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04/11/29   映画の壺(その他8)更新

ポーラー・エクスプレス   ★★★

    僕はバリバリの理系人間なので「存在が証明できないという事は、存在していないという事」と絶対的に考えている。でもそんな僕は夢物語系のお話が大好きです(良い例:ドラえもん、悪い例:マトリックス)、何故なら「信じれば存在しているのと同じ」とも考えているからです。
    いきなり書くけどこの世にはサンタクロースはいない。もちろん公認サンタとかいった存在はあるけれど、僕達が子供の頃に信じたような概念のサンタクロースはこの世に存在しない。「ポーラー・エクスプレス」はそんなサンタクロースを信じさせるための映画なのです。クリスマスに対する信仰心がテーマになっているので、日本人の僕にはちょっとピンと来なかった。

    実は「ポーラー・エクスプレス」は[夢オチと解釈することができる。主人公が一度眠るとポーラー・エクスプレスがやってきて、家に帰った主人公がベッドに入ると次に目覚めるのは日常の朝。これは夢オチと解釈できるというよりも夢オチそのものです。家の前の雪にはポーラー・エクスプレスの跡は何も残っていない、大切なはずのチケットも残っていない、破れたはずのコートは元に戻っている。ポーラー・エクスプレスの友達も、車掌のおじさんも、北極の街も、全て夢だったのです。 でもこの映画のラストシーンにはたった一つだけクリスマスの真実が残る。それはクリスマス・ツリーの根元には、サンタさんからのプレゼントがあるということ。主人公のコートが夢と同じ場所で破けるのはそのためなのです(コートが破けているからこそ、サンタさんから箱入りでプレゼントされる)。]サンタさんからのプレゼントというクリスマスの真実があるからこそ、サンタの存在を信じることができる。これは映画の中の話だけじゃなくて、僕達が実際に小さい頃に体験してきたことです。
    「ポーラー・エクスプレス」が映画として惜しいのは、小さい頃のサンタへの感情を、思い出すことは出来ても取り戻すレベルまでには行ってないピクサーや宮崎駿だったら子供の頃の感情を取り戻す事が出来るからこそ、彼等の映画は魔法のように素晴らしい。「ポーラー・エクスプレス」のアニメ技術はとてつもなく優れているけど、魔法にまではなっていない
オマケネタ


● それはそれとして列車アクションは楽しかったぞ!機関士達がマトリックス風味に争うシーンも。

● よく「もし○○が黒人だったら」というジョークがある。例えば「大統領が黒人だったら」「マイケル・ジャクソンが黒人だったら」とかね。「ポーラー・エクスプレス」の場合は「ハーマイオニーが黒人だったら」です。現代的なキャラで良かったな、あの黒いハーマイオニーは。

● 子供の観客のために「両親=サンタ」の図式を丁寧に消している。両親が「end of Magic(魔法の終わり)」と呟いたり(子供には意味がわからないが、大人にはわかる)、クリスマス・プレゼントが[電車模型]だったり。

● サンタと並んで「信じれば存在しているのと同じ」の代表格である幽霊がちゃっかりいるのが面白い![自分から「幽霊って信じるのか?」と聞くところが上手い。]

● 英語サッパリわからない僕だけど、主人公の口癖の「Are you sure?」を「確かなの?」と訳してあったのは、ちょっと違和感感じました。子供の台詞だし、サンタに疑問を抱いている主人公の口癖なんだから「ホントに?」とかのほうが適当だと思うんだけどなぁ。

● [クリスマスのエルフ]がエアロスミスのスティーブン・タイラーというネタは爆笑しました。

● 「ポーラー・エクスプレス」ではパフォーマンス・キャプチャーという、モーション・キャプチャーよりも遥かに凄いらしい技術が使われているそうです。でもどんなに人間の演技をキャプチャーできても、目の演技をキャプチャーするのは難しいと思う。この映画の登場人物達の顔に味気が無いのはそこらへんが原因だと思う。

