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ケータイ小説映画「teddy bear」

金曜日, 6月 10th, 2011

この文章はBootleg Vol.2 Love Storyに載る予定だったけれど、ページ数の関係で載せられなかったものです。Bootleg Vol.3 Noirの発売記念として破壊屋に載せます。ネタバレしているので注意。

ストーリー

高校に入学した晴菜はクラブで出会った仲間たちからドラッグを薦められる。薬物に手を出す一歩手前の晴菜を止めたのは成也だった。晴菜は成也と付き合うが、束縛の強い成也のせいで友達付き合いが悪くなり、晴菜はいじめられるようになる。さらに晴菜の自傷癖が成也にバレて殴られる。母親との仲も悪い晴菜にとって、唯一の友達は瑞穂だけだった。

晴菜は束縛から逃れるために成也と別れるが、成也の親友から真実を聞かされる。実は成也は進行性の健忘症だったのだ。成也は施設に入ることになり、晴菜は成也の介護をする。そんなある日成也は赤信号の意味を忘れてトラックにはねられて意識不明の重体となる。病室で成也に付き添う晴菜は、成也からテディベアをプレゼントされる夢を見る。目を覚ますと成也は死んでいた。晴菜は悲しみに耐えられず死んだ成也に「私をお嫁さんにして」とメールを送る。死んだ成也から返信が来た。「生きろ」と。

生きる希望が沸いた晴菜は妊娠していた瑞穂の出産に立ち会う。瑞穂は自分の子どもに晴菜+成也として「晴也」と名づけたのだった。

解説

晴菜と成也の二つの母子家庭の物語になっていて、成也と付き合うことで晴菜自身も母親との関係を修復するという脚本が面白い。ただフラッシュバックを使った回想シーンを連発するのが興ざめ。

泣かせのための人死にが多い日本映画だけど、その死因は交通事故と病死がほとんどだ。アメリカ映画と違って他の事故や事件や戦争で死ぬというパターンはほとんど無い。『teddy bear』は難病の彼氏が交通事故で死ぬというダブルコンボが特徴的だ。

原作では登場人物全員ヤンキーだが、映画版ではだいぶ性格が丸くなっている。瑞穂を妊娠させる男は原作だと未成年だが映画では成人であることが強調されている。

死んだ成也からケータイメールが届くラストシーンは珍シーンだが、原作のラストは実にケータイ小説的だ。原作では植物人間になった成也を晴菜が見舞い続ける。ある日晴菜は夢の中で成也から「生きろ」と言われて、成也の死を受け入れる心構えができる。心構えができた晴菜は念入りの化粧をして髪を綺麗に巻き、植物人間の成也にカワイイ自分を見せに行く。そして成也は息絶えるのだった……。心を込めたメイクが深い愛を表現しているんだよ。

『teddy bear』の原作については速水健朗氏の著書『ケータイ小説的。』に興味深い指摘が載っている。『teddy bare』は実話だという触れ込みなのに、ストーリーが浜崎あゆみの歌詞と同じだというのだ。ケータイ小説における浜崎あゆみの影響力の高さがわかるエピソードだが、浜崎あゆみがケータイ小説映画に関わることは一度も無かった。

teddy bare

クラブで遊ぶシーン、原作だと飲酒しているけど映画だとお茶を飲んでいることを強調する。

teddy bare

アクセサリーをプレゼントする時にアクセサリーの文字の和訳が出てくる

ケータイ小説映画全作品リスト

土曜日, 12月 4th, 2010

ケータイ小説映画全作品を鑑賞したので、その記念に作品リストを作りました。26本ありましたが、たぶんこれで全部だと思う。

リストの評価については破壊屋では星一つだった『恋空』が星三つになるなど激甘になっています。またリアル系ケータイ小説の10大エレメントである

  1. 自殺(未遂も含む)
  2. 交通事故
  3. 難病(ガンなど治療法が確立している病気も含む)
  4. いじめ
  5. 援交売春
  6. 妊娠
  7. 中絶・流産
  8. DV
  9. レイプ(未遂も含む)
  10. ドラッグ

の有無も載せます。しかしまあ『恋空』を観て「からあげー!」と言っていた俺がここまでケータイ小説にハマるとは思わなかったよ。


Deep Love アユの物語

Yoshi原作・監督・脚本。HIVに感染した少女が、中田し援交セックスで稼いだ金で心臓病の少年を救おうとする物語だが、それって少年一人を助けるために多くの悲劇を生みだしているぞ。全ケータイ小説映画の中でも最強の珍作。ケータイ小説の原点的作品だが、この作品があまりにもレベルが低かったことが、のちのケータイ小説バッシングにも繋がったのかもしれない。内容はコチラで⇒破壊屋_マッドシネマ_Deep Love アユの物語

