期待作だったんですが、いつも通りの観ていて辛いヨーロッパコープ作品でした。今までのヨーロッパコープ作品に比べれば段違いに楽しい映画なんですが、ツッコミを前提に楽しいんですよ。僕のツッコミを黙らせたうえで、突き抜けるバカさ加減を持った映画じゃないと正面切って誉められないんだよなー。
前作ではしっくりこなかった、香港映画のカンフーアクションにジェームズ・ボンドを融合させたテイストは大分練られていたのが救い(海外ではこの部分が批判されているが)。
つーわけで久しぶりにツッコミ解説
誰もいない駐車場、そこにはたった1台だけ車があった。『トランスポーター2』の主人公:フランクの愛車アウディA8 6.0がたたずんでいた。
フランクがエンジンをかけようとすると、銃を持ったコギャルが現れてフランクをホールドアップ。さらに駐車場からチンピラ4人組が登場してきた。誰もいなくて車も無い駐車場にどうやって4人が隠れていたかというと、チンピラ全員柱の陰に隠れていたらしい。
フランクはチンピラたちに囲まれてアウディのキーを奪われる。だがアウディのエンジンはかからない。フランクが言うには、エンジンをかけるには車に装着してあるテンキーロックに暗証番号を打ち込まなくてはいけないのだ!(テンキーロックって…バイオメトリクスにしろよ)
「暗証番号教えろ」
「断る」
そこでフランクは再びチンピラたちに囲まれる。だが今度はフランクがあっという間にチンピラ達を倒す。しかもアウディは大切に守りながら!アウディは大事な映画のスポンサーだからな!傷つけることは許されない。
そしてさっきから銃を突きつけたまま何もしてないコギャルに
「宿題やれよ」
と諭して、フランクはその場を立ち去る…。どうでもいいがコギャル役にもっと若い女優は使えなかったのか。
フランクはマイアミの少学校に到着する。今のフランクの仕事は、政治家の息子であるジャック少年の送り迎えをする運転手なのだ。って『トランスポーター』の設定と大分違うぞ。
どうして裏の運び屋がそんな仕事をしているのか(助っ人でやってるらしい)
どうしてフランスからマイアミに移住したのか
っていうか1のヒロインはどうしたのか?
といった重要な部分は完全に無視されている。(フランクの”元軍人”という設定も特に語られない)
フランクと少年は仲が良く、車の中でナゾナゾを出し合っている(このナゾナゾを使ったプロットは『トランスポーター2』の脚本で唯一マトモな部分)
フランクは少年を自宅まで届けた。ちなみに少年の両親は離婚していて、少年は母親と一緒に暮らしているという設定なんだが、この自宅というのが信じられない位の超豪邸。いったい母親はどんな人間なんだ?でもその母親はフランクの優しさが気に入っているらしい。
その頃悪のボスは修行をしていた。剣道の防具をつけて。ボスの配下たちが悪のボスに竹刀で襲い掛かり、ボスは攻撃を次々にかわす。が、途中竹刀の突きが面を貫いたりしている。それを防ぐための面なんだが。
修行が終わるとボスは防具を脱いで上半身裸になる。
悪の情婦で女殺し屋のローラは下着姿で踊っていた。どう見てもストリッパーだ。
悪の組織はウィルスを使用して何かを企もうとしているのだが………でも今はその計画よりも、悪事の打ち合わせに上半身裸のまま出席する悪のボスと下着姿のまま出席する女殺し屋のほうが遥かに気になる。
2006/06/28|▼この記事の直リンク先
以下はネタバレを隠していません
フランクが自宅でピザ屋さんと電話していると、少年の母親が1人でやってきてフランクに迫る。男と女の恋愛を描くためには恋愛描写を一切しないリュック・ベッソンの脚本は相変わらず。しかしフランクはピザを食べるために据え膳を食べなかった(違う)。
悪の組織が考えた陰謀とは少年にウィルスを注射することだった。そのために悪の組織は少年が検診を受ける病院の医者や受付を殺害。病院の人員の代わりに悪の組織のメンバーがすりかわった。
少年はフランクに連れられて病院の検診にやってくる。
しかし悪のメンバーはそこまでやっておきないがら細かい打ち合わせをやっておらず、すり替わり計画もディテールを全く詰めていないアバウトすぎる計画だった。そのために計画もすぐにフランクに見破られた。
フランクは少年を確保して逃げ出す。しかし女殺し屋が小型マシンガンを乱射して襲ってきた!女殺し屋は動くものがいたら蜂の巣にする(例:仲間)というアバウトな戦い方のために、フランクは苦戦。
「フランクが木製のドアを手にもってマシンガンをかわす」、「波長が飛び交う病院内の映像」などイマイチな演出を交えつつ、結局は病院のあるビルをフロアごと爆発で吹き飛ばすという方法でフランクと少年は危機を脱出。
仕方なく悪の組織は駐車してあったフランクのアウディに爆弾を仕掛ける。フランクと少年はそのままアウディで家に帰る。
いや、フランクが襲われて警察を呼ばないのならともかく、今回は子供が謎の注射器で襲われたんだから警察と医者を呼べよ!