● 登場人物達が名前を持っていないのは新鮮でした。グッズ販売とかする気ないんでしょうね。

雑談

    みなとみらいに11スクリーンを持つシネコン:109シネマズがオープンしました。さらにみなとみらいでは07年と08年にも別のシネコンがオープンして、横浜を舞台にシネコン大戦争が起きるようです。まあ僕にとっては一応ありがたいことなのですが、それに伴って大きな不安があります。それは相鉄ムービルは大丈夫なのか?ということ。相鉄ムービルというのは横浜駅西口にある映画館で、僕が子供の頃は「映画=相鉄ムービル」でした(天王町ライオン座というものあったな)。そしては子供の僕にとっては相鉄ムービルに行くというのは大イベントで、今でも相鉄ムービルの建物を見るだけで、子供の頃を思い出してちょっと興奮します。
    しかしそのうちシネコンの波がやってきました。まず日本で最初のシネコン、ワーナーマイカルシネマズ海老名が出来て、そのうちみなとみらいにもワーナーマイカルシネマズ、川崎にはチネチッタとTOHOシネマズまで出来てしまった。これらの駅は全部横浜から電車一本の場所にあった。いつも行列が出来ていた相鉄ムービルは段々と行列が無くなって来て、今では常にガラガラ状態
    シネコンが余り好きじゃないし、ガラガラの映画館が好きな僕にとっては、相鉄ムービルが今まで一番多く通った映画館だし、一番好きな映画館です(もう一つ横浜日劇という映画館もあるが)。でもさすがに今度のシネコン戦争で相鉄ムービルと壊滅寸前の関内の映画館達は、トドメの大ダメージを喰らうと思う。せめて相鉄ムービルだけでもいつまでも頑張って欲しい。

オマケ: 以前の職場の時は海老名の映画館もよく通った。海老名ではワーナーマイカルズとTOHOシネマズが競争していて、TOHOシネマズが圧勝している。川崎ではチネチッタとTOHOシネマズが競争していて、こっちはチネチッタが有利だけど、そのうち五分五分になりそう。
    さて、というわけで「スカイ・キャプテン」は早速109シネマズで観て来ました(オイ)。確かにワーナーマイカルシネマズみなとみらいより場所的に近いけど、やっぱり相鉄線西口から徒歩1分のムービルのほうが便利だなぁ。でも109シネマズもガラガラの映画館っぽいので何度も通うことになりそうです。


● スカイ・キャプテン ワールド・オブ・トゥモロー   ★★★
演出も脚本もヒドイけどそれでも結構楽しめる。サブ・プロットが痴話喧嘩なのがウケる。 あと映画館でこんなのが貰えました、懐かしい。


● やさしい嘘   ★★★
宣伝からだとわかりにくいけど、実は移民を描いた映画。ただし[普通の移民映画がオープニングで移民になるのに対して、この映画はエンディングで移民になる]。

04/11/22   雑談掲示板移転

ハウルの動く城   ★★★★

    「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」と深いテーマを与えた作品の連発で、大衝撃を与えてきた宮崎駿だけど、今回の「ハウルの動く城」は見慣れた宮崎演出と宮崎キャラで安心して観れる内容になっていました。相変わらず出来は素晴らしいんだけど、宮崎アニメはいつも後半が前半よりもつまらないという欠点があって、「ハウルの動く城」はその欠点が顕著に出ている。特にクライマックスで”登場人物が何をしたいのか、そして何をすれば良いのか観客にわからない”という、宮崎駿が今まで絶対にやらなかったミスをやってしまっているのが悔しい。[”少年ハウルとカルシファーの契約”から”ハウルが助かる”]までの繋がりは、終わってから考えてもわかりにくい。

    それに「ハウルの動く城」は全編に渡って「戦争」のイメージが強く打ち出されるので、「そこに何かテーマがある」と勘違いしてしまう。実際映画が始まって最初の10分間位は銃や戦車や軍隊が次々と写るし、段々と戦争の直接的な表現が増えていって、クライマックスは[空爆&「地獄の黙示録」風ナパーム炸裂]もある。ファンタジー映画とは思えないほど戦争が現実的に描かれます。でも結局この映画にとって「戦争」とは[”相手の国と話がついてめでたしめでたし”というおとぎ話のレベルに落ちてしまい、「戦争終わって良かった」]という結論しか出てこない。