作品データ

良作度 ヒロイン 重泉充香(ワンダフルガールズ)
珍作度 ★★★★★ お相手 古屋敬多(Leadというダンスユニットのメンバー)
監督 Yoshi 脚本 Yoshi
公開時期 2004年4月(劇場公開) 主題歌 川嶋あい「DeepLove」(既発表曲のタイトルを変えたもの)
原作者 Yoshi 関連企業 ザブン(Yoshiの会社)

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
× ×
妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
× ×

大切な約束

映画ではなくてWebドラマの総集編。ストーリーは上京した少女が路上ライブ1000回をするというもので、どう考えても川嶋あいの物語。『大切な約束』の原作が発表された後で川嶋あいが「原作者の正体は私です」と発表するという、川嶋あい伝説作り事業の一環だったのだ。川嶋あいの上京物語の映像作品には他にもアニメやドキュメンタリーがある。

作品データ

良作度 ヒロイン(大人) 華彩なな(グラドル)
珍作度 ★★★ ヒロイン(少女) 小野明日香(ファッションモデル)
監督 川嶋あいじゃない 企画 川嶋あい
公開時期 2005年7月(Web配信) 主題歌 川嶋あい 「大切な約束」
原作者 川嶋あい 関連企業 スターツ出版

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
× × × ×
妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
× × × × ×

Dear Friends ディア フレンズ

Yoshi原作。ヒロインが乳ガンになり、白血病の少女や○○症候群の同窓生と友人になるという難病オンパレードで無理やり泣かそうとする。だが難病よりも友情の描き方がさらに安易だ。ただ体当たり演技は評価できる。原作はエロ描写が激しすぎて作品のテーマがブレている、どうしようもないクズ小説。

作品データ

良作度 ★★ ヒロイン 北川景子(女優、ミスセブンティーン)
珍作度 ★★★ ヒロイン 本仮屋ユイカ(女優)
監督 両沢和幸 脚本 両沢和幸、三浦有為子
公開時期 2007年2月(劇場公開) 主題歌 SOULHEAD「Dear Friends」
原作者 Yoshi 関連企業 東映、スターダストプロモーション(出演女優たちの事務所)

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
× ×
妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
× × × ×

ラストラブ

Yoshi原作。余命僅かなジャズ奏者の物語。田村正和の14年振り主演作として宣伝されたが、興行は振るわなかった。悪名高い駄作で、珍演出・珍脚本・珍演技を楽しむしかない。主人公とヒロインが偶然再会するシーンが3回もあるのはやりすぎ。内容はこちらで⇒破壊屋|ラストラブ

作品データ

良作度 主人公 田村正和(発声が変な俳優)
珍作度 ★★★★★ ヒロイン 伊東美咲(大根女優)
監督 藤田明二 脚本 龍樹
公開時期 2007年6月(劇場公開) 主題歌 絢香「Jewelry day」
原作者 Yoshi 関連企業 テレビ朝日

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
× × × ×
妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
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TOKYO REAL

ヤク中になってしまい人生を破滅させるヒロインの物語。「渋谷のクラブでドラッグやってレイプされる」というイメージをそのまま映像化。BGMがブルースになっていてケータイ小説の世界観とまるで合わない。ネットでも読める原作のこの文章がちょっと凄い↓。

アヤは殴られた事のドメスティックバイオレンスに異常な程に感じてしまい、すごく濡れていた。

作品データ

良作度 ★★ ヒロイン 秦みずほ(イエローキャブのグラドル)
珍作度 ★★★★ お相手 米光雄作(ジュノン・スーパーボーイ)
監督 笠木望、湯本美谷子 脚本 笠木望、湯本美谷子
公開時期 2007年8月(劇場公開) 主題歌 ICHIDAI 「Tokyo Real ~祈り~」
原作者 RYU 関連企業 モブキャスト(ケータイコンテンツ会社)

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
× × × × ×
妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
× ×

天使がくれたもの

岸和田の不良少年少女たちの恋愛模様。原作は「天くれシリーズ」といって、ケータイ小説の中では有名な部類に入る。映画化する際に飲酒描写が全てペプシに変更されているため、ペプシを飲むシーンが8回もある。「自分に素直になる」がテーマなのだが、自分に素直になって男性(彼女持ち)に告白した結果、単なる略奪愛になっている。

作品データ

良作度 ★★ ヒロイン 清水由紀(美少女クラブ31)
珍作度 ★★ お相手 鍵本輝(Leadというダンスユニットのメンバー)
監督 中田信一郎 脚本 我妻正義
公開時期 2007年9月(劇場公開) 主題歌 YVE 「天使がくれたもの It’s only love」
原作者 Chaco 関連企業 スターツ出版、ポニーキャニオン(美少女クラブ31、Leadのスポンサー)

