最近のシネコンはコンサートや演劇の録画をシリーズ映画として公開することにすごく力を入れている。シネコンの予告編では、映画じゃない映画の予告編をたっぷりと見せられる時もある。
現在投票受付中の2010年度 この映画はいったい誰が観に行くんだ!?大賞でも、毎年すごく困ることがある。それはコンサートや演劇のシリーズ映画が非常に多くて、「連作」として投票対象を一本にまとめる作業がすごくメンドイのだ。今回はそんな2010年のシリーズ映画をまとめてみました。
まずはコンサート系から
Livespire
ソニーのプロジェクト。コンサートや演劇を映画館で上映する企画。2010年に「映画」として公開されたLivespireは3本だが、「映画」ではなくて「イベント」として、映画館で上映された作品はもっとたくさんある。
2010年に公開された作品
- Livespire 「ANJIN イングリッシュサムライ」
- Livespire 「A3D ayumi hamasaki ARENA TOUR 2009 A ~NEXT LEVEL~」
- Livespire 「ムサシ」
2010年にイベント上映された作品
- AKB48 19thシングル選抜じゃんけん大会
- AKB48リクエストアワー セットリスト ベスト100」
- 生中継!AKB48 17thシングル 選抜総選挙「母さんに誓って、ガチです」
- 福山☆冬の大感謝祭 其の十
- 宇多田ヒカル WILD LIFE ライブ・ビューイング in シアター
作品情報
どんな企業が関わってるの? |
ソニー。ソニーとLivespireの契約を結ぶのはAKB48から世界三大テノールまで多岐に渡る。
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作品数 |
大量にあって数えられません
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入場料金 |
「映画」として公開されたのは1900円前後、AKB48だと2400円、福山雅治だと3000円。
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WORLD CLASSICS @CINEMA
ヨーロッパのオペラやバレエを劇場配信する企画。去年はイギリス限定だったが、2010年はヨーロッパに拡大した。これもLiveSpireの一環である。
2010年に公開された作品
- WORLD CLASSICS @CINEMA 椿姫
- WORLD CLASSICS @CINEMA オンディーヌ
作品情報
どんな企業が関わってるの? |
ソニー、各国大使館
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作品数 |
全8作
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入場料金 |
3500円
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シネ響『マエストロ6』
この企画はTジョイ(新宿バルトや横浜ブルクなどのTジョイ系のシネコン)のものである。シネ響『マエストロ6』に関しては、公式サイトの文章が口語体で面白い↓。
クラシックコンサート大好き!っても何を見たらいいの?…。なんて思っていません?ベルリン・フィルやNYフィルなど一度は行ってみたいオシャレだけど、来日公演チケットは数万円もして永遠に高嶺の花。
ではっと、パパがBSハイビジョンやブルーレイを楽しむのにホームシアターを奮発しても、住宅事情で広いリビングルームでダイナミックな音を出せるのはお金持ちだけのお宅ですよね。「5.1サラウンドは素晴らしいと言ってもうちじゃダメだ」て非情の叫び。グスッ。
でも、映画館のあのすっご~い音って5.1サラウンドにつかえないの?