    とまあ貶してしまったけど、やっぱり宮崎アニメ。ファンタジーとしては抜群に優れている。動く城のワクワク感や、魔法のギミックは非常に楽しい。また宮崎アニメは素晴らしいファンタジー世界を構築しておきながら、生活感を丁寧に描いてくれる部分が最高なんだけど、今回もハウルの動く城でお食事、お掃除、お洗濯、ちょっと休憩して湖畔でティータイム。なんて素敵なシーンがある。
    恋愛映画でもあるんだけど、僕はあのソフィーの呪いのギミックは[ソフィーがハウルに対して真っ直ぐな感情を持つと、その強さだけ若くなる]と解釈した。恋とか愛だけじゃないと思う(原作は知らん)。
    そして前半のおばあちゃん映画という部分は非常に新鮮。おばあちゃんという人種のネガティブな部分をタップリ描きながら、おばあちゃんの逞しさを明るく正しく捉えていくのは、さすが天才です。(おばあちゃんって独り言多いから、心情表現は楽だと思う。)

    ところで今回の「ハウルの動く城」には下半身ネタでウケを取る場面があるのですが、これって宮崎アニメ初ではないでしょうか?(あ、カリオストロの城でパンツ一丁になるルパンがあったか。)
ベストシーン: ソフィーがおばあちゃんになってから、街を離れてハウルの動く城に着くまでのシークエンス。
ソフィーがおばあちゃんになっちゃって、「落ち着かなきゃ、落ち着かなきゃ」って慌てているのも、「もうここにはいられないわね」と街を離れてトボトボするシーンも、涙が出そうになるほど悲しいシーン。だけど、ヤケになりながらも頑張って街を離れていくおばあちゃんには、どこか観ていて励まされるモノがある。それにおばあちゃんはそんな仕草もカワイイし、僕等にはこれらからおばあちゃんがハウルと大冒険するのがわかっているので、ちょっとワクワクできる。


●  キムタク
「2046」の”淡い虹”のラブレターを詠むシーンで、かなり不安になったがそれは的中。でもキムタクは確かにミスキャストでしたが、ブリーチに失敗して泣き喚くシーンはピッタリだよ。

●  倍賞千恵子
「どうしたんだい?こねずみちゃんって口説かれる倍賞千恵子には、キムタク以上に違和感を感じました。

●  ソフィー
若い盛りの少女だったが、魔法のせいでおばあちゃんに。しかし自分が若い事にすら戸惑う精神年齢の高さと、少女離れした声と台詞回しの持ち主だったために、結構前向きに今の自分を受け入れる。
惰性で親の帽子屋をそのまま継ぐつもりでいたが、一身上の都合で退職。魔法使いの城や、王宮などに飛び込み就職を繰り返すガッツを見せる。特に掃除人として就職したハウルの動く城は、城内全てタイガーモスの厨房状態だったために大活躍をする。
おばあちゃんになっちゃったのに違和感の無いかわいそうなアニメヒロインだけど、クライマックスでは[ウッカリ悪魔を殺す]というアニメヒロインらしいドジっぷりを見せる。

●  ハウル
絶世の美男子で美女のハートを狙う魔法使い。しかしキムタクの声だと何故か「絶世の美男子」という雰囲気が掴みにくいから不思議。キムタクは美男子なのに。
落ち込むと「アリーMYラブ」や「アメリ」の特撮みたいに、どよーんという雰囲気が実体化する。

●  [悪魔ハウル]
この存在もイマイチわかりにくかった。   野原に立つ美青年。しかし彼の腕は悪魔の皮膚が・・・って「デビルマン」と同じシーンがあるのでギョっとした。
[悪魔ハウル]がカシルファーの前に足を投げ出すと、カシルファーが「臭い」って言うシーンで笑う観客がいたけど、そーいう意味の臭いじゃないぞ。

●  カルシファー
ハウルと契約した悪魔。その力は強大で生ゴミの処分、湯沸し、引越しの手伝い、害虫退治などに使われる。しかし弱点はジャミラと同じ(当たり前だ)

