『チャングムの誓い』でも観ようかとテレビをつけたら『逃亡者・木島丈一郎』が始まるところだったので、こっちにしました。やっぱり寺島進はいいですねー。内容はもちろん底抜けでした。といっても不愉快さは全く無いし、つまらないというわけでもない。「踊る」の映画版全作品よりもずっと良かったです。
以下マッドシネマ風解説でネタバレを隠していません。よく「マッドシネマ更新しないんですか?」と質問が来ますが、あれはHTMLを勉強したての頃に設計したタグを使っており、設計に間違いが多いので更新したくないです。ですからこっちの形式でやってます。
ある日小学6年生の少年を人質にした立てこもり事件が起きる。少年の家に銃を持った犯人がやってきたのだ!警察や野次馬で騒然とする住宅街だがマスコミが全く集まっていない。交渉人である真下正義は立てこもっている犯人が電話に出ない時間を計っているような役立たずだった。また真下正義は立てこもりの室内の様子を調べて
「通帳と財布が落ちているから犯人は物盗りではない」
と言うが、立てこもりをする時点で物盗りじゃありません。
そこへ今回の主人公木島刑事が現れて、いきなり突入を決意する。警官が窓をガラっと開けて(犯人は窓ぐらい閉めろよ)突入を開始。犯人は銃を持っていたが何とか捕獲、また人質の少年を無事保護した。警察は早速少年の両親に連絡をとろうとするが、両親はこの事件に無関心だった(こんなバカな設定ありえるか?)。
少年を警察署へ護送中に別の刑事達がやってきた。立てこもりの犯人は最近起きた警察官殺害事件の容疑者だというのだ。この刑事達は警察官殺害事件の特別捜査本部の刑事達で、彼らは少年を護送しようとする。だが少年が木島刑事の腕を掴んで離そうとしないので木島は少年を連れて逃げ出した。
怒った特別捜査本部の部長(以降:管理官と表記)が木島に電話をかける。
「その少年は警察官殺害事件の目撃者かもしれない、組織が少年の口を塞ごうと狙っているぞ!」
いきなり組織って何だよ?と思いましたが、組織については最後まで明らかにされませんでした。謎の組織は謎のまんまでした。
さらに警視庁の幹部から木島に電話がかかって来る。警視庁の幹部は警察内の不正を一掃しようとしている正義の人だ。警視庁の幹部が木島に命令する。
「組織が少年を狙っている上に、警察内の情報が漏れている。とにかく逃げろ!警察署には来るな!絶対に連絡してくるなよ!」
正義の人じゃなくてお前が黒幕だろ!と思いたくなりますが違います。
こうして木島は逃亡者となり、警察は少年を連れて逃げる木島を追う事にした。悪の組織に狙われたら警察行けばいいのに、何故か警察から逃げることになった。
さすが十川誠志は悪名高い脚本家だけあって展開が狂っている。(続く)
2005/12/13|▼この記事の直リンク先
以下はネタバレを隠していません、未見の方は注意ください
逃亡した木島と少年を追う警察官達の台詞が滅茶苦茶すぎて笑えます。
「木島は北に逃げたかもしれない」(木島に逃げられた警官の台詞)
何で北ってわかるの?
「組織の襲撃を避けてほとぼりを冷ますために台東区の逆に向かっている」
なんで台東区の逆へ行くとほとぼりが冷めるの?っていうか台東区の逆ってどこだよ?
「木島は組織のネットワークを振り切るために逃げ続けます」
どこまで逃げるつもりだ
「都内は危険だから木島は北に向かう」
だから何で北なんだよ!
「木島は東北新幹線、上越新幹線、山形新幹線、秋田新幹線、長野新幹線を使うかもしれない」
全部北の新幹線じゃん!っていうか何で新幹線を使うってわかるんだよ!
