破壊屋に戻る11月の更新内容全てを表示2007年の日記を一覧表示

からあげ   

『恋空』と『象の背中』の公開を待ってからこの映画は一体誰が観に行くんだ!?大賞の投票を実施するべきだったな。特に『恋空』は3位も狙えただろうに。


掲示板の『恋空』カキコにこんなのがあった。

からあげを幸せのメタファーに使用して
自殺救済に鳩を使用する神経が謎です。
ラストのからあげは…

わはは!これは確かに変だ!(実際は自殺未遂からからあげまでは月日が経っているけど)。


『恋空』のクライマックスを詳しく解説すると以下のようになっている。

  1. 伏線として「美嘉は金髪に置いてけぼりにされていると感じている。」というのがある。
  2. 金髪死ぬ。
  3. 美嘉は金髪と結婚式を挙げた川原を歩いている時に、「私を置いていかないでよ!」と絶叫しながらいきなり橋の欄干に乗り出す。発作的な行動なのでかなり驚く。
  4. しかしそこは土手の橋だし、欄干もめっちゃ低いし、下はもちろん川だしで、飛び降りても死なないと思うぞ。
    飛び降り自殺するんだったら下にいる人を押し潰すくらい高い所(例:池袋パルコ)じゃないと。いや、下に人がいたら絶対にダメだけどさ。
  5. そんな酷い話はさておき、2羽の白い鳩(CG)がいきなり橋の下から出てくるので美嘉は自殺を止める。鳩はあからさまなCGで作っている。
  6. 鳩は空高く飛んでいく。
  7. それから月日が経つ。とある日に美嘉が空を見ると天空が光り輝いている。何でやねん。それを見て美嘉は満足そう。
  8. 家に向かう。
  9. からあげ

といった感じだ。

掲示板の指摘で気が付いたが、[鳩を見て飛び降り自殺を止める]シーンは『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』にもある。『オトナ帝国』の場合は、鳩が出てくることにちゃんと素晴らしい意味がある。また鳩は平和の意味合いを持っていて、だからこそジョン・ウーは激しい戦闘シーンであえて鳩を出して対比を演出している。

しかし『恋空』の鳩の意図は非常にわかりにくい。 『恋空』の鳩は二羽いるため、その鳩が”金髪と美嘉”なのか、それとも”金髪と赤ちゃん”のどっちを意味しているのかサッパリわからない。原作を立ち読みして確認してみたけど、原作だと”金髪と赤ちゃん”らしい。だったらつがいのように鳩を出すなよ!ちゃんと親子だってわかるようにCG作れよ!事前に赤ちゃん=鳩だとわかるように伏線貼っておけよ!

ところで原作のラストシーンの文章が「2羽の鳥が空へ飛んでいき、空に大きく赤ちゃんを抱いた金髪が出てくる。」というものだったので思わず笑ってしまった。ノベライズじゃああるまいし、何でそんな映像的な情景を小説で描くんだよ!多分このラストシーンを執筆中に映画化の話が来て、やたら映像的な描写になってしまったんだろうな。


もし僕が脚本家だったらこのラストシーンは
「金髪は川のような人だった」
「俺は死んだら空になってお前を見守る」
「空になって星をプレゼントする」
という劇中のセリフと
「初めて出会ったとき金髪は花を植えてくれた」
「死んだ赤ちゃんのお墓代わりに花を植える」
「12月24日の夜は必ず赤ちゃんのお花の所へ行く」
という劇中のシーンを伏線にして

  1. 金髪死ぬ。
  2. 美嘉は自殺して金髪と一緒になろうとした
  3. そのために金髪と結婚式を挙げた川原で入水自殺を図ろうとする。
  4. しかし川面を見ると空が映っている。
  5. 金髪の「俺は死んだら空になってお前を見守る」という台詞を思い出す。
  6. 美嘉は空を見上げる。そして見守られている喜びを感じる。
  7. 自殺をやめて家に向かう。
  8. 家族と一緒にからあげを食べるので、家族はそんな美嘉を見て少し安心する。
  9. ラストシーンは赤ちゃんの命日の夜。死んだ赤ちゃんのお墓にあった花を分けて持ってきて、結婚式を挙げた川原に植える。そして「パパと一緒になれたね」と呟く。
  10. 空を見上げると満天の星空だったので、美嘉は微笑む。そして映画は終わる。

にするけどな。これ↑も幼稚だとは思うが、少なくとも鳩を出すよりは伏線の回収ができるし、CGで空を光らせたりからあげで終わらせるよりはマシだろう。


いや、ちょっと待って。僕は複雑に考えすぎだ!鳩に捉われすぎた!『恋空』のクライマックスはシンプルでかつ正しい、つまり『恋空』のクライマックスはこういう意味だ!

  1. 美嘉は飛び降り自殺しようとする。
  2. 鳥が出てくるのを見て、美嘉は無性にからあげが食いたくなる。
  3. お腹が減ったので自殺をやめて家に帰る。
  4. からあげ。

僕も無性にからあげが食いたくなった。

2007-11-16

はてブ▼この記事の直リンク先

破壊屋に戻る11月の更新内容全てを表示2007年の日記を一覧表示