●  マルクル
スター・ウォーズでいうところのパダワン

●  荒地の魔女
スピード感溢れるアクションが特徴である宮崎アニメにおいて、最遅の激戦をソフィーと繰り広げる。

●  サリマン
金髪美少年達を召使にして優雅に暮らしているショタコンおばさんの頂点。サルマンと一字違いということからも、かなり強力な魔法使いであることがわかる。

●  レティー
派手で人当たりが良く、自分の外見にも自信がある。ソフィーの対象になるキャラだけど、あまりその役割を発揮しない。

●  マダム
ソフィーの母でもある。僕はこいつのせいで「きっと帽子には何かメタファーがあるんだ!」とか深読みしてしまった。

●  カブ
よく見るとポスターにも出てるじゃん。肝心なときに役立つヤツ。

●  [カブの正体]
老婆マニアかコイツ。 [戦争という大問題をアッサリ片付ける童話の王子様のような存在。いや、実際童話の王子様なんだが。]

●  予告編に出てくる介護受けているおばあちゃん
「このキャラ知らねえよ」と思っていたら、まさか[美輪明宏のなれの果て]だとは・・・。

●  ヒン
[ラストで突然スパイとしての役目が明確に判明するが、全然役に立っていない]。弱点はロボコップのED209と同じ

●  髪の毛の色
僕は眠り半分以上の時だけ[ソフィーが完全に元に戻る]意味がわからなかった。特に意味は無さそうだけど。

●  荒地の魔女の呪い
おばあちゃんになってしまう上に、解除方法も無いという恐ろしい呪いだけど、[常に恋全開モードの女性]には効かないのでは?。

●  サリマンの魔法
かーごめかごめ、かーごの中の鳥は、何時何時でーやーる?

●  荒地の魔女の手紙
魔法使いたちの会話から察するに相当強力な魔法らしいが、僕にはやっぱり机を焦がしただけに思えた。

●  引越しの魔法
引越しというよりも、劇的ビフォーアフターだと思う。

●  キングズベリー
サリマン、ハウル、荒地の魔女と契約しているのだから、相当強いと思うんだが、何か苦戦している。

●  戦艦
ギガンテス、バカガラス コルベット、ゴリアテなどの宮崎大型バトルシップ好きの僕にはたまらなかった。[悪魔と化したハウルVS戦艦]のバトルは見たかったぞ!

●  ジェンキンスさん
軍隊の召集に応じず脱走、その後不名誉除隊となった(違う)。

●  ハウルの寝室
ハウルって魔女が避けられるならDrコパの風水とかもやりそうだな。

●  ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
JKローリングを羨ましがっただろうが、これで一矢報いたと思う。

●  世界の約束
谷川俊太郎にしては詩がイマイチだと思ったのは僕だけでしょうか。

●  宮崎駿
「千と千尋の神隠し」の反動なのか、もっともロリコン色が弱い映画を作った。

●  パンフレット
宮崎駿を語れる評論家なんて腐る程いるはずなのに、何故彼等を使わない。

●  ハウルの動く城のドア
どこでもドア・・・と言ったらそのまんまか。[クライマックスでは特に説明無しに時空を越える]。

●  [ハウルの心臓]
荒地の魔女やカルシファーの行動原理を示す、映画の超重要要素なんですが、その存在がハッキリとわかるのはラスト直前。

●  ハウルの指輪
「光が指す方向へ」という見覚えが非常にある機能を持っている。

●  戦闘機
これは何て呼べばいいのかな?劇中出てきたフラップター系のメカなんだけど。
密閉感が弱い宮崎メカにおいて、このメカはメーヴェ並に密閉されていない。

●  ハウルの動く城
魔法の力で動いているとのことだが、前半だと蒸気機関で動いているようにしか見えない。後半でようやく「あ、本当に魔法の力で動いているんだ」と納得した。
目はかたつむりのようで、唇はタラコ、あっかんべーも出来る。

●  [ハウルの動く家]
ハウルの動く城の進化形態。居住性を捨てて、機動性に特化している。

●  [ハウルの動く板]
ハウルの動く城の最終形態。風通しが良い。

●  [ハウルの板]
上半身の無いジオングみたいな状態。って何だそれは。

●  [ハウルとソフィーの空飛ぶ城]
[離着陸するシーンを観てみたかったなぁ。   この城の最大の特徴は、洗濯モノを干すときにすぐに良い日当たりを手に入れることができる事。あと庭が付いている。

