客はこいつに感情移入することになる。戦争の原因そのものの弟、血気盛んな軍人、神のお告げに頼る神官、いつもダメな決定を下す王に囲まれていて思いっきり苦労しているが、[アキレスの怒りを買う]という地雷を踏んでしまうのは彼。[アキレスと戦う前に、妻と子に挨拶し、弟と挨拶し、父と挨拶するので100%死ぬとバレバレ]。演じるのはハルク。

● アガメムノン
ギリシャの王。名優が演じているにも関わらず全く魅力の無い王。決め台詞のBURN!TROY!BURN!はカッコいい。

● オデッセウス
「俺は戦えなかった!戦う機会を与えられなかった!ヘルム峡谷も!ペレンノール野も!モルドールの黒門も!だからトロイで暴れてやる!」というシャウトが聞こえてきた。映画の最後でオイシイとこだらけのキャラ。

● プリセウス
ヘクトルの従兄弟で巫女。登場シーンの時はこんな重要キャラになるとは思わなかった。クライマックスはトロイの中心で、愛を叫ぶ

● メネラウス
スパルタの王だがスパルタ教育が見られるわけでもない、ただの嫌なオッサンである。

● プリアモス
トロイの王。後半で土地勘を利用したモノ凄い作戦を実行するが戦争には全く関係無かった。

● ヘレン
メネラウスの妻。世界中の女性の「レゴラスに守って欲しい」という夢を叶えた女・・・叶えたのかなぁ?

● アキレスのいとこ
「敵を欺くには味方から」という作戦を立てて自爆する。

● アキレスの部下
名前忘れた。アキレスに忠実なイイキャラの割には見せ場が無い。

● アンドロマケ
ヘクトルの妻。「ディープ・ブルー」の女優さんなんだけどみんな覚えている?

● ヴォルガング・ペーターゼン
監督。映画史に残る大傑作「Uボート」を作った。だから「トロイ」で海戦シーンが無いのは残念だけど、「パーフェクト・ストーム」という微妙な作品も作った人だからなぁ。

● アキレス&オデッセウスの部下
「すっげー暇だよ」
「しりとりでもやる?」
「木馬、今日中に持っててくれないと辛いよなー」
「おいおい!外で燃やすとか言ってるぞ!」
「やべーよ!やべーよ!中に人がいるって知らせる?」
「バカ!それじゃあ意味ないだろ!」

● 木馬
ホワイトベースのことではない。現在宣伝キャンペーンで新宿にも巨大なトロイの木馬がある。中には秘宝読者達がいて「世界の中心で、愛を叫ぶ」「CASSHERN」の映写室を襲撃、フィルムを焼き討ちにして全部「スターシップ・トゥルーパーズ2」のフィルムに差し替えようと企んでいる。大嘘です。
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