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ミーン・ガールズ   ★★★★★

今のところ『ミーン・ガールズ』だけが2005年唯一の5つ星…今年はヤバい年かも。アメリカでは3000近くの映画館で大々的に公開されて大ヒットしたのに、日本だと新宿の1館のみ。しかも3週間限定公開。さらに夜21時の回のみ。と思ったら速攻でDVDリリース。ものすごく酷い扱いだ。でも『ミーン・ガールズ』は確かに面白い。ジングルロックのシーンだけでも1800円の価値は十分にある(劇中女子高生達がミニスカサンタの格好でジングルロックを歌う)。


ヒロインを演じるリンジー・ローハンは両親の都合でずっとアフリカで生活していて勉強は自宅学習だった。この度アメリカに戻ってきて高校に入学するので、彼女は生まれて初めて学校生活をすることになった。早速初登校したけれど、スパイス・ガールズがまだ流行していると思っているリンジー・ローハンにはどうやって学校生活を過ごせばいいのかわからない。白人たちには邪魔者扱いされ、アジア人達の仲間にもなれず、黒人たちには「ジャンボ!」と声をかけてしまったのでバカにされる。

結局リンジー・ローハンに優しくしてくれたのは、自分と同じく学校内のつまはじき者の、レズのゴスとデブのオカマ。しかし何故かリンジー・ローハンに校内最強ドールズ軍団(いつも化粧バッチシ、セクシーな服しか着ない、周囲からちやほやされることだけが目的)が「私たちの仲間にならない?」と誘ってくれて…。


これはまだ物語の導入部分で、本編は女の子同士の力関係や人間関係が目まぐるしくかわり、そのたびに新しい展開が次々に生まれていく。全員ミサミサの『デスノート』(週刊少年ジャンプで連載しているマンガ)だと思ってもらえればよろしい。っつーかデスノートみたいに禁断の必殺ファイルも登場してくる。「一緒にお昼を食べる人は誰にしよう」「今日はどんな服を着ていけばみんなと溶け込めるのだろう」などといったありがちな事が、女の子たちの絶妙で複雑なパワーバランスを描いている。

女の子たちのパワーゲームは少しづつ収集のつかないことになっていくんだけど…ここからが『ミーン・ガールズ』の凄い所で、「女の子同士の関係のエグさ」をネタにしたコメディでガンガンやっておきながら、ちゃんと「じゃあ女の子同士はどうやって関係を築いていけばよいのか、もし喧嘩してしまったらどうやって修復するのか」という点にまで踏み込んでいく。もちろんそれで映画が終わったら奇麗事になってしまうので、それだけでは映画の決着はつかない。[映画の決着は別にある。いや、関係に決着がついても結局ほとんどみんな変わっていない。女の子たちの豊かな個性は最後までそのままだし、思春期の人が持つ「ムカツクやつなんて事故に遭って死んじゃえばいいのよ」といった、ある種残酷な感覚がそのまんま映画のオチになっているのも上手い。感動するシーンも結構あって、リンジー・ローハンが「もうこれで私は好きな人に合うことは出来ない」と覚悟して自分の罪を告白するシーンなんてグッときた。]


『ミーン・ガールズ』はアメリカのティーンエイジャー向けの映画だけど、なんと数学が映画の重要な要素になっている(アメリカの高校では優秀な生徒は数学を専門に学んでいるらしい)。数学人間達が学校内で「変なヤツ」「カッコ悪い」「自分がカッコいいと勘違いしている」などと散々酷い扱いを受けていたのは、数学科だった僕としては非常に身につまされるお話でした。でも僕はクライマックスでの数学対決を全問間違えました。

ところで字幕でちょっと疑問が。「負の正数同士をかけると正になる」とあったけど、正確には「負の整数同士」では?英語で何て言ってたのかはわからないけど…。


オマケ:
この映画のオープニングで「ホワイト・トラッシュ(クズ白人)は子供の頃からホワイト・トラッシュなんだよ!」っていうギャグがあったけど、こーいうギャグがアッサリ出来るアメリカ映画がうらやましい。

2005/05/05|▼この記事の直リンク先

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