宇宙人マニアのイギリス人二人組がアメリカ旅行中にホンモノの宇宙人と遭遇してしまい、宇宙人を守るべく珍道中を繰り広げるというコメディ映画。
イギリス人二人組を演じるのはサイモン・ペッグとニック・フロストで、この二人のコンビの主演作映画はこれで3本目だ。サイモン・ペッグとニック・フロストは実生活でも大変仲が良かったりする。
『タンタンの冒険』のデュポンとデュボン役に決まったお二人。「simon pegg nick frost」で画像検索するとこんなのばっかり出てくる。
せっかくなので過去のサイモン・ペッグとニック・フロストの作品を紹介してみる。
- SPACED 俺たちルームシェアリング
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これはテレビシリーズで二人のイギリス国内の出世作でもある。劇中では子どものころからの親友同士という設定だ。
いつも仲良くプレステやっていた二人、ニック・フロスト(右のデブ)が昇進するので昇進式をサイモン・ペッグに見てほしいのだが…………
シリーズ後半になってサイモン・ペッグに彼女ができて昇進式を忘れてしまい、ニック・フロストが嫉妬するという笑える名シーン。
- ショーン・オブ・ザ・デッド
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二人の世界的出世作だけど、やっぱりプレステやっている。
サイモン・ペッグには彼女がいるんだけど、サイモン・ペッグはいつもデートにニック・フロスト(真ん中のデブ)を連れてくるので、彼女が怒っている。
- ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!
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そして遂に日本初公開作品。いつも「昔から親友」という設定なんだけど、『ホット・ファズ』のみ、劇中で初めて出会って親友になる。画像はニック・フロストがサイモン・ペッグに自分の部屋に寄って行くように誘う甘酸っぱい?シーン。
- サイモン・ペッグが主人公
- ニック・フロストが相棒
- サイモン・ペッグは社交的
- ニック・フロストはオタクすぎてサイモン・ペッグ以外に人づきあいがない
- サイモン・ペッグに彼女ができてニック・フロストが嫉妬する
というパターンはほぼ全作品に共通する。このようにサイモン・ペッグとニック・フロストは親友というか恋人同士というか夫婦というか、何か説明不可能な関係を演じてきた。しかしそれでもBLっぽさはほとんど無い。
『宇宙人ポール』の前半でも、二人の仲良し過ぎる関係がネタになる。宇宙人オタクがホンモノの宇宙人に遭遇したのだから大喜びするはずなのに、ニック・フロストはなぜか嬉しくない。その原因はなんとリンク先ネタバレ
『宇宙人ポール』の前半にはもう一つ面白いプロットがあって、二人が宇宙人オタク憧れの地であるアメリカに行って喜びで大はしゃぎするんだけど、保守的なアメリカ人たちに「イギリスのゲイ野郎」と扱われてしまう!というもの。俺なんかもそうだけど、アメリカ映画とか観ていると、「いろんな人種や宗教の人たちを受け入れているなんてアメリカ素晴らしいなあ!」って感じる。だけどアメリカには不寛容な部分も強い(劇中に出てくるキリスト原理主義者とか)。だからアメリカへ行ってションボリしてしまう彼らの様子が面白くてしかたなかった。
というかこのプロットは色々と転用できるよね。「韓琉って素晴らしいな!」と思った日本人が韓国へ行ったら「謝罪しろ!」って怒鳴られるとか、「日本のアニメって素晴らしいな!ワンピースは神」と思った韓国人がお台場に行って嫌韓デモに遭遇するとか。
また『宇宙人ポール』はカルチャーギャップの映画でもあり、イギリス人二人組とアメリカ人丸出しな宇宙人ポールとの対比になっている。宇宙人ポールの声優はバカなアメリカ白人を演じさせたらウィル・フェレルの次に上手いセス・ローゲンだ。
ちなみに『宇宙人ポール』の元ネタとして数々の傑作映画やスピルバーグ愛が出てくるのが話題になっているけど、最低限予習が必要なのは『エイリアン2』くらい。いや、予習の必要もないかも。そのくらい本筋の出来が良い。本当に面白いパロディは元ネタを知らなくても十分に楽しめる。『宇宙人ポール』はそんな一本だ。
エイリアン2 [Blu-ray] でも元ネタ知っているとクライマックスの衝撃度が違う…。