木島は車で逃げていたのだが、警察の予想通り新幹線に乗るために大宮駅に向かっていた。大宮駅に到着した木島の台詞でこの作品が北にこだわる理由がわかる。
「逃亡者は昔から北に逃げると決まっているんだ」。あ、だから警察官達も北にこだわっていたのか!なるほど!。
木島が大宮駅を出発した後に警官が単独で到着した。警官は木島の動向を調べて「新幹線も在来線にも乗っていない」と報告する。そんな事をどうやって調べたんだ?
警察は「新幹線も在来線にも乗っていない」ことから木島と少年が夜行列車に乗ってたのでは?と推理する。実際木島と少年は夜行列車に乗っていた。ちなみに警察は「この方法(夜行列車)は上手い!日本海沿いに青森に向かう」と言うが、日本海沿いを進むと何が上手いのだろう?
警察は夜行列車の停車駅である高崎駅で列車を調べることにした。
夜行列車が高崎駅に到着した。夜行列車の外から列車の中を調べる警官達。何で列車の外から列車の中を調べるの?夜行列車だからほとんどカーテンを閉めているに決まっているじゃん。それでも警官達は夜行列車内の木島を見つけるが、もちろん警官達は列車の外にいるので捕まえることができないので、そのうち列車は出発する。ホームの停車ボタンを押せって。
こうして木島と少年を乗せた夜行列車は新潟に向かった。
木島は少年と会話して警察官殺害事件の話を聞く。少年は警察官殺害事件を目撃したときに、刺された警察官にしがみつかれていたらしいのだが…。 また最初に木島に逃げられた刑事達は、木島と仲の良い爆弾処理班(宴会中)を張り込むことにした。それ意味あるのか?
深夜の台東区の警察署で、警察管理官が怒り出して部下に激を飛ばす。「早く木島と少年を確保しろ!」。一斉に走り出す捜査員達。でも木島は夜行列車で東北にいるんだから、捕まえるのは新潟県警の仕事だよね?台東区で走っても意味がない。
2005/12/14|▼この記事の直リンク先
以下はネタバレを隠していません、未見の方は注意ください
夜行列車で逃げる木島が呟く。「村上駅で何かが起きる。勘だ。」勘は当たっていて村上駅で警官達が列車に乗り込んできた。木島は先手を打って列車から逃げ出したが駅のホームで警官隊に囲まれてしまう。だが木島が上着のポケットに手を突っ込んで「俺は銃を持っているぞ!」と嘘をつくと、警官隊はビビって逃がしてしまう。
改札の外に出た木島は少年に駅(改札の)の錠を閉めさせ、警官達は駅構内に閉じ込められる。扉の外側に錠がついているのはおかしい気がする。
木島と少年は海岸沿いの小屋で朝を迎える。そこで少年のバックにSDカードが入っていたのがわかる。刺された警官にしがみつかれた時にバックに入れられたらしい。つまり敵の目的は少年ではなくてSDカードだったのだ。いやちょっと待てよ?少年は殺人事件を目撃して逃げたのに、何で警察に行かなかったんだよ?(怖かったらしい)
SDカードを奪いに来た犯人は、どうして少年の住所を知っていたんだよ?少年は殺人現場から逃げた上に殺人のことを誰にも言わなかったんだろ?
それに少年がSDカードを持っているという、少年自身も知らない事を何で犯人が知っていたんだよ?
大体少年がSDカードの事を知らないのに、何で犯人は少年の家でSDカードを探していたんだよ?すげーおかしいぞ。”少年は殺人現場から逃げる時に住所が書かれた紙を落とした”みたいなちょっとした工夫で回避できるミスなのに。
木島は推理する。「逃げ回っても組織は追って来ないから、組織は少年を狙っていない。殺された警官は会計で、会計が守るデータは裏金だ。」あんましよくわからない推理だ。その直後に木島はSDカードをうっかり踏みつけてしまった。何この展開?
