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03/11/13    マトリックス・レボリューションズについて更新

ゼブラヘッド

    ゼブラヘッドのZEPP東京のライブ(金曜日)に行って来ました。前座バンドも2ついてラッキー!。筋の通った洋楽ファンは同日の帝王メタリカのライブに行ったためか、ZEPP東京内は若い兄ちゃん姉ちゃんだらけ。20代真ん中の僕ですらおじさんの部類に入りそうです。でもタチの悪い客とも何とか張り合える自分を考えると、部活行って体力戻しておいて良かったなぁと心底思う。あの客達はあんたらもうちょっと周囲の事考えて楽しみなさい!と会場では怖くて言えなかったのでここで言います(ボンクラ)。

    ゼブラヘッドは日本で大人気のミクスチャー系で、ライブや楽曲のバカさ加減が有名です。それでも僕はゼブラヘッドはパンクな部分を強く持つと思う。既存社会へ歯向かう事をパンクの姿勢とするならば、母ちゃんに見つからないようにエロ本買ったり、クリスマスを一人で過ごす男の心意気は、間違いなく社会に歯向かっています。


● MATCHES(マッチェス?)
普通のパンクバンド。まあまあ良かった。

● リール・ビッグ・フィッシュ
僕がkemuri以上に大好きなスカパンク、だけどこれがイマイチ。後から知ったけど解散の予定があるらしい。
ラストは勿論「テイク・オン・ミー」のカバー。若い人達がみんなで「テイク・オン・ミー」を合唱する姿は「a-ha」の「テイク・オン・ミー」世代には異様な光景だろうな。
ちなみに今回は映画「ロッキー」の「ウィー・ゴナ・フライ」が入場曲だった。

● ゼブラヘッド
実は僕は結構ゼブラへッドを軽く見ていたんだけど、これがカッコ良くて最高!1stや2ndにあったバカさ加減は消えて、3rdのカッコ良さが前面に出ているライブだった。だけどMCは相変わらずCHINKO,MANKOの連発
クライマックスでは日本人カップルをステージに上げて躍らせたり(この人達、すごくノリが良くて面白かった)、MFZBに引っ掛けて「東京はマザファッキンすげえ!」という歌を披露したりした。1stの笑えるヒット曲「ゲット・バック」はライブで聴くと、カッコいいのが不思議だ。ラストはバカの名曲「プレイメイト・オブ・ジ・イヤー」の「WOOO!YEHH!」を「FUCK!KUSO!」に替えて、ライブ会場全体が「FUCK!KUSO!」の合唱。最高!

MFZB:ゼブラヘッドの最新アルバム。「Mother Fucking Zebrahead Bicth」の略。ジャケットは東京。
ところでt.A.T.uのチケットの売れ行きが相当悪いようですが、そんな事言われてもチケットを5枚も買った僕は困る。

03/11/09    タイトル絵一覧更新

掲示板のテクニック

    文字の色選択で一番右の白を選ぶと、カキコを反転させないと見えなくなります。また<font color="white"></font>このタグを使って文字を囲むと同じ効果が得られます。掲示板は公共性のあるものです。映画館に行っていない映画ファンも多い事に留意しましょう。

使用例1:「タイタニック」は<font color="white">豪華客船が沈んでしまう</font>んですね。ビックリしました。
使用例2:「浦島太郎」は<font color="white">玉手箱を開けるとどうして老人になるのですか?</font>
使用例3:「太陽の法 エル・カンターレへの道」は<font color="white">どうして劇場ガラガラなのに興行収入が一位</font>なのですか?<font color="white">信者達</font>が前売りをバラまいてるからですか?

03/11/09    マトリックス・レボリューションズについて追加

マトリックス・レボリューションズ

始まりがあるものにはすべて終わりがある。「じゃあ終わりをちゃんと作ってよ!」とみんなツッコンでいるんだろうなぁ。でも僕の2003年のベスト1は「天使全開」ではなくて「行列革命」です。感想はコチラ

03/11/07    TOP文のみ更新

REVOLUTIONS NOW!!(ただの雑談)

    「マトリックス・レボリューションズ」、まだ観に行ってません。早く行かなきゃ!

