マトリックス・リローデッドの感想
前作の「マトリックス」のテーマの一つは「虚構と現実」でした、これはわかりやすかった。人間誰しも夢を見るし、想像をする。夢や想像は現実ではなくて虚構の世界、もちろん映画だって現実の観客達が観る虚構の世界です。だから「虚構と現実」というテーマは非常にわかりやすかった。いや「マトリックス」はもっとわかりやすかった。だって僕達は
みんな学校や会社から帰ってネットするでしょ?だから「マトリックス」のテーマをすんなり理解できた。
しかし「マトリックス・リローデッド」の要素に「虚構と現実」はありません。その代わり「実存哲学」がテーマなんですよ。これは
結構キツイ。観客も登場人物も常に「原因」「選択肢」「結果」というものを模索しなくてはなりません。しかも「虚構と現実」は映像として体感できるけど、「マトリックス・リローデッド」は「実存哲学」を台詞に散りばめます。僕は予習をシャットダウンして先々行ロードーショーに向かったのですが、おかげでまだリローデッドの全貌を掴めていません。うーん、こりゃ
今から前売り券を買わなくては!
マトリックス・リローデッドの評価 ★★★★★
5つ星つけたけど本当は3つ星にしたい気分です。「マトリックス・リローデッド」には「マトリックス」を観たときの衝撃と感動はもう無かったです。「ネオと同じように観客にも考える要素と選択を与える」という手法は成功しているけど、
それで観客が納得出来るのかというのも難しい。それに映画の内容が哲学的かつ政治的というのは、オタクな製作側がやりがちな展開です。「じゃあ何で5つ星なんだよ!」ということですが、「マトリックス・リローデッド」は僕の
2003年最高の映画なのに3つ星には出来ません。洪水のような情報の展開とそれを上回るアクションの嵐って、一度でいいから観たかった。
しかしまさかあそこで[
カメラが回る]とは・・・。
注意
以下は序盤の描写についてちょこっと触れています。
セックスについて
マトリックスは「虚構の世界」です。そこは精神世界で肉体は存在しません。ですから前作でネオとトリニティは惹かれあいますが、あれは
チャット恋愛で育んだ愛のようなもんです。しかし「マトリックス・リローデッド」の序盤のクライマックスはセックスなんですよ。「マトリックス・リローデッド」はこれでもかと肉体を描きます。
激しくも単調な太鼓の音が流れ、ザイオンの住人達が一斉に踊りだす、住人達の服は布をまとう感じで肌の露出が高い。男達の逞しい肉体に水滴が飛び散り、女達の乳房が揺れる・・・。そして踊りと同時にネオとトリニティのセックスがカットバックされ、踊りが絶頂を迎えると・・・。
劇場で観ていて結構驚きましたが、「マトリックス」のラストで「愛」が来るので、「マトリックス・リローデッド」で「セックス」が来るのは当然かもしれません。ということは「マトリックス・レボリューション」ではまさか受胎と出産のメタファーが出てくる?そうだとすると射精で始まり出産で終わる「2001年 宇宙の旅」と同じ構図になるのですが、これは深読みしすぎかな?
でもねウォシャウスキー・ブラザーズ。マトリックス化する
女性器の中に侵入して子宮の奥で性欲が爆発するっつー描写は
やり過ぎ!
注意
おなじみになってきたキャラネタです。ネタバレの恐れがあるものは隠しています。
キャラネタ
● マトリックス
相変わらず
日本語カナで文字化けしている。
● ネオ
オープニングで
遅刻する。理由はいちゃついていたから。
ネオは常に選択してきた。「赤いピルと青いピル」「モーフィアスを助けるのか?助けないのか?」「[
ザイオンとトリニティ、どっちに駆けつける?]」・・・。しかし彼が一番最初に行った選択が
「会社を辞めるか、ゴメンなさいするか」で
ゴメンなさいを選んだ事も忘れてはならない。
● トリニティ
教祖的存在になっているのに、性欲を優先させようとするネオに気をつかうと思いきや、[
「浮気相手を撃ち殺してやる!」]。
● エージェント・スミス
プログラムのはずだが最近削除できなくなった。WINDOWSからファイルを削除しようとして、エラーメッセージが出るあのムカツキ感もマトリックスも味わっているのか?とにかくマトリックスを
コピペの連続で荒しまくる。しかも
同名ファイルので上書きまでも!
