破壊屋2007200620052004旧映画の感想

マーダーボール   ★★★★

車イスラグビーを描いたドキュメンタリー映画。

映画が始まると下半身不随の人(本作の主人公マーク・ズパン)がズボンを脱いでいる姿が映し出される。
「そうだよな、彼らのような人には着替えも重作業だよなぁ」
と感心しながら観ていましたが、ズボンを脱ぐと彼の足にはチンピラ丸だしの刺青が!服を着替えた彼はアスリートスタイルになって、カスタマイズされた車イスに乗り込む。そしてミニストリーがガンガン流れる中、次々に障害者と彼らの改造車イスが登場する!彼らは車イスラグビー(昔はマーダーボール”殺人球技”という名前だったが、過激なので改名)の選手なのだ!

うぉーすげえかっけー!しかしその後の障害者たちの解説シーンはもっとカッコ良かった!


「みんな車イスの人たちは足が動かないと思っているが、それは違う。俺たちは手までやられている場合が多い。」
そう、刺青男も腕が動かないのだ!それでも彼らは生活や仕事やマーダーボールをこなさなくてはならない。

車イスを作っている人が言う
「僕の仕事は車イスをグラディエイターやマッドマックス仕様の殺人マシンに改造することです。」

手も足も無い選手(乙武さんみたいな人)が、マーダーボールのテクニックを言う。
「ボールを持ったヤツは殺せばいいんだ。」
ちなみにこの手も足も無い選手は、『オーシャンズ11』の中国人ごっこで遊んでいます(小さな箱に入ること)。

重度の障害者は言う
「外に出ると、みんな感心して声をかけてくれるがよ。俺らは引きこもっているのが当たり前なのかよ」

もう車イスと障害者にまつわる全ての台詞がカッコいい!


しかしこの映画は障害者独特のカッコ良さに注目をあてただけではないんです。闘争心と愛国心がぶつかりあうスポーツ映画でもあります。

主人公の刺青男が属するのはアメリカチーム。アメリカチームは10連覇という偉業を達成した無敵のチームで、アメリカチームを倒さんとカナダ・日本・ベルギー・ニュージーランド(←ちゃんと車イスでハカをやる)が王者の座を狙っている。
アメリカチームには車イスラグビーの伝説の名選手がいた。しかし彼は年をとると共に、動きが鈍くなりアメリカチームから解雇されてしまう。アメリカに裏切られた彼はブチ切れてカナダに移住。アメリカ最大のライバルであるカナダチームのヘッドコーチになる。もちろん彼はアメリカチームのサインも戦術も全部盗んだ。しかしアメリカを裏切ったヘッドコーチは、アメリカとカナダ双方から国を裏切った男と罵られる

だが彼はカナダを最強のチームに育て上げた。彼はホームパーティにカナダチームを誘いこう言う。
「お前たちは第二の家族だ。そして最強の家族だ。」
そして試合会場で「CANADA!」と大声で叫びながら、アメリカの前に立ちはだかる!


映画『マーダーボール』はアメリカチームとカナダチームの数年に及ぶ対決を軸に、数々の障害者たちの数々のしびれるエピソード(性生活から自分を下半身不随の事故に追いやった友人との物語まで!)が80分に凝縮されたパワフルなドキュメンタリー映画です。


しかし[イラク戦争のせいで軍人たちに足が無くなった人や下半身不随の人が大勢増えたので、彼らに車イスラグビーを指導に行く]というラストシーンはスゲエ話だなオイ

2006/10/19|▼この記事の直リンク先

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