    「キル・ビル VOL1」が公開中で、「マトリックス」が世界同時に完結して、東京国際映画祭と東京ファンタスティック映画祭が開催しているという映画ファンには忙しすぎる時期ですが、こっちは仕事が忙しい状態です。でも東京国際映画祭はどうでもいいや、メイン作品が海外ではDVDが売られている人面魚の映画だし(スゴく期待しているけど)。それよりも「マトリックス・レボリューションズ」が観に行けないのが辛い。
    今日は会社を定時で抜け出してゼブラヘッド(ミクスチャーのバンド、以前来日したとき「私たちはモーニング娘です」と主張していた)のライブに行こうか考え中。帝王メタリカを無視することになるな・・・。


    掲示板も参加出来なくてゴメンなさい。友人知人にレスするのが精一杯です。
    破壊屋は地元の仲間、高校時代の仲間、大学時代の仲間、会社の仲間への近況報告に非常に便利なので、時々掲示板に知り合いカキコがありますが気にしないでください。
● インファナル・アフェア   ★★★★
    マフィアに潜入した男と警察に潜入した男の人生の交錯。これは完全に男泣きの映画!男必見!その証拠に演出や編集がラブシーンになると途端に下手になる。っていうかいらないじゃん。
    男の部分ばっかり注目されているけれど、実は刑事モノ映画としてもかなりレベルが高いです。デジタル(ケータイやモバイル)とアナログ(モールス信号や人間の視線)を駆使したサスペンスとドラマの盛り上げ方にはマイッタ!流石香港映画、そのレベルの高さは衰えていません。日本のお台場映画も見習うように。広東人は「警察署から犯人が電話をかけてくる」にちゃんと理由を付けてるぜ!(大分違う)
    ハリウッドでリメイクが決定しているけど、ブラッド・ピットは潜入捜査官と潜入マフィア、どっちを演じるのだろう?

03/11/03    TOP文のみ更新

秘宝ギロチン祭り、それとバカの一日

    今日はまず大学の学祭に行って当たり前のようにスパイダーマンに変身。その格好で吉本の漫才を見る。でもあの漫才って毎年うちら幹事会が盛り上げに一役買ってるなぁ。
    僕が一番気に入ったのはだいたひかるさん(かわいいし、面白かった)。しかしひかるさんは「政治家になったときの公約」ネタの最中にこっちをじっと見て「スパイダーマンを埋めます」。      僕の事だ・・・。
    漫才が終わるとすぐにトラックスーツに着替えてダッシュで新宿へ、東京国際ファンタスティック映画祭の秘宝ギロチン祭りに行く。さすが東京国際ファンタスティック映画祭の客だけあって、みんなトラックスーツの僕を見ると必ず足もチェックしてくる。すんません、オニヅカタイガーは買っていません。
   「キル・ビル」をネタにしたゴキゲンなオープニングムービーが終わり、秘宝出演陣がクレイジー88のコスプレで登場。今回は「キル・ビル」ネタがタップリで楽しい。その後柳下さんがモーフィアスのコスプレ(日本刀含む)を持って演説、「ザイオンよ!」

    ギロチン祭りのメインは、伝説の映画でありゴーゴー夕張の元ネタ「片腕ドラゴン対空飛ぶギロチン」の上映。凄まじく面白い。映画本編の面白さもさることながら、観客全員が異様にレベルの高い映画ファンなので、笑いや拍手の一体感の気持ちよさが全然違う。映画を観ることの本当の面白さを感じた。しかし監督主演のジミー・ウォング氏のインタビューの時に会社から電話が・・・
    また僕が尊敬する映画評論家の一人、町山智浩氏が作った「キル・ゼロ」も流れる。サンフランシスコにある格闘道場に「そちらに今から日本人が挑戦しますので」と連絡を入れて、何も知らない日本人映画ライター(もちろんギンティ小林氏)を道場に向かわせるというヒドイ内容。これも面白い。
    だけど秘宝祭りの後半で仕事の電話が入ったので泣く泣く退場。結局仕事は何も起きなかったけど、今度は地元の高校時代の友人後輩達の飲み会に急いで向かう。着替える時間ももったいない&面倒くさいので、自分のズボンだけ穿いてトラックスーツのまま横浜へ。当然友人後輩の笑いモノに。久しぶりに会った友人が僕のトラックスーツ姿を見るなり「お前、精一杯生きているなぁ」と言うので自分の生きる力の使い方が間違っている事に気がつく。
   忙しいけど最後まで楽しい一日だった。