● モーフィアス
ハッキングのやり過ぎで「クビだ!」と言われるが、やっぱり荒し集団ザイオンで大人気。「じす・いず・ざいお~ん、じす・いず・ざいお~ん」(ローリン・ヒルの曲ではない)。
● ナイオビ
他のキャストと違って本格的なトレーニングを受けていないので、アクションはもっさり。
● ザイオン
IPを晒されて大ピンチに。
● オラクル
データベースのソフトウェアではなかった。
● パーセフォニー
ネットのエロネタにはまっている夫に嫌気がさして、とんでもない反撃をする。
● ツインズ
ダニー・デビートのいない双子のように強い。決め台詞は[
「イピカイエ!」]っていうか他にもこの台詞を言うヤツがいますね。
● タンク
登場しない。理由は
リアルでサイファーだったから。
● リンク
いつも船で遠洋漁業に出ているので、妻が心配している。決め台詞は「我が家が一番」。
● メロビンジアン
とにかく不愉快なノーブル野郎、ネットの女を欲情させて悦にひたっている。「マトリックス」の
マウスが一億倍出世した感じ。でもフランス語で侮蔑言葉をまくしたてて
「シルクでケツを拭くような気分」と言ったのは名台詞だ。西洋文化の豪勢な別荘を持っているが、なぜか鎧武者が・・・。
● メロビンジアンの部下の女性
なんかかわいい。
● 三船
モーフィアスに刀を教えたのは絶対に彼だ!
● 例のおっさん
ボンクラじゃなかった(
ここ参考)。ピッキングが得意の中国人なので拘束されていた。ってそれじゃあ偏見か。
● パシリ
ボンクラの代わりにパシリがいた、ガキにまでパシられていた。「ネオ兄貴!僕も船に乗りたいッス」「トリニティ姉貴!サイコーッス、兄貴とお似合いッス」。
● サントラ
マリリン・マンソン、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンなどセンスはいいが、何故
システム・オブ・ア・ダウンを入れない?
● [設計者]
開発も苦労したが、運用はもっと大変だった。
● [スタープラチナ]
「マトリックス」で見せたオラオララッシュ!今度は何とアレをやるぞ! (注:ジョジョの奇妙な冒険の第三部に出てくる関連するネタなので、知らない人はごめんなさい。)
● [スーパーマン]
リンクのギャグかと思ったら、まさかクライマックスの伏線だったとは。
注意
「リローデッド」ネタバレの恐れがあります。未見の方は読まないでください。
マトリックス・レボリューションズ
センティネルズは全総力をあげて、生き残ったレジスタンス達を一人残らず殺そうとしていた。遂に押し寄せる大量の電気イカ。電気イカの触手がネオの体に突き刺さる!しかしネオは血を流していない、それどころか電気イカと融合を始めている、そして他の電気イカも次々にネオと融合、最終的に
ネオはマトリックスのハードウェア部分と接続し融合する。
モーフィアスの導きに従いネオが自らの魂を解放すると、マトリックスのソースコード(プログラムが記述されたもの)が次々に更新される。そして再びモーフィアスの導きによりトリニティも魂を開放し、ネオの魂と融合。今度はマトリックスの全てがコンパイル(ソースコードからプログラム本体が生成されることだと思えばよろしいです)され、新しいマトリックスが誕生する。
こうしてマトリックスは新型バージョン、
「ネオ・マトリックス」となりマトリックスは完成された。順次に羊水の中から復活する人間達。ネオとトリニティは人類のアダムとイブになり、地上の指導者はモーフィアスとなった。モーフィアスは人類の新たなる夜明けを讃える演説を行う。しかし最後にモーフィアスは嘆く。
「我々の新の解放者、ネオとトリニティはもはやこの世に存在しない。彼らは人類を解放するためにマトリックスと融合したのだ。」
ネオ・マトリックスの中で二人っきりのネオとトリニティ
「俺たちも行かなくては、みんなが、モーフィアス達が待っている。」
天高く飛翔するネオとトリニティ、周囲は少しずつ白くなり、どこからともなく
ピピピピピと音が・・・
目覚ましの音で飛び起きるトーマス・アンダーソン、
今までの全てが夢だったのだ。会社に行かなきゃ!。今日も遅刻間違いなしのボンクラ社員トーマス・アンダーソンは慌ててスーツに着替えて会社に出勤。家を出る直前にサングラスとネクタイが目に入ってくるが、ネクタイを選ぶトーマス・アンダーソン。
道端ではモーフィアスそっくりの浮浪者が体制への怒りを叫んでいた。トーマスは彼に話しかける
「俺はあんたの夢を見た」
