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2008年の各メディアの映画ベスト10   

2008年日本公開作品で最高の映画とは?というわけで各メディアのベスト10を揃えてみたぞ。ぴあ以外は得票制のベストだ。

キネマ旬報邦画ベスト

一位 おくりびと
二位 ぐるりのこと。
三位 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)
四位 トウキョウソナタ
五位 歩いても 歩いても
六位 闇の子供たち
七位 母べえ
八位 クライマーズ・ハイ
九位 接吻
十位 アフタースクール

『おくりびと』強い。怪傑作『実録・連合赤軍』も高い評価。1位から8位のラインナップを見ると、2008年はベテラン監督たちが手堅く出来の良い映画を撮っていた年だったんだな。

キネマ旬報洋画ベスト

一位 ノーカントリー
二位 ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
三位 ダークナイト
四位 イントゥ・ザ・ワイルド
四位 ラスト、コーション
六位 イースタン・プロミス
七位 その土曜日、7時58分
八位 エグザイル/絆
九位 つぐない
十位 チェチェンへ アレクサンドラの旅

1位から3位をアメリカ映画が独占。この3作品は描いている内容も時代もバラバラだが、暗く重い現代アメリカを映し出しているという共通点がある。4位の『イントゥ・ザ・ワイルド』もアメリカ映画だ。『エグザイル/絆』はチャイルディッシュすぎてキネ旬では不利かと思ってたが健闘。 その一方で映画秘宝や僕が高く評価する『ミスト』は60位でかなり低い。

キネマ旬報読者邦画ベスト

一位 おくりびと
二位 ぐるりのこと。
三位 歩いても 歩いても
四位 トウキョウソナタ
五位 クライマーズ・ハイ
六位 闇の子供たち
七位 アフタースクール
八位 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)
九位 母べえ
十位 百万円と芋虫女

『おくりびと』が16500点越えで1位。ちなみに『ぐるりのこと。』の得点が10500点、『ノーカントリー』の得点は9000点なので『おくりびと』はかなりの高得点だ。

キネマ旬報読者洋画ベスト

一位 ノーカントリー
二位 ダークナイト
三位 ラスト、コーション
四位 ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
五位 イースタン・プロミス
六位 つぐない
七位 潜水服は蝶の夢を見る
八位 レッドクリフ Part1
九位 イントゥ・ザ・ワイルド
十位 その土曜日、7時58分

『レッドクリフ Part1』がランクインしている。秘宝読者よりもキネ旬読者のほうがジョン・ウー好きなのかも。

スクリーンベスト

一位 ノーカントリー
二位 ダークナイト
三位 ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
四位 JUNO
五位 潜水服は蝶の夢を見る
六位 ラスト、コーション
七位 ブロードウェイ・ブロードウェイ/コーラスラインにかける夢
八位 イースタン・プロミス
九位 つぐない
十位 イントゥ・ザ・ワイルド

スクリーンとキネ旬は選評者たちのラインナップが似ているが、スクリーンのほうが女性が多い。そのため『JUNO』が高く評価されるのだろう。『JUNO』は30代の男性の心にグサッとくる映画でもあるので、平均年齢が高そうなキネ旬では評価があがらないのかも。僕は『イントゥ・ザ・ワイルド』が苦手で『JUNO』が好きなのでこの結果は嬉しい。『潜水服は蝶の夢を見る』が高順位なのも特徴的。

スクリーン読者ベスト

一位 ダークナイト
二位 レッドクリフ Part1
三位 インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
四位 スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
五位 ナルニア国物語 第2章:カスピアン王子の角笛
六位 つぐない
七位 魔法にかけられて
八位 ライラの冒険 黄金の羅針盤
九位 ウォンテッド
十位 ノーカントリー

サブタイトルがついている映画が多いベスト10だ。女性読者が圧倒的に多いスクリーンでも『ダークナイト』が1位なのが嬉しい。あとはヒット順だけど、『つぐない』が健闘している。

映画秘宝ベスト

一位 ダークナイト
二位 アイアンマン
三位 ミスト
四位 ランボー 最後の戦場
五位 イースタン・プロミス
六位 エグザイル/絆
七位 ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!
八位 クローバーフィールド/HAKAISHA
九位 ノーカントリー
十位 ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