● 片腕ドラゴン対空飛ぶギロチン   ★★★★★
あまりにもスゴイ映画なので解説はいつか別の日に・・・。「トーク・トゥ・ハー」や「マグダレンの祈り」がどんなに素晴らしくても、真の映画には敵わないという事に気がついた。でも気がついただけにしておこう。

音楽ネタ

    僕のフェイバリット・アーティストの一つであるKORNがメインのソニックマニア。第二弾アーティストとしてプレイモ、カラシ、そしてランシドが加わってめっちゃ嬉しいです。第三弾はマニアックなのが来そうなのでこれも楽しみ。ロックでヘヴィな冬が来るので体力をつけなくては!他にも解散したはずのAxCxが出てくるエクストリーム・ドージョーも気になります。
    僕の洋楽趣味は少しハードコアよりで、流行は終わったけれどデジタル・ハードコアなんかも大好きです。僕が勝手に世界4大デジタル・ハードコアと決め付けているアーティスト達がいて、それはイギリスの怪物:プロディジー、ドイツのテロリスト:アタリ・ティーンエイジ・ライオット、日本のターミネーター:マッド・カプセル・マーケッツ、そしてロシアのロリータ:t.A.T.uです。もちろんt.A.T.uはチケット買いました
    一緒に行く友人には「同じ日にワイルドハーツ(僕も好きな伝説のロックンロールバンド)のライブがあって、それを観たいんだけど・・・」と言われたけど、却下。オレはt.A.T.uが観たいんだ。ロックンロールは裏切っても自分の魂は裏切らないぜ

03/11/01    555更新

アイデンティティー   ★★★★★

    世界中の映画評論家が「アイデンティティー」の評に頭を悩ませているに違いありません。何故なら「アイデンティティー」は面白い映画なのにその面白さを伝える事ができない。「アイデンティティー」の面白さは映画全体に仕掛けられた説明のしようが無いトリックにあるのです。
    それを考えると素人がHTML使ってネット上に感想書くというのは随分とお気楽な作業なんだなぁ。ところで僕と同じ誕生日の人っています?
    「アイデンティティー」はサスペンスとトリックを90分キッカリにまとめあげた良品の映画です。その内容は・・・
    荒野の中にポツンとあるモーテル(傑作古典の「サイコ」を連想させる)。豪雨で道路が冠水してこのモーテルは陸の孤島となる。もちろん電話線は切れるし、ケータイも圏外だ。このモーテルに11人の男女が集まってくる。
    まず夫(1)と妻(2)と幼い子供(3)の家族連れ(再婚)。妻は交通事故に遭って重体となる。またその交通事故を起こしてしまったのはジョン・キューザック演じる運転手(4)とその雇い主であるレベッカ・デモーネイ演じる女優(5)。何とか救急車を呼ぼうとする運転手が途中で合流するのは、故郷へ帰ろうとしている娼婦(6)、浮気性の男(7)とクレア・デュバル演じるその恋人(8)。しかし結局救急車も呼べず、彼らは全員モーテルで待機する羽目に。そこへレイ・リオッタ演じる刑事(9)が移送中の凶悪犯(10)を連れてモーテルに来る。また下衆なモーテルの管理人(11)も物語に加わる。