いつかハウルとソフィーは別の空飛ぶ城を見つけると思う。その城はきっと中心が青く輝いていて、ずっと高い所を飛んでいるんだ。
]

04/11/18   TOP文のみ更新

もののけ姫   ★★★★★

    神殺しの傑作”文明社会の毒のせいで人類は滅びます”という設定の「風の谷のナウシカ」では、クライマックスで”滅びかけた人類の目の前で神話が再現される”ことにより問題を解決していた。神話というのは物語にとって万能の役割を果たすのです。ところが「もののけ姫」では、そういった神話は登場しない。”人間は森の神を殺しました”という民話が生まれる瞬間を描いた映画なのです。
    海外ではディズニーが大々的に公開する予定だったけど、スタジオジブリ側が残酷シーンのカットに応じず(偉いぞ!)、ディズニーでの公開が不可となったために、ディズニーの子会社のミラマックスが小規模公開する事になった。海外で公開されると大絶賛を受け「90年代のもっとも重要な映画」にも選ばれ、IMDBでは映画史上のベスト100にもランクインした。DVD発売時には「日本語音声無し」だと知った海外ファン達が抗議運動を起こす(偉いぞ!!)という事件も起きた。海外アニメファン達にとってはもっとも重要な作品でもあります。

    しかし日本での公開時ではみんな色々戸惑っていたような雰囲気があった。宮崎アニメの中で唯一飛翔シーンが無いからか?難しいイメージがある映画のように思われているけど、ストーリーは特に難解ではない。人間と物の怪が通じ合うことの象徴としてアシタカとサンを配置し、対立の象徴としてエボシ御前とモロの君を配置していて非常にわかりやすい。
    それでも難しい印象があるのは、宮崎駿がテーマの問題を観客に残してしまったからです。宮崎駿はテーマ主義だけど、そのテーマを描く時には必ず観客にわかりやすく、というか考える必要が無い位自然にテーマを伝えてくれる。なのに「もののけ姫」は観客にテーマを突きつけてくる。この映画では観客はアシタカであり、アシタカに突きつけられる問題全てが観客にも突き刺さってしまうのです。

    主人公アシタカはオープニングでタタリ神から、タタリっていうかスティグマ(聖痕)を受け、これが原因でアシタカのスティグマを消す物語が始まる(僕はこーいうタイプの物語を、勝手にスティグマ形式と呼んでいる)。旅の先で人間と物の怪の壮絶な戦争を目撃したアシタカ。最後は[アシタカがサンと共に神に触れることによって、アシタカの”死ぬ”という呪いは消えるんだけど、アシタカの体には痕が残る]。”人間は森の神を殺したんだぞ”という意識をアシタカ(観客)に残したのです。ラストで芽吹く命はあくまでも単なる植物であり、もう森に神はいなくなったのです。
    「もののけ姫」に出てくるエボシ御前というキャラが秀逸で、強力な指導者だがそれに留まらず、当時は人間扱いされていなかった売られた女やハンセン病患者達を人間として扱い人間として働かせる。エボシ御前は優しさと強さを持ち合わせた人間。だけどそんなエボシ御前が森の神を殺そうとする。 エコロジーに強く傾注しているスタジオジブリが、あえて「自然を破壊するのは悪です」なんて安易な発想をせずに、エボシ御前を創り出したことには意味があると思う。

オマケ1:宮崎駿は「もののけ姫」で引退表明していたけど、製作者の徳間書店の社長(故人)はそんな事お構いナシに「何が何でももう一本作らせる」と言っていた。あんた偉すぎ!!!