っていう発想で始まったのがこの映画なんだって。
2010年に公開された作品
- シネ響『マエストロ6』サイモン・ラトル/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- シネ響『マエストロ6』クラウディオ・アバド/ルツェルン祝祭管弦楽団
- シネ響『マエストロ6』リッカルド・ムーティ/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- シネ響『マエストロ6』ダニエル・バレンボイム/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- シネ響『マエストロ6』ロリン・マゼール/ニューヨーク・フィルハーモニック
作品情報
どんな企業が関わってるの? |
Tジョイ
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作品数 |
全6作
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入場料金 |
3000円
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TOHOSHINKI
ローマ字にされるとわかりにくいが、東方神起のライブ映像の映画化である。歌やダンスがある分、トークショーを3D化した劇場版『ペ・ヨンジュン3D in 東京ドーム 2009』よりかはずっとマシだろう。「韓国のSMAP」として日本で圧倒的人気を誇った東方神起も、泥沼の脱退劇の末に今やメンバーは二人のみ。今後は「韓国のチャゲアス」と名乗りましょう。
2010年に公開された作品
- TOHOSHINKI THE LIVE ~a-nation2006-2009~
- TOHOSHINKI EXPO 2010 ~THE MOVIE~
作品情報
どんな企業が関わってるの? |
韓国の会社、avex
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作品数 |
2作
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入場料金 |
2300円
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地球交響曲(ガイアシンフォニー)
1992年から続いているシリーズで、2~3年に一本作られる。
2010年に公開された作品
作品情報
次は演劇系
METライブビューイング
ニューヨークのメトロポリタンオペラハウス(MET)のオペラ映像を劇場配信する企画。全部観ると入場料金だけで4万円を超える。
2010年に公開された作品
- METライブビューイング/プッチーニ 《トゥーランドット》
- METライブビューイング/オッフェンバック 《ホフマン物語》
- METライブビューイング/R.シュトラウス 《ばらの騎士》
- METライブビューイング/ビゼー 《カルメン》
- METライブビューイング/ヴェルディ 《シモン・ボッカネグラ》
- METライブビューイング/トマ 《ハムレット》
- METライブビューイング/ロッシーニ 《アルミーダ》
- METライブビューイング/ワーグナー ニーベルングの指環<序夜> 《ラインの黄金》
- METライブビューイング/ムソルグスキー《ボリス・ゴドゥノフ》
- METライブビューイング/ドニゼッティ《ドン・パスクワーレ》
作品情報
どんな企業が関わってるの? |
松竹、ソニー
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作品数 |
全12作
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入場料金 |
3500円(ワルキューレのみ5000円)
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シネマ歌舞伎
松竹は歌舞伎の元締めだ。海老蔵の謝罪記者会見でも松竹が主導権を握っていて、松竹の社長があの場を仕切った。シネマ歌舞伎はそんな松竹が歌舞伎を録画して劇場公開しているシリーズだ。
2010年に公開された作品
- シネマ歌舞伎 蜘蛛の拍子舞
- シネマ歌舞伎 身替座禅
- シネマ歌舞伎 大江戸りびんぐでっど
作品情報
どんな企業が関わってるの? |
松竹
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作品数 |
現在12作で今後も継続
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入場料金 |
2000円
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ゲキ×シネ
演劇を録画したものを劇場で公開。2004年から続いている。古田新太が主役の作品が3本もある。映画だとちょっとマイナーな俳優さんだけど、演劇界だと有名なんだな。
2010年に公開された作品
作品情報
どんな企業が関わってるの? |
松竹、Tジョイ
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作品数 |
現在8作で継続中
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入場料金 |
2500円
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テレビドラマ系。
新編集版 太王四神記
ちょっと前に日本ではペ・ヨンジュンのテレビドラマ『太王四神記』を1話づつ劇場公開した(全24話)。この時点で十分にボッタクリ商売だったが、2010年はさらに再編集版を公開した。
2010年に公開された作品
- 新編集版 太王四神記/第1章:千年の愛
- 新編集版 太王四神記/第2章:すれちがいの運命
- 新編集版 太王四神記/第3章:別れのきざし
- 新編集版 太王四神記/第4章:かなわぬ想い
作品情報
どんな企業が関わってるの? |
Tジョイ、韓国の会社
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作品数 |
全4作
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入場料金 |
通常の映画料金
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BUNGO 日本文学シネマ
太宰治や芥川龍之介といった文豪の短編を、テレビドラマ化。1本30分だが、3本づつにまとめて劇場公開した。そういえばこういうのって原作料はかからないよね。いい商売かも。主題歌はいきものがかかり。