「そうか、じゃあ俺の事を信じてくれ」
会社に遅刻しそうなトーマス・アンダーソンは彼を無視する。
会社に到着して早速上司に怒られるトーマス・アンダーソン。怒られながら窓を見てもそこには何もない。自分の席についた彼がパソコンのメールをチェックすると、彼がリスペクトしている伝説的なハッカー、トリニティからのメールが来ていた。トーマスは驚き、ネオの名前を使ってトリニティへの返信メールを作る、その内容はトーマス・アンダーソンが見たマトリックスの夢の話・・・。
夢中でメールを打っているトーマスの背後から突然声がした。
「
こんにちはアンダーソン君、私は顧客の
代理人として来た者だが、案内が無かったので勝手に入らせてもらったよ。」
ビックリして立ち上がるトーマス・アンダーソン
「すいませんでした!お迎えにあがらずに」
「いや、いいんだ。ところでそのネオとは何かね?」
「
僕のハンドルネームでして・・・」
「そうか、私も君の事を”ネオ”と呼んでもいいかね?」
「いえ、アンダーソンで結構です。代理人・・・」
「スミスだ、スミスと呼んでくれたまえ。」
会議室に向かって歩く二人、トーマス・アンダーソンのパソコンに文字が流れてくる。
「白いウサギを追いかけたアリスはどうなったかね?」
END
ジョエル・シルヴァーさん、今から追加撮影すれば間に合うと思いますがどうですか?いや、やっぱりいいです。
マトリックス・レボリューションズはこうなる?
● ネオ引き篭もり、ザイオンの復讐
「マトリックス・リローデッド」のラストで昏睡状態になってしまうネオ。しかし
リンクが試しにネオにプラグを接続したところ、ネオはマトリックスの中だと普通に活動できることが判明、だけど現実ではやっぱり無反応。「ザイオン壊滅のときにそっちにいられても・・・」と思ったレジスタンス達はネオを解放すべくマトリックスに再度接続、マトリックス内でネオのアイデンティティを探し求める戦いへ。しかしそこでは
奴隷姿のパーセフォニーを連れたメロビンジアンが、ネオを凍り漬けにしていた!
● マトリックスの穴
何とか復活して再度マトリックスに降臨したネオ、しかしそこでは全ての人間がスミスになっていた!どこへ行っても誰もが「ミスター・アンダーソン!」と声をかけてくる。ネオがフランスに飛ぶと
「ムッシュ・アンダーソン」、日本まで飛ぶと
「こんにちわ、アンダーソンさん」とおじぎされる。スミスはマトリックスの支配者となったのだ。
● ロード・オブ・ザ・スミス
しかし無数のスミス達はネオに襲い掛かる気配がない。その代わりスミス達は道に整列してネオを導く。こうして出来た
Road of the Smithの先にはオリジナル・スミスがいた。
「アンダーソン君、君は人類の英雄らしいが、私は太古の戦争で見たのだよ。人間が指輪を・・・」
● スミス・オデッセイ
マトリックスを真に支配するためには、ネオとオリジナル・スミスがタイマンで決着をつけなくてはいけないのだ。「2001年 宇宙の旅」で人間代表のボーマンとコンピュータ代表のHALが次なる進化を賭けて対決したように。そして始まる最後の対決。
激しい戦いの後にスミスは敗北し、その存在が消え始める。
「怖いよネオ・・・」
● 最後はドラえもんだ!
「マトリックス」では映画の中盤、モーフィアスがブルース・リーのキメポーズをします。そしてクライマックスではネオもブルース・リーの決めポーズをとって反撃します。
また「マトリックス・リローデッド」のクライマックスの展開は「スーパーマン」と同じです。つまり「マトリックス」シリーズは1、2と
映画のスーパー・ヒーローがネタになっています。
というわけで「レボリューションズ」は
「ドラえもん」がテーマになっていると予想。
まず「レボリューションズ」はタイトルが何故か複数形になっています。さらにザイオンや救世主には複数の旧バージョンが存在します。この事からおそらく「ドラえもんだらけ」みたいに
今までの救世主達がみんな駆けつけてくるのではないかと(もしくは「ドラえもん のび太の大魔境」)。もちろん最初の救世主は
「だから無理なんだって!俺もう5度目だよ!」とキレ気味で。
でも「ドラえもん」は映画のスーパーヒーローじゃないので、「ザ・フラッシュ」でもいいです。
ザ・フラッシュ:超高速動作という特殊能力を持つスーパーヒーローの映画シリーズ。高速動作の果てに何故かタイムスリップまでするが、致命的なタイム・パラドックスを強引に回避したクライマックスはお見事。