オマケ2:エボシ御前が神殺しをするために、坊主経由で別の神様から「森の神をぶっ殺してもいいよ」といった許可を貰うシーンがあって、そのとき坊主が別の神様のことを「やんごとないお方」と言うネタは、秘宝読者の間で流行りました。でもこーいうシーンをサラリと入れるのが宮崎駿の天才性を示していると思う。
ベストシーン: オープニング
日本の事をまるで理解していない外国人が見ても、一発で映画の世界に没頭できる名シーン。

04/11/15   映画の壺(その他7)更新

雑談

    最近ペ・ヨンジュンとハリー・ポッターの区別がつかない。そんな事で悩んでいたら友人から「マフラーの色が違う」という素晴らしい見分け方を教わった。そういえばジュネが「原作も読んでないのに、返事するように言われた」と怒ってハリポタの監督を蹴ったそうですね。勿体無い、主役も前監督もみんな原作読まずに仕事引き受けているシリーズなのに。観たかったなぁ、ジュネ&キャロのハリポタ。



● コラテラル   ★★
    ストーリーにこだわっているのに、説得力がない。無理にストーリーにこだわらず”ロスの街で殺し屋と一晩過ごす”という変形ロードムービー風にすれば、僕は好きになったかも。


● オールド・ボーイ   ★★★★
    日本発韓国の凶暴映画。スゲエー映画だ。これ原作日本だし、日本人でも映画化可能だったはず。でも今の日本人には絶対無理で、韓国人にアッサリ出来るのが現在の映画界なんだろうな。


● 血と骨   ★★★
    朝鮮発日本の凶暴映画。愛憎劇みたいなものだけど、愛は無い。愛の代わりに血の繋がりがある。血の繋がりは美しいものではない、お互いに憎悪しか無いのに「血が繋がっているから」という理由だけで、お互い向き合わなくはならない。
原作:梁石日、脚本:鄭義信、脚本監督:崔洋一の組み合わせは傑作「月はどっちにでている」以来なので期待したけど、ビートたけしの描き方がやや興ざめしてしまう。

僕が気に入ったシーンは、日本で暮らす朝鮮人達が出兵を祝うところ。
「ばんざーい!ばんざーい!ばんざーい!」「マンセー!
「貴様!皇国の士に対して何を言うか!」
と鉄拳制裁を喰らって
「大日本帝国万歳!」と言い直す。
あの時代は大変だったんだなぁ、今もか。


● パニッシャー   ★★★
    「珍作」と散々言われている「パニッシャー」。序盤は「普通にシブい映画じゃん!どこで笑えるんだよ?」と思っていたら・・・あの拷問シーンで爆笑してしまった。


● モーターサイクル・ダイアリーズ   ★★★
    「モーターサイクル・ダイアリーズ」だけど、前半でバイク無くなってただの「ダイアリーズ」になったと思ったら、後半は日記書くシーンも無くなった。


● TUBE   ★★
    韓国のハリウッド風アクション映画。リュック・ベッソンとか君塚良一とか観ているといつも思うんだけど、どうして完成されたプロットをパクっているのに未完成のプロットになるんだろう。TUBEも同じ。

ツイステッド   ★★

    アシュレイ・ジャッドとアンディ・ガルシアという久しぶりに見る感が強い二人が主役のサスペンス映画。夜な夜な男をつまみ食いする美人捜査官アシュレイ・ジャッド、ある日今まで喰ってきた男達が次々に殺されていくという事件が起きる。全ての殺人事件で使われている凶器は日本棒(字幕では柔スティック)、柔スティックの使い手でもあったアシュレイ・ジャッドは真っ先に疑われることになった。さらに都合の悪い事に彼女は殺人事件が起きる時間帯の事は、何も覚えていなかった。そして事件の容疑者にされた彼女は事件を捜査する・・・。容疑者が事件を捜査するっておかしくない?    逃亡者じゃないんだから。

