映画本編が始まった瞬間にクズ邦画だとわかる時がある。クズ邦画は映画が始まると、出資した企業が連名で映し出されるのだ。以下の画像は映画が始まった瞬間である。
邦画はこんな画像から始まる作品が多いので一概に言えないけど、「最初に出資企業がたくさん出てくる=クズ邦画」はもう法則になっているような気がする。もちろん出資企業が多くても良い邦画だってある。例として取り上げた『築地魚河岸三代目』は僕も好きな映画だ。TKO(大沢たかお)が出ているから。
上の二つの映画はほぼ違う資本系統の企業から出資を受けているが、一社だけが一致している。それが木下工務店だ。
木下工務店がスポンサーになった映画(キノシタ映画)は実に強烈なラインナップである。
いずれも製作動機が不明の映画ばかりだが、そうかスポンサーがいたのか。それだったら『未来予想図』も映画化できるよなー。お金の力ってすごい。
現在公開中のキノシタ映画は『真夏のオリオン』『BABY BABY BABY!』『GOEMON』という実に凶悪なラインナップである。ダメな映画監督がいる。ダメな映画評論家がいる。そしてダメな映画スポンサーもいるのである。
木下工務店が映画にこだわるのは、社長がかなりの映画マニアだからだ。年間100本から200本の映画を劇場で観ているらしい。社長のインタビューではこんなことを言っている。これ↓なら映画館で偶然僕と会っているかもしれない。
新宿バルトもピカデリーも遅くまで営業してますから、ありがたいです。それに、新宿、渋谷は単館でレイトショーもやっていますからね。シネコンだけだったら、年間100本はいかないんじゃないですか。大作しか上映していないんですから…。
「映画を広めたい。そして映画を身近に感じるように木下工務店も身近に感じて欲しい。」という社長の考え方は理解できるし、頑張ってほしい。でもそれで生み出されるのがクズ邦画じゃあしょうがない。さらにはスポンサーのみならず年末には自社映画の公開まで行う。工務店が映画製作?
ちなみに社長が最近良かったと感じた映画は滝田洋二郎の『おくりびと』と是枝裕和の『歩いても 歩いても』だそうだ。だったら『おくりびと』『歩いても 歩いても』みたいな良質な邦画に出資すればいいじゃん!しかし木下工務店が出資した滝田洋二郎作品は『釣りキチ三平』だ。このセンスが理解できない。
ところが今年後半のキノシタ映画の監督は、崔洋一&山田洋次というベテラン監督。これなら期待できる。今後は面白い映画を作ってくれるスポンサーになるのだろうか。そうなれば映画を観る時に「木下工務店」の名前を見つけてテンションがガタ落ちすることもなさそうだ。
関連リンク
オマケ:木下工務店が映画に出資する理由の一つとして、こんなのもある。
また「若い社員が中高年の顧客と話すコミュニケーションツールとして、映画が最適」とも。営業マンが「うちはこんな映画をやっています」と「まぼろし~」のチケットを顧客に渡し、会話の糸口をつける。
若い社員たちは営業頑張りすぎていませんか?チケットを渡し過ぎて値崩れするほどに。
2009-06-18