『ダークナイト』が圧倒的人気で1位を取った。驚いたのが『アイアンマン』の2位!いい年した大人がコツコツとアイアンマンをバージョンアップさせていく描写が受けたのだろう。『ダークナイト』が無かったら『アイアンマン』が1位というトンデモない結果になっていたのか。
『ランボー 最後の戦場』が高評価なのも面白い。2008年に僕は色んな人に会ったが「何で破壊屋は『ランボー 最後の戦場』の評価が低いの?」と結構言われた。
『ホット・ファズ』は2年連続ベスト10入りの快挙(一昨年も『ホット・ファズ』はベスト10に入っていた)。映画秘宝は投票範囲にルールが無いのでこういう事が起こる

映画秘宝ワースト

一位 少林少女
二位 20世紀少年
三位 ハプニング
四位 ICHI
四位 インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
六位 ザ・マジックアワー
七位 スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ
八位 崖の上のポニョ
九位 L change the WorLd
十位 スターシップ・トゥルーパーズ3

『少林少女』がダブルスコア(得票が2位の2倍)で圧勝。投票者の山本誠二氏の「少林少女には、現在の日本映画の悪しき状況が凝縮されていると思います。」というコメントが素晴らしい。
『ハプニング』と『インディ4』は面白いじゃんかー。

映画秘宝読者ベスト

一位 ダークナイト
二位 ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!
三位 ミスト
四位 アイアンマン
五位 ランボー 最後の戦場
六位 トロピック・サンダー 史上最低の作戦
七位 ノーカントリー
七位 28週後...
九位 片腕マシンガール
十位 ウォーリー

『ホット・ファズ』が2位。イギリスの田舎モノ監督が映画愛とハリウッドネタを炸裂させた映画を作り出した点が、秘宝読者の支持を集めたのだろう。
5~9位の映画は死体描写がガンガン出てくる。秘宝読者の趣味が反映されている。

映画秘宝読者ワースト

一位 少林少女
二位 崖の上のポニョ
三位 インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
四位 20世紀少年
五位 ICHI
六位 クローバーフィールド/HAKAISHAザ・マジックアワー
七位 L change the WorLd
七位 紀元前一万年
九位 D-WARS
十位 スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ

わはは!『ポニョ』が2位!老人の妄想を見せられたようなもんだからなぁ。
年末公開の上に劇場で観た人がほとんどいない『D-WARS』がランクインしているのは流石。僕が『D-WARS』を観に行った時は観客全員秘宝読者のような気がした。
ちなみに秘宝読者が選ぶベスト・アクターは、ヒースレジャーがトリプルスコアで1位。さよなら、ヒース。映画俳優は死んでも銀幕で生きる。でもジョーカーとして銀幕に生きることになったあなたは凄すぎる。

映画芸術ベスト

一位 ノン子36歳(家事手伝い)
二位 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)
三位 接吻
四位 トウキョウソナタ
五位 人のセックスを笑うな
五位 PASSION
七位 闇の子供たち
八位 カメレオン
九位 石内尋常高等小学校 花は散れども
十位 きみの友だち

映画芸術は集計方法が特殊で、「ベスト映画の得票-ワースト映画の得票」という計算をする。そのために嫌われる映画………2008年で言うと『おくりびと』『ぐるりのこと』『クライマーズ・ハイ』『歩いても 歩いても』『崖の上のポニョ』などがベスト10圏外になるのだ。
この方法には問題がある。実は2007年に「ワースト映画の得票を引くのはやめよう」というルールに変わったのだ。それが突然復活した。この作為とそれに対する批判については柳下氏のブログを読んでほしい。僕は映画芸術を応援したいが、この面白くもなんとも無い映芸ベスト10のラインナップには確かにガックリさせられる。
ちなみにワースト映画の得票を引かなければ『トウキョウソナタ』が1位のはずだった。

映画芸術ワースト

一位 おくりびと
二位 少林少女
三位 ザ・マジックアワー
四位 私は貝になりたい
五位 トウキョウソナタ
六位 アキレスと亀
七位 七夜待
八位 歩いても 歩いても
九位 クライマーズ・ハイ
十位 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)

それに比べてワースト10は面白い。『おくりびと』がワースト1位だ。『おくりびと』がアカデミー外国語作品賞を受賞した後に、映画芸術の掲示板が荒らされた。僕も『おくりびと』は高く評価しているが、映芸はこれに負けず(懲りず)に批判精神を貫いてほしい。そして『少林少女』はここでも強い!三谷幸喜批判も相変わらずやってるなぁ。

ヨコハマ映画祭ベスト

一位 おくりびと
二位 ぐるりのこと。
三位 歩いても 歩いても
四位 闇の子供たち
五位 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)
六位 接吻
七位 トウキョウソナタ
八位 クライマーズ・ハイ
九位 きみの友だち
十位 休暇