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
× × ×
妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
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恋空

ケータイ小説映画で最大のヒット作。原作も映画もケータイ小説の代名詞な存在。からあげで幸せを表現する演出や、お花畑のレイプシーンが話題になった「この映画は一体誰が観に行くんだ!?大賞」第一回の受賞作品でもある。内容はこちらで⇒破壊屋_2007年の映画の感想_恋空

作品データ

良作度 ★★★ ヒロイン 新垣結衣(フレフレ少女)
珍作度 ★★ お相手 三浦春馬(14歳の父)
監督 今井夏木 脚本 渡邉睦月
公開時期 2007年11月(劇場公開) 主題歌 Mr.Children「旅立ちの唄」
原作者 美嘉 関連企業 スターツ出版、TBS、東宝

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
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妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
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クリアネス

第1回日本ケータイ小説大賞作品。自宅で本番有りの個人ヘルスをしている女子大生のラブストーリーという設定が話題になった。畠山鈴香も同じことやっていたよね。監督の篠原哲雄はベテラン監督で、これはケータイ小説映画としては珍しい。出演陣もアイドルではなくて俳優を使っている。哀川翔も出ている。

作品データ

良作度 ★★★ ヒロイン 杉野希妃(日韓で活動する女優)
珍作度 ★★ お相手 細田よしひこ(俳優)
監督 篠原哲雄 脚本 山田あかね
公開時期 2008年2月(劇場公開) 主題歌 秦基博「僕らをつなぐもの (Contrast ver.)」
原作者 十和 関連企業 スターダストプロモーション、スターツ出版

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
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妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
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愛流通センター

ケータイ小説を募集して映画化するという企画、「ユアシネマ」の選外作品だが実写化された。「愛流通センター」という出会い系サイトから派遣された営業マンが、不思議な力でヒロインの恋を叶えてくれる。アメリカ映画によくある「天使が現れて恋を応援してくれる」と同じ設定。ホリプロタレントを大量起用したホリプロ映画で、特別出演として和田アキコ(ホリプロ)が出てくる。

作品データ

良作度 ★★★ ヒロイン 足立梨花(ホリプロのスカウトキャラバングランプリ)
珍作度 お相手 前田公輝(ホリプロの俳優)
監督 土屋哲彦 脚本 なるせゆうせい
公開時期 2008年7月(劇場公開) 主題歌 森翼「オレンジの街」
原作者 唯沢みず 関連企業 ゴマブックス

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
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妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
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ドロップ

ソフトバンク クリエイティブ刊 第一回ポケスペ小説大賞作品。彼氏にふられたヒロインが彼氏の新恋人をストーキングするという設定は珍作っぽいが、恋と友情に悩む女子高生の感受性を捉えようとしている作品である。原作は普通の小説のテクニックを活用していて、小説家志望の人が時流にのってケータイ小説を書いたのかもしれない。

作品データ

良作度 ★★★ ヒロイン 黒川芽以(女優)
珍作度 ヒロイン 桐谷美玲(ファッションモデル)
監督 横井健司 脚本 渡辺千穂
公開時期 2008年9月(DVD公開) 主題歌 ゆうり「銀色LOVERS」
原作者 夏澄 関連企業 ソフトバンク クリエイティブ

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
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妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
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天使のいた屋上

「ユアシネマ」の第一回大賞作品。第二回は行われていない。部活が休部になってしまい虚しい日々を過ごす少年が少女と出会う物語。珍しく男性が主人公のケータイ小説映画。小説も映画もケータイ小説として売り出しているが、ケータイ小説らしさが全くない普通の物語だ。

作品データ

良作度 ★★★ 主人公 小柳友(俳優、ブラザートムの息子)
珍作度 ヒロイン 波瑠(女優、セブンティーンモデル)
監督 高木聡 脚本 高木聡、千葉美鈴
公開時期 2008年11月(劇場公開) 主題歌 小松優一「風の始まり」
原作者 白鳥加寿彦 関連企業 ゴマブックス

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
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妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
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魔法のiらんど 幼なじみ

ヒロインが幼なじみにずっと恋しているんだけど、幼なじみの男は自分を妹程度にしか想ってくれなくて、ある日彼女を連れてきてしまう……。CGを使った少林サッカー風のシーンもあるラブコメ作品で、『ラブコン』にちょっと似ている。幼なじみの男がそれほど身長が高くないが、ケータイ小説映画では男性が高身長というのは絶対条件なのでこれはかなり珍しい。

作品データ

良作度 ★★ ヒロイン 田中あさみ(ミスセブンティーン)
珍作度 ★★ お相手 村井良大(テニプリミュージカル)
監督 脚本 檜木田正史
公開時期 2008年11月(劇場公開) 主題歌 Foxxi misQ「Say you luv me~魔法のコトバ~」
原作者 banbi 関連企業 テレビ朝日

