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少林少女   ★

今の日本映画ってのは脚本も演技も演出も酷いので笑ってしまうシーンが多い。だからといって映画館で爆笑すると他の客に迷惑がかかるので、僕はなるべく笑わないようにしている。だが『少林少女』のクライマックスは大声で笑わせてもらった


恐るべき駄作だ。幼稚で稚拙で軽薄だ。本広克行(監督)と十川誠志(脚本)は頭がおかしいんじゃないのか?フジテレビは彼らを使って映画を作り、毎朝めざましテレビで宣伝している(毎朝じゃないと思うが)。頭がおかしい奴らの映像をニュースの枠で朝から国民に見せているのだ。
つまらない映画を作ったくらいで「やめろ」とまでは言いたくないが、本広克行と十川誠志には日本映画から離れてもらいたい。もう悪影響のレベルになっている。本広克行は自分が何をやっているのかわからないまま仕事をしていたとしか思えない。十川誠志の脚本はケータイ小説よりも酷い。

とにかくクライマックスが想像を絶する。僕は数年前から「こういう事をやってしまう日本映画っていつか登場するんじゃないか?」と漠然と思っていた。”こういう事”とは唐突な「癒し・愛・純粋」で映画を結論付ける現象だ。『キューティー・ハニー』『CASSHERN』といった大駄作がもう既に”こういう事”をやってしまっているのだが、『少林少女』はそれ以上に浅はかだ。『少林少女』を作った本広克行と十川誠志には宗教の意識なんて全く無いはず。だが『少林少女』の珍クライマックスはカルト宗教がセミナーで流す映像のようになってしまっている。何故そんな映画を作ってしまったのか?
『少林少女』の珍クライマックスは一見「陰陽」だが、それは建前だ。本当の所は「癒し・愛・純粋」だから全てが解決するという概念が日本映画にまかり通っていて、『少林少女』もそれを採用したということだ。観客を楽しませるために理屈を抜いてくるチャウ・シンチーがいかに正しかったのかがよくわかる。そんな珍クライマックスも含めて以下内容をぜんぶ解説する。




さあ、こっからが『少林少女』のトンデモクライマックスだ!嘘ネタじゃないぞ!全部本当のことだからな!


ハッキリ言って映画にラクロスはあまり関係ないのだが、『少林少女』のパンフレットには5ページに渡ってラクロスの解説、およびラクロスチーム18人の全員の設定が書いてある(柴咲コウは1ページ)。矢口史靖の映画を真似したいんだろうなぁ。


先ほどの脚本のミスを解説。

登場人物が知らないことを観客が知っている。当たり前のテクニックだ。
『ダイ・ハード』には、主人公が途中で出会う気弱な男が実はテロリストのボスだというシーンがある。気弱な男の正体を観客は知っているが主人公は知らない。だからこそ観客は気弱な男との会話シーンを見ていると凄まじく緊張するし、その後の「主人公は気弱な男の正体に感づいていた」というシーンが活きて来る。

だがバカが脚本を書くと、観客しか知らないことを何故か登場人物が知っているという現象が起きる。リュック・ベッソンが脚本を書いた『トランスポーター』で、ヒロインが誘拐された場所を主人公が知っている現象などがそれだ。
しかし究極のバカが脚本を書くと、登場人物も観客も情報を知らないまま話が進むのだ!この現象が起きると観客が置き去りになるのだが『少林少女』がそれをやってしまっている。具体的には「悪の学長が中国人美少女を誘拐し悪の施設に監禁した。」という情報が観客にも登場人物にも知らされないまま映画が進むのだ。だから中国人美少女は偶然助け出せたということになるのだが、それだと柴咲コウが悪の施設に突撃した意味がわからない。『少林少女』の物語の繋がらないっぷりはケータイ小説よりも酷いぞ。(でも天才宮崎駿も『ハウルの動く城』で観客を置き去りしている………)


もう一つこの映画には酷い要素がある。コメディセンスが恐ろしいほどなかった。『少林少女』はコメディ映画なのだが観客が一切笑わなかった!こんなシーンがある。

ラム・チーチョンが岡村隆史に
「シャチョーさん」
と言うと岡村隆史が
「社長じゃねえし」
と言い返す。

このギャグ自体が面白くないんだが、このつまらないギャグを劇中10回近く繰り返すのだ!

さらに

  1. 岡村隆史が噴水の手入れをしていると噴水にボールが詰まる。
  2. 岡村隆史がボールを取る。
  3. 水が勢いよく出てくる。

というギャグがあるのだが、これギャグなのか? 普通は

  1. 岡村隆史が噴水の手入れをしていると噴水にボールが詰まる。
  2. 岡村隆史がボールを取る。
  3. 水が出てこない。
  4. おかしいと思った岡村隆史が噴水口を覗く。
  5. 突然水が出てくる(または別の場所で水が噴き出している)。

じゃないのか?

あとさ、柴咲コウのオーラの演出だけどさ。柴咲コウのお尻からオーラが出てくるのはちょっと変だった。オナラに見えたぞ。

最後。この映画は音が非常に変だ。フジテレビがいつも自慢しているジョージ・ルーカス傘下の「スカイウォーカーサウンド」を使っているんだが、「音が立体的に聞こえる」んじゃなくて「音が変な位置から聞こえる」のだ。他にも登場人物たちの会話は通常の音なのに、脇役の会話は低音バリバリだったりする。宝の持ち腐れ。


マッドシネマ
『少林少女』の脚本の酷い部分ベスト10

2008-04-28

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