アニメの声優に芸能人を投入するのは、もう当たり前になっている。海外アニメの吹替は当然だし、『ベクシル 2077 日本鎖国』なんて声優を担当している芸能人たちの顔写真がメインポスターに使われている。しかし今回はちょっと許しがたい事態が起きた。
以下日刊スポーツの記事から引用
米国民的人気アニメの劇場版「ザ・シンプソンズ MOVIE」の日本語版で、和田アキ子(57)所ジョージ(52)ロンドンブーツ1号2号の田村淳(33)ベッキー(23)が、シンプソン一家の声を務めることが14日、分かった。 配給元の20世紀フォックス映画によると、「日本の理想の楽しい家庭」をテーマに声優を決めたという。
日本に輸入してから15年が経っているとはいえ、『シンプソンズ』を知っている人は少ないと思う。でも、もしも劇場版『ドラえもん』の声優を話題作りのために「ドラえもん=香取慎吾、のび太=春風亭昇太、しずか=しょこたん、スネ夫=IKKO、ジャイアン=ホリエモン」なんかにされたらショックだろう。もしくは今度公開する『エヴァンゲリオン』の劇場版の声優たちを一新された上に、そのメンバーが芸能人になっていたら小規模位の暴動が起きるはずだ。
『ザ・シンプソンズ MOVIE』の声優交代劇に一番近いのは『サウスパーク/無修正映画版』の関西弁吹替事件だ。『サウスパーク/無修正映画版』の関西弁吹替はDVDのみだし、劇場公開時は字幕版のみだったが、それでも関西弁吹替えの批判は大きかった。『ザ・シンプソンズ MOVIE』の場合は、日本語吹替版でずっと慣れ親しんできたのに、劇場版の声優を芸能人に変えられた。過去のアニメ声優吹替騒動の中でも最悪の部類に入る。
今回の『シンプソンズ』の件に対してはハッキリと「NO!」を突きつけるべきだ。そうじゃないとファンを無視したことが成功の前例となってしまう。
しかし声優を変えずにそのまま『シンプソンズ』を劇場で流してヒットするのかというと、それも難しい。配給会社にとっては映画をヒットさせることがまず何よりも大切なこと。映画は興行なんだから、ヒットさせるためには話題を作らなければならない。そして話題を作るために芸能人を起用するのが一番手っ取り早い。『HERO』や『西遊記』のように、フランスにパーティ会場作ってドンチャン騒ぎすれば、日本中のメディアが取材にやってくる。
『シンプソンズ』の場合、特徴として超豪華ゲスト(ブレア首相やメタリカやブリトニー・スピアーズ)が声優やることがあるんだから、日本版もそこを真似して主要キャラ以外で、和田アキコや所ジョージを超える位の超有名人を使うべきだった。小泉元首相とか黒田清子とか(シンプソンズと皇室ネタでは過去に一悶着あった)。
いつも思うんだけど、日本の興行ってのは随分と芸能人に依存している。ある程度は芸能人を使って好き勝手にやってもいいと思うけど、作品そのものの質を落とすような真似は止めて欲しい。
芸能人の正しい使い方は「スキャンダルの渦中にある芸能人を試写会に呼ぶ」とか「叶姉妹を試写会に呼ぶ」とか「高田純次をTAXi4の吹替に起用する(デフォルトで最低の映画なので、作品の質が落ちように無い)」だと思う。
アニメにはあまり詳しくないけど、今までの声優交代or声優に素人投入のパターンを考えてみた。
オマケ:某所で作ってくれた抗議用画像。出来が大変良い。
2007-08-19