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ケータイのないケータイ小説   

今さら言う事じゃないが、中高生たちのケータイへの依存度は半端じゃない。「ケータイを忘れた」という理由で火事の家に戻って死んだ男子高校生がいたし、世間では学校へのケータイ持込が議論になっている。
中高生に限った話ではないがケータイへの依存度はいろんな形で現れている。メールは15分以内に返信するのが「友達」の前提条件だと考えている人が多い。この条件を満たすためにはお風呂にもケータイを持ち込む必要があり、実際にそうしている人もいる。「メールは15分以内に返信」と書いたがそれも昔の話であり、今は「メールは5分以内に返信」という猛者もいる。
それにケータイを使って彼女の行動を監視・束縛している男性もいる。これはDVの一種だろう。


ケータイ小説の中でも特徴的なケータイ依存の描写がある。『赤い糸』の原作では、ヒロインのメイが大好きなアッくんとケータイで5時間以上会話するシーンがある。その後アッくんは通話を切らずにそのままにして眠るのだ。なぜなら「ふたりで寝ている感じがする」からだ。結局通話時間は14時間半にもなる

『恋空』の映画にも特徴的な描写がある。
以下はレイプシーンだが、男たちに押さえつけられたガッキーがどこを見つめているのかというと………
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ケータイを見つめているのである。ケータイはずっとガッキーの彼氏の着メロを鳴らしている。
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ガッキーはひたすら彼氏の名前を連呼しながらケータイに手を伸ばそうとする。
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このシーンが特徴的なのは、ケータイを使って助けてもらうという意味の他に、「ケータイ=彼氏」のように描くところだ。
ケータイと恋愛が密接に関係している現代だが、それはこのような映画や小説の描写にも現れている。


ここで少し話を変える。バリバリのギャルたち………どういう人かというと

こんな↑感じのギャルたち(こんなステレオタイプが検索すると大量に出てくる)がネット上で書いている日記を読んでいたところ、おもしろい記述があった。

「昭和みたいな恋がしたい!」

と書いてあったのだ。
またガッキーが出演した映画『フレフレ少女』でも、純愛志向のヒロインに対して別の女性キャラが「あんた昭和?」とバカにするシーンがある。


中高生たちが言っている「昭和」とはどういう意味なのだろう?昭和という時代は60年以上も続いたので色々な価値観があった。昭和の恋といってもひとくくりにはできないはず。でも少し考えてみたら中高生たちの「昭和」の意味がわかった。ケータイがなくても好きな人と通じ合えることを「昭和」と呼んでいるのだ。ケータイに依存している現代の中高生たちはそんな過去の恋愛の形をリスペクトしているのだ。

ケータイがなくても友情や恋愛が成立するのが中高生たちにとっては新鮮な関係になる。ということは次の時代のケータイ小説はケータイが登場しないのでは?と思う。だから次に流行するのは………黒電話小説だ!黒電話小説では男が女に電話をかけると女の父親が出てくる!レイプや妊娠やドラッグはもう古い。恋人に時間を指定して毎日黒電話機の前で待ってもらったり、父親が出たら間違い電話の振りをするのが新しいケータイ小説の表現なのだ!

というわけでどなたか今のうちに黒電話小説を執筆してみませんか?ちなみにそれが外れたらタバコ屋の前で電話を待つ「赤電話小説」。それも外れたら電報でやり取りする「電報小説」。それも外れたら、やり取りすらできない「君の名は」というのはいかがでしょう?

2008-12-29

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