機動警察パトレイバーのアニメ版は全部で70エピソードあるんだけど、パトレイバーファンに「一番好きなエピソードは?」って聞くと様々な答えが返ってくると思う。
俺が一番好きなのはミステリー系のエピソード『Lの悲劇』で、内容はこんな感じだ。
-
銃による悲劇の始まり
-
ある夏の日、銃を持った犯人たちによる立てこもり事件が起きた。パトレイバー第二小隊の太田は犯人に対してブチ切れてしまい、リボルバーカノン(レイバー用の超大型拳銃)をぶっ放してしまう。犯人たちは無事だったが、立てこもり現場はどえらいことに。
第二小隊の後藤隊長は呆れ果てて言う
「お前たちは地方公務員だぞ、自閉症児や不良少年が主人公のロボットアニメじゃないんだぞ」
銃で大失態を犯しても全く反省の無い第二小隊のメンバーは、富士の裾野にあるレイバー隊員養成学校(通商:レイバーの穴、タイガーマスクのパロディ)での再訓練を命じられる。
-
ズドーン!
- 心霊現象
-
富士の養成学校には後藤隊長と南雲隊長の他に、養成学校の佐久間教官と雑用係のゲンさんの合計4人がいた。
第二小隊が風呂に入ると風呂の色が真っ赤な血の色に染まる事件が起きる。血の色の正体はレイバー訓練用のペイント弾塗料だった。後藤隊長と南雲隊長は何か心当たりがあるのか深刻な顔をする。
それから養成学校で次々に心霊現象が起きた。極めつけは少女の幽霊が「お願い…撃たないで…」と太田に懇願してくることだった。
-
少女の幽霊、怖い
- 謎の美少女
-
主人公コンビの野明と遊馬は、養成学校近くの駄菓子屋へ行く。そこには遊馬の馴染みのじいさんはいなくて、代わりに幽霊にそっくりな少女が店番をしていた。
遊馬は馴染みのじいさんを見つけた。最初は仲良く喋っていた二人だが、遊馬が養成学校にいると知るとじいさんは突然態度を変える。遊馬はじいさんに拷問をかけて養成学校で起きた悲劇について聞きだした。
-
駄菓子屋の少女
- 養成学校での悲劇
-
養成学校では悲しい暴発事件が起きていたのだ。しばらく前にレイバー同士の模擬戦闘訓練があり、警察官の家族が招待客として来ていた。しかしレイバーのペイント弾が暴発し、招待客だった少女に直撃して彼女は死亡した。この事件は公にならなかった。第二小隊のメンバーは警察の隠ぺい体質と、後藤隊長と南雲隊長の態度に失望する。
-
ペイント弾が直撃し招待客の少女が死亡する
- 暴発事件の再現
-
第二小隊のメンバーによるレイバー同士の模擬戦闘訓練が始まる。そのときレイバーが勝手に動いて少女が死亡した時と同じような動作をした。レイバーは第二小隊のメンバーに向かって引き金を引く!暴発事件の惨劇が再び起きると思いきや不発だった。しかし佐久間教官は事件が再現された事におびえる。これも心霊現象なのか?
おびえる佐久間教官
- 心霊現象ではなかった
-
第二小隊のメンバーは心霊現象かどうかを調べるために優秀なプログラマーのシゲさんを東京から呼びよせる。シゲさんは「レイバーの動きが事件を再現するようにプログラミングされていた、こんなことが出来るのは俺くらいなもん」と調査結果を報告する。
そして遊馬は雑用係のゲンさんが一度も姿を見せてないことに気がついた…。
- 警告
-
以下ネタバレです!OVAを観たほうがずっと面白いです!
