タイム誌が映画史上のベスト100本を選んだ。選定方法は二人の映画評論家が話し合って決めたらしい。
確か淀川長治先生は正しい映画ベストの選出方法を「数人の映画評論家に限定してから選出すべき」と言ってました。正確に何と言ったかは僕もちょっと覚えていませんが…。映画評論家とはいえ多数の人間による投票制にしてしまうと、どうしても作品の持つ作家性が埋もれていってしまうのでしょう。そういった観点から考えるとタイム誌のベストは正しいやり方だと思う。そしてキネマ旬報ベスト(毎年50人以上の映画評論家の投票で決めている映画ベスト)なんか、ちょっと難しい位置にいると思う。僕も毎年キネマ旬報ベストを読むと、もっと大衆性を持って欲しいのか、それとも大衆性を排除して欲しいのか悩んでしまう。
タイム誌が選んだベスト100は定番モノもあるけど、既存の映画ベストでは選ばれてこなかったアートムービーも多くて興味深い。でも日本映画は定番色の強い『生きる』『用心棒』『東京物語』『雨月物語』の4本が選ばれていた。100本中4本というのは妥当な数だと思うけど、全部白黒映画だというのが悲しい。自分の親父がガキだった頃から、日本には歴史的名作が生まれていないのか。それとアニメ映画がたった一本で、しかもそれが『ファインディング・ニモ』というのはちょっと納得いかない。ウォルト・ディズニーもスタジオジブリもピクサー自身も『ファインディング・ニモ』より優れたアニメ映画を作っているのに。
でも一番特筆すべきは『酔拳2』が選ばれていることでしょう、やっぱアレ傑作だよな。あ!『ザ・フライ』も選ばれている!
ところでこの選定をした映画評論家の言葉が良いです。
「結局、映画鑑賞と言うのは主観的なものなのです。説明できないものを愛するし、完全に理解できないものを軽蔑する」
某シネコンは上映前に「映画を純粋に楽しんでいる人がいる」とかほざいていないで、こっちの文章使いなさいよ。
2005/05/30|▼この記事の直リンク先