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ドラゴンボール・エボリューション   ★

方々から「(破壊屋さんは)ドラゴンボールをけなしてください!」と言われていたので、「いや、僕はジェームズ・ウォン監督好きですよ。」とあらかじめ褒める伏線を貼っていたんだけど………。これはちょっと酷い出来だった。

3/14の『ドラゴンボール・エボリューション』鑑賞会。「今日の映画館は激混みのはずだ!当日に座席のまとめ買いなんて出来るはずない!」と思い、チケットは既に3日前に購入してあった。しかし映画館の客の入りは半分ほどで、ショックを受けた。若いカップルが何組かいたが、ホワイトデーのこの日に何故『ドラゴンボール・エボリューション』なのだろうか。これが浜崎あゆみ効果なのだろうか?深町秋生さんも指摘しているが、『ドラゴンボール・エボリューション』の宣伝は浜崎あゆみに頼っている。パンフレットでの扱いも大きかった。鳥山明は『ドラゴンボール・エボリューション』のイラストを描いて宣伝に協力するのが当然なのに、それをやらなかった(本人が嫌がったらしい)。その代わりに鳥山明が書いたのは浜崎あゆみだった。

ドラゴンボールよりも浜崎あゆみのほうが国民的存在なのだろうか。


以下、映画の全ストーリー解説。鑑賞会後の飲み会のネタも混じってます。みんなありがとうナマステ。でもみんなで酒飲んでるうちに映画の内容をどんどん忘れていくので大変だった。



僕はジェームズ・ウォン監督の映画が好きなので、『ドラゴンボール・エボリューション』もそれなりに楽しめると思ったが全然ダメだった。映画最大の欠点は背景の説明や設定のつながりが無いという点だ。このストーリーだと絶対に必要な「ピッコロ復活」のシーンが無いのは完全な手抜き。ピッコロがおじいちゃんの仇のはずなのにその説明も無い。必要なセリフやシーンをとことんカット(上映時間は90分未満)したために、おそろしく退屈な映画になってしまっている。メキシコロケや竜の使い方などが去年の大駄作『D-WARS』にソックリなのも残念だ。

日本のマンガなんてそのまんまハリウッド映画にできるわけがない。設定だけを借りて全く違う作品になるのは構わない。しかし『ドラゴンボール・エボリューション』には予想以上に原作へのリスペクトがたくさんあって、それが足かせになっていた。『ドラゴンボール・エボリューション』の失敗によってルパン3世、エヴァ、AKIRA、童夢、寄生獣といった数々のハリウッド映画化準備中の計画が数年以上先送りになることだろう。ジェームズ・キャメロン、お前が立ち上がる時が来たようだ(MANGA大好きのジェームズ・キャメロンは『アバター』の次に『銃夢』に取り掛かる)。


さてこの映画の最大のツッコミどころは、エンドクレジットで日本のどこかでピッコロがベッドで寝込んでいて、関めぐみに介抱されているという珍シーンだ。これは単なる続編への布石だが、『ドラゴンボール・エボリューション』の続編はとてもじゃないけど設定をリセットしない限り作られることは無いだろう。続編が無いということは、あのままピッコロは日本の村で暮らしていくということだ。だったらピッコロを主役にして続編を作りませんかね?こんな風に↓


地球を滅ぼそうとして悟空に敗れたピッコロ。ピッコロは日本の田舎村で関めぐみに介抱されているうちに彼女への親しみを覚える。故郷のナメック星が爆発してしまい、仕方なく地球にやってきたピッコロの悲しさを理解できるのは関めぐみだけだったのだ。しかし村の人々はピッコロを不気味がり差別する。その村人たちの態度はピッコロが地球にやってきた時の地球人たちの態度と全く一緒だった。

(ここまでのドラマが1時間半。クライマックスとラストは↓こんな感じ)

ある日、村を支配するためにレッドリボン軍がやってくる。関めぐみは激怒して抗議する。しかしレッドリボン軍は支配の見せしめのために関めぐみを撃ち殺そうとする。銃弾が放たれるが、とっさにピッコロが関めぐみの目の前に飛び込んで代わりに撃たれる。撃たれたピッコロが立ち上がる。それを見たレッドリボン軍はかつて自分たちが尊敬した大魔王とピッコロが似ていることに気がつく。ピッコロが叫ぶ。「似ているのも当たり前だ!オレ様はピッコロ大魔王だ!この村はオレ様が支配している!二度と近づくな!」恐怖のあまり一目散に逃げ出すレッドリボン軍。こうして村の平和は保たれた。

しかし銃弾が効かないと思われたピッコロは、血を吐いてよろめく。人間としての愛を手に入れたピッコロは魔族の力を失っていたのだ。ピッコロは関めぐみを愛していたのだ。「もう大魔王でもピッコロでもない。本当の名も忘れてしまったナメック星人だ。」とつぶやきながらピッコロは倒れた。魔族の力を失ったピッコロにとって銃弾の傷は致命傷だったのだ。同じくピッコロを愛していた関めぐみは泣き叫びながらピッコロを抱きかかえた。ピッコロは関めぐみに別れの言葉を伝える。「オレとまともにしゃべってくれたのは………お前だけだった………お前と過ごした数ヶ月悪くなかったぜ。」
ピッコロは村の英雄となって死んだ。

5年後。関めぐみは幼い子どもと暮らしていた。緑色の目を持つ子どもには父親がいなかったが、村人たちはその子どもを大事にしていた。関めぐみは我が子に話かける。「あなたのパパは遠いお星様からやってきて、ママと出会ったの。そしてまたお星様に戻ったのよ………。」     END。

2009-03-16

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