ヨコハマ映画祭も映画の専門家たちの投票による得点形式でベスト決めるので、信用されているベスト10だ。でもキネ旬と似ているラインナップになるのであんまり面白くないのも事実。

ぴあ映画満足度ランキング 邦画

一位 花より男子ファイナル
二位 ザ・マジックアワー
三位 ぼくたちと駐在さんの700日戦争
四位 アフタースクール
五位 おくりびと
六位 ぐるりのこと。
七位 私は貝になりたい
八位 ブタがいた教室
九位 母べえ
十位 ハンサム★スーツ

『花より男子ファイナル』が一位!。満足度をインタビューする公開初日に『花より男子ファイナル』を観に行くのは、高レベルのファンだけだ。そりゃ全員満足度100点にするだろうな。

ぴあ映画満足度ランキング 洋画

一位 俺たちフィギュアスケーター
二位 セックス・アンド・ザ・シティ
三位 ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン!
四位 ヤング@ハート
五位 マルタのやさしい刺繍
六位 サーフズ・アップ
七位 ブロードウェイ♪ブロードウェイ/コーラスラインにかける夢
八位 ザ・フー : アメイジングジャーニー
九位 奇跡のシンフォニー
十位 君のためなら千回でも

映画秘宝以上に俺たちシリーズを高く評価するメディアがあるとは………

IMDBランキング

一位 ダークナイト
二位 ウォーリー
三位 ノーカントリー
四位 ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
五位 イントゥ・ザ・ワイルド
六位 潜水服は蝶の夢を見る

IMDBのTOP250から、2008年日本公開の映画を抽出。ちなみに『ウォーリー』はアートムービー系を選ぶNYタイムズでもベスト1を獲得している。

Rotten Tomatoesのランキング

97% 4ヶ月、3週と2日
95% アウェイ・フロム・ハー/君を想う
94% ウォーリー
94% ダークナイト
94% チェチェンへ アレクサンドラの旅
94% ノーカントリー
94% ゴーン・ベイビー・ゴーン
93% JUNO
93% アイアンマン
93% 魔法にかけられて

Rotten Tomatoesから、2008年日本公開の映画を抽出。順位がハッキリとしていないのでパーセンテージで表現する(トマトメーターと呼ばれている)。実質1位の『4ヶ月、3週と2日』は海外での評価が非常に高い。僕も日本の各ベスト10に『4ヶ月、3週と2日』が全然あがってこないのは疑問に思っていた。チャウシェスク政権末期の雰囲気がかなり作用している映画で、そこらへんに対する認識が欧米と日本でかなりの差があるのかもしれない。
いい映画だけど『アウェイ・フロム・ハー/君を想う』が評価高いのは、僕もよくわからん。
破壊屋でも書いたけれど『ゴーン・ベイビー・ゴーン』は日本では劇場未公開に終わった。
『魔法にかけられて』の評価が高い!。自分も珍作に『魔法にかけられて』を入れるのをスッカリ忘れていた。
10本からは落ちるが日本映画の『トウキョウソナタ』が92%の評価で入っている。

で、結局2008年最高の映画って何?

『ノーカントリー』と『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』はどちらが高い評価なのか?というのは難しい問題だったが、各ランキングを見まわした感じだと、『ノーカントリー』のほうが上の評価だということがわかった。次の問題は『ノーカントリー』VS『ダークナイト』だ。この性格が違う二作品に甲乙つけるのは難しい。しかし作品の完成度を考えると『ノーカントリー』こそが2008年最高の洋画だといえよう。でも面白いのは『ダークナイト』なんだよなー。

僕は2008年の日本映画代表作に未見が結構あるので、最高の邦画なんてとてもじゃないけど判断できない。でも賞レースの結果だけなら、『おくりびと』か。アカデミー賞外国語作品部門を受賞したとはいえ、『おくりびと』がやたら持ち上げられる最近の報道はうんざりしている(石が落ちるシーンなどあざとすぎる描写が多い)。『おくりびと』が時代を撃ち抜くようなパワーを持った作品だとも思えない。しかし「死」に対して向き合う人の心を描いた点が海外でも国内でも高く評価されたわけであり、その点で2008年を代表する邦画として『おくりびと』を挙げてもいいんじゃないでしょうか。


空中キャンプ:2008年の映画をふりかえる/結果発表

2009-03-05

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