2010年に公開された作品
- BUNGO -日本文学シネマ- 黄金風景
- BUNGO -日本文学シネマ- 高瀬舟
- BUNGO -日本文学シネマ- 魔術
- BUNGO -日本文学シネマ- グッド・バイ
- BUNGO -日本文学シネマ- 檸檬
- BUNGO -日本文学シネマ- 富美子の足
作品情報
どんな企業が関わってるの? |
TBS
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作品数 |
全6作
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入場料金 |
通常の映画料金
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テレシネマ7
日韓共同プロジェクト。日本のテレビ界の脚本家たちの脚本を、韓国のテレビ界が映像化。テレビ朝日系列で放映されたが、後にTOHOシネマズ系で劇場公開もされた。
2010年に公開された作品
- テレシネマ7/楽園
- テレシネマ7/結婚式の後で
- テレシネマ7/顔と心と恋の関係
- テレシネマ7/石ころの夢
- テレシネマ7/トライアングル
- テレシネマ7/天国への郵便配達人
- テレシネマ7/19
作品情報
どんな企業が関わってるの? |
テレビ朝日、韓国の会社
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作品数 |
全7作
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入場料金 |
通常の映画料金
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アニメ系。
ブレイク ブレイド
アニメの映画化……じゃなくてDVD発売前に劇場公開して小遣い稼ぎ&話題作りのような気もする。
2010年に公開された作品
- 劇場版 ブレイク ブレイド 第一章/覚醒ノ刻
- 劇場版 ブレイク ブレイド 第二章/訣別ノ路
- 劇場版 ブレイク ブレイド 第三章/凶刃ノ痕
- 劇場版 ブレイク ブレイド 第四章/惨禍ノ地
作品情報
どんな企業が関わってるの? |
フレックスコミックス
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作品数 |
全5作
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入場料金 |
1000円
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劇場版 空の境界
2007年から続いているシリーズで、今年完結した。2007年当初はレイトショー限定公開だったが、ヒットしたため拡大公開となった。しかし完結編はかなりの縮小公開だった。
2010年に公開された作品
作品情報
どんな企業が関わってるの? |
講談社
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作品数 |
全9作
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入場料金 |
通常の映画料金よりも同等、または安い
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今回の記事の意図からは外れるけど実写映画系も。
タクミくんシリーズ
BLのライトラベルの実写化で4作まで作られている。ただしキャストの入れ替わりが激しく、主役のタクミくんでも3回変わっている。
2010年に公開された作品
作品情報
どんな企業が関わってるの? |
角川書店
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作品数 |
4作
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入場料金 |
通常の映画料金
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B→ON
ロマネプロモーションという低予算アクション映画に関わりの強い芸能事務所がある。B→ONはロマネプロモーションが作った劇場公開用アクション映画で、第二弾まで作られた。内容は去年までちょっと流行っていた不良の学園アクション。今後もシリーズ化されるのかは未定。なお劇場公開はワーナーマイカル系列のみ。どうでもいいけど、このポスターはAKB48並みの人数だな。
2010年に公開された作品
- B-ON ~美女木兄弟戦争篇~
- B→ON 不良全滅篇
作品情報
どんな企業が関わってるの? |
ロマネプロモーション
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作品数 |
2作
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入場料金 |
通常の映画料金
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ここで取り挙げたのはあくまでも「映画」として公開された作品だ。映画という形になっていないイベント上映ならワールドカップの中継から爆笑問題のコントまで色々とある。
ライブ系の作品だと、ペンライト持ち込み可だったり、座らずに踊ることを許されている作品もある。もう映画館は映画を上映する場所では無くなってきている。
関わっている企業ではTジョイ、松竹、ソニー(カメラを提供している)、韓国系が目立つ。特にTジョイはかなり力を入れている。実際にTジョイ系のシネコンに行くと映画以外の予告編が多い。
コンサートや演劇のライブビューイングが増えた理由をJinpeiさんに質問したところ「そういうインフラが整ったからだよ」と教えてくれた。調べてみるとフィルムカメラからデジタルカメラに切り替わることで、フィルムを入れ替える必要が無くなり、長時間撮影が可能になった。だからコンサートや演劇を撮影できるようになった。さらにデジタル上映ができるスクリーンが増えたことにより、コンサートや演劇の配信が可能となったのだ。
旧破壊屋で「プログラムピクチャー(男はつらいよ、釣りバカみたいなシリーズ映画)が無くなりそう」って書いて、その後本当に釣りバカシリーズが終わってしまった。しかしプログラムピクチャーとは違う形で、今回取り挙げたような新しいシリーズ映画が生まれている。俺はこういうのを観る気が起きないけど(魔法のiらんどを除く)、今後益々増えていくのは避けられそうもない。