    「殺人者は私かもしれない」というネタで引っ張るミステリーなんだけど、殺人事件が起きる度にアシュレイ・ジャッドが[必ず眠らされているので、「殺人者は別にいる」ということが観客にバレバレ。ついでに言うと犯人の予想も大体ついてしまう]。その結果映画本編は、緊張感がまるで無いミス・ディレクション(誤誘引)を延々と見せられることに。僕はミス・ディレクション好きなのでそこだけ楽しめた。それ以外に観るべきところは何も無し。
    ちなみにこの映画、終わってから考えるとアンディ・ガルシアの扱いが悲惨。[アンディ・ガルシアはパートナーになった女性が殺人事件の容疑者。それでもパートナーの事を好きになるんだけど、パートナーは男関係豊富。ある日「パートナーを助けるのはこの俺だぜ!」と家に行ったら、パートナーから銃を突きつけられる。何とかパートナーの誤解を解いたら、今度はパートナーは肌を露出させながら眠ってしまう。しかしそこはアンディ・ガルシア、紳士らしく何もせずに家に帰る。そしたら警察に呼ばれて「お前のパートナーは殺人者だ!」と怒られる。それでも健気にパートナーの無実を主張したら、サミュエル・L・ジャクソンがやってくる。サミュエル・L・ジャクソンに無理やり麻薬を飲まされ、意識が朦朧としているウチに殺人犯に仕立てられたアンディ・ガルシア。ヘロヘロになって泳ぎたら、サミュエル・L・ジャクソンに殺されそうになる。何とか助かったアンディ・ガルシアだけど、結局ヒロインを助けることも、事件の真相も知ることなく映画は終わる。]

キャット・ウーマン   ★★

    女と猫は似ていると思う。
理由1:僕が「チッチッチッ」と誘っても見向きもしない。
理由2:僕が可愛がろうとすると嫌がる。
理由3:僕が近づくと逃げる。
    以上の3つは冗談なので本気にしないように!まあとにかく女と猫は似ている。日本人はよくそれをネコミミキャラとして表現するけど、僕はああいうのは好きになれない。だけどアメリカ人の描くネコキャラ:キャット・ウーマンは大好き。ブラック・レザーに身を包み、セクシーな肢体をくねらせ、ムチで男をしばく!最高![別にネコキャラじゃなくても好きですね。]

    今回の「キャット・ウーマン」は”平凡なOLが上司に殺されて、キャット・ウーマンとして蘇り復讐する”という基本部分は「バットマン」と同じなんだけど、復讐とかゴスといった要素はほとんど無い。キャット・ウーマンは自分が殺された事はド忘れして、次の日は普通に会社に出勤。ケンカして会社を辞めて、勝負服で街を闊歩するようになる。これは「バットマンシリーズ」のキャット・ウーマンというよりも、ブリジット・ジョーンズに近い。実際キャット・ウーマンと同僚を足して2で割ると、キャラ的にブリジット・ジョーンズになる。ただブリジット・ジョーンズと大きく違うのは[留置所から脱出出来る点(ブリジット・ジョーンズなら一生あの脱出方法は出来ない)]。

    ところでこの映画にはキャット・ウーマン以外に能力者がいない。キャット・ウーマンが戦う相手は全員悪徳会社のサラリーマン達で、しかもラスボスは上司のおばさん。これじゃあキャット・ウーマン圧勝だよ!と思いきや、このおばさんが格闘術を身に着けているわけでもないのに、何とキャット・ウーマンと互角に戦うのだ! その理由が凄い。おばさんは[長年の厚化粧の結果、打撃が効かないのだ!](漫画「バキ」で出てくる最凶死刑囚によく似ている)。ってこれギャグだろ!それに[顔以外を狙えば済む話だろ!]
オマケ1:平凡なOLがどーしてあんなキャット・スーツを持っているのか、わざわざ理由をつけるところが凄い。女の人ってレザーに限らず「凄い服買ったけど、着れない」という事があるのだろうか。

オマケ2:ハル・ベリーが二日続けて同じ服で出勤しているのは、どーかと思う。

オマケ3:キャット・ウーマンがお魚を食べにお寿司屋さんへ行くと、カクレクマノミとナンヨウハギがいるのは最高に面白いギャグだと思いました。

音楽ネタ

● SUM41の最新アルバムの初回限定盤DVDに僕のスパイダーマン姿が写っていた。自分で観るのは初めて。ほんの一瞬だけど水色と赤の物体が地面に落ちようとする姿は、自分の危険シーンなのに爆笑できました。よく生きてるな、俺。この映像は朝のテレビ番組でも流れたようで、ここしばらく「見ましたよ」と言われることが多いです。

● ベストアルバムブームがずーーっと続いている。最近最強のベストアルバムはレッチリのグレイテスト・ヒッツ(ロックに興味が無い人にでも、自信を持ってオススメできる!)だと思っていたけど、マリリン・マンソンのベストも、レッチリに負けず素晴らしい出来。特に今までのPVが観れるDVDは非常にありがたい。そして年末はマッド・カプセル・マーケッツのベストが2枚出る!過去ベストの選曲は最高だけど、現在ベストのほうがちょっと・・・「010」から6曲は多すぎ。