その頃フランクと少年に逃げられた女殺し屋はパトカーを手に入れいるために警察官を殺していた。
少年の家に着いたフランク。母親が迎えに来る。ところが自宅前では悪の組織がスナイパーライフルで少年を狙っていたため、フランクは少年をアウディに乗せたまま悪の組織に従わざるをえなくなる。っていうか悪の組織に狙われてそのまま家に帰ったら、敵がいるに決まっているだろ!さらに女殺し屋まで追いついてしまった。
悪のボスがフランクに電話をかけてくる(何で電話番号知っているの?)。悪のボスはフランクに、女殺し屋をアウディに乗せて指定された場所まで走ってくるよう命令する。
仕方なく命令に従うフランク。だがアウディを追ってマイアミ警察のパトカーが大量に追いかけて来た!フランクは見事な運転技術で次々とパトカーの追撃をかわす!
でもさ、捕らえられた少年を助けるためにパトカーの追撃をかわすっていう状況ならともかくさ。狙われている少年も一緒にアウディに乗っている状況なんだから、この場合はアウディが警察に捕まれば済む話でわ?
フランクはアウディで立体駐車場に逃げ込む。次々に立体駐車場に流れ込むパトカーたち。フランクはどんどんと上の階に逃げていく。一見追い詰められているようだがこれにはフランクの計算があった!
なんとフランクは立体駐車場からアウディを勢いよく飛ばして、隣にある工事中のビルのフロアに突っ込んだのだ!!(予告編にあるシーンね)
あのーアウディは工事中のビルまで飛ぶんだよね。それってどうやってそのビルからアウディは脱出できるの?(飛び込んだ先のフロアも相当高い位置にあるのは明示される)
映画『TAXi』のクライマックスで悪役たちが[工事中の高速道路]に追い込められたのと同じパターンじゃん!
見事に隣のビルまで飛んだアウディ。ちなみに飛ぶ前と飛んだ後で、アウディは激しくパイプやらなんやらと衝突しているんですが、アウディには一切傷がつかない。アウディは大事な映画のスポンサーだからな!傷つけることが許されないらしい。
パイプにぶつかりながら何とかビルの中で停止することができたアウディ。しかしそのときマイアミ警察のヘリコプターが襲ってきた!と思いきや女殺し屋がマシンガンを撃つと次のシーンでヘリは爆発している。マシンガンでどうやってヘリを爆破させたんだ?(『ゴルゴ13』だとゴルゴはちゃんとライフルでヘリのタンクに穴を空けた後に、信号弾を撃って気化したガソリンに火をつけている。だが『トランスポーター2』にはそんなディテール描写はない)
こうして警察を振り切る&殺害して逃げ切ったフランク一行。このあと一体どうやってビルの中から車が脱出するのかと思ったら………そんなシーンは無かった。
ただアウディがマイアミの街の屋根を走っているという、最高にバカなカットが挿入される。これで説明つけているつもりらしい。
2006/06/28|▼この記事の直リンク先
以下はネタバレを隠していません
結局フランクは悪の組織の言いなりのまま、少年を悪のボスのところまで連れて行き、少年を引き渡す。
悪のボスはボイスチェンジャーを使い
「オレはフランクだ」
と言いながら誘拐声明の電話を出したので、警察は誘拐をフランクの仕業だと疑う…。おい、母親はフランクが誘拐犯ではないことを目撃しているだろ!っていうかフランクが女殺し屋に銃を突きつけられて少年と一緒にフランクが誘拐された!ってことは警察もわかっていることだろ!何でそんな簡単に騙されるんだよ!
少年はフランクに自分を助けるのが約束だと叫びながら懇願するが、銃に囲まれたフランクはそれに応えることができない(だからオープニングで銃に囲まれても反撃できるシーンはやめるべきだったのでわ)。少年はそのまま悪の組織に連れ去られる。ちなみにこのシーン以降少年がフランクと再び会うシーンはありません。何じゃこの脚本わ?
