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ファインディング・ニモ   

日本のアニメとアメリカのアニメで考え方が全く違うのは「擬人化」という点だ。日本のアニメの主人公は男の子女の子なのに対して、アメリカのアニメの主人公は動物だ。
アメリカのアニメはまず擬人化ありきなので、表現の幅が限られてしまうような気がするが、そんなことは全くない。擬人化することで逆に「人間」を面白く描くことができる。「ハチミツを搾取されていることに気が付いたミツバチたちが人間を告訴する」というアニメ『ビームービー』はアメリカの訴訟社会を反映している。

本日テレビで放映する魚映画『ファインディング・ニモ』も人間を描いている(魚だけど)。子供を愛する父親の気持ちが実に上手く描かれている。これが実写だったら気持ち悪い映画になっただろう。
ニモが障がい者という設定も良い。他の子供達がニモのハンディキャップを指摘するシーンまである。難しい描写のはずだが、実に自然に描かれている。鑑賞していてニモのハンディキャップに気がつかない人も多いだろう。ハンディキャップのある人は大勢いるんだからアニメの主人公になるのも当たり前だ。でも日本のファミリーアニメじゃ絶対にやらない。

もう1つ「擬人化」で面白い点として、『ファインディング・ニモ』製作当時に大流行していた[「フラッシュバックの回想で映画のトリックを解説する」]という演出をアニメでやってくれる。魚でこの演出をやるのはかなりバカバカしくて、この映画最高のギャグになっている。
擬人化からは離れるが、ヒッチコックの『鳥』のパロディがあるのも面白い。『魔女の宅急便』でもヒッチコックの『鳥』を思わせるシーンがあった。ヒッチコックの『鳥』はアニメ的に参考になる映画なのかも。

『ファインディング・ニモ』は単純なファミリーアニメとしても面白いが、随所にアニメ作家のチャレンジ精神がみなぎっている。


僕は未見だが、『ドラえもん のび太と緑の巨人伝』が作品的に果敢にチャレンジして失敗しているらしい。作品的に大成功した『河童のクゥと夏休み』は興行的に失敗だ。この夏アニメ界の天皇が『崖の上のポニョ』を引っさげて再降臨するが、どういう結果になるのか。
あ、『崖の上のポニョ』も魚映画だね。「ポップコーンを食べながら観たい映画」「ビールを飲みながら観たい映画」「マリファナ吸いながら観たい映画」。色々あるけど「刺身を食べながら観たい映画」ってのも珍しいよな。キープ・スイミング!

2008-04-18

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