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紀元前1万年   ★★

『紀元前1万年』を観てアメリカがゴメンナサイと謝っている人民革命映画だと思うような人間が、映画批評家を自称していることが恐ろしい。前田有一氏ってもしかしてローランド・エメリッヒがアメリカ人じゃないってことを知らないのか?超映画批評で『インデペンデンス・デイ』を人民革命ムービーと評しているのは笑ったけど。

『紀元前1万年』は確実に『アポカリプト』のフォロワーとして出てきた映画だ。ゴメンナサイとは関係無い。ただ『紀元前1万年』と『アポカリプト』には大きく違う点がある。まどぎわ通信さんの文章を借りれば

コーカソイドのヒーローがモンゴロイドやネグロイドなど全人類連合軍を率い,世界を滅ぼそうとする敵と戦う

ということだ。非白人を主人公にして[白人の侵略までを匂わせた]『アポカリプト』とはここが大きく違う。

『紀元前1万年』は白人酋長モノの要素を持っているとも言える。白人酋長モノという言葉は映画評論家の町山智浩氏がよく使う言葉で、白人が非白人部族のリーダーとなる映画だ。クライマックスで日本人たちが[トム・クルーズに土下座をする]『ラストサムライ』も白人酋長モノと言える。
『アラビアのロレンス』からの流れを受ける『紀元前1万年』も白人の主人公がいろんな民族を率いて敵と戦う。『紀元前1万年』のナレーションは『アラビアのロレンス』に出ているオマー・シャリフだ(『紀元前1万年』で人種のバランスを取るのは、映画に出るたんびに人種のバランスを取っているクリフ・カーティス)。
『紀元前1万年』をわかりやすく説明するために「白人酋長」という言葉を使ったが、『紀元前1万年』には「酋長」的な要素が弱いので、既存の白人酋長モノと同じくくりにすると少しズレてしまう。実際のところ『紀元前1万年』はアメリカ人にとってわかりやすい人間を主人公にした「ヒーローもの」だ。ローランド・エメリッヒ(愛称:エメ公)が今まで作ってきた映画とやってることは同じ。紀元前1万年を舞台にしてもアメリカはこういう映画を作ってしまうんだな。


僕はエメ公の特撮が大好きなので、この映画もそれだけを楽しむつもりだった。しかし『紀元前1万年』は珍作だらけのエメ公のフィルモグラフィーでもブッチギリの珍作だった。以下でストーリーをネタバレ込みで最後まで解説


2008-05-13

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