悪の組織は少年をどこかへ連れ去り、フランクとアウディを解放させる。そのときフランクはアウディに爆弾が仕掛けられていることに気が付いた。悪の組織はフランクを殺すつもりなのだ!あと数十秒もしたらアウディは爆破されてしまう!だがアウディは大切なスポンサーフランクの車。爆破させるわけにはいかない!そこでフランクの考えた想像を絶する爆弾の解除方法とは!
直後に爆弾のスイッチが押されて大爆発が起きるが、アウディはもちろん傷つかない。悪の組織は爆発を見てフランクが死んだと誤解する。(でもせっかく敵が誤解したのに、この事はストーリーには関係ない)
少年の家には警察官が大勢来ていた。だがフランクは母親に電話をかける。
「いいか、この電話を他の奴等に聞かれないようにするんだ!」
「わかったわ、一体何?」
「オレは誘拐犯じゃない、別の奴らだ!」
そんな重要な事こそ他の奴等に聞かせろよ!
こうしてフランクも母親も悪の組織が少年を誘拐したことは黙ったままストーリーは展開。
悪の組織は少年の家に電話をかけて現金500万ドルを要求、受け渡し場所を指定する。少年の父親は犯人の言うがままに身代金を持っていく。その後身代金がどうなるかは劇中一切語られません。
それはまあ置いといて、フランスからマイアミに旅行に来たばっかりのフランクの友人(前作の警部)がSWATに逮捕された。え?何で逮捕されるの?関係ないじゃん!何だかよくわからない脚本だけど、脚本書いているリュック・ベッソンも何だかよくわかっていないと思う。
フランクは発端となった病院が怪しいと踏んで、爆破された(した)病院に忍び込む。まず警備室から防犯カメラの映像を盗んでデータをiPODに入れる。こうして悪の組織のメンバーの顔写真を入手した。
次に悪の組織が少年に注射しようとしていた注射器を手に入れるが、その場で現場検証していた警察官に注射器を割られてしまう。しょうがないのでフランクは警察官たちをあっという間に倒す。
フランクはSWATに逮捕された友人に電話をかけて
「こいつらを調べて欲しい」
とiPODのデータを送る。友人は警察の端末から犯罪者データベースにアクセスして調査を開始する。
いや、なんで警察に捕まった外国人容疑者が警察の端末を扱えるんだよ!
しかも何でデータベースにアクセスできるんだよ!
どうしてフランクはその端末のアドレスを知っているんだよ!
っていうかそもそもiPODでどうやってデータを送るんだよ!
防犯カメラの白黒画像を見ただけの友人だが、犯罪者データベースから犯人を見つけてくる。しかも10秒くらいで。そこで犯人の経歴住所が全てわかった。犯人はロシア人科学者だったのだ!(どう見てもロシアン・マフィアにしか見えなかったが)。
ところでデータベースに住所や経歴や顔写真が載っているって事は前科者じゃないの?マトモな脚本家が書いたのなら、前科も読み上げるシーンを入れると思うんですが。まあでもリュック・ベッソンは『クリムゾン・リバー2』で全フランス国民の顔写真とDNAがデータベース化されて警察が保管しているという、とんでもない脚本書いた人なんで、このくらいもう驚かない。
2006/07/13|▼この記事の直リンク先
以下はネタバレを隠していません
(注:すいません、ここらへん記憶があやふやなので事象の順番が違うかもしれない。)
フランクはそのロシア人科学者の家に行く。フランクの姿を見かけたロシア人科学者は慌てて逃げ出す。銃を撃ちながら逃げるロシア人科学者!丸腰のフランクはただ追い詰めるのみ!っておーい逆だ、逆。銃を撃つやつが追いかけてきて、逃げるのは丸腰のほうだろ。とは思いつつもシナンジュの使い手のごとくあえて銃に向かい続けるフランクを見ていると、銃を持ちながらも逃げ出したくなる気持ちはよくわかる。
(シナンジュ:朝鮮半島の伝説の武術、ガン=カタ以上の存在)
ロシア人科学者はフランクを振り切りバスに乗った。フランクはバスを追うために何故か海に行って(ネクタイにスーツのまま)ジェットスキー強奪した!ビーチ沿いの道路を進むバスと、海を走るフランクのジェットスキー!ロシア人科学者は
「しつこいヤツめ!」
とバスからじっとフランクを見る。フランクは海にいるんだから、ロシア人科学者はバスを降りてビーチから離れれればいいんじゃないか?と思ったのも束の間。フランクはジェットスキーをジャンプさせてバスに飛び移る!(あのジェットスキーはどうやって海に戻すんだろう)
バスの中でロシア人科学者を捕まえたフランクは、ただの水を注射器に入れたものを
「お前らが少年に打とうとしていた注射だ!」
と言いながらロシア人科学者に打ち込む。ロシア人科学者は
「何てことしてくれたんだ!」
と言いながら再び逃走を開始。今度はフランクは隠れながらロシア人科学者を追う。ちなみにこの逃走劇の演出の緊張感の無さはかなりウケます。
ロシア人は悪の組織の研究所まで徒歩で逃げ込んだ。同じく徒歩で追っていたフランクも研究所に潜入する。研究所内ではウィルスを注射された人がズラっと並んでいて、一人一人にでっかいタイマーがついていて、タイマーの時間が進んでいる人程咳が激しい。つまりウィルスを注射されてから、時間が経っている人程死に近づいているわけ。あまりにもわかりやすい演出。
逃げたロシア人科学者は治療薬のある部屋に行く。そこには別のロシア人科学者と、ロシアン・マフィアが1人いた。別のロシア人科学者が叫ぶ
「注射されたって?しかし血清が二人分しかないぞ!ここには三人いる!」
そこでロシア人科学者はロシアン・マフィアをバキューン!と撃ち殺す(弾切れていなかったっけ?)
