「洗濯機の中に人が入ったら面白いから」という特に面白くないアイデアから生まれた映画『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』。ドラマ全体と後半部分が最悪の映画だ。
ヒロインは「死んだと思われた母親を探しにタイムスリップ」するのだが、母親に対する想いがほとんど見えない!それどころかタイムスリップして遊んでいる。なんでそんな展開かというと、「母親が死んだことになる」という設定は脚本完成後に付け足したから。じゃあ脚本直せよ!
また映画のクライマックスとなる[阿部寛の演説シーン]は、君塚良一が脚本家としての仕事を放棄したとしか思えない内容。演説では唐突に[家族]を持ちだして無理矢理オチをつける。
うんで映画のトリックが凄い。実はバブルが崩壊したのも、日本が不況に苦しんでいるのも、財政がピンチなのも、[外国人たちのせいだった!だから広末たちが外国人たちと闘ってバブル崩壊を食い止める!]これがクライマックスだ。このネタは「日本の映画では不況の原因が外国資本になっていた」と海外のメディアで記事になっていた。韓国映画や中国映画が似たようなことやったら一部の日本人が激怒すると思うが、そういうことを邦画がやってしまう。
後半はコメディとしても失速する。特に乱闘シーンの演出の下手さ加減が凄い。単に主役たちの背景で人が吹っ飛んでいるだけ。その合間合間にいろんなギャグが挿入されるのだが、それがチットも面白くない。広末がチ○コを吸って男を果てさせるという乱闘のオチは、観客が一人だけ笑っていた。
そしてラストシーンで、[家族の大切さを訴えたにもかかわらず浮気ネタをやったり、日本がバブルの繁栄を貪り続ける様子]を描くのは、これが日本映画だと思うと恥ずかしさすら感じる。
まあそういう作り手達の無神経さを無視して、こちらも無神経な人間になればそれなりに楽しめるかもしれない。前半がカルチャー・ギャップ・コメディとしては面白いし、君塚良一作品で初めて★★をつけた作品だ。
2008-01-12