● UKハードコアのワン・ミニッツ・サイレンスがとっくの昔に活動停止していた事を知りました。っていうか3rdアルバムを出していた事すら知らなかった。

● SUCK DOWN解散!もうジャパニーズ・ラウドはダメだなぁ。残念。

● スリップノットのライブに行ってきました。その日は土曜日出勤だったんだけど、上司に許可もらって仕事抜け出しました。おかげで最初のほうは観れなかったけど、チケットが無駄にならなくて良かった。体がへばっていた時期だったので、暴れはしなかったです。
    ライブの感想ですが、ショーンがパーカッションを叩くときに、スティックじゃなくてバッドを使っていたのが気になりました。

● 何とエレクトラグライド2004にプロディジーがトリで登場!WIRE04行かなかったので、今年はコッチにしようかと思ったけど、プロディジーの最新アルバムの出来は悪い。どうしよう。

● リンプ・ビズキットにまさか!まさか!まさか!のウェス・ボーランドが復帰!また「ポリューション」や「カウンターフィット」みたいな曲をバンバン作ってくれよ。

● ソニックマニアはベックとマリマンのサマソニ01組が出るそうですね。今後の展開に注目。

● BURRN!で知ったんだけどTURISAS(チュリサス)というメタルバンドが気になる。まずはこの写真を見て下さい。これ、映画の1シーンのように見えますが、れっきとしたバンド写真です。そう思うと何か笑えてくる。チュリサスはこの時代のコスプレが大好きなようで、チュリサスのプロモ写真はこーいうのしかありません。そういった写真が全部見れるチュリサスの公式サイトはこちらですが、チュリサスは公式サイトじゃなくて公式戦場と言い張っています。そして彼等の最新アルバムのタイトルはバトルメタル!まんまやんけ。
ちなみにこれがメンバーの個人紹介写真、ホントにこーいうのばっかり。

● 「トリビアの泉」にナパーム・デスが登場したという情報をもらいビデオで確認する。ネタはグラインド・コアの名曲「YOU SUFFER」が演奏時間一秒の曲ネタで披露された。しかもそのライブ映像は以前僕が参加したエクストリーム・ドージョーのモノ。 ところで音楽のトリビアネタだったらAXCXのほうが一杯あるのでは?なんせこいつら5637曲入りの音源作っているんだぜ!でもAXCX(アナルカント)というバンド名が放送不可か・・・。

04/11/5   TOP文のみ更新

雑談

   残業100時間超えているので、更新する暇も無し。しかし僕が先月観に行ったメインの映画は・・・

   エクソシスト・ザ・ビギニング・・・・・・つまらないと知っていた。

   2046・・・・・・つまらないと知っていた。

   トルク・・・・・・つまらないと知っていた(でも面白かった)。

   デビルマン・・・・・・史上最悪だと知っていた。

    何でこうクソ忙しいのに、わざわざクソ映画を観に行ってしまうのだろう。ああまだ「キャット・ウーマン」「AVP」「パニッシャー」が・・・。


    「Mrインクレディブル」は日本版の予告編だと感動モノになっているけど、爆笑系のアメリカ版予告編のほうが好き。    アニメの女性キャラに特別な感情を抱くことは無いんだけど、この頃インクレディブル夫人が何かこうグッとくる。


● ツイステッド   ★★
    アシュレイ・ジャッドとアンディ・ガルシアという久しぶりに見る感が強い二人が主役のサスペンス映画。夜な夜な男をつまみ食いする美人捜査官アシュレイ・ジャッド、ある日今まで喰ってきた男達が次々に殺されていくという事件が起きる。そして事件の容疑者にされた彼女は事件を捜査する・・・。容疑者が事件を捜査するっておかしくない?    逃亡者じゃないんだから。


● SAW   ★★★★★
    実はそんなに怖くない、実はそんなに驚かない。でもこーいう変則ミステリーは大好きなんだよ!!
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