トランスフォーマーVS原発

トランスフォーマー

『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』には原発ネタが二つ出てくる。両方とも序盤の状況説明のシーンだ。

一つはチェルノブイリで、オートボット(正義のトランスフォーマー)たちとアメリカ軍はチェルノブイリに行く。人が住めなくなった死の街の描き方はだいぶ大げさだが、彼らを案内するウクライナの役人が言うセリフ「私はここで家族を亡くした、私も被ばくしている、もう手遅れなのでマスクはしない」というセリフが重い。チェルノブイリ内で登場人物たちは事故とロボット生命体の間に隠されていた真実を知るという展開になっている。アメリカ人は「歴史的モニュメントに隠された秘密」「あの事件の真相は!」といった陰謀めいた話が大好きだけれど、チェルノブイリ原発を使うのは珍しいね。

だけどもう一つの原発の描き方は衝撃的だ。オートボットが原発をガンガン攻撃しているのだ。オートボットが攻撃する理由は「そこが違法な原子力施設(Illegal Nuclear Site)」だからだ。何だって!正義のロボットたちは違法な原子力施設を攻撃するのか!日本なんてヤバいじゃん、どこが狙われるんだ?2007年まで臨界事故を隠した志賀か?「検査のための調整運転中」と嘘つきながらちゃっかり稼働させていた泊や大飯か?立地が激ヤバの浜岡か?被ばくしやすい未成年を働かせていた高浜か?放射性物質を外部に放出しながら稼働する六ヶ所村か?住民投票を潰した柏崎か?隠ぺいやデータの改ざんや説明会のヤラセなんてどこの原発でもやってるぞ。こりゃあオートボットと日本の全面戦争だぜ!って冗談を書いたのは最後の太文字の部分だけであり、実際はオートボットが日本の原発を攻めることはない。

『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』でオートボットが攻撃している原発は「中東」と書いてあるけど、これがイランの原発なのは明らかだ。イランの原子力開発については国連が4回の経済制裁を行い、欧米は追加制裁も行っている。厳しい制裁を受けてまでイランや北朝鮮が原子力開発を続けるのは、以下の画像のような理由である。

原子力ポスターコンクール

ってのはもちろん嘘で、核兵器開発につなげるためだ。だからこそ国連や欧米社会が彼らの原子力開発を許さない。IAEAも全会一致でイランに対する非難決議をしている。以下はWikipediaのIAEAを説明する最初の一文だ

国際原子力機関(こくさいげんしりょくきかん、英: International Atomic Energy Agency:略称:IAEA)は原子力の平和利用を促進し、軍事転用されないための保障措置の実施をする国際機関である。

つまり『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』で正義のトランスフォーマーたちが攻撃しているのは軍事転用が目的の原発だ。日本が攻められることはない…はずだった。しかし石破茂が核抑止力としての原発開発を支持し、読売新聞も日本の原子力技術を「潜在的な核抑止力」としているのを読んでいると、日本もオートボットに攻められるんじゃないの?と思ってしまう。俺は子供のころデストロン(オートボットの敵、ディセプティコンのこと)が好きだったので、それでもいいけどね!

ところでオートボットとディセプティコンが戦っているそもそもの理由ってエネルギー問題なんだよね。

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