東京国際ファンタスティック映画祭の秘宝ナイトに弟と行ってきました。これは新宿ミラノ座でオールナイトで行われる非常に濃い映画イベントです。客のほとんどが秘宝系で、破壊屋管理人の僕なんかはまだまだ全然ヌルいほうの客という感じでした。
まず映画祭主催者の挨拶の後に、プレステ3で発売されるメタルギア4の宣伝映像が流れました。この日はメタルギアの小島監督も観客として来ていたらしいです。
メタルギア4の映像は呆れるくらいリアル!あと驚いたのが劇中出てくる2足歩行型ロボットの足がちゃんとぶっ太いこと。メタルギアシリーズってデザインのリアルさに徹底してこだわるからリアルさに拍車がかかるんだよな。
小島監督は大の映画ファンで、メタルギアシリーズは映画へのオマージュや映画のパクリがたっぷりなんだけど(メタルギア3は何と007が演出のコンセプトになっている)、ここまで精巧なメタルギア4がゲームとしても面白かったら小島監督、あんた映画よりもずっと面白いもの作っているよ!
そしてお待ちかね、秘宝祭りがスタート!『仁義無き戦い』のテーマが流れ、映画秘宝10年の歩みが語られる(危ない映像もあったが)。その後秘宝執筆陣が登場してご挨拶。
まずはこれから公開される映画の予告編や、DVDで発売される映画の予告編が流れる。『徳川女刑罰史』の予告編で、女優を評するコピーが「プリンプリン女優!」とかになっていて観客も笑う。他にも色んなゲストや映像で観客は笑っているんだけど、一番の爆笑は東映版スパイダーマンDVD発売記念コメントの映像。何とスタン・リーご本人からコメントを貰ってきた映像が流れたのです!東映版スパイダーマンを絶賛するスタン・リー!「嘘つくな!」と次々にスタン・リーにツッコミを入れるゲスト達!すげー笑った。
以下は当日徹夜で観た映画の感想です。
『直撃!地獄拳 大逆転』 ★★★★
前作の『直撃!地獄拳』はTDOパワーズさんから借りたビデオで観たことがありますが、続編の『大逆転』は今回が初めて。日本カルト映画の大傑作とされる作品です。後で伊丹さんに聞きましたが『The Executioner2:KARATE INFERNO』のタイトルで海外でも売れているそうです。
内容はギャグ満載のコミック・ムービー。オープニングクレジットで監督や役者の名前が出るたびに観客は拍手!面白いシーンがあるとまた観客拍手!クライマックスで丹波哲郎が出てくるシーンでは本日一番の拍手喝さいが起きました。あー映画観るのってたのしー。
休憩時間の合間に破壊屋のお客さんや伊丹さん(筋金入りの映画ファンの方、一緒にいるだけで映画の知識がバンバン入ってくる。『キル・ビル』公開時に僕はトラックスーツ、伊丹さんはジェイソンのマスクで有楽町にいました)と会ってちょっとお話しました。
『やさぐれ姐御伝 総括リンチ』 ★★★★
これもすげー面白い。とにかく姐御達の裸!裸!裸!で目がおかしくなってきそう。
横浜の姉御達と神戸の姉御達が手を組むシーンで、姐御達が三三四拍子をするんだけど、一緒に三三四拍子やっている観客もいました。もちろん僕もやりました。
『狂った野獣』 ★★★★
この映画で眠るつもりだったのですが…面白過ぎて眠れない!70年代の日本映画だけど、バリバリのノンストップアクション。ストーリーは「京都市内の市バスを強盗犯がバスジャック。だがそのバスの乗客には…」というもの。
どうしようもない状況がよく伝わってくる犯人達の演技と、それを軽くあしらうギャグ演出が交互に繰り返されて、眠くなる暇が無い。渡瀬演じる主人公の過去エピソードが弱いのが難点くらいで、あとは最後まで突っ走る。
アクションシーンでもスタントマンを使っておらず、車内に役者を載せたままバスが横転するシーンでは観客達が「オオー」と歓声をあげてました(リアル志向というよりも俳優の安全を確保してスタントマンを使うという概念が無かったように思える。)。観客が一番盛り上がったのは室田日出男のシーン。このシーンをその後登場した石井監督が「ダーティ・ハリーになれなかった男」と評していたのが印象的でした。
『狂い咲きサンダーロード』 ★★★★★
サプライズ・ゲストとして石井聰亙監督が登場。石井聰亙監督は『狂い咲きサンダーロード』が『狂った野獣』の影響を受けまくっている事をぶっちゃけてましたが、類似点はほとんど無いはず。『狂った野獣』の志を受け取ったんだろうな。また今回の上映は石井聰亙監督自身がPAを調整しての爆音上映でした。
『狂い咲きサンダーロード』もカルト映画の大傑作となっている映画ですが………確かに大傑作。
映画としては疑問に思うシーンも多々あります。商業映画というよりも、物凄くレベルの高い学生映画っぽい作品なので、人生のメタファーとして人生ゲームが出てきたり、病院の異常さを示すために前衛舞踏みたいなものが挿入されたりして、思わず苦笑してしまう。が言いたい事はよくわかる。そして『狂い咲きサンダーロード』はそんな欠点も魅力にしてしまうほど、素晴らしいパワーを持つ。とにかくストーリーが素晴らしい。以下そのストーリー。
主人公の仁は暴走族の特攻。だが彼の属する暴走族はリーダーがカタギになるのをきっかけに、社会寄りの存在になってしまう。暴走族ってのは社会からドロップアウトしたやつらが入るような場所なのに。社会寄りの存在を目指す暴走族にとって、とことん暴れまくる仁は危険な存在だった。暴走族は連合を組み仁を潰そうとする。殺される直前の仁を助けたのは何と右翼だった。右翼は暴走族からもドロップ・アウトする仁の凶暴性を評価し、仁を憂国の士にさせようと、軍国時代の訓練や街頭演説に従事させる。だがそこでも仁は暴れ始めて手に負えない。結局仁は右翼からもドロップアウトする。仁は社会にも暴走族にも右翼にも組み込む事が出来ない。仁は再びサンダーロードで暴れだす。
何者にも従わなず、何者にも反発する。仁こそが真のパンクスだと思う。
[だが仁は彼を危険視する一団によって闇討ちされた。制裁としてチェーンソーで腕や足を切断された。「カタワにしてやる!」が殺し文句だった仁は「カタワになっちまった…」と呟く。だが仁はそれでも収まることはなく、戦う道を選ぶ!警察も暴走族も右翼もまとめて相手してやる!]お前ら皆殺しにしてやる!
もう素晴らしいの一言につきる。パンク・ムービーの最高傑作だと思う。
2005/11/09|▼この記事の直リンク先