「これで二人だ!」
酷いシーンっちゃあ酷いシーンだけど、『トランスポーター』でもフランクは同じことを間接的にやってたよな。
そこにウィルスの正体をかぎつけたフランクが登場、注射したのはただの水だということを告げる。
ロシア人科学者はフランクが血清をどうしても欲しがっているのを知ると、血清をビルの外に投げる。血清を取るためにフランクは慌ててというか釣られてビルの外へ飛び降りた。何とかうまく着地したフランクだったが、飛び降りた先は車道だったために、フランクは散々な目に遭う。それでも血清を一人分確保できた。
その頃悪の組織は少年を解放したことを両親に伝える。そこで警察の爆弾処理班が出動することになった。何で誘拐から解放されると爆弾処理班が出てくるのかようわからん。とにかく爆弾処理班は少年が閉じ込められているコンテナをロボットを使い開けようとするが、ロボットは火を吹いて壊れる(悪役の陰謀とかじゃなくて普通に壊れる)。それを見てブチ切れた母親がコンテナを普通に開けて少年は解放された。
しかしコンテナの中には隠しカメラがあって悪の組織はその様子を伺っていた。悪の組織の目的は別にあるようだ…。
フランクは少年に治療薬を打つため、少年の家に行く。もちろん警察が一杯いるけどそれは倒す。フランクは眠る少年に治療薬を打つ。だがその時既に遅し、少年から両親へとウィルスは空気感染してしまったのだ。
フランクはさらに残りの治療薬を手に入れるために、再び公衆電話から警察署内にいるフランス人に電話して、悪のボスの住所を聞いた。フランス人はまたデータベースから悪の組織の住所を調べてフランクに伝える。っていうかリュック・ベッソンはよくこんな脚本書けるな…(でも『トランスポーター』だと敵の居場所を知らないはずのフランクが、敵の居場所まで行く脚本なので、これでも大分改善している。)
しかし公衆電話で話しているときに、フランクがふと自分のアウディを見ると警察官がアウディを見ていた。だからフランクはアウディを捨ててタクシーを拾った。タクシーで悪のボスの別荘へ向かうフランク。
2006/07/16|▼この記事の直リンク先
以下はネタバレを隠していません
悪の別荘では悪の部隊がフランクを狙って一斉射撃!をすると悪の部隊は全員弾切れになった。仕方無いので悪の部隊は全員肉弾戦で襲い掛かってくる。フランクはジャッキーテイスト全開で悪の部隊を全員倒してゴミ箱に入れる。
その頃悪のボスは
「治療薬を安全に持ち運ぶにはどうすればいいんだろう?そうだ!僕の体に治療薬を全部注射すればいいんだ!」
という事で点滴みたいな感じで治療薬を全て体内に取り込んでいた。悪のボスがそんなことやるなよ。大体「実はワクチンは体内に注入して運んでいた」というネタは、どっちかつーと運び屋であるフランクがやるべき技だろう。
フランクは悪のボスの元にまでやってくる。ここで悪のボスは今回の作戦の全貌を語りだした。
という実にアバウトすぎるアウトブレイク作戦だったことをフランクに説明する。しかもこの作戦はほとんど成功していて、もう既にみんな感染しているのだ!っていうか北米も南米も未曾有の危機に晒されているぞ!