- 思いつめた少女の犯行
-
遊馬は事故で死んだ少女の写真を入手して、彼女が駄菓子屋の少女とソックリなことに気がついた。遊馬はじいさんを再び拷問にかけて真実を聞きだす、駄菓子屋の少女は事故で死んだ少女の妹だったのだ。
-
これは一度目の拷問シーン
-
駄菓子屋の少女は姉が死んだ事件を恨み養成学校に心霊現象の嫌がらせをしていたのだ。
シゲさんは「あんなプログラミングが少女に出来るわけない!」と反論するが、遊馬は雑用係のゲンさんが嫌がらせの協力をしていた事実まで暴いていた。ゲンさんの部屋を調べてみると、数々の心霊現象の小道具やプログラミング系の本が置いてあった。
駄菓子屋の少女はそこまで思いつめていたのだ、第二小隊のメンバーは銃が起こす悲劇の大きさを痛感し反省する。そしてこのまま少女とゲンさんは逮捕されてしまうのか?
- 警告
-
以下ネタバレのネタバレです!OVAを観たほうがずっと面白いです!
- 意外な真相
-
第二小隊のメンバーで一番頭のいい香貫花が
「誰も逮捕されないわよ!事件が出来過ぎているわ、推理小説でよくある手口よ」
と言う。香貫花が言うには養成学校の暴発事件なんてウソぱっちだし、ゲンさんなんて男は存在しない、心霊現象の犯人は第二小隊のメンバー以外全員で、プログラミングはシゲさん本人がやったはず、過去の写真の少女と駄菓子屋の少女は同一人物で誰も死んでないと言う。
全ては第二小隊のメンバーに銃の取り扱いを反省してもらいたいが故の大がかりなイタズラだったのだ!何てこった!
-
犯人のみなさん
-
仕掛け人と思われる後藤隊長は「それは香貫花の推理で、証拠がない」と反論するが、そこで香貫花は意外な証拠を出してくるのだった!
ストーリー解説はここまで。このストーリー解説はちょっとはしょっていて、本当は少女の兄(これも架空)が出てきたりする。タイトルの元ネタはエラリー・クイーンか『Wの悲劇』のどれかわからないけど、Lはレイバーの略だと思う。
というわけで『Lの悲劇』はミステリーの大技である全員犯人ネタだった。通常の全員犯人ネタと違うのは、犯人側にレギュラーキャラの南雲隊長(劇場版パトレイバー2のヒロイン)というマジメキャラを使っていて、意外性を引き立てている点だ。
また兵藤まこが声優をする少女の使い方がとても巧みで、脚本もさることながら彼女のキャラクター演技がトリックの組み立てに一役買っている。香貫花が証拠を出してきたあとの大オチも見事だ。ちなみにLの悲劇はパトレイバーの旧OVAシリーズ(アーリーデイズ)に入っている。脚本は伊藤和典だ。
俺にとってSFアニメってガンダムでもエヴァでもなくてパトレイバーなんだよなぁ。今回Bootleg Basic執筆用にパトレイバー全70エピソードを見返したけど、エピソードによっては出来不出来が大きいけれど、今でも色あせない傑作エピソードも多いことに驚いた。基本的にはレイバーが出てこないエピソードに傑作が多い。あとパロディネタがめっちゃ多いのも特徴だ。ちなみにゆうきまさみの漫画版も傑作です。
押井守が脚本を書いたエピソードだと、延々と出前を注文するシーンが続く『特車二課壊滅す!』や、ゲームのウィザードリィをベースにしたドタバタコメディ『地下迷宮物件&ダンジョン再び』が有名。
伊藤和典が脚本を書いたエピソードだと、ウルトラマンとパトレイバーを融合させた『CLATよ永遠に&星から来た女』、東京湾の怪獣とオキシジェン・デストロイヤー(ただのドライアイス)で対決する『4億5千万年の罠』、東京でクーデターが起きる『二課の一番長い日』が有名かな。
[amazonjs asin=”B003E0L1XS” locale=”JP” tmpl=”Small” title=”機動警察パトレイバー アーリーデイズ Blu-ray”]
[amazonjs asin=”B003E110FQ” locale=”JP” title=”機動警察パトレイバー NEW OVA BD-BOX Blu-ray”]
[amazonjs asin=”B003E110EW” locale=”JP” title=”機動警察パトレイバー ON TELEVISION BD-BOX 1 Blu-ray”]