    この11人の特徴は観客が完全に把握できるよう丁寧に、かつ非常に素早く説明されます。この時点で「アイデンティティー」がサスペンス映画としてかなりの力量を持っている事がわかります。脚本は省略の芸術であり、ダラダラと人物や状況を説明しているのはダメな脚本なのです。脚本は完全である必要は無い、人物を表現するには役者の力に頼れば良くて、状況を観客に把握させるには監督の力に頼れば済む話なのです。
    また本編はモーテルだけで話が展開するわけではありません。サブプロットとしてモーテル以外の場所でもストーリーが展開されます。それは判事の執務室です。判事の執務室では現在移送中の凶悪犯に対する再審理のようなものが行われ、判事(観客)に対して弁護人が凶悪犯の特徴を説明をしています。「彼は精神状態が異常でして・・・。」
    メインプロットは当然モーテルの11人。この11人が1人ずつ何者かに殺されていきます。そして死体の傍には必ずモーテルの鍵があって、その鍵のルーム番号は事件が起きるたびに10、9、8と減っていく。逃げた凶悪犯(10)が犯人なのか?それとも精神異常の凶悪犯は別にいるのか?モーテルに隠された秘密とは?
    実に古い、古臭い。地味で古臭い演出を効果的に使っているとはいえ、まるでアガサ・クリスティのような古典的なサスペンス、もしくはサイコのような初期ホラー映画のような感覚です。しかも途中でオカルトじみた話も出てくるし・・・。
    ところがそう考えた時点でもう騙されている。もう既に想像を絶するトリックは始まっているのです。実は全くの偶然で集まったはずの11人には意外な共通点が・・・それは全員誕生日が5月10日だったのです!ってことはただの殺人鬼モノではないのか?全ては必然なのか、それとも偶然なのか?この11人がモーテルに集まった意味は・・・?

    映画が宣伝でバラしているのはここまでです。以降はネタバレに触れているので、別ページに置きます。映画本編を観ていない人は読まないでください!

ちょっとだけ雑談

●  上のタイトル絵は久しぶりに作ったのですが、出来が悪いのですぐにはずします。元ネタは「キル・ビル」です。

●  えー、私の現実の友人知人の皆様方。破壊屋が普通の映画サイトなんで引いているでしょう。ネット上で偉そうなこと書いてても、現実の遊びではちゃんと今まで通りバカを貫いています(いや、ネットでもか)。ご安心ください。近況報告としてやってた写真ネタ、半年以上辞めてたけれど復活させます。とりあえず今年の学祭の写真です。

●  この3連休は御茶ノ水の学祭や秘宝イベントをうろつこうと思っています。これが終わるとまた仕事だらけ。11月はレボリューションズとキル・ビルを交互に観に行こうと思ってたのに、普通の映画も観に行きにくい状況になりそう。   あ、学祭に行ったら、今まで僕一人だった全身着込み系の人が何人かいて安心しました。でも彼らは学生だけど僕は社会人なんだよなぁ。

03/10/28    TOP文のみ更新

フレディVSジェイソン   ★★★

    今までに何度も何度も分析されてきた事だけど、スラッシャー系ホラー映画っていうのは男性の歪んだ性衝動をはらんでいる。スラッシャー系ホラー映画の犯人達は鋭利な武器で、怯える美女達の体を引き裂いていく。それは当然レイプを連想させるし、鋭利な武器は男根のメタファーだ。そしてこの手の映画は必ずセックスと強い結びつきを持っている。
    スラッシャー系ホラーの頂点シリーズ、「エルム街の悪夢」と「13日の金曜日」。この2大シリーズの主人公、ジェイソンとフレディが遂に対決する!これは何度も企画されて流れてきた夢の対決の実現であり、21世紀に流行るであろう対決映画の幕開けであり、最凶の男(根)を決める決戦でもあります。こんなバカ映画があの入れ替わり激しい全米チャートで2週連続NO1を決めるとは、やはりアメリカはバカの国だなぁ(これは誉め言葉)。
    映画ファンには説明不要ですが、ホラー映画にはルール(お約束)というのものが必ずあります。例えば以下のような状況の場合、その人は死にます。
● 意味の無いヌードを披露
● イチャついている
● クリスタル・レイクでキャンプする
    「フレディVSジェイソン」のオープニングでは以上の全てを一度に実行する女性が登場、映画史上最も確実な自殺行為です。っていうかこの女性、深夜のクリスタル・レイクを全裸で泳ぎます。当然このOPは「ジョーズ」のOPも連想させるので、お約束の多重構造になっている。「フレディVSジェイソン」はこのようなホラー映画のルールを一切破らずに、しかも両シリーズのルールも破ることなく構成された、意外と適切な映画なのです。
    フレディもジェイソンも知らない人向けに簡単に説明すると・・・

フレディ@「エルム街の悪夢」:エルム街に住む子供達の夢の中に出てくる殺人鬼。子供達の恐怖を力の源とする。小さい女の子大好き、ただしフレディに萌えという概念は一切無い