流石にフランクも
「その計画逆効果じゃね?」
とツッコミいれるが、悪のボスは
「オレも特に考えていない。」
と暴言を吐く。この陰謀考えたリュック・ベッソンも特に考えていないんだろうなー。
悪のボスはヘリコプターで逃走しようとする。そしてフランクの前には女殺し屋が銃で狙いながら登場。でも結局銃は使わないので肉弾戦が開始。
『トランスポーター2』のパクリネタは全部既存のヨーロッパ・コープ作品のパクリ方と同じパターンなんだけど、ここで新しいパクリをやる。それは中国武侠アクション!つまり女殺し屋がカーテンを掴んで宙を舞いながら襲ってくるのだ!
「あ、なるほど!これがやりたかったのか!」
と思ったのも束の間で、女殺し屋はフランクに弾き返されて、壁の装飾に刺さって死ぬ。早っ。
2006/07/22|▼この記事の直リンク先
以下はネタバレを隠していません
悪のボスはヘリコプターで逃げだした。フランクは別途入手した車(悪のボスの所有物)でヘリコプターを追う。
ヘリを追いかけるために猛スピードで走るフランク。しかしここらへんの演出はヨーロッパ・コープ作品最大の欠点であるスピード感の乏しさが目立つ。
猛スピードで走るフランクの様子をたまたま報道カメラが捉えていた。その映像を見てフランス人の友人は
「アイツだ」
とフランクの存在に気が付く。猛スピードの暴走車=フランクなのかよ。
ヘリコプターで空港に着いた悪のボスは自家用機で国外脱出を図ろうとする。そのためフランクは離陸直前の飛行機と並行して車を走らせ、飛行機のタイヤに飛び移り、タイヤの軸にしがみつきながら空を飛んで機内に潜入するという手段を実行。
とんでもなく滅茶苦茶なシーンだが、物理的に無理な手段なので物理的な部分は映さないという、別の意味で賢い撮影と編集でごまかしている。
ところで『トランスポーター』でもツッコミいれたけど、今回も同じことをツッコむぞ。その場合フランクはどうやってアクセルを踏んでいるんだ?
こうして機内に潜入したフランクは………
なんと!なんと!なんと!
機内の点検をしていた副操縦士の首の骨を折って殺害する
いや、気絶させろよ………主人公が突然殺人行為に走るのも『トランスポーター』から変わっていない。
フランクと悪のボスの最後の肉弾戦の最中、事故で操縦士も死ぬ。制御不能となった飛行機は暴走するが、ここの特撮はかなりショボくて、飛行機はマウスポインタのような動きをする。
フランクは悪のボスに何とか勝つが、飛行機は海に墜落してしまう。
この墜落シーンは信じられない程滅茶苦茶で、飛行機は頭から海に突っ込むんだけど、その時フランクは後方に飛ぶのだ!逆だよ!この場合は前方に飛ぶんだよ!慣性が全く働いていないぞ!
ちなみに次のシーンで飛行機は既に沈んでいるんだけど、頭から突っ込んだはずなのに何故か飛行機は後部が壊れている。
フランクはまだ生きていた悪のボスを抱えて海面に出るとそこには警察の船が一杯いた。
次のシーンでは既に病院。警察に確保されたフランクがどうなったかとか、大勢いたはずの24時間以内に死ぬウィルス感染の被害者がどうなったかとか、悪のボスがどうなったのかとかは全然わからない。
フランクは少年とその家族を見舞いに行くが、父親と母親と少年の三人で仲良くやっているところを見て、花を置くだけで帰る。
少年も父親も気がつかないが、母親だけは花に気が付く。
「ママ、このお花は?」
「きっとあの人だわ」
「フランクだ!フランクは僕との約束を守ってくれたんだ!」
っていうシーンが抜けているぞリュック・べッソン!!これじゃあ「約束」のプロットが意味ないじゃん!
フランクはフランス人の友人を送るために空港に行く。アメリカに来てすぐ逮捕されて、拘置所にブチ込まれて、夢だったマイアミ・ビーチも見れなかったフランス人は
「この旅行は楽しかったよ」
と思いっきり説得力の無い台詞で映画を締める。
ラストシーン。フランクの元に再び裏の仕事が入ってきて映画は終わる。
政治家の息子を誘拐した犯人にされて、飛行機を墜落させて、アメリカ大統領と南米の各首脳を助けて、最後は警察に確保されたはずのフランクが再び裏の世界に行くのは無理があると思うが。
2006/07/25|▼この記事の直リンク先