『ビッグ・バグズ・パニック』の主人公:クーパーはダメサラリーマンだ。毎日のように会社に遅刻して仕事をしないで遊んでばかり。さらに「仕事しているフリ」もヘタなので、彼のダメッぷりは周囲の知るところである。そもそも雇って貰えたのも母親を亡くして同情されたからだった。
そんなクーパーが当然の如く上司からクビを言い渡された瞬間、突然強烈な音が聞こえてきて街の人全員が失神。数日後にクーパーが目を覚ますと、人々はみんな巨大昆虫が作った繭の中に取り込まれていた。クーパーは生き残った人々と共にサバイバルを図るが………
ビッグ・バグズ・パニックの公式サイト。テニスラケットを構えているのが主人公のクーパー。
『ビッグ・バグズ・パニック』は『ショーン・オブ・ザ・デッド』のフォロワー映画とも言える。クーパーは『ショーン・オブ・ザ・デッド』のショーンとエドを足したようなキャラクターだ。ただ僕は『ミスト』のフォロワー映画のような気もした。巨大昆虫が襲ってくる理由に「危険な化学薬品が川に流れて…」「軍の実験で…」「宇宙からの放射線で…」「惑星クレンダスから…」といった説明を一切つけなくても、巨大昆虫が襲ってくるので人類終わり!だけで済ませれるのは『ミスト』があったからだと思う。 というか僕の頭の中に「ミストの世界」というのが強烈にこびりついてしまい、世界の終末を観るとゾンビ映画よりも『ミスト』のほうを連想するようになったのかもしれない。ただ『ミスト』との類似性についてはZOMBIE手帖ブログの管理人さんも指摘していた。
『ビッグ・バグズ・パニック』の原題は「Infestation」で、シラミやイナゴといった群れを成す「襲来」を意味する。劇中でも巨大昆虫が人々を襲い刺された人々は………街を昆虫が襲う映画といえばゲラゲラ笑いながら観れる『スパイダーパニック』があったが、『ビッグ・バグズ・パニック』はもうちょっと凄惨な展開の映画だ。刺された人々も[また昆虫のバケモノへと変態するので、実はゾンビモノの映画だったり]するのだ。
クーパーの父親でコテコテの元軍人、障害者の青年といったキャラクターの描き方が良い。エロもグロも適度にぬるーく描かれる。クライマックスで伏線が生かされるのも上手い。ヒド過ぎて物議を醸しているラストシーンを除けば、色んな映画のおいしい設定を混ぜ合わせた好感の持てるB級映画だ。
2009-11-21