ジェイソン@「13日の金曜日」:クリスタル・レイクの殺人鬼。童貞。セックスしている若者は絶対に許さない。

    「エルム街の悪夢」と「13日の金曜日」は当然別モノのシリーズであり、別の世界観を持っています。「フレディVSジェイソン」が成立するためにはこの二つの世界が邂逅する必要があります。
    映画のオープニングはフレディのモノローグから始まる。最近エルム街のガキ共が怖がってくれないので、フレディは殺人鬼としての力が無くなって来た。そこでフレディは考えた。ガキ共をビビらせる殺人鬼をスカウトしなくては!ジェイソンだ!クリスタル・レイクのジェイソンを呼ぼう! 「あ、ジェイソン。エルム街のガキ共にお仕置きよろしく!」
    という訳でケータイでダチを呼ぶ感覚で世界が邂逅。そして「フレディVSジェイソン」は対決映画なのですから、フレディとジェイソンがケンカする必要があります。
    ジェイソンのおかげでエルム街のガキ共がビビり始めて、フレディもいい感じで復活。しかし殺人鬼としてジェイソンはあまりにも優秀過ぎるのでフレディの立場が無くなって来た。そこでフレディはヤニダチの力を借りてジェイソンを倒そうとする・・・。
    という訳で対決開始。でもこの辺りは実は上手い構図になっているんです。フレディは自分のためにジェイソンを操ってホームグラウンドに呼びます。つまり主導権があるのはフレディ。そこにジェイソンの暴走、フレディを敵視する高校生達が絡んできて、ストーリーの主導権をフレディ、ジェイソン、高校生達で取り合うという構図が生まれます。その結果みんな一緒にクリスタル・レイクにキャンプしに行くという素晴らしいクライマックスが生まれます。
    この高校生達のキャラ設定も笑えます。精神病院のボンクラコンビ、フレディとヤニダチになる男、デスチャのメンバーといい感じになる[素人]童貞、一途でバカな新米警官と男性キャラはいい感じでダメ人間だらけ。もちろんセックス好きのハンサム男も二人出てくるけど、速攻で死ぬので安心してください。そして女性キャラは全員巨乳です。女子高生役にティーンエイジャーを起用するなんて考えは一切持たず全員20代の巨乳女優をキャスティング。素直にありがとう
オマケ:
大勢でパーティ中にウォッカを一気飲みして、眠っている女の子をイタズラしようとしている所にフレディとジェイソンが現れて殺しまくりというシーンがあった。それって太字の部分が無かったら我が国で実際に起きている事件なんですが・・・。

トーク・トゥ・ハー   ★★★★★

    夏に感想書いたんだけどアップしてないヤツがいくつかあります(夏は忙しすぎた)。「トーク・トゥ・ハー」もその一つ。何も「フレディVSジェイソン」の後でなくても良いような気がするが。
    スペインの鬼才ペドロ・アルモドバル監督・脚本の新作「トーク・トゥ・ハー」、2003年の映画ベスト2位です。1位の「チャーリーズ・エンジェル・フルスロットル」は映画というよりも奇跡なので、実質的に映画では「トーク・トゥ・ハー」が最上位かもしれません。
   トーク・トゥ・ハーというタイトルは「昏睡状態に陥った女性に話しかけるから」という映画の内容から来ています。「トーク・トゥ・ハー」に出てくる女性は闘牛士とダンサーで、二人とも動的な職業についています。でも二人は昏睡状態になって完全に受動的になる。受動的になった女性は神秘性を帯び、その神秘に触れる事が出来るのは「トーク・トゥ・ハー」をする男性なのです。   (でもやっぱり邦題つけてよ)
    「トーク・トゥ・ハー」は愛の映画です。
    男性看護士ベニグノは事故で植物状態になったダンサーを献身的に介護している。ベニグノは「女性の脳は神秘だから」と植物状態の彼女に意思が通じると信じ、何度も話かける。またダンサーの体を清め、エステをし、化粧もほどこし、生理の世話までする。
    これが夫婦の物語だったりしたら感動的な愛の物語ですが、問題なのはベニグノがストーカーだということです。しかもベニグノは超マザコンで、友達いなくて、童貞で、小太りで、毎日ダンサーを見つめた挙句付きまとって、部屋に勝手に上がりこんで窃盗するような輩。現代人の我々にとってストーカーはキモいもの以外の何者でもなく感情移入は不可能に近い。でも「トーク・トゥ・ハー」の主人公はこのベニグノなのです。(ちなみに何でこんな気持ち悪い男がダンサーの完全看護をしているかというと、ベニグノがあまりにも生身の女性に興味を示さないので周囲の人間がホモだと勘違いして「あいつなら問題ない」ということでダンサーの世話をまかせっきりにするからです。)
    それでも「トーク・トゥ・ハー」は愛の映画です。ただ恋愛映画のように愛のコミュニケーションを描いたものではなく、「相手をいつくしむ」タイプの愛を描いたのです。恋愛だったらお互いを満たしていく事が愛になる。でもベニグノは自分の欲望を満たすためではなくて、ダンサーをいつくしむ事だけを目的とします。