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
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妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
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魔法のiらんど teddy bear

記憶障害の不良に恋する少女の物語。映画版は二つの母子家庭の物語にもなっていて、それなりに工夫されている。難病の少年の交通事故というダブルパンチがクライマックス。原作は、速水健郎著の『ケータイ小説的。』で「実話のはずなのに、浜崎あゆみのteddy bareと同じ」と指摘されたことでも有名。当初は「実話」をアピールしていたが、現在は「ノンフィクションです」と断り書きがされている。

作品データ

良作度 ★★★ ヒロイン 桐谷美玲(ファッションモデル)
珍作度 お相手 賀来賢人(俳優)
監督 横山一洋 脚本 金杉弘子、横山一洋
公開時期 2008年11月(劇場公開) 主題歌 リサハリム「切ないくらい、愛してた。」
原作者 べあ姫 関連企業 ゴマブックス

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
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妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
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赤い糸

映画の完結編をテレビで放映するという逆パテオ、または逆ディケイド商法の作品。そのためにとんでもなく中途半端な状態で映画が終わる。スポンサーがグリコなので、赤いチョコレートが二人を結びつけるアイテムになっている。
若いカップルのDV問題を正面から描いているのが好感持てる。原作は不良マンガよりも強烈なヤンキーテイストを持っていて、一読をオススメする。

作品データ

良作度 ★★★★ ヒロイン 南沢奈央(女優、ダンディ・ダディ?のヒロイン)
珍作度 ★★★ お相手 溝端淳平(ジュノン・スーパーボーイ)
監督 村上正典 脚本 渡辺千穂
公開時期 2008年12月(劇場公開) 主題歌 HY「366日」
原作者 メイ 関連企業 ゴマ文庫、グリコ、長崎県

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
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妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
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魔法のiらんど SixDays [+アナザーストーリー]

女子高生のヒロインが6日間だけ、学校のイケメンの先生と二人暮しするというラブコメ。原作では続きの展開を読者から募集していた。「アナザーストーリー」とは後日談エピソードのことだが、魔法のiらんどの実写化作品の大半は「ケータイで配信」⇒「後日談エピソードを加えてDVD発売」となるので、他の作品でも後日談エピソードがついている。

作品データ

良作度 ★★★ ヒロイン 三浦萌(9 nine)
珍作度 お相手 崎本大海(ヘキサゴンファミリー)
監督 成田剛 脚本 成田剛
公開時期 2009年3月(DVD公開) 主題歌 Base Ball Bear 「SCHOOL GIRL FANTASY」
原作者 ナナセ 関連企業 特に無し

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
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妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
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魔法のiらんど 恋愛約束

「恋愛約束」という言葉は素敵に思えるけど、片想いの相手にキープされているだけの関係だよな。登場人物がカメラに向かって話かけるなど、ポップな演出を多用している。クライマックスのレイプシーンでかなり変な展開になる。ネタバレになるので別の場所に書きました

作品データ

良作度 ★★ ヒロイン 広瀬晶(ミス・セブンティーン、現在は広瀬アリス)
珍作度 ★★★ お相手 福山一樹(俳優)
監督 坂上忍 脚本 里島美和
公開時期 2009年3月(DVD公開) 主題歌 及川亜美「ハッピーエンドに続く道」
原作者 結衣 関連企業 ゴマブックス

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
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妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
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ケータイ小説家の愛

恋愛経験がまったく無い平凡な女子高生が、セックス・ドラッグ・レイプを経験することでケータイ小説家として成りあがっていく。ケータイ小説10大エレメントのうち8つまで持っており、Yoshi作品を除けば、本作がケータイ小説映画の中ではもっとも珍作である。またケータイ小説映画の中で唯一原作が出版されていない。

作品データ

良作度 ★★ ヒロイン 田代さやか(ホリプロのグラドル)
珍作度 ★★★★★ お相手 三浦悠(ジュノン・スーパーボーイ)
監督 金子功 脚本 河田秀二
公開時期 2009年5月(劇場公開) 主題歌 Dot Rainbow「LINK」
原作者 シュウ 関連企業 エースデュース

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
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妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ

魔法のiらんど 呪われた学校 -完全版-

よくあるホラーオムニバス。それぞれのエピソードは独立しているんだけど、全て同じ学校で起きているという設定なので、「その学校死人が多すぎ!」とツッコミたくなる。確かに呪われている学校だ。一番面白いエピソードは、少年が女子高生に恋するんだけど、実はその女子高生が池の鯉の化身で、少年を溺れさせようとする!?というもの。キャッチコピーが「コイニオボレル」