交渉人真下正義から連絡が来る。犯人(オープニングの立て篭もり&警察官刺殺事件)の犯人が「黒幕は管理官だ」と自供したらしい。そこで真下正義は爆弾処理班経由で木島に伝える。「まだ証拠が手に入ってないのでとにかく逃げ回れ!」ってこの時点で犯人が黒幕をゲロって自供したら事件解決じゃん!それに自供も証拠だし(僕の中で最強トンデモ脚本家は君塚良一じゃなくて十川誠志に交代)。
ちなみに『逃亡者・木島丈一郎』は『刑事ジョン・ブック 目撃者』に非常にソックリなのですが、『刑事ジョン・ブック 目撃者』が
1:少年が殺人を目撃する
2:犯人は警察だった
3:警察から逃亡する
なのに対して『逃亡者・木島丈一郎』は
1:少年が殺人を目撃する
2:警察から逃亡する
3:犯人は警察だった
って順番が違う(次回が最後)。
2005/12/15|▼この記事の直リンク先
以下はネタバレを隠していません、未見の方は注意ください
北へ北へと逃げて青森まで逃げた木島は警察OBの家に寄る。そして今回の事件の全貌が判明した。でも何でOBの家に行くと事件の全貌が判明するのだろう?というかOBと木島は真相をあらかじめ知っていたとしか思えないやり取りをして、事件の全貌がわかるのだ。以下その会話。
「管理官と殺された会計は裏金を工面していた。」
証拠が何も無いのに何でそんな事知っているんだよ!
「裏金は自分の懐に入れて、残りの金を組織に渡していた。」
だから証拠が無いのに何で金の流れを把握しているんだよ!
「しかし会計は自分のやってる事が嫌になって告発しようとして、組織の殺し屋に殺された」
何も言わずに死んだ会計が告発しようとしていたなんてどうして知っているんだよ!この一連のシーンはまるで超能力者同士が会話しているみたいで面白いです。そして…
「利用するだけ利用して用済みになったら捨てる。それが警察のやり方だ。」と警察の悪事を非難します。
え?利用するだけ利用されて用済みになって捨てられたのって誰?この作品にそんな登場人物は出てきた?
また少年は殺人現場で管理官の顔も見ていたらしい。木島は管理官と決着をつける決意をする。だが警察OBは管理官が出世しているのを知って「そんなヤツを敵に回すのか?」といきなりビビりだす。
真下正義の部下が警察のパソコンのハードディスクを調べると裏帳簿のデータがあった…って物語のキーポイントのSDカード意味無いじゃん!。
木島は少年を管理官に合わせるために青森県警に行く。
木島「管理官はもう青森に着いたのか?」
青森県警の署員「まだ着いてません、それより投降してください!」
というわけでまだ管理官が青森に到着してなかったので、木島はまた警察官を人質に取って青森警察署から逃げ出す。何がしたいんだよ?それに木島は事件の全貌を知ったのに何で逃げるんだよ!
当然青森県警に囲まれる木島。だが木島は「管理官が来るまで(青森県警)は動かないよ」とわけのわからん理論を展開して安心しているが、もちろん青森県警は動く。木島は「管理官が先手打ちやがった!」と言う。先手も糞も無いと思います。
警官隊に囲まれたので、木島は最後の戦いを決意する。木島は少年に「俺に何かあったら…東京へ行って俺の知り合いの所へ行け」と責任放棄。嫌がる少年に「ここで逃げたらお前は一生警察に監視されるぞ」と脅して納得させる。そして木島は取り押さえられた。その時管理官がやってきて、青森県警が見ているのに木島に銃を突きつける。しかし少年が叫ぶ「僕はSDカードを渡されました!中に警察の裏帳簿のデータが入ってます。それに犯行現場にあの人(管理官)がいました!」え、SDカードの中身って裏帳簿のデータだったの?初めて知ったぞそんな事。観ている僕だけじゃなくて、木島も知らないし、少年も知らないはずだぞ。っていうか何で少年は裏帳簿のデータの存在を知っているんだ?この作品のスタッフは少年がSDカードの中身を調べるシーンを入れ忘れているぞ!
とにかくこうして事件は解決した。逮捕された管理官が言うには本当の悪は警察上層部にあるらしい。そして警視庁幹部が言う。
「裏金がある限り、警察機構は正常にならない」
END
2005/12/15|▼この記事の直リンク先