    だけどベニグノは愛を形として成就させようとして”ある行動”をとる。ベニグノの”ある行動”は決っして許されるものではない、例えそれが愛の果ての行為だとしても。[だからこそベニグノは投獄、死という贖罪を受ける事になる。しかしベニグノの愛は意外な形で生き残ることになる]・・・。 と僕は解釈していたのですがこれが僕の勘違い。製作者側にとっては「ベニグノの行為は純粋な愛の行為で、アレやら何やらは”愛にとって不条理な展開”らしいです。いいのかよそれで。
    ベニグノが行う”ある行動”は物語的には愛の果ての行為ですが、もしこれを画面で表現したらおぞましく許されない行為となる。しかし映画の天才ペドロ・アルモドバル監督はこの物語の最大の難関ですらサイレント映画を使い見事に(かつ感動的に)かわす。「縮みゆく男」と題されたサイレント映画のシュールさと神秘さには息を飲みます。
    そしてこの映画のラストはよくよく考えてみると[ダチの愛した女を俺が代わりに愛するぜ]という結構無粋なラストです。2流、3流の映画監督が演出していたら間違いなくテキトーに片付けたラストと受け取られるでしょう。しかしペドロ・アルモドバルは1流、それも見事にかわします。ラストシーンの劇場で[ベニグノの親友とダンサーの間には一つ席が空いている、ベニグノが存在するはずの席が。物語はこれ以上何も起きません、でもこの後二人はきっと恋愛をするでしょう。そして舞台には優雅に歌い舞う女性達とそれを添える男達・・・]。あまりのセンスの良さに鳥肌が立ちます。
    どうでもいいんですがこの映画は宣教師がひどい扱い受けている事に何か意味あるんですか?
「宣教師が信者の女性を犯したそうよ、酷い事件だわ」
「しかし全ての宣教師が女性を犯すわけではないだろ」
「そうだよ、少年も犯すよ。」
    これは[ベニグノのような「聖なる人の性犯罪」]って解釈すりゃいいんですか?

映画のパンフレットについて

    この頃の映画のパンフレットって出来が非常に良いです。「キル・ビル」はネタ元を面白おかしく解説して秘宝読者以外の人達の予習にお薦め。「マグダレンの祈り」は手帳風に作りこんでいて面白い(シナリオ採録までつけてくれりゃあ・・・)。「フレディVSジェイソン」はすごろく、各界著名人の応援メッセージ、全作品解説、キリスト磔も網羅した年表、フレディとジェイソンのトークショーと素晴らしい出来。これで700円は安い!
   最近映画評論家の批評が載っていないパンフレットが多くて困っていたんです、芸能人に映画を語られてもなぁ。しかし「バリスティック」のパンフレットは木村奈保子嬢がバンちゃん(アントニオ・バンデラス)について語り、秋本鉄次氏がルーシー姐御について語り、くれい響氏が「ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団」からタイ映画の現状について語るなど、3人の映画評論家に適切な批評を書かせています。単に「バリスティック」の試写会に芸能人が誰も来なくて、来たのは映画評論家だけだったのかもしれませんが。


● アイデンティティー   ★★★★★
「閉ざされた森」は全部騙された。何故なら「閉ざされた森」はルール違反をやってトリックを強めているから。
「マッチスティックメン」は騙されなかった。何故なら「マッチスティックメン」はルール違反せずに丁寧に観客を騙そうとしたので、トリックが弱くなってしまったから。
でも「アイデンティティー」は観客との間に作ったルールを破ることなく観客を騙す。

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