作品データ

良作度 ★★★ ヒロイン 小池唯(U-15タレント)
珍作度 お相手 前田希美(読者モデル)
監督 白石和彌、谷洋平 脚本 高橋泉
公開時期 2009年7月(DVD公開) 主題歌 なし
原作者 Saori、kagen 関連企業 双葉社、ディーライツ

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
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妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
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魔法のiらんど イケない課外授業

女子高生のヒロインが謎のイケメンにキスされる。謎のイケメンの正体は学校の先生だった!メガネをかけると先生に変身し、メガネを取るとイケメンになる。これも後日談エピソード付きだが、後日談エピソードがある作品は上映60分目くらいでハッピーエンドになり、その後に後日談エピソードが展開する。

作品データ

良作度 ★★★ ヒロイン 大川藍(アイドリング!!!20号)
珍作度 お相手 塩谷瞬(俳優、パッチギ!の主役)
監督 藤井清美 脚本 藤井清美
公開時期 2009年9月(DVD公開) 主題歌 なし
原作者 白川愛理 関連企業 ディーライツ

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
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妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
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魔法のiらんど Re:涙雨

不良系の女子高生が不良男や浮気男と付き合って散々酷い目に遭った挙句「やっぱりマジメな人がいい」ということで、マジメな少年と付き合うとその少年も酷い目に遭う。ケータイ小説や少女マンガによくあるヒロインの存在自体が周りの人を不幸にする王道パターンの物語。ヒロインの高校の野球部がかなり強かったが、ヒロインが遠因で野球部がバラバラになってしまい、学校生徒全員からヒロインがバッシングされるという展開が面白い。

作品データ

良作度 ★★★ ヒロイン 重廣礼香(女優)
珍作度 お相手 夕輝壽太(テニプリミュージカル出身)
監督 池田千尋 脚本 高橋泉
公開時期 2009年9月(DVD公開) 主題歌 奥村初音「ふたり」
原作者 飛鳥 関連企業 ぶんか社、ディーライツ

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
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妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
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天使の恋

援交しているヒロインが運命の男性と出会うが、その男性が難病で余命わずかというテンプレート映画。女子高生にウケる要素を上手く取り込んでいるが、知性がまるで無いヒロインが歴女として成長していく展開はまさに珍作。

作品データ

良作度 ★★ ヒロイン 佐々木希(人気モデル)
珍作度 ★★★★ お相手 谷原章介(よく変なイケメンを演じる人)
監督 寒竹ゆり(20代女性監督) 脚本 寒竹ゆり
公開時期 2009年11月(劇場公開) 主題歌 伊藤由奈「Let it Go」
原作者 sin 関連企業 ゴマブックス、各種ブランドショップ

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
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妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
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携帯彼氏

iらんど大賞2007ケータイ小説アワードジャンル賞と雑誌のHana*chu賞を受賞した。ケータイゲームで作った疑似彼氏に呪い殺されるという、都市伝説系のホラー映画。川島海荷のアイドル映画でもある。脚本にはスーフリ事件など社会的事件が反映されており意外と面白い。メジャーのケータイ小説映画は本作が最後である。

作品データ

良作度 ★★★★ ヒロイン 川島海荷(9 nine)
珍作度 ★★ お相手 石黒英雄(ジュノン・スーパーボーイ)
監督 船曳真珠 脚本 柴田一成
公開時期 2009年12月(劇場公開) 主題歌 弓木英梨乃 LOST[ロスト]<「携帯彼氏」movie version>
原作者 kagen 関連企業 魔法のiらんど

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
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妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
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魔法のiらんど 最恐ダーリン

「見た目は怖いけど実は心優しい不良」という昔の少女マンガの定番設定だが、定番すぎて逆に楽しい。ただ普通のケータイ小説のヒロインは自分の恋人が不良であることに何の疑問を抱いてないので、不良の恋人に怯える本作のヒロインは逆に新鮮である。また本作は教会のシーンが多い。少女マンガやケータイ小説映画では教会がよく出てくるのだが、信仰心が描かれることはほとんど無く、神社の願掛けと同じ扱いだったりする。

作品データ

良作度 ★★★★ ヒロイン 東亜優(ホリプロタレント)
珍作度 お相手 中村龍介(「天に昇る龍が如く」というブログをやっている俳優)
監督 三島有紀子 脚本 木田紀生
公開時期 2010年2月(DVD公開) 主題歌 Foxxi misQ「Say you luv me~魔法のコトバ~」
原作者 藤子 関連企業 ソフトバンク クリエイティブ

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
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妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ
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魔法のiらんど MARIA age18 ~初恋~、age19 ~心涙~、age20 ~運命~

キャバ嬢の立身出世を描いたトリロジー。誕生日に誰もお祝いしてくれず、ショートケーキ一切れに18本のロウソクを刺そうとするヒロインが、キャバクラのイケメン店長にスカウトされることによりNo1キャバ嬢となる。2010年末の現時点で本作が最新のケータイ小説映画だ。ケータイ小説10大エレメント全てを持っている

作品データ

良作度 ★★★★ ヒロイン 西原亜希(ホリプロのグラドル)
珍作度 ★★ お相手 古川雄大(テニプリミュージカル)
監督 原正之、高橋泉 脚本 高橋泉
公開時期 2010年10月(DVD公開) 主題歌 宝美(bomi)「心の鍵」
原作者 ChieMi 関連企業 角川

ケータイ小説10大エレメント

自殺 交通事故 難病 いじめ 援交売春
妊娠 中絶・流産 DV レイプ ドラッグ

ふぅー、夏ころからコツコツ観ていたけど、全部観るのは大変だったよ!慣れてくると意外と面白いんだけど、ヒロインがウジウジと悩んでいる作品ばっかりなので、それを見続けるのがキツかった。

改めて調べてみると、出演者にアイドルや雑誌モデルやテニプリ俳優(テニスの王子様ミュージカルに出ていた俳優)が多いのに驚いた。主役二人以外も含めるとものすごく多い。一つの映画の出演者が全部同じ芸能事務所なのもあった。ケータイ小説映画は、プロモーション的な側面も強いのだろう。

これらの作品のうち、『赤い糸』『天使の恋』『ケータイ小説家の恋』『クリアネス』『携帯彼氏』の長文レビューを2010年12月5日発売の映画評論同人誌Bootleg Vol.2 Love Storyに掲載しています。興味ある方は是非購入してみてください。ちなみにリアル系ケータイ小説の10大エレメントのアイデアはBootleg編集長の侍功夫さんから頂きました。

ウケる要素を集めすぎて珍作となった映画『恋するナポリタン』

水曜日, 10月 6th, 2010

恋ナポ
『恋するナポリタン ~世界で一番おいしい愛され方~』

恋ナポ
値崩れして150円で売られている『恋ナポ』のチケット。


150円なので『恋するナポリタン ~世界で一番おいしい愛され方~』を観てきました。若い会社員女性にターゲットを絞って、彼女たちが興味持っていることを片っ端から集めたら映画が暴走してしまい、結局女性たちに無視されている珍作でした。以下は完全ネタバレでストーリーを説明します

いきなり主人公死亡

相武紗季

タケシ

マキダイ、エグザイルの人。

  • 映画が始まるとタケシ(塚本高史)がマクロビオティックなピザを作っている。マクロビオティックとは料理思想のことらしいが、なんかマズそうだ。
  • 都内の会社員で情報誌を作っている相武紗季はプロポーズされた。相手はレストランのオーナー(市川亀治郎)だ。相武紗季はプロポーズを受けるか悩んだため、中学からの親友のタケシに相談する。
  • タケシはオーナーの弟子だったが、独立して東京タワーの近くでレストランをやっている。タケシは25歳なので独立するには若すぎる。その資金はどっから出ているんだよ?
  • タケシは相武紗季のことを密かに想っていた。そして相武紗季も心の奥底でタケシのことを想っていた。タケシは相武紗季に会うために走り出す。
  • 都内を延々と走るタケシ。そんなに急いでいるのならタクシー使えばいいのに…
  • ようやくプロポーズ現場についたタケシ。だが相武紗季は既にオーナーの市川亀治郎のプロポーズを受けていた。オーナーは弟子であるタケシが突然やってきたことに驚く。3人はその場で固まる。
  • そのときマキダイが飛び降り自殺をして3人のところに落ちてくる!マキダイとタケシがぶつかってタケシ死亡。
  • 地面に横たわる意識不明のマキダイと死んだタケシ。二人の体はまるで天使の羽のように………見えないが、天使の羽がCG合成されるので二人の体は天使の羽なのだ
  • 「恋するナポリタン」というタイトルが出てくる。オープニングクレジット。
マキダイの家族
  • 一ヵ月後、意識不明だったマキダイが目覚める。マキダイの姉は「あんたのせいで人が死んだ!」と激怒。
  • マキダイは記憶喪失になっており何も思い出せない。
  • マキダイは3年間部屋から一度も出てこなかった引きこもりのピアニストだった。なぜあの日、部屋から出て飛び降り自殺したのか?
  • 実は、マキダイは飛び降り自殺をしたわけではなくて、ビルの屋上で宇宙の生命に触ろうとして落ちてしまったのだった。何だそりゃ?
  • 記憶喪失のマキダイは大学生の甥(姉の息子)を見ると「こんな大きい甥がいるなんて!」と驚く。マキダイと甥役の男性の実年齢は16歳離れているので、驚くほどの設定ではない。
  • マキダイは次に姉を見て「こんな年が離れた姉がいるなんて!」と驚く。が、二人の外見を見る限りは驚くほど離れていない。さっきからやたら「マキダイが若い」ということを強調している。なぜ?
  • と思ったら、マキダイが記憶を少し取り戻すシーンで、大学受験に合格するマキダイが出てくる。ちょっと待て、35歳のマキダイが大学受験生を演じるのは無理がありすぎるだろ!劇中の年代設定がよくわからん。
  • 退院したマキダイは家に帰る。都心の豪邸だ。マキダイの父親(北大路欣也)は世界的に有名なピアニストで、これまたやっぱり豪邸に住んでいて、息子の過失致死事件に対して白紙の小切手で賠償しようとした。ピアニストが何でそこまでの大金持ちなんだ?
魂の融合
  • 料理がまったくできないマキダイは何故か料理が出来るようになっていた。というかマキダイは過失致死やらかしているのに、なんで普通に生活しているんだ?
  • マキダイと姉はタケシの墓参りに行く。お墓には相武紗季がいた。タケシの両親は既に事故で亡くなっていたので、白紙の小切手を渡されたのは相武紗季だった。しかし相武紗季は受け取らない。というか相武紗季とタケシは内縁関係すら無いんだから、賠償金を受け取る権利なんて元からないだろ。
  • 墓参りにきたマキダイの髪型はロンゲのパーマ。とてもじゃないけど、殺した相手の墓参りにする頭じゃない。しかもマキダイは頭に大怪我したという設定なのに。
  • マキダイは相武紗季を見て興奮する。相武紗季にしてみれば自分の親友を殺した相手に興奮されているので、不愉快極まりない。
  • マキダイはタケシの墓の遺影を見て叫びだす。「俺だぁああああ!」
  • 実は死んだタケシの魂がマキダイの中に入っていたのだ
コール・ミー・ナポリ
  • マキダイは家に帰って甥と一緒に食事を作って食べる。マキダイの中身はタケシなので、マキダイは
    「もう俺のことをおじさんって呼ばないで」
    と言う。誰もが
    「タケシって呼んで欲しいのだろうか?」
    と思うのだが、そこで予想外の答えが
    「ナポリって呼んでくれ」
    「わかったよ、ナポリ」
    というわけで、マキダイは以下「ナポリ」になります。
  • ナポリは甥と一緒に田舎の有機栽培食品を取りに行く。無農薬野菜の素晴らしさを表現するために、土から抜いた芋をそのままかじる甥。いやそれは泥を食べているようなもんだろ。
  • ナポリはタケシのレストランに行く。鍵はかかっているが、ナポリはタケシなので、鍵の場所を知っていた。鍵は犬小屋の中に隠してあるのだ。ってオマエ、職場の鍵をそんなところに隠すなんてありえんぞ!
  • ナポリがレストランに入っていると、相武紗季もやってくる。ナポリは相武紗季にレストランを貸してくれるように依頼する。相武紗季にすれば、自分の親友を殺した男が親友のレストランを「タダで貸せ」と言ってくるようなもんだ。とうぜん相武紗季は怒る。というか何で相武紗季がそのレストランの権利を持っているの?東京タワー近くのレストランなんてかなりの資産価値があるぞ。
  • ここで映画はとつぜん『第三の男』風になって、相武紗季は説得される。
  • ナポリはレストランを再開する。ナポリのレストランは商売繁盛する。
相武紗季とタケシ
以下は相武紗季とタケシの回想シーン

  • タケシは小学生のころにイタリアのナポリで料理の修行をしていた。そして日本に帰って相武紗季と仲良くなった。相武紗季は食いしん坊なのでいつもタケシにイタリア料理をたかっていた。食費とかどうしたんだろう?
  • ある日相武紗季の父親が死ぬと、相武紗季は葬式を抜け出し、タケシを海岸まで連れていき、バーベキューの用意をさせて「うまいもん作れ!」と命令。おいしいものを食べて相武紗季は父の死を乗り越える。←「食べ物は悲しみを癒す」を表現しようとした珍シーン。
  • 大人になった相武紗季とタケシ。本当は両思いなのだが、お互いその思いを上手く伝えられなかった。
  • 相武紗季はタケシのことが好きなので、タケシに襲ってもらいたかった。タケシのレストランの庭で突然薄着になる相武紗季。だが相武紗季という名前が災いしたのか結局襲われない。
  • 相武紗季は結婚式でナポリタンが食べたいと、タケシに伝える。タケシは「ナポリタンはナポリと関係なくて、日本の家庭料理」と説明する。
そしてエンディング
  • 茂木健一郎が出てきて、ナポリがもうすぐ脳死することを伝える。いや、今の状態で生きていること自体が奇跡なのだ。
  • 相武紗季はオーナーのプロポーズの返事を伸ばしに伸ばしていたが、ついに正式に受ける(タケシが死んだので延期したのだった)。
  • オーナーはナポリが作る料理の味が死んだタケシの味と同じことに気がつく。そして結婚式の料理をナポリに依頼する。っつーかナポリはプロポーズの現場でオマエの弟子を死なせた男だろ……不吉すぎる。
  • ナポリは脳の痛みに耐えながら結婚式の料理を作る。そして最後に懇親のナポリタンを新婦である相武紗季にプレゼントする。
  • 相武紗季はこのナポリタンを作ったシェフの元へ行く。そこには死んだはずのタケシ(の幻覚)がいた。相武紗季とタケシはお互い思いを伝える。
  • 幻覚から目が覚めると、そこにいたのはナポリだ。ナポリはおどろく相武紗季を置いて海岸に向かう。
  • ナポリと甥は海岸に着いた。二人で海岸に座りながら海に座っていると、ナポリは脳の病気で死ぬ。このラストシーンって設定も演出もドイツの某傑作映画と全く同じなんだが、タイトル書くとネタバレになるので書けない…。
  • 3年後、相武紗季と夫はイタリアのナポリに行き、夫が作ったオムライスをタケシの知人のところに持っていく。相武紗季は何も料理していない。
  • タケシのレストランは甥が貰った。叔父が人を死なせたおかげで都心のレストランをゲットしたのか。END。っつーかこの甥は大学卒業してすぐにレストランの経営者&シェフになったのかよ。
解説

最近の日本映画には共通する決めセリフがある。「自分に素直に」とか「正直な気持ちを」といったセリフだ。日常会話ではまず使われないセリフが映画の中ではバンバンと使われている。破壊屋オフ会でこの不自然さを指摘したところ、de4staelさんから「そういう言葉を耳にしたい女性がいるから」と言われてなるほどと思った。そういった女性たちは自分の心の中にあることをなかなか表に出せないから、自分を一押ししてくれる言葉に憧れる。

恋も仕事も腹八分目フィルムパートナーズが製作した『恋するナポリタン ~世界で一番おいしい愛され方~』は疲れている女性の耳に心地よいであろうセリフだけで構成されている映画だ。「がんばらなくてもいいんだよ」「悲しいときこそ笑顔で」「前向きになろうよ」といったセリフがバンバンと出てくる。まるで疲れた女性のリハビリのような映画だ。リハビリというよりも、優しい言葉で近づく怪しい商売のような気配が強いが。

「愛され方」という受身のタイトルも変だ。「愛され方」とは「愛されるテクニック」ではなくて、単純に「男たちに愛されている状況」を意味している。映画本編では相武紗季演じるヒロインはやたらわがままで、容姿以外に魅力的な要素が無い。ヒロインが男たちに愛されているのは、考える必要もない絶対条件なのだ。疑似恋愛ゲームのように。

女性が食後にオーダーしたい別腹スイーツは、甘いドルチェよりも愛の告白だったりするのです!
(中略)
イケメン!健康食!海外!音楽!といった女性が大好きなテーマを映画の隅々にちりばめ、ちょっと疲れたハートを刺激してキュンとくすぐります。キーワードは、「恋も仕事も腹八分目が丁度いい!」。世界で一番おいしい愛され方を描いた本作は、2時間弱の映像作品というだけでなく、観る人の五感を癒す“私へのごほうび”としてぴったりの映画に仕上がっています。

『恋するナポリタン ~世界で一番おいしい愛され方~』の公式サイトには上記のような文章が書かれている。頭が狂ったような文章だが、『恋ナポ』はこの文章を本当にそのまま映像化している。個々の要素に興味持っている人は確かに多く存在している。でもそれを片っ端から集めたらものすごい逆効果になった。イケメンと健康食と海外旅行と音楽を足して大きな数で割った、ホメオパシーのように効果の無い映画だった。

追伸
  • 俺の周囲ではリアルでもネット上でも『恋するナポリタン』を観たいと言った女性は一人もいない。この予告編を観てグッとくる女性も少数派のはずだ。俺の周囲に限れば「予告編で笑った」という女性のほうが多い。
  • 『恋ナポ』の大きな欠点は、キャスティングが悪すぎる点だ。タケシ役とタケシの子役は全く似ていない。市川亀治郎は結婚相手の相武紗季と全く似合っていない。主役のマキダイは二つの魂が融合した男をこれっぽっちも演技できていない。
  • 「私へのごほうび映画」ってのは面白い発想だな。俺にとって『エクスペンダブルズ』みたいなもんか、ああいうアクション映画って心地よいよね。

関連リンク

バンジージャンプする [DVD]
『恋ナポ』はたぶんこの映画を参考にしている。