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築地魚河岸三代目   ★★★

ここ数年大沢たかお(以下:TKO)が映画に出演するたんびに「何でそこでTKOなんだよ!」とツッコミ入れていたが、『築地魚河岸三代目』を観たらTKOの笑顔にハマってしまった。

『築地魚河岸三代目』は意外と面白かった。変なキャラたちが変な騒動を巻き起こすという大船調のパターンを守っている。
だけど『男はつらいよ』や『釣りバカ』のような鉄板な世界観に守られていないうえに、主人公に観客を引き付けるインパクトが無い。そのために観客は『築地魚河岸三代目』の「変なキャラたちとその騒動」に対して、「何故こいつらはこうなの?」と常に疑問を持ち続けることになる。おかげで単純な大船調に留まらず、奇人ショーのような映画になっていて面白い。


でもこの映画のストーリーはおかしいと思った。TKOムービーの『ミッドナイト・イーグル』には、TKOよりも主人公に相応しい男がいたことは以前説明した。『築地魚河岸三代目』も同じで、TKOよりも主人公に相応しい人間がいるのだ。それが無骨な築地の男を演じる伊原剛志だ。
ラストシーンまでのネタバレになるが、『築地魚河岸三代目』の伊原剛志の物語はこんな感じだ。


伊原剛志は「魚辰」という魚の仲卸店のリーダーだ。無骨で不器用だが、皆から愛され信頼されている男だ。もちろん仕事もバリバリできる。魚辰の二代目は
「おめえは17歳の頃から20年も魚辰で働いている。魚辰三代目を継ぐのはおめえしかいねえ。」
と言ってくれる。だが伊原剛志は何故かそれを拒否する。

二代目には一人娘がいて、皆からお嬢さんと呼ばれていた。そして伊原剛志はお嬢さんに何か特別な想いを抱いていた。築地の人たちは伊原剛志がお嬢さんに恋をしているんだと考えた。お嬢さんが伊原剛志を婿にとれば、自動的に伊原剛志が魚辰三代目となる。そうすれば何の問題もないと築地の人たちは大喜びする。だがお嬢さんの恋人であるTKOはショックを受ける。

しかしそれは皆の誤解だった。伊原剛志は誤解に怒るTKOにだけ秘密を打ち明ける。実は伊原剛志は魚辰二代目の愛人の子供で、お嬢さんは腹違いの妹なのだ。その愛人(伊原剛志の母親)は既に病死していて、この秘密を知っている者は誰もいない。だが伊原剛志は魚辰二代目を恨んではいない。不良少年だった伊原剛志を自分の息子とは知らずに築地で働かせて、更正させたのも魚辰二代目なのだ。
男の中の男:伊原剛志はTKOに言う。
「この秘密は誰にも言わないでください。魚辰が実の息子を従業員として働かせていたことが世間に知られたら、二代目とお嬢さんは築地の笑い者になる。もしそうなったら俺は出刃で腹をかっさばる。」

伊原剛志はいつも築地の料理屋に通っていた。料理屋の女将は伊原剛志のことを愛していたが、彼女も伊原剛志がお嬢さんを想っていると勘違いしてしまう。女将は伊原剛志のことを諦めてしまい別の男との縁談を進める。女将は伊原剛志が大好きな料理を全てレシピにして、お嬢さんにあげた。

だが伊原剛志が愛した女は唯一人、料理屋の女将だったのだ!伊原剛志は女将の縁談の話を知って落ち込む。お嬢さんは女将が残したレシピで伊原剛志のために料理を作る。そしてお嬢さんの口から衝撃の一言が発せられる。
「今まで私に優しくしてくれてありがとう。幸せになって、お兄ちゃん。」
お嬢さんも真実を知っていたのだ!さらにこの兄妹の会話は二代目に盗み聞きされていた。

家族の気まずい空気の中、TKOが突如乱入
「あんた築地の男だろ!縁談止めろよ!」
と伊原剛志に発破をかける。伊原剛志とTKOは街へと走り出して女将の縁談を止めた。そして無骨なはずの伊原剛志はメロメロになりながら女将にありったけの想いをぶつる。女将もその想いをプロポーズとして受け入れた。

映画のラストシーンは伊原剛志と料理屋の女将の結婚式だ。二人の背後には女将の両親と二代目も並んでいる。築地の皆が伊原剛志を祝福した。そして引退を決意した二代目が結婚式の締めの言葉を言う。

「本日、皆様にお披露目にしたいことがあります。魚辰の三代目になるのは………TKOです!


何でそこでTKOなんだよ!おかしいだろ!どう考えても三代目になるべきなのは実力・経験・人望・そして血縁と全てが揃っている伊原剛志だろ!

これは「隠し子」という映画オリジナルの設定がちょっとおかしい。原作だとTKOは婿養子で、伊原剛志は隠し子じゃないので、TKOが三代目になってもおかしくはない。
しかし映画版だとTKOは単なるお嬢さんの恋人で、伊原剛志が二代目の息子なので、TKOが三代目になる意味がわからない。
また伊原剛志は37歳という設定でお嬢さんは28歳になっている。本妻の子供より愛人の隠し子が9歳も年上、というのは有り得るかもしれんがちょっと変だ。隠し子がいたまま結婚したのならわかるんだけど。
さらに伊原剛志の役名は原作通りで「英二」になっているので、隠し子で年上で次男という奇妙な設定になっている。犬神家のようなドロドロの血縁関係でもあるのかいな?

でも今回のネタバレを読んでもらえばわかると思うけど、『築地魚河岸三代目』の伊原剛志の物語は良い意味で面白かった。2が公開されたら公開初日に観に行くぞ!(「え?本当に2やるの?」と思われるだろうが、おそらく契約上2は作らなきゃいけない。消えるのは3